天才サンドロ・ペリを中心とした、トロントのフォーク/ジャズ系人脈の作品を30枚厳選でまとめてみました。


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.​.​.​Plays The Stephen Parkinson Songbook / The Ryan Driver Quintet

RYAN DRIVER - singing, piano, celeste 
MARTIN ARNOLD - electric guitar 
BRODIE WEST - alto saxophone 
ROB CLUTTON - bass 
NICK FRASER - drums 

All compositions by Stephen Parkinson 
Recorded by Jeremy Darby and Jean Martin at Canterbury Music, Toronto 
Mixed by Jean Martin 
Mastered by Fedge 
Painting of Stephen Parkinson by Meaghan LaCroix 
Photograph by Vegar Samuelsen  

トロント界隈で多くの作品に参加するライアン・ドライヴァーがリーダーを務めるジャズ・バンドの2014年作。クインテット名義ではこれがデビュー・アルバムではあるものの、トロントではカフェなどで14年間毎月ライヴを行ってきたそうで、このアルバムでも息の合った、成熟したプレイを聴かせてくれる。

タイトル通り、収録曲はすべてトロントを拠点に活動する作曲家/ギタリストのスティーヴン・パーキンソン(The Allison Cameron Bandほか)のペンによるもの。30~50年代の古いジャズやポピュラー・ヴォーカルものをベースにした楽曲はどれもロマンティック。歌詞も昔の曲のように恋愛を歌ったものがほとんどで、穏やかな歌声で静かに愛をささやき続けるライアン・ドライヴァーに、人によってはチェット・ベイカーなんかを思い浮かべるかもしれない。

ただし、このバンド最大の特徴はそんなオーソドックスなテーマに反しているともいえる、前衛的なアレンジにこそある。ピアノとリズム隊がしっとりとしたラウンジーなムードを演出するなか、彼らに寄り添ってメロディーをなぞっていたサックスは徐々にそこから外れて狂いだし、エレキ・ギターはノイズを纏ってフリーキーなインプロヴィゼーションを延々と繰り返す。シックでスモーキー。けれど、アヴァンギャルド。まとわりつくサックスとギターをかきわけて立ち上がる「I'm Feeling Fine」のピアノ・ソロ、前曲の気怠いアンサンブルを受けて始まる「My Baby」の歌い出し。柔軟な発想と確かな技術が正統派の楽曲に陰影をもたらす。まさにトロントのシーンを象徴するような音楽だ。




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Impossible Spaces / Sandro Perri

Sandro Perri - voice, guitar, synth, drums, percussion 
Dan Gaucher - drums, percussion (tracks 1, 3, 4, 5) 
Mike Smith - bass (tracks 1, 3, 4, 5), string and horn arrangement (track 6) 
Blake Howard - drums (track 2) 
Ryan Driver - flute (tracks 3, 4, 5, 6) 
Marcus Quinn - bass clarinet (tracks 4, 5) 
Julia Collins - violin (track 6) 
Mike Olsen - cello (track 6) 
Jeremy Strachan - saxophones (track 6) 
John Jowett - euphonium (track 7) 
Brandon Valdivia - drums (track 7) 

トロント・インディの最重要人物、サンドロ・ペリ。Polmo PolpoやDOT WIGGIN、GLISSANDRO 70、Double Suicideといった自身のプロジェクトに加え、WoodpigeonやI am Robot and Proudといったミュージシャンのプロデュース/ミックス仕事も多数こなす才人だ。いずれも名作。しかし、このソロ名義での3作目(ライヴ盤『Sandro Perri and Friends - European Tour 2007』を除く)がベストだろう。僕は2011年の年間ベストで実質1位に選んだけれど、2000年代以降という括りでも、ジャネル・モネイやジェイムス・ブレイクのデビュー作と並んで最も好きな一枚だ。

タイトル通り、テーマを繰り返しながら、モーグ・シンセサイザーやエレキ・ギターのアンサンブルで少しずつ変化を加え、色鮮やかな世界を描いていく「Change」、ホーン・セクションや弦楽も交えながら10分以上に渡ってダイナミックなグルーヴをつくりだしていく「Wolfman」を筆頭に、カラフルなサイケ感覚とプログレ的な展開で飾り立てられた名曲だらけ。この緻密で大胆な展開力には、ペリも過去にカヴァーしたアーサー・ラッセルの音楽も思い起こす。ふたりは声質もよく似ている。

