何のために読書をするのか。
自分ではおよそ体験出来ない・・であろう(殺人や詐欺などなど)人物や堕落した人間を盗み見るような刺激を求めたり、素敵な間合いで笑いのツボを押されその作家をむさぼるように読んだり。ミステリで騙される快感やら派手なドンデン返しで悦に入ったりと、この手の内容はほとんど文庫本(娯楽本)かた得られるもの。著者の言うところの『精神の緊張を伴う読書』になるのかな。私が読書を始めた最初の頃は文庫一色でした。そして『文庫系と新書系をあえて分けるならば、文庫系の方が先に読書習慣に入ってくるのが自然だろう』とし、更に『文庫系をひと通りこなした後に新書系の読書が折り重なってくる』とはまさしく私の辿ってきた読書道とぴったり。みんなもそうなのだろうか・・・。たまたま私が合致したまでなのか。なぜか運命を感じたり。まあ、読書への入り口としては文庫から、とは私も思う。まずあのぶ厚さに怯まないことも大事かなと。
そして『日本には聖書のような唯一絶対の本、すなわち the book of books がないから、たくさんの本を読む必要があった』つまり『booksから価値観や倫理観を吸収する必要があった』とあり、これを読んで頭に浮かんだのが新渡戸稲造。ベルギーの法学博士から「宗教教育がない日本で何が道徳を教えているのか」と聞かれ、新渡戸稲造はヨーロッパの歴史、文学から多くの類例を引いて比較的宗教学的に書かれたのが「武士道」とあったのを思い出した。きっと稲造さんも沢山のbooksを手に入れ黙々と読書人になったんでしょう。しかし残念ながら「武士道」はまだ未読。なので以上の感想は想像ですがなんとなくリンクしてるような気がする。早く武士道を読まなければ!と、1冊読むと次に読みたくなる本が出てくるという『本は、本の連鎖を生む』ということも書かれてます。
著者は『本屋に行って自分の身銭を切って買え』と。『買うという行為に、決断や思いの深さも関わる』とのこと。うんうん。なるほど。ならばきっとブックオフでもいいと思うんです(笑)ちなみに私はブックオフでゲット。
もっともっと本を読みたくなることが書かれた本です。これからの人も、現在読書人にもお薦め。
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僕の場合は本を読み始めた頃、自分が何を好きなのかさえ分からなくてそんな中で気軽に買える文庫本の存在はとてもありがたかったです。
音楽で言うとまず安くてキャッチーなシングルを買い集めて(文庫)その中から気に入ったミュージシャンのアルバム(単行本)を掘り下げていくような感じでした。
↓はamazonのレビューを貪り読んでいた頃に見かけたレビューなんですが
【年月も経ずに評価も定まっていない本をわざわざ高いお金を出して買った挙句に、駄作だと目も当てられませんし。そんなことになるくらいなら同じ古典を3回読んだほうがマシです。 】
というレビューをされている方がいてその言葉がとても的確だと思いました。
【ノルウェイの森】の永沢さんの「死後三十年を経ていない作家の本は原則として読まない」というセリフもそういった感覚に近い言葉だったのかなと今は思います。(^^