いつも読書人 

《イツモ ドクショビト》 最近いっつも読書してる。 手にした作品の感想と、たまにすもも日記。

日本人のためのイスラム原論 / 小室直樹5

私の視点が欧米化してたことに気づかせてくれた1冊。

「テレビや新聞を通して一定の情報を得ただけの私たちにはわかりようもないことが沢山あるはずです。」By養老孟司さん。
もうひとつ「十六世紀のフランスの思想家、モンテーニュが語っていた゛常識゛とは、誰が考えてもそうでしょ、ということ。それが絶対的な真実かどうかはともかくとして、人間なら普通こうでしょ、ということ」と、常識という下地をしっかり理解させた上で「こっちの世界なら当たり前でも、向こうの世界ならそうじゃないことがある」とピシャリ。養老孟司さんの゛バカの壁゛から引用です。
客観的事実などを盲目的に信じてはいない。それが常識を知っているということ。主観を離れ、誰もがそうだと納得できるような立場から物事を見る゛客観的゛なんぞそう簡単に出来るもんじゃないな・・・と強く感じた。まして宗教ならなお更ということも。
事実このイスラム原論を読むまでは、こんなにも私が欧米かぶれしてるとは思わなかった。どっちも分かってるつもりで客観的な立ち位置(と思ってた)を取り、あーだこーだとぶってたことがあったかもしれない・・・と思うと恥ずかしく深く反省。
モンテーニュの言葉はこのイスラム原論でも使われ『暗殺者やテロリストが異常な精神の持ち主であるというのは、欧米の社会では常識である』私もこれを常識と思ってた。『だが、その常識はイスラムの社会には当てはまらない。むしろそれとは逆の評価が正常なのである』なぜなら・・・がこの本には詳しく載ってて、ガラリと視点を変えてくれました。
あと、私はてっきり無教養ゆえ蛮行に走るのかと思ってたら『彼らを無教養で粗野な人間だと決め付けては、その真実は理解不能となる』とここでもピシャリと叱られた。完全に私の欧米化された視点をガラリとひっくり返し、イスラム教という宗教の法の側に立って見ることも覚えました。

しかしなんですか、入門書から入りホップステップと少しずつ宗教の本を読んできたけれど、相対する宗教をひよっこだの猿同然だのと書かれた本との出会いにはさすがに面食らう。面くらいながらも、イスラムだけじゃなくて仏教やイラン革命、十字軍の歴史などあらゆる角度から繋げてくるのでとてもおもしろい。本の連鎖を生むにはもってこいな1冊でした。

日本人のためのイスラム原論
日本人のためのイスラム原論小室 直樹

集英社インターナショナル 2002-03-26
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日本人のための宗教原論―あなたを宗教はどう助けてくれるのか 日本人のための憲法原論 日本国民に告ぐ―誇りなき国家は、滅亡する 数学を使わない数学の講義 信長 ー近代日本の曙と資本主義の精神ー

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読書力 / 斉藤考4

何のために読書をするのか。

自分ではおよそ体験出来ない・・であろう(殺人や詐欺などなど)人物や堕落した人間を盗み見るような刺激を求めたり、素敵な間合いで笑いのツボを押されその作家をむさぼるように読んだり。ミステリで騙される快感やら派手なドンデン返しで悦に入ったりと、この手の内容はほとんど文庫本(娯楽本)かた得られるもの。著者の言うところの『精神の緊張を伴う読書』になるのかな。私が読書を始めた最初の頃は文庫一色でした。そして『文庫系と新書系をあえて分けるならば、文庫系の方が先に読書習慣に入ってくるのが自然だろう』とし、更に『文庫系をひと通りこなした後に新書系の読書が折り重なってくる』とはまさしく私の辿ってきた読書道とぴったり。みんなもそうなのだろうか・・・。たまたま私が合致したまでなのか。なぜか運命を感じたり。まあ、読書への入り口としては文庫から、とは私も思う。まずあのぶ厚さに怯まないことも大事かなと。
そして『日本には聖書のような唯一絶対の本、すなわち the book of books がないから、たくさんの本を読む必要があった』つまり『booksから価値観や倫理観を吸収する必要があった』とあり、これを読んで頭に浮かんだのが新渡戸稲造。ベルギーの法学博士から「宗教教育がない日本で何が道徳を教えているのか」と聞かれ、新渡戸稲造はヨーロッパの歴史、文学から多くの類例を引いて比較的宗教学的に書かれたのが「武士道」とあったのを思い出した。きっと稲造さんも沢山のbooksを手に入れ黙々と読書人になったんでしょう。しかし残念ながら「武士道」はまだ未読。なので以上の感想は想像ですがなんとなくリンクしてるような気がする。早く武士道を読まなければ!と、1冊読むと次に読みたくなる本が出てくるという『本は、本の連鎖を生む』ということも書かれてます。
著者は『本屋に行って自分の身銭を切って買え』と。『買うという行為に、決断や思いの深さも関わる』とのこと。うんうん。なるほど。ならばきっとブックオフでもいいと思うんです(笑)ちなみに私はブックオフでゲット。
もっともっと本を読みたくなることが書かれた本です。これからの人も、現在読書人にもお薦め。