もうひとり、声質が似ているといえば、カエターノ・ヴェローゾ。音色豊かなシンセやライアン・ドライヴァーによるフルートを始め、曲が進むにつれて鮮やかさを増していく賑やかなアレンジは、かつてカエターノがけん引したトロピカリア期の音楽家たちのそれを思い起こさせる。ペリ自身の頭の中にあった、40年前のブラジルの若者たちによる極彩色文化のイメージを、さらにファンタジックに上塗りしてみせたといった印象で、そういった意味ではトロピカリズモへの愛着を隠さないデヴェンドラ・バンハートや、サイケな視点で中南米音楽に焦点をあてるエラド・ネグロなんかと比べてもいいかもしれない。ミルトン・ナシメント『Geraes』に後から色をつけたかのようなアルバム・カヴァーもクールだ。




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Guitar & Voice / Eric Chenaux

Eric Chenaux - Guitar, Voice
Mastered By Harris Newman
Mixed By Radwan Ghazi Moumneh (tracks: 1 to 5, 7 to 9), Sandro Perri (tracks: 6)
Producer Eric Chenaux, Radwan Ghazi Moumneh, Sandro Perri
Recorded By Radwan Ghazi Moumneh

サンドロ・ペリ、ライアン・ドライヴァーと並ぶ、トロントの中心人物のひとり、ギタリストのエリック・シェノーによる4枚目。『ギターと声』というタイトル通り(ジョアン・ジルベルトのアルバム名と同じというのは偶然?)、語りかけるようなジェントリーな歌声がパーソナルな雰囲気を醸している作品ではあるが、サイケデリックなエフェクトを施したルーズなエレキ・ギターと素朴に爪弾かれるアコースティック・ギター、そしてクラシカルなストリングスが巧みに重ねあわされた、幽玄で幻想的な音像は一方でとても豊かな広がりを感じさせる。




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Barchords / Bahamas

Afie Jurvanen - vocals, guitars
Jason Tait - drum set
Darcy Yates - fender bass
voices:
Carleigh Aikins (tracks 1)
Felicity Williams (tracks: 1)
Leslie Feist (tracks 9)
Robbie Lackritz - mix, production, engineer
 
ファイストやジェイソン・コレット(ブロークン・ソーシャル・シーン)などの作品でギターを弾いているアイフィ・ユルヴァネンのソロ・ユニット、バハマズの2枚目。ベースを弾いているのはサンドロ・ペリのGreat Lake Swimmers時代の同僚でもあるダーシー・イェイツ。また、ファイストや、ブルース・ペニンシュラのメンバーでもあるフェリシティ・ウィリアムスやもコーラスで参加している。繊細に重ねられたギターの層に淡く言葉を滲ませるバラードから、多様な音色のギターでダイナミックな展開をみせるオルタナ・カントリー調のロックまで、ギタリストのソロ作らしいヴァリエーション豊かなギター・ワークが魅力だが、コーラスの挿し方なんかも完璧。ソング・ライティングも非凡だ。




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Who's Breathing? / Ryan Driver

Ryan Driver: voice, nylon-string guitar, piano, synth, flute
Andrew Downing: bass
Stew Crookes: pedal steel
Justin Haynes: guitar, organ
Jean Martin: drums
Marco Cera: English horn
Rob Clutton: bass
Nick Fraser: drums
Martin Arnold: electric guitar

2010年リリース、ライアン・ドライヴァーによるソロ名義の2枚目。自ら弾くピアノを主体にしたジャジーなアンサンブルも、スウィートなヴォーカルも、ライアン・ドライヴァー・クインテットと遠く離れるものではないが、ペダル・スティールが印象的なカントリー調あり、AOR~ソウル調ありと、曲調はより多彩。


 

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Doug Tielli - voice, guitars, bajo sexto, charango, drums, percussion, bass, trombone, musical saw, banjo, feedback
Nick Fraser - drums on Riversea and Santia 
Cindy Carroll, Jennifer Castle, Aimee Dann Robinson, Josh Thorpe, John Tielli and Claudia Wittmann - voices on Yes I Am Lonely 
Jennifer Castle - voice on Deer 
 
