魅せられます。

なんて素敵な文章なんでしょう。前回読んだ『阿修羅の如く』では脚本とされた内容だったのでそんなに文章というものに目が行かなかったのですが、本書はエッセイで一節一節から向田さんの人柄と文章の綺麗さをモロに感じることが出来ました。こういった本を手にすれば自ずと読書へのハードルが上がるもんです。向上します。読書への姿勢も変わります。向田さん曰く『何様でもない平凡な1家族の、とりとめない話』がこんなに笑えて切なくも書けるのかと驚きです。航空機事故でお亡くなりなった事を頭の片隅で意識しつつ読んだせいか、なぜか文中に度々出てくる飛行機搭乗へのユーモアを交えた内容に胸が痛くなってしまいました。その他ところどころに死への思いが散りばめられてるような、でもそれは意識的なのか無意識なのは私には判断がつかないのですが、そんなひんやりとしたところも記憶に残る作品でした。文中で語られる向田さんの両親は、老いて行く自分の両親に重なったりもして、何度も『電話しようかなぁ』って思いました。まあ比較的よく会ってるので結局電話しませんでしたが、でもそんな温かい気持ちにもさせてくれました。ストーリーが飛躍して書かれたエッセイ。今の時代では意表をつくこんな構成も職人技に見えてきて本当に魅せられる1冊。

父の詫び状 <新装版> (文春文庫)
父の詫び状 <新装版> (文春文庫)向田 邦子

文藝春秋 2005-08-03
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