いつも読書人 

《イツモ ドクショビト》 最近いっつも読書してる。 手にした作品の感想と、たまにすもも日記。

★★★(うんうん)

笑う警官 / 佐々木譲3

追う警官、逃げる警官、守る警官。

どうやら北海道警察で実際にあった事件がモデルのようですね。勿論脚色はありますが、詰まる所「露見しなければ隠し通し、組織の安寧をはかろう」とする上層部に位置する組織の不祥事が題材でした。悲しいことに、別段珍しい内容では無くなってる今日この頃にも思えますが、この本に出てくる役者全てが警察官というのは凄い。追うも警官、逃げるも警官、逃げる警官を守るも警官。おまわりさんだらけの小説でした。サスペンスあり逃走劇やタイムリミットありで、なかなか警察小説にしてはエンターテインメントに長ける内容じゃないかなと。佐々木譲さんの作品は2つしか読んでませんが、個人的には主人公たちに感情移入出来て、じっくり読ませる骨太な小説が好きなので「警官の血」の方が記憶にも残って好きかなぁ。でも映画化されてるのも納得と思わせる見せ場があるしテンポ良くも読めるので、エンタメ好きな方にはオススメですね。

笑う警官 (ハルキ文庫)
笑う警官 (ハルキ文庫)佐々木 譲

おすすめ平均
starsストーリーに深みがないが…
stars「信頼と裏切り」の物語だが信頼の源泉が不明瞭
stars警官は笑わない、うたうのです。
stars楽しめる♪
stars誰かにとってのタイミングは野卑な忍び笑い、誰かにとってのタイミングはピアノの音色

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銀しゃり / 山本一力3

江戸時代のスペシャリスト!今回は鮨職人

はじめて山本一力さんを読みました。江戸時代に活躍したさまざまな職人達をお題で書いた時代小説なんですね。たまたま今回手にしたのが鮨職人でした。今じゃ随分と減ってしまったんじゃないかと思うんですが、むかしむかしは゛衣食住゛全てに関わる職人さんが沢山いたんだなぁと。そんな職人ひとりひとりがプライドを持って商いをしている様子が伺えます。舞台が江戸の深川というのもあって出てくるみんなが゛ちゃきちゃき゛な江戸っ子です。
物語は鮨職人の新吉と武家、秋之助との人情、心意気で読む側をググッと熱くさせてくれる。甘酸っぱい恋の駆け引きなどもあって江戸城下での出来事が満載に詰まってました。ただ、詰めすぎたか?終盤には駆け足な話の流れになってしまいちょっと勿体無いかなと。でも読後は気分良いので、これからも読んでいこうと思う作家さん。
ところでこの本、食の描写がとても上手なので読んでるとお腹が空いてきます。そしてやたら米やら寿司が食べたくなる。明日の仕事後はツレと秋葉原に買い物なので、その帰りは築地でお寿司に決定!楽しみだぁー♪

いや待てよ・・・うなぎにするか・・・

銀しゃり[文庫] (小学館文庫)
銀しゃり[文庫] (小学館文庫)山本 一力

おすすめ平均
stars読後の爽快感が続く
starsいつもながらの一力さん
stars
stars読んでいて爽快感を感じる小説
stars結末は心地よい

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三面記事小説 / 角田光代3

実際の事件を元に書かれたフィクション。

気づけば全身に力を入れて読んでた。気を抜いたらズブズブと沼に沈んでしまいそうな小説。実際の事件を元に書かれた作品で、角田さんのさじ加減で如何様にもなりうるおどろおどろしい内容となってました。あまりテレビを見ないけど(というか仕事でニュースは見逃してる)yahooニュースなどでは「嗚呼、またこんな事件が・・」な程度で情報は得てる。そうして毎回思うのは、この報道(情報)はどこまで信憑性があるのか?ということ。若い頃は鵜呑みにしてたけど、最近は歳のせいか読書をしているせいか、半信半疑で見聞きしていることが多い。例え後から修正したとしても、もし間違った情報が1度でも流れてしまってはそれは延々と一人歩きしてしまうし、もし自分が当事者になった場合、「それは事実と違う!」と叫んだところで警察に拘束されてたらこの叫びは誰にも聞こえない。要するにわかんないんだよね。こっちサイドはニュース意外に実際に何が起こってたかなんて。(こんな感想を゛悪人゛にも書いた気が・・)だから三面記事に載る事件はどちらの側にも「気の毒だな・・」と思うようにしてる。なんだかそうしないと自分が当事者になった時、罰があたりそうな気がして・・・(苦笑
で、本書に感想に戻すと・・・短編で6つの事件が載ってるんだけど、最後の章を除いた全てが嫉妬、妬み、独占欲など全部エゴだな〜って思った。まったく自分にない部分とは言い切れないので(本書で共感する部分は無いけど)夢中になって読んでしまう1冊。終始空気が重いので、元気な時に読むのが◎かな。

三面記事小説 (文春文庫)
三面記事小説 (文春文庫)角田 光代

おすすめ平均
starsリアルな肌触り
stars面白かったです!
stars質の高いサイコホラーをどうぞ
stars愛を感じる犯罪
stars素晴らしい想像力。