ライアン・ドライヴァーらとともにThe Slitというバンドで活動しているダグ・ティエリによる2012年リリースのデビュー・ソロ・アルバム。多くのトロント・インディものの録音に参加しているマルチ奏者だが、ソロ作品ではアコギやバンジョーといったアコースティックな弦楽器を用いたフォークが中心。ジェニファー・キャッスルら多くのコーラスを伴った「Yes I Am Lonely 」が美しい。




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This Is How We Swim / Lisa Bozikovic

Piano/Wurlitzer/Guitar/Flute/Harmonies: Lisa Bozikovic 
Moog/Synth: Sandro Perri 
Drums/Percussion: Dan Gaucher (1,2,3,4,6,9) and James Bunton (5,7) 
Electric Bass: Mike Smith (1,4,6,9) and Sandro Perri (3) and Heather Kirby (5) 
Upright Bass: Tyler Belluz (1,2,10) 
Cello: Anissa Hart (5) and Erika Nielsen (9) 
Violin: Mika Posen (3,6) 
Clarinet: Gabe Levine (2) 
Harmonies: Felicity Williams (2)
 
トロントの女性シンガー・ソングライター、リサ・ボジコヴィッチ。ピアノ、ギター、フルート等々をこなすマルチ奏者でもある彼女は2009年に『Lost August』でデビュー。それ以後リリースはなかったが、2012年にミュージカル『Paper Laced With Gold』の音楽をベル&セバスチャンのスティーヴ・ジャクソンとともに担当すると、同年2枚目となる本作『This is How We Swim』をリリースした。

デビュー作も本作もプロデュースはサンドロ・ペリ。2009年のデビュー作はペリ色が薄めだったが(それでも「Take And Take」など、らしい曲もある)、この『This is How We Swim』では全開。『Impossible Spaces』でもサウンドの鍵となっていたモーグ・シンセサイザーが効いている「No Monument」を始め、サイケデリックな工夫やプログレ的な展開、オーケストレーションやコーラスを多用した広がりのある音像といったペリ風アイディアに満ちており、温かみのあるリサの楽曲の良さを残しつつも、幻想的なムードを演出していく。数あるペリのプロデュース・ワークのなかでもベストといえる一枚だ。

 

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I LOVE YOU, GO EASY / Devon Sproule

Devon Sproule - vocals, guitar, high-strung guitar 
Sandro Perri - synth, percussion, electric guitar, bass 
Doug Tielli - trombone, guitar, bass 
Marcus Quin - bass clarinet, bass, drums, percussion 
Ryan Driver - flute, synth, organ 
Paul Curreri - electric guitar, vocals 
Jeremy Strachan - saxophones, clarinet, flute on The Faulty Body 
Jay Hay - bass clarinet on The Faulty Body 
Mike Smith - upright bass on The Faulty Body and The Warning Bell 
Chris Cummings - wurlitzer on The Warning Bell 
Brian Caputo - drums and shaker on The Warning Bell 
 
やはりサンドロ・ペリがプロデュースするトロントの女性シンガーソングライター、デヴォン・スプロールによる6枚目。ペリはプロデュースのほか、ミックスも担当。またシンセやギター、ベースなどさまざまな楽器で全面参加している。

過去の作品はキュートな歌声をいかしたオーソドックスなフォークが多いのだが、ペリのほか、ライアン・ドライヴァーやダグ・ティエリらトロントの主要メンバーが集まったこのアルバムは意欲的な内容に仕上がっている。リッチなジャズ・アンサンブルの「The Faulty Body」や、サイケ風味のソウル・チューン「The Unmarked Animals」など、ホーン、ギター、シンセが複雑に絡み合う、色鮮やかなサウンドは繊細かつ大胆。いつものペリ節で、リサ・ボジコヴィッチにも劣らない素晴らしいプロデュースぶりだ。