読書力 (岩波新書)
読書力 (岩波新書)斎藤 孝

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打ちのめされるようなすごい本 / 米原万里5

米原さんの書評集。何を読もうか迷ってる方に。

これはもう永久保存版。1995年から2006年の全書評を集めた1冊。2006年では闘病中にも関わらず黙々と癌に関わる本を読破している姿は壮絶です。内部はふたつに分かれてて、第1部が『私の読書日記』で、第2部は各誌に連載した10年間延べ140編の書評が収録されてます。
文庫を購入したんですが結構ぶ厚い。興味で測ってみたら2センチ超えとる!この2センチ強のぶ厚い文庫の中身は正に本の宝庫のよう。ロシアに関わる作品は勿論のこと、日本史・世界史・現代史、文学もエンタメ小説もミステリも脳もアリも医学もペットも何でもござれ。特に多く載ってるのがやはりロシア関連で、その他戦争やテロ、民族や人物の本などが多く、過去に読んだ本も引っ張りだして比較し批判したりととにかく私にとって未知な世界には親切な内容。固い内容ばかりじゃ疲れるのか、本の悪口を書いた書物を読み爆笑してる米原さんにつられてこちらも笑うほどのユーモアもあり。読みたい本がどんどん増えてしまい時間とお金が足りない・・・と幸せな悩みを増やしてしまった。
それにしても悔しい。向田邦子さんの『阿修羅の如く』の現代版も読みたかったし、『打ちのめされるようなすごい本 パート2』なるものも読みたかった。今じゃどんな社会批判を披露してくれてたでしょうか、毒舌も恋しくなります。もし天国に図書館があるなら仕事に追われることなく、闘病に苦しむこともなく、思う存分大好きな読書をしていただいて是非パート2をお願いしたいです・・・ホントに悔しい。

打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)米原 万里

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父の詫び状 / 向田邦子5

魅せられます。

なんて素敵な文章なんでしょう。前回読んだ『阿修羅の如く』では脚本とされた内容だったのでそんなに文章というものに目が行かなかったのですが、本書はエッセイで一節一節から向田さんの人柄と文章の綺麗さをモロに感じることが出来ました。こういった本を手にすれば自ずと読書へのハードルが上がるもんです。向上します。読書への姿勢も変わります。向田さん曰く『何様でもない平凡な1家族の、とりとめない話』がこんなに笑えて切なくも書けるのかと驚きです。航空機事故でお亡くなりなった事を頭の片隅で意識しつつ読んだせいか、なぜか文中に度々出てくる飛行機搭乗へのユーモアを交えた内容に胸が痛くなってしまいました。その他ところどころに死への思いが散りばめられてるような、でもそれは意識的なのか無意識なのは私には判断がつかないのですが、そんなひんやりとしたところも記憶に残る作品でした。文中で語られる向田さんの両親は、老いて行く自分の両親に重なったりもして、何度も『電話しようかなぁ』って思いました。まあ比較的よく会ってるので結局電話しませんでしたが、でもそんな温かい気持ちにもさせてくれました。ストーリーが飛躍して書かれたエッセイ。今の時代では意表をつくこんな構成も職人技に見えてきて本当に魅せられる1冊。

父の詫び状 <新装版> (文春文庫)
父の詫び状 <新装版> (文春文庫)向田 邦子

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バチカン ローマ法王庁は、いま / 郷富佐子4

ローマ特派員が書くカトリック総本山の現在。(といっても2007年版)

