いつも読書人 

《イツモ ドクショビト》 最近いっつも読書してる。 手にした作品の感想と、たまにすもも日記。

ポーランドのユダヤ人(歴史・文化・ホロコースト) / フェリクス・ティフ編著5

総じてアシュケナジーム編です。

先日図書館で借りた本が全て歴史に集中してしまい、そうなると自然とブログの内容も歴史色が濃くなってしまうわけで。もっとバラエティに富んだセレクトが出来ないもんかといつも思うんですが、歴史書などは買うとなると高値なので、どぉしても図書館に行くと偏ってしまうんですよねぇ。というわけで今回もヨーロッパ編。特にここ最近では貪欲に知識を吸収しつつあるユダヤ人のおはなし。その中でもポーランドのユダヤ人限定で読んでみました。アシュケナジームです。
意外に読んでる方が少ないようで、検索してもなかなか引っかからない。もっと沢山の人に読まれてもいい本だと思います。ポーランドに限られた話だからといって侮るなかれ。むしろこの本からユダヤを知る第1歩にしてもいいんじゃないかと思いました。今まではシオニスト側や日本著作の中立な記述で読んでた作品が多く、いつの時代に何処で何が起き、第一波が○○万人。第二波が○○万人、といった漠然とした形でしかユダヤ人の動きが分からなかった。でもこの本では中・東部ヨーロッパに居住するユダヤ人に何が起きて、どのような動きがあったのかが日記や手記を通じて詳しく書かれてました。
簡潔な所もあるけれど、今まで読んできて得た知識に更に的確な言葉でもって曖昧だった部分も埋めて教えられました。
この本で沢山学ぶことが出来たのですが、特大きく関心を持ったのがイスラエル建国に際して東ヨーロッパ諸国で激しく起こった反イスラエル・キャンペーン。このアラブ・イスラエル戦争が起こるまでは戦後平穏だったポーランド・ユダヤ人にまた逆風が吹き始め、軍、経済界、文化、科学、メディアとあらゆる分野でのユダヤ人狩りが始まったこと。この際の雰囲気は1930年代にヒトラーが推進したユダヤ人迫害に似ていて、職や住居を奪われたユダヤ人、結果的にはまた国外移住をするはめに・・・。どちらかといえばシオニスト運動側を多く読んでいた私には大きなショックでした。視点を変えると様々な予期しなかったことが見えてくるんですね。そしてずっと引っかかってることがあって【統計上では今日のポーランドは、テレビか映画でしかユダヤ人を見ないことになります】と書かれてたこと。絶滅じゃないっすか(驚)
私自身も本やテレビでしか情報を得られないので、事実かどうか知りたいもんです。いや、別に疑ってるわけじゃないんですがあまりにも・・・
しかし21世紀はじめからユダヤ的なものが消え去ってることに関して、旧世代が無視して空白となった(戦時中の苦く苦しい経験には蓋をしたくなる気持ちは分かります)ポーランド人歴史意識の欠落を埋め合わせようと若い世代にユダヤ史、ユダヤ文化(博物館)などの活動が広まってるようです。とても前向きで感動します。

あるテレビ局でも放送していた「もうひとりのシンドラーを探して」と題してワルシャワ・ゲットーの子供たち2500人を救った女性イレーナ・センドラーさん、その他今まで読んできたユダヤに関する本に沢山リンクする所がありました。
どの過程でもいいので1度は通読することお薦めの1冊だと思います。

ポーランドのユダヤ人―歴史・文化・ホロコースト
ポーランドのユダヤ人―歴史・文化・ホロコーストフェリクス ティフ Feliks Tych

みすず書房 2006-07
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ヒトラーを支持したドイツ国民 / ロバート・ジェラテリー4