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Colours / Devon Sproule & Mike O'Neill

sandro perri - production, synth 
thom gill - arrangement, vocals, guitars, rhodes 
dan fortin - upright and electric bass 
philippe melanson - drums, percussion 
doug tielli - trombone, euphonium, banjo 
ryan driver - synth 
robin dann - vocals 
mike o’neill - vocals, guitar, synth, percussion, marimba 
devon sproule - vocals, guitar
 
そのデヴォン・スプロールがカナダのインディ・ロック・バンド、The Inbredsのマイク・オニールとコラボした2013年作。やはりプロデュースはサンドロ・ペリで、演奏陣もトロントの主要メンツ。ペースとなっているのは60年代からオルタナまでのロックやフォーク。ペリのプロデュースは控えめではあるが、「The Fan」や「The Shallow End」での幻想的なムードの演出方法にらしさが出ている。




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Long Spun Thread / Gabe Levine *name your price

Gabe Levine (vocals, guitars)
Jesse Levine (organ, rhodes)
Mike Smith (bass, string arrangements)
Jessica Moore (banjo, vocals)
Sandro Perri (synths)
Jay Anderson (drums)
Brandon Valdivia (drums)
Julia Collins (violin)
Mika Posen (viola)
Nick Storring (cello)
Jeremy Strachan (flute and sax) 

サンドロ・ペリがプロデュース&シンセで参加する男性シンガー・ソングライター、ゲイブ・レヴィンによる2010年作。カントリー/フォークを下敷きにしつつも、直球のペリ節「Believe Me」を始め、ドリーミーなシンセ・ワークと洒落たストリングス・アレンジとが絶妙に同居するユニークな内容に仕上がっている。




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Gentleman of Leisure / Gentleman of Leisure

Mixed by Sandro Perri 
Mastered by Mike Kuehn 
Recorded at the Player's Lair 
Additional recording done at 6 Nassau by James Anderson 
and by Christopher Sandes at Chez Hades 
Written, performed and produced by Gentlemen of Leisure 
Maylee Todd: Co-lead vocal on track 2. Backups on tracks 1 & 2 
Felicity Williams: Backup vocals on tracks 2, 4, 5, & 6 
Lindsay Fitzsimmons: backup vocals on tracks 1, 3, 4, & 6 
Joseph Shabason: Sax on track 1 & 6
 
サンドロ・ペリがミックスを手掛ける、the Bicyclesのドリュー・スミスとSteamboatのマット・マクラレンによるソウル・デュオのデビュー・EP。60年代のシカゴ・ソウルや70年代スウィート・ソウルから80年代AORまで、グル―ヴィなソウル・ミュージックをR&B/ヒップホップの感性で解釈した瑞々しさが光る。メイリー・トッドとフェリシティ・ウィリアムスがコーラスで参加。




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Matchmakers Volume 2: The Music of Sade / The Reveries

The Reveries are
Eric Chenaux (electric guitar, harmonica, voice, mouth-speaker)
Ryan Driver (street-sweeper bristle bass, thumb-reeds, mouth-microphone, voice, mouth-speaker)
Doug Tielli (electric guitar, nose-flute, saw, voice, mouth-speaker)
Jean Martin (electric and acoustic drums).

エリック・シェノー、ライアン・ドライヴァー、ダグ・ティエリ、そしてやはりトロントのドラマー、ジョーン・マーティンによるバンドのカヴァー・シリーズ第二弾。第一弾ではウィリー・ネルソンを、今回はシャーデーを取り上げている。シャーデー感はほぼないが、ライアン・ドライヴァーやエリック・シェノーのゆるスウィートなファルセットとルーズでアヴァンギャルドな演奏が面白い。レーベルのサイトで数曲をDLできる。



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Eloïse Decazes / Eric Chenaux / Eloïse Decazes / Eric Chenaux
 
Eloise Decazes : vocals 
Eric Chenaux : guitars, melodicas.
 
