独裁者ヒトラーに、なぜ国民の支持が集まったのか。

確か今年の猛烈に暑い夏の午後、友人との待ち合わせでちょっと早く到着していまい、待ち合わせのカフェの向かい側に本屋があったので入ってみた。そこで手にしたのが【ヒトラーの経済政策】という新書でした。しばらくカフェで読んだんですが、これが意外な内容でなかなか面白かった。まず私のずっと温めてきたドイツへのしょぼい認識は「ヒトラーは独裁者でナチス政権というのは凶暴だったんだろう・・・そんな政権の下で生活するドイツ国民はさぞ難儀だったんだろう・・・」というもの。しかしなんでそんな凶悪な政権が成り立つのか不思議でならなかったのですが、ここ最近ちょっとですがドイツについて読んでみて納得したのがこの2冊でした。第一次世界大戦で国力を使い果たし賠償金まみれのドイツ。世界恐慌へ襲われ国はボロボロ。ヒトラーが政権を取るや否や経済は見る間に回復し、失業問題や福祉活動、労働環境に手を尽くしドイツ国民に愛される政策を行っていたという事。この辺のことは新書の【ヒトラーの経済政策】にザッと載ってる内容で、もっと詳しくと思い図書館で借りたのが【ヒトラーを支持したドイツ国民】です。さすがに5200円は高いので借りたのですが、やはり詳しく載ってます。納得の5200円。
過去の映画や特集などで、どういった集団心理現象が起こって独裁制が成り立つのかといったものを見たことがありました。この本からもそんな雰囲気が漂ってきますが、まず何といってもナチスの宣伝のうまさ。(やはり催眠術とかではないんですって)政府は非社会的分子は善良な市民に迷惑が掛かるとし、働かない怠け者、乞食、あらゆる犯罪者、売春婦、ゲイ、は拘束し収容所に入れる。この迫害を受けるいわゆる社会的アウトサイダーの身分をさらに極端に扱うには善良な市民に訴えかけ、その賛成を勝ち取るためのナチの計画と宣伝の巧みさ。このナチの政策にドイツ市民が支持するか、あるいは大目にみてくれる程度の政治的計算とイデオロギー的信念とを結びつけて実施されたナチ政権。このイデオロギー的信念にはのちにだんだん大胆になってくるユダヤ人迫害も含まれてますが、しかしここにはひとつの結論が出されていました。それは反ユダヤ主義は最初から国民に浸透していたのではなく、戦争投入が契機になったと。
市民を巧く懐柔(使い方が悪いか・・)しつつ本当の目的へ向かって独裁国家を築くヒトラー。収容所と警察を美化する世論捜査が続くのですが、ここで意外に思ったのが絶えず市民の声や目、耳を気にしつつヒトラーが動いていたということ。(独裁者って市民の声は無視するものと思ってました)ドイツ市民のいる真横には着々と収容所が増え続け、処分の様子は日常的に見ていたという事。さまざまな資料(当時の調書や新聞記事、手紙など)を基に書かれた本で、読む側に偏った判断を付けさせる、そういった不快感はまったくありませんでした。関連書としてとても気持ちのバランスを保って読める作品です。しかしぶ厚かった。。。

ヒトラーを支持したドイツ国民
ヒトラーを支持したドイツ国民ロバート・ジェラテリー 根岸 隆夫

おすすめ平均
stars多数派と少数派
stars日本を映す鏡として
stars「ドイツ国民は騙された」のではない実態
stars本当の目的は・・・・?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)
ヒトラーの経済政策-世界恐慌からの奇跡的な復興 (祥伝社新書151)武田 知弘

おすすめ平均
starsどうも思い込みが多い
stars読みやすい
stars歴史から学ぶということがよくわかる本
stars世界で唯一の理想的な政策
stars近年の否定的な研究成果を無視しているのでは?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ランキングに参加しています。クリックしていただけると
↓励みにもなります↓
にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ 人気ブログランキングへ         ブログパーツ