ユダヤ教やイスラム教の本に食指は動く。でもキリスト教に関して興味薄な理由は何なんだろう。塩野七海さんの作品をもっともっと愉しく読む方法として、やはりもう少し私自身の関心をイタリアへ(となれば自然とカトリックへ)向ける努力をすべきであろうなぁ。と、そう思いこの本を最初の1歩にしたけれど、イタリアへキリストへの選択は当たりかもだけどちょっと、いやあまりにも現代に近すぎた。まあでも関心を示した確信はあったので。まず全ローマ法王のヨハネ・パウロ2世の持つカリスマ性。455年ぶり(す・・・すごい歴史だ)の非イタリア人ローマ法王でした。第二次世界大戦期に青年時代を過ごし、ユダヤ人の友人たちが弾圧されたのを目の当たりにしたヨハネ・パウロ2世の祖国は・・そうです。あのポーランド。先日【ポーランドのユダヤ】人を読んだばかりだったので、微々たる知識ですがその国の背景を浮かび上がらせることが出来ました。あと同性愛者や避妊等による肯定と否定に関して。宗教=保守のイメージがかなり強かったので、本書で『リベラルで敬虔なカトリック信者』が存在し、バチカンによる露骨なロビー団体なのでリベラル派に圧力をかけ法律をも左右する動きがあるということに興味がわきました。本書は2007年の作品なので現在がどうなってるのかおいてけぼりな私ではありますが、現ローマ法王べネディクド16世もヨハネ・パウロ2世同様に超保守的なドイツ人法王とのこと。うーん、なんか親子丼を例えに出すのも如何かなものかと思いながらもの意見ですが、『親子丼は好きだけど鶏肉がダメだぁ・・』みたい感じで、救済宗教とし(一例として)自己の弱さ恐れなどを軟化してくれる1つの手段とも思えるし、規律を守ることを厭わない私にとって総体的に嫌いではないんですが、その枠の中にコレがあるのはちょっとなぁ・・・と。しかしそんな私には困った時の神頼み程度で止めておけば済む話ですが、敬虔な信者には鶏肉を避けることも出来ず苦しい問題もありましょう。私が生きている間に劇的な変化が訪れたりするんでしょうか・・・。

バチカン―ローマ法王庁は、いま (岩波新書)
バチカン―ローマ法王庁は、いま (岩波新書)郷 富佐子

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イランはこれからどうなるのか 「イスラム大国」の真実 / 春日孝之5

イメージや固定観念の裏切りに出会えることは無上の快感である。
(文中より)

まずはじめにイランに関してまったく無知な私でした。
帯に『池上彰さん、推薦』と書いてあったので購入。以前読んだ本で、イランは゛アラブ゛ではなくペルシャ人中心の国家、と知った時、イスラム圏の中東でアラブじゃない!?そんなことあり得るのか・・と関心を持ち始め、あとシーア派もちょっと齧りたい、というのが読もうとした動機。内容は非常におもしろく、更に興味深い国(現時点では親しみを込めて)イランとなりました。やはり日本のメディアで流されてる声だけではなく現地にいる人の声は聞くべき(読むべき)だと思いました。まず最初に浮かんだのは、なぜアメリカがこんなにもイランを適視するのか・・ということ。現在国際的に問題となってるのはイランの核問題。この核開発はイラン事情によると主にエネルギー安全保障の観点であって、核兵器開発ではないとのこと。その他さまざまな理由も書かれてあり、イランの核開発は脅威に値する物ではないとの主張も納得。しかし米欧は核エネルギー開発を隠れ蓑に核兵器を開発しているのではないかと疑っている。そして実際に秘密各施設なるものも発覚し、ウラン濃縮活動を続けているのでは・・・と証拠を突きつけられては読んでる側も疑わざる得ない。でも本書を読むとイラン曰くに納得出来る点が多々あって、そんなにアメリカがキャンキャン喚くほど脅威に感じることしてるかな?が読後の印象でした。アメリカにとって懸念となる問題を抱えた相手国が「親米」になり、それが目に余るほど表面化してくれないと(民主化もそう)徹底的に弾圧する国なんでしょうか。
ある本に載ってたのですが、【例えばアメリカによって民主化された国で、そこの国民が親米的主義勢力ではなくて反米的な勢力に多くの議席を与え、彼らが政権を握ったならどうなるのか。おそらく米国はそれを「民主的」政府とは認めず、今度は反体制勢力に肩入れし政権を揺さぶるであろう】を読んで「民主的じゃない・・・」と驚きでした。これには全然気づかなかった。色々と探しあてて読んでみると実際あるようで・・・。この揺さぶりをかける行為はイランでもあり、イランがアメリカを信用出来ない一因になってるようでした。
池上さん推薦とあってとても読みやすかったです。核などシリアスな問題を扱ってるのになぜか笑いがこぼれ、イランの国自体がなんかハッタリというかやんちゃ坊主というか、そんなイメージで読み進めていくと最後のおわりにの章で『イランはツッパリ少年のようなものだ』と著者は締めくくってました。通りで心底憎めないはずだ・・と思った1冊です。核問題だけではなくイランを理解する入り口になる事が沢山書かれてたお薦めの1冊でした。

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