エリック・シェノーとフランスの女性シンガー、エロイーズ・ドゥカズによるコラボ作品。エリック・シェノーのインスト2曲を除いて、シャンソンのトラディショナルやブリジット・フォンテーヌのカヴァーで、揺らめくギターに寄り添うような、エロイーズのアルト・ヴォイスが美しい。10インチ2枚組のみの販売だが、全曲bandcampで試聴できる。ミキシングはサンドロ・ペリ。




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The Ballads Project / L CON *name your price
The Ballads REIMAGINED / L CON *name your price

BAND - Andrew Collins (bass, baritone guitar, wurlitzer), Lisa Conway (voice, wurlitzer), Jordan Howard (guitar), Chris Sandes (organ and piano), Daniel Stadnicki (drums). 
STRINGS - Julia Collins (violin), Jaron Freeman-Fox (violin), Edwin Huizinga (violin), Randy Lee (violin), Rexan Onen-Lapointe (violin), John Young (violin), Greg Campbell (viola), Isaac Chalk (viola), Keith Hamm (viola), Allison Stewart (viola), Cory Latkovich (cello), Cheryl Ockrant (cello), Michael Spleit (cello), Tyler Belluz (bass). 
HORNS - Nicolas Buligan (trumpet, flugelhorn, tuba), Tom Richards (trombone). 
SINGERS - Mark Brown, Ryan Driver, Mary Wood. 

トロントの女性シンガー/サウンド・アーティスト、リサ・コンウェイによるソロ・プロジェクト、L CONによる2012年作とそのリメイク版。『The Ballad Project』は10人以上のオーケストラ+ホーン隊による重みのある優雅なチェンバー・ポップ作品だったが、リメイク版はエレクトロニックなアレンジと複雑なコーラス・ワークが特徴的なポップ・アルバムに。どちらも甲乙つけがたい充実作。ライアン・ドライヴァーもヴォーカルで参加している。


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トロントのインディ・シーンはアーティスト同士の活発な交流が特徴的だが、そのハブのような役割を果たしているのがこのブルース・ペニンシュラ。サンドロ・ペリ、エリック・シェノー、ライアン・ドライヴァー周辺の人脈と重なりつつ、それとは少しずれたコネクションの存在を教えてくれる。ジ・ウェザー・ステイションやイスラ・クレイグ、トム・ギルなど今回の30枚に挙げた人も多数在籍。大所帯ならではの迫力が魅力だが、個人的にはちょっとへヴィな志向や男くさいメイン・ヴォーカルが少々苦手だったりして敬遠気味。



 
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all of it was mine / The Weather Station

All Songs By Tamara Lindeman 
Produced By Daniel Romano 
Featuring Tamara Lindeman, Daniel Romano, Misha Bower 

Duets #1​-​3 / The Weather Station 

Duets #1 featuring Daniel Romano
Duets #2 featuring Baby Eagle
Duets #3 featuring Marine Dreams

左は昨年?一昨年?来日も果たした界隈一の美人シンガー・ソングライター、タマラ・リンデマンによるソロ・プロジェクト。衒いのないストレートなフォーク作品で、憂いのある歌声も併せ、初期のジョニ・ミッチェルを思い浮かべることもしばしば。右はそのジ・ウェザー・ステーション/タマラ・リンデマンによるデュエット・プロジェクト。第一弾にDaniel Romano、第二弾にBaby Eagle、第三弾にMarine Dreamsを迎え、生々しい録音の下、あたたかで親密なやりとりを聴かせてくれる。
 




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what was that / BERNICE 

All songs written by Robin Dann aka Bernice. 
Arranged and produced by Robin Dann, Thom Gill and Leon Taheny. 
Robin Dann (voice, etc) 
Thom Gill (synthesizers, guitars, percussion, sequencing, voice) 
Nico Dann (drums, percussion) 
Daniel Fortin (bass) 
Patric McGroarty (flugel horn) 
Steven Dann (viola) 
Janice Lindskoog (harp) 
Leon Taheny (secret keys) 
Colin Fisher (guitars) 
Christopher Willes (guitar, voice) 
Felicity Williams (voice) 
Alex Samaras (telephone voice) 
Madeleine Elton and Angus Ryer (telephone voices) 
Bob Willes (telephone hello's) 