独裁者ヒトラーに、なぜ国民の支持が集まったのか。

確か今年の猛烈に暑い夏の午後、友人との待ち合わせでちょっと早く到着していまい、待ち合わせのカフェの向かい側に本屋があったので入ってみた。そこで手にしたのが【ヒトラーの経済政策】という新書でした。しばらくカフェで読んだんですが、これが意外な内容でなかなか面白かった。まず私のずっと温めてきたドイツへのしょぼい認識は「ヒトラーは独裁者でナチス政権というのは凶暴だったんだろう・・・そんな政権の下で生活するドイツ国民はさぞ難儀だったんだろう・・・」というもの。しかしなんでそんな凶悪な政権が成り立つのか不思議でならなかったのですが、ここ最近ちょっとですがドイツについて読んでみて納得したのがこの2冊でした。第一次世界大戦で国力を使い果たし賠償金まみれのドイツ。世界恐慌へ襲われ国はボロボロ。ヒトラーが政権を取るや否や経済は見る間に回復し、失業問題や福祉活動、労働環境に手を尽くしドイツ国民に愛される政策を行っていたという事。この辺のことは新書の【ヒトラーの経済政策】にザッと載ってる内容で、もっと詳しくと思い図書館で借りたのが【ヒトラーを支持したドイツ国民】です。さすがに5200円は高いので借りたのですが、やはり詳しく載ってます。納得の5200円。
過去の映画や特集などで、どういった集団心理現象が起こって独裁制が成り立つのかといったものを見たことがありました。この本からもそんな雰囲気が漂ってきますが、まず何といってもナチスの宣伝のうまさ。(やはり催眠術とかではないんですって)政府は非社会的分子は善良な市民に迷惑が掛かるとし、働かない怠け者、乞食、あらゆる犯罪者、売春婦、ゲイ、は拘束し収容所に入れる。この迫害を受けるいわゆる社会的アウトサイダーの身分をさらに極端に扱うには善良な市民に訴えかけ、その賛成を勝ち取るためのナチの計画と宣伝の巧みさ。このナチの政策にドイツ市民が支持するか、あるいは大目にみてくれる程度の政治的計算とイデオロギー的信念とを結びつけて実施されたナチ政権。このイデオロギー的信念にはのちにだんだん大胆になってくるユダヤ人迫害も含まれてますが、しかしここにはひとつの結論が出されていました。それは反ユダヤ主義は最初から国民に浸透していたのではなく、戦争投入が契機になったと。
市民を巧く懐柔(使い方が悪いか・・)しつつ本当の目的へ向かって独裁国家を築くヒトラー。収容所と警察を美化する世論捜査が続くのですが、ここで意外に思ったのが絶えず市民の声や目、耳を気にしつつヒトラーが動いていたということ。(独裁者って市民の声は無視するものと思ってました)ドイツ市民のいる真横には着々と収容所が増え続け、処分の様子は日常的に見ていたという事。さまざまな資料(当時の調書や新聞記事、手紙など)を基に書かれた本で、読む側に偏った判断を付けさせる、そういった不快感はまったくありませんでした。関連書としてとても気持ちのバランスを保って読める作品です。しかしぶ厚かった。。。

ヒトラーを支持したドイツ国民
ヒトラーを支持したドイツ国民ロバート・ジェラテリー 根岸 隆夫

おすすめ平均
stars多数派と少数派
stars日本を映す鏡として
stars「ドイツ国民は騙された」のではない実態
stars本当の目的は・・・・?

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ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)
ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)武田 知弘

おすすめ平均
starsどうも思い込みが多い
stars読みやすい
stars歴史から学ぶということがよくわかる本
stars世界で唯一の理想的な政策
stars近年の否定的な研究成果を無視しているのでは?

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小暮荘物語 / 三浦しをん4

小暮荘に住む人間ドラマ(フツーじゃないけどフツーに起こってそぉ)

久々にしをんさんの本。もともと買う予定では無かったのですが(ごめんなさい)本屋にラス1のサイン本。嗚呼・・ラス1には弱いだなぁ。ガッと掴んで即購入。
意外や意外な内容で、私はてっきり゛ほんわかほっこり系゛だと思ったのですが、これが全てモニャモニャ(この辺は読んでください)な内容を絡めてむしろ人間臭さ汗臭さが充満してたのにはちょっと驚き。世の中には色んなモニャモニャでいっぱいなんだなぁ・・・と。まして舞台が東京ならフツーじゃないけどフツーに起こってそうな物語。一見どうみても変態なんだけど、一部始終を知って深入りしてしまうとやはり「情」という厄介なものが出てしまい、例え変態でも頼もしい人物(まずありえないけど)に見えてきてしまう不思議な作品でもありました。全体的に先の展開がまったくよめず面白かったです。そして小暮荘に住むひとりひとりにドラマがあり、リンクされて心地よいつながりがあるところもいいです。でも私はここに住みたくはないなぁ。安普譜の大変さは経験済みなんで。。。

しをんさんの作品は爽やかな作品しか読んだことがなかったので、今回は「こういうドラマも書くんだ」といったしをんさんの違う一面が伺えました。そして面白さは相変わらずおもしろい。

木暮荘物語
木暮荘物語三浦しをん

祥伝社 2010-10-29
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告白 / 町田康5

河内弁で猛烈に面白く、そして切ない熊五郎の一生。

ずっとずーっと気になってた本。やっと読めた。最初ブックオフで探して無くて近所の本屋にも無くて、無い無いづくしだとやたら読みたくなるもんで。こうなったら絶対に読みたい!ってなってふらりといつもの図書館に立ち寄ったら発見。もぉーこの嬉しさといったら・・もぉ。
感想は大満足。はじめて町田さんの作品を読んだけどもう最高。途中まで読んで、あまりの面白さにこの本に関する色々な事が知りたくなり調べてみた。そしたら明治26年に大阪府南東部の金剛山麓の赤坂水分村で起こった殺人事件。俗に言う【河内十人斬り】がモデルとなってるようで。でも私は無理に事実と平行する感覚では読まないで、終始フィクションとして読んだから世間体云々関係なくして「殺ってまえ殺ってまえ!!」と思い切り熊五郎に加勢できた。なぜならこの本はこうして読まないと゛きれいごと゛が邪魔をして十分に愉しめないと思ったから。そして世の中の偏屈だったり横柄な人に出会うたびイライラしていた今日この頃が熊五郎の「ぶっ殺す」によって救われた気分。
会話が河内弁で特徴のある文章。これってもしかしたら好き嫌いはっきり別れる作品なのかなぁって思ってみたり。ちなみに私がこの本を読もう!と思ったきっかけはアマゾンでの評価と「なか見検索」。最初のページの「あかんではないか」の一節で、「これ好きかも・・」と一目惚れの1冊。
熊五郎が言った忘れられないセリフがあって、「獅子舞に銭ぐらいやれっ、ど阿呆」と怒鳴るところ。
え?そっち!?ってセリフはほんとたまらん。