トロントの女性シンガー・ソングライター、ロビン・ダンによるソロ・プロジェクトの4曲入りEP。ヴィジュアル・アーティストのSuzanne Dhaliwal/Sillybedとの共同名義で、収録曲4曲すべてに彼女による映像がつき、配信とともにDVDも販売している。 テーマは「"biophilia"(生物間の絆)をたたえ、人類と自然環境との共生を探る」。何だか難しそうだが、前作のアルバム・カヴァーも葉っぱがモチーフになっており、もともとそういう性格のプロジェクトなのだろう。サウンドの中心となっているのは、川のせせらぎや鳥のさえずりといったフィールド・レコーディングや環境音。それら自然の音に、そよ風のようなバーニスの透明感のある声が溶け込んでいく。フォーク、ジャズ、R&Bなどなど音楽性豊かなトロントのインディ・シーンにあっても、この作品はかなり独特な内容といえ、音楽的にはなかなか分類しにくいが、とても美しい一枚だ。




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Inner Classics / Snowblink

Daniela Gesundheit
Dan Goldman
co-produced by the band and Chris Stringer (Timber Timbre, Ohbijou)
mixed by Mark Lawson (Arcade Fire, Timber Timbre)
Guest players on the record include friends and past collaborators of the band Barbara Gruska (Jenny Lewis Band, The Belle Brigade), Ryan Driver (Sandro Perri), Thom Gill (Owen Pallett), Misha Bower (Bruce Peninsula), and Caley Monahon-Ward (Extra Life). 

カリフォルニア出身のダニエラ・ゲズンタイトとトロントのダン・ゴールドマンによる男女デュオの2枚目。本作はすべてゲズンタイト作曲。ヴィンテージなロック「Unsurfed Waves」やアジアンな雰囲気の「Safety Stories」など、トロントのほかのグループにはない曲調の幅と、ゴールドマンによるトロントらしい繊細なフォーク/チェンバー・ポップ・アレンジのバランスが魅力。ファイストにも似たゲズンタイトのキュートな声質をいかしたヴォーカル・ワークも美しい。




lp

Luxury Pond / Luxury Pond

Performed by
Dan Goldman - guitar and voice
Daniela Gesundheit - voice
Ryan Driver - analog synth
Joe Phillips - upright bass
Marc Duggan - percussion
St.Kitts String Quartet
Bethany Bergman - violin 1
Jenny Thomson - violin 2
Karen Moffatt - viola
John Marshman - cello

ダン・ゴールドマンによるソロ・プロジェクト、ラグジュリー・ポンド。スノウブリンクでの相棒ダニエラ・ゲズンタイトも全面参加。男性ヴォーカル版のスノウブリンクといった印象だが、よりクラシカルなチェンバー・ポップに仕上がっており、ささやくようなゴールドマンのヴォーカルをゆったりと包み込む優雅なストリングスが絶品。ライアン・ドライヴァーのアナログ・シンセも効いている。


Dear Shark from dan on Myspace.


Boulders from dan on Myspace.



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Find The Others / Find The Others

Daniela Gesundheit - BackingVocals
Jørn Andersen - Drums
Mark Duggan - Vibraphone, Percussion
Andy McNeill - Sonic Trimmings on Sons And Daughters
Produced by Dan Goldman and Find The Others 
Mixed by David Travers-Smith 
Mastered by Ron Skinner 
Design by Graydon Sheppard

ブロードキャスターとしての顔も持つトロントのAndy Sheppardによるソロ・プロジェクトの2011年作。プロデュースにダン・ゴールドマン、コーラスにダニエラ・ゲズンタイトと、スノウブリンクが揃って参加。彼らやスフィアン・スティーヴンスのようなチェンバー・ポップから、ザ・ブックスあたりを想起させるフォークトロニカまで、オーガニックな質感の柔らかで温かみのある良曲が並ぶ。
 



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BREATH / T H O M A S *FREE DL

A3 by tg + mike gatt 
B5 by kd lang 

felicity williams - voice on A1-4, B1, 5 
robin dann - voice on A2 
alex samaras - voice on A4 
christopher willes - flourishes on A2, B5, sop sax on A4 
josh cole - bass on B4 
mike gatt - synth and programming on A3 
matthew pencer - electribe on B5 
bram gielen - alesis on B5 
daniel pencer - flute on B5 
and the sampled voice of jeffrey gross on B4 