告白
告白おすすめ平均
stars「文筆の荒法師」が描く怒涛の840ページ!朝日新聞 ゼロ年代の50冊第3位
stars本当の本当の心の中
stars文学っぽい文学
stars河内弁のリズムは大量殺戮にはぴったりだ。
starsこれまで文章化できなかった思考世界

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なるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエル / 高橋和夫5

2010年度版パレスチナとイスラエルの解説書

久々に中東問題を読んでみた。高橋和夫さんの本は「アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図」と本書で2冊目。最初に読んだアラブと〜がとても分かりやすかったし、前回から随分と時間も経ち忘れてしまった部分もあり、また200ページほどで゛まとめ゛的な構成と最近の動き(2010年10月出版)も分かるので早速購入。私の期待以上に最近のイスラエルとパレスチナの関係も分かったし、その近隣諸国との関係も書かれてて、なによりも中東を知っていく上でキーワードとなる言葉の説明がとても丁寧なのが嬉しいです。
特に興味深い章が第3章。ノルウェーとイスラエル・パレスチナの関係で、このノルウェーの面積は神奈川県の横浜市と川崎市の人口だけが日本列島に散らばって生活していると考えればとのことで、とても小さな国なのが分かる。そんなノルウェーのありとあらゆる水準の高さと、平和を求めるのならば自らその問題に取り組んでいくという国の姿勢に感動しました。ノルウェーかっこいいです。本書にも書かれてますが、本当に学ぶべきことが多い国です。ノルウェーに関心を持った章でもありました。
あと第4章のロビー団体について。2008年に発足したばかりのJストリートという組織。なにやらB系っぽいなぁというのが最初の印象でしたが、これはイスラエル支持をうたいながらもイスラエルの姿勢に批判的な組織で、オバマ政権と意を共にし中東政策に取り組んでいる組織のようです。この辺りの情報も私にとって新しかったのでとても嬉しい内容でした。
その他にも記憶しておきたいところとして《ユダヤ人がユダヤ人としてのアイデンティティーを保持しながら、自らの才能を1番開花させている社会は、実はイスラエルではなく、アメリカであるとの議論も・・》の件は本書に書かれた現在のイスラエルの動向やロビー団体(Jストリート)などを読めば納得の内容でもあって、この辺りは2010年度版として以前よりもかなり進化した部分だなぁと思ってみたりしました。

先日高橋和夫さんのブログ「高橋和夫の国際政治ブログ」を発見し嬉々としている私です。とても参考になるし、高橋さんのユーモアも好きです。やはり中東問題の第一歩には高橋さんや、ガミさんこと(我が家ではガミさんと言ってます)池上彰さんの本をオススメですね。

なるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエルなるほどそうだったのか!!パレスチナとイスラエル
高橋 和夫

幻冬舎 2010-10
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アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図 (講談社現代新書)
アラブとイスラエル パレスチナ問題の構図 (講談社現代新書)高橋 和夫

おすすめ平均
starsスペインにおけるアラブとイスラエル
stars予備知識なくても、わかりやすい!
stars平易な言葉で読みやすい
stars絶賛
starsこれはいい。

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孤宿の人 / 宮部みゆき4

技ありな時代小説。

巧い!小説におばけや悪霊の類が出てくるとげんなりする性質なんですが、この本は舞台となってる時代と場所、そして水面下で蠢く藩の秘策などが人びとの心理に影響を及ぼして、とても巧く゛悪霊゛を物語に生かしてる。そして頑なな人物の閉ざされた心と無垢な少女との、感動を与えるには鉄則とも思えるこの交流の仕方。素晴らしい。久々にうるうるって来た作品でした。もしかしたら現代を舞台にした作品よりも、時代小説を描く宮部さんの方が肌に合うのかも。それにしてもこの本の死亡率の高さに思わず「嗚呼、やっぱ宮部さん容赦ないなぁ・・・」と。。。でも嫌いじゃない。むしろこの残酷さがこの本の重みを足してる感じもする。長いお話ですが個性ある人物が多く、自然界の描写やパニックに陥り右往左往しながらも活躍する様などは魅了され飽きさせない1冊。巧いなぁ。

孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)
孤宿の人〈上〉 (新潮文庫)宮部 みゆき

おすすめ平均
stars「ほう」から「方」へ、そして「宝」へ
stars得意分野で本領発揮!
stars素直に、感動しました。
stars弧宿の人
stars円熟の技

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孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)
孤宿の人〈下〉 (新潮文庫)宮部 みゆき

おすすめ平均
stars鬼は退治?
stars涙が止まりませんでした
stars物足りない
stars久しぶりに活字に泣かされました。
stars和製キング

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