A1-4, B1, 4 recorded and mixed by tg at sheridonks 
B2 recorded to 4-track by tg at the snowblink lap of luxury 
B3 recorded at the real jerk dumpster by tg 
B5 recorded and mixed by jean martin at the farm

ブルース・ペニンシュラやオーウェン・パレットの作品に参加するギタリスト、トム・ギルによるシンガーとしてのデビュー作。同じトロントのドレイクやザ・ウィークエンドとの共通点も窺える歌モノだが、ゴスペルのような神聖なムードや、か細いファルセットは唯一無二。R&B、エレクトロニカ、AOR、ジャズ、ハウスなど、さまざまなシーンに顔を出すミュージシャンらしい引き出しの多さで、静謐としたダウンテンポなトラックのなかに幾層にもレイヤーを作りだすトラックメイキングもユニークだ。




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OG Melody EP / OG Melody

all songs by Isla Craig and Thom Gill, produced in Toronto, 2011. 
feat. Felicity Williams on "OG Realness"
 
そのトム・ギルと、女性シンガーのイスラ・クレイグによる歌モノ・デュオのデビューEP。トム・ギルのAOR経由のR&B趣味をベースに、エレクトロニックなアレンジをたっぷり施したサウンドは、T H O M A Sと比べるとだいぶポップだが、独特な間合いの空間使いがやはり不思議な聴感を残す。




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Isla Craig & the Continental Drift / Isla Craig & the Continental Drift

the Continental Drift are... 
Colin Fisher - Guitar
Brandon Valdivia - Drums
Mike Smith - Bass 
Engineered by James Anderson 
Mixed by Sandro Perri 
Mastered at Greymarket by Harris Newman

イスラ・クレイグ&コンチネンタル・ドラフトのデビュー・アルバム。ミックスを担当しているサンドロ・ペリのごとく延々と夢の中を漂っているような冒頭「Click Clack」を始め、ブルースやフォークを基調にしながら、ダブ・アレンジやアフリカン・コーラス、あるいはブルージーなギターなどによる気怠く広がる音像を生かしたジャム・セッション風の長尺曲が素晴らしい。




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Winter Bloom (Single Version) / Daniela Gesundheit, Dan Goldman, Juliana Neufeld

This thought-jam was made by Daniela Gesundheit - Voice Dan Goldman - Wurlitzer, Electronics, Vocal Arrangements, Production. Juliana Neufeld - Illustration.

Something Forward This Way Comes (Single Version) / Isla Craig, Thom Gill, Keith Jones

This thought-jam was made by Isla Craig - Vocals Thom Gill - Vocals, Synths, Sequencing Keith Jones - Illustration

カナダの若手ミュージシャンとイラストレーターのコラボレーションで物語を綴っていく"Songbook”プロジェクト、The Blotに、スノウブリンク、OGメロディーの男女デュオ2組が参加している。ダン・ゴールドマンのウーリツァーとダニエラ・ゲズンタイトの多重録音ヴォーカルで幻想的に聴かせるスノウブリンク、フュージョン風味のエレクトロニックな歌モノのOGメロディーと、それぞれのスタイルがよく出ている。




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F R U I T S / V.A.

トロントを拠点にしているレーベル、HEALING POWER RECORDSによる、おそらく女性アーティストを集めた2014年コンピレーションにイスラ・クレイグが参加している。クレイグ以外にも、ビョークからの影響が窺えるLido Pimientaやトロピカル&エクスペリメンタルなPetra Glynt、アンビエント/ドローンなNaomi HocuraやNew Chance、Finなど聴きごたえがある曲が多い。




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EPYLLION (LP) / LOOM

Written by Brooke Manning 
Produced with Thom Gill 
Recorded by Dale Morningstar at Gas Station Studios on Toronto Island 11/25/10 - 11/28/10 
Mixed and Mastered by Sandro Perri 
Cover Art by Brendan George Ko 
Album Insert Art by Brooke Manning 
Album Layout by Justin Ellsworth 
Album Musicians: 
Thomas Gill, Maya Postepski, Elaine Kelly, Dan Pencer 

トム・ギルがプロデュースするトロントの女性シンガー・ソングライター、ブルック・マニングによるソロ・プロジェクト。ベースとなっているのはフォークだが、チェンバー・ポップからスロウコア的なものまで、核を煙にまくような、暗くファジーなアレンジが面白い。ミックスとマスタリングはサンドロ・ペリ。
 



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of the waves / hobson's choice

voice and organ bass / / felicity williams 
trumpet, accordion, and voice / / rebecca hennessy 
vibraphone, marimba, wurlitzer, and organ bass / / michael davidson 
voice, banjo, acoustic and electric guitars / / harley card 
bass / / michael herring 
drums / / dan gaucher 
producer / / hobson's choice and jean martin 
engineers / / andrew collins and jean martin 
artwork / / jean martin and hobson's choice 

トロント・インディ・シーンのさまざまなプロジェクトにヴォーカル/コーラスで参加している“トロントの声”、フェリシティ・ウィリアムス。その声が十全にいかされた彼女のプロジェクトが、ホブソンズ・チョイスだ。バイオで、ジョニ・ミッチェル、ブルース・コバーンからパット・メセニー、チック・コリアを影響源に挙げているように、透明感のあるチェンバー/ジャズ感の強いフォーク・サウンドが美しい。最大の魅力はフェリシティのヴォーカル。ヴィブラフォン、マリンバのころころという優しい響きを始めとした、端正であたたかいアコースティック・アンサンブルにのって、ひらひらと可憐に舞い上がる美声には心を奪われる。オフィシャル・サイトには4曲入りのフリーEPも。




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Too Late Blues / Alex Lukashevsky, Felicity Williams, Daniela Gesundheit 

そのフェリシティ・ウィリアムスが、スノウブリンクのダニエラ・ゲズンタイトとともにメンバーを務めるアレックス・ルカシェフスキーのプロジェクト。ソロではかなり凝ったフォーク作品をリリースしているルカシェフスキーの楽曲を、シンプルなアレンジで再演。3人のヴォーカル・ワークで聴かせる。ルカシェフスキーの歌が個人的にはちょっと苦手なのだが、女性2人のコーラスはとても美しい。




 

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The Elwins and Friends Vol. 1 / The Elwins *name your price 

Thom Gill: Guitar, Vocals, Keyboard, Percussion, Bass 
Drew Smith: Guitar, Vocals, Bass, Drums, Percussion 
Travis Stokl: Guitar, Drums, Percussion, Vocals 
Feurd Ian Robertson Moore: Drums, Guitar, Percussion, Vocals 
Christopher Shannon: Guitar, Vocals, Bass 
Matthew Sweeney: Guitar, Bass, Keyboard, Vocals
 

トロントのロック・バンド、エルウィンズがDoctor Ewとトム・ギル(T H O M A S)をゲストに迎えたコラボ盤。エルウィンズはソウルやソフト・ロックをポップに消化した良いバンドで、ハイ・ラマズのような「Hats Off」やソフト・サイケな「Wrath Days」から、T H O M A Sがヴォーカルをとるソウル調の「You're Invited」や「Teddy Bear」まで、温かなメロディーが耳をひく佳曲ばかり。




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Blue Hibou / Blue Hibou

Blue Hibou is Kim Barlow - vocal, guitar, banjo 
Helene Beaulieu - voix, guitare, ukulele, banjo 
Micah Smith - bass, lapsteel, piano 

Additional musicians : 
Ryan Driver - piano, flute, piano, organ, Rhodes, melodica (tracks 2, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11 & 13) 
Blake Howard - drums, percussion (tracks 1, 4, 5, 6, 7, 8 &13) 
Martin Arnold - melodica (tracks 2, 4 &11) 
Brodie West - sax (track 7) 

Arrangements - Mike Smith (track 4, 6, 9, 10), Sandro Perri (track 7) 
Produced by Sandro Perri 

ベテラン女性シンガー・ソングライター、キム・バーロウを中心とした男女混成のトリオ、ブルー・ヒボウのデビュー・アルバム。サンドロ・ペリがプロデュース、ライアン・ドライヴァーもピアノやフルートなどで全面参加している。起伏の少ないフォーク曲が眠気を誘うが、ペリがアレンジした「Grow For Me」が絶品。全曲任せればよかったのに。なお、まだ発売前でストリーミングのみ。