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ぼくと1ルピーの神様 / ヴィカス・スワラップ3

クイズ番組でみごと全問正解し、史上最高額の賞金を勝ちとった少年ラム。警察は、孤児で教養のない少年が難題に答えられるはずがないと、不正の容疑で逮捕する。しかし奇蹟には理由があった・・・

答えは正に「教養はないかもしれないが、愚かではない」ではないでしょうか。
中東辺りの書物を読むとこの言葉に度々出くわす。記憶に新しいのは【スリー・カップス・オブ・ティー】だった。スリー・カップス〜はパキスタンやアフガニスタンが舞台で、貧困のため教育も満足に受けることが出来ない。というか、そもそも学校というものがない。しかし生きていくうえで大切なこと、守るべきこと、は貧しい中で生きてきたゆえの知恵があり、誇りがあるという事が書かれてある。
そしてこの本はインドが舞台でやはり貧困に対して目がいく。しかし裕福な家庭も多いのか随分と金の動きが頻繁に見える。となると貧富の差が激しい国なのでしょうか。主人公の周辺でのお金の動きも激しい。しかし決して裕福な環境ではなく、むしろ少年自身で孤児ごときが・・と言うほど貧しい環境に居たことを表現してる。恵まれた環境ではないが学校では教えてくれない実践的なことが役立ち生きていく主人公。正に゛愚かではない゛と感じる1冊。
様々な理由から少年の名前にはヒンドゥー教徒の名前とイスラム教徒、そしてキリスト教徒の名前まで入り、自分に得ある相手に対し、時にはイスラム教徒のみの名を使ったり、キリスト教徒の名をと使い分ける辺りは、きっと下層階級の青年にとって生きるために必死なんでしょうが、私にはブラックユーモアを感じ(不謹慎かもですが)面白かった。でも清々しいほどカチッと収まるラストには「あぁ、フィクションなんだなぁ」と感じてしまうところもあったりで、まあ、この辺は好みなんでしょう。でも意外なほど主人公のそばに゛教養はあるが、愚かな者゛が居たりして驚きもあった。
インドに関して詳しくはありませんが、著者はインド生まれで外交官だったところを見ると、フィクションではあるがここに書かれた権力の横暴、幼児虐待、殺人、強盗は目の前で起こってもさほど動揺しないほど日常茶飯事的なものなのかな・・・と。本書に書かれてある【インド人は他人の不幸に対して平然としていられる能力がある】はインド人である著者が書くだけあって真実なのでしょう。

ぼくと1ルピーの神様 (ランダムハウス講談社文庫)
ぼくと1ルピーの神様 (ランダムハウス講談社文庫)ヴィカス スワラップ 子安 亜弥

おすすめ平均
starsインド版浅田次郎?
stars映画より落ち着いて楽しめる
stars全ての子供達に。全ての大人へ。
stars映画よりもいい。今年最も魅了された本。
stars映画も原作も面白いのは初めて

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光媒の花 / 道尾秀介3

前回読んだ球体の蛇に似た場面を思い出しちゃって、「もしかして球体の蛇と繋がってる!?」とトンチンカンな間違いをしてました。いくら本書が群像劇でもそれはない。本書のこの救われない話はずっと続くのだろうか・・・と読み始めはかなり辛かった。でも道尾さんの書くこの「救われない話」って嫌いじゃないから、それならそれで潔く覚悟決めて読むんだけど、どぉもこの本はそうじゃないらしい。本の結末としてはまさしく表紙に現れてるといった感じかな。
う〜ん、正直なところ・・個人的には球体の蛇の方が好きかなぁ。長編になってる分、主人公の(気持ちにはなれないけど)感じている・思っている事が読んでる側に伝わってくるし、今にして思えばある1人の女性に関しては、とても主要人物であるにもかかわらずまったく内面が読めない、著者が敢えて触れない所。これが読了した読書への余韻にも繋がるとも思うから、どちらかと言うと球体の蛇の方が深い出来と思った。もしかしたら本書は賞を受賞(山本周五郎賞がどんなのかも知らないクセに)してるので、これで期待しすぎちゃったかもしれない。この先入観はホントに早く無くしたいなぁ。

第23回 山本周五郎賞受賞

光媒の花
光媒の花おすすめ平均
stars心になにか残る
stars人を殺すには理由がいる
stars表紙のように綺麗な文章
stars人生の苦難を描いた6つの短編集
stars道尾秀介の作品としては?

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チャイルド44 / トム・ロブ・スミス3

チャイルド44 上巻 (新潮文庫)
チャイルド44 上巻 (新潮文庫)おすすめ平均
starsただのミステリではない
stars面白いけど
starsデビュー作が本書とは…恐るべし
starsリーダビリティの高い傑作
stars『夜と霧』を読んだときの衝撃が今蘇る

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チャイルド44 下巻 (新潮文庫)
チャイルド44 下巻 (新潮文庫)おすすめ平均
stars物語は一転怒濤の中へ
stars啓蒙的には良いのかも。
stars一気に読める!
stars下巻途中までの緊迫感が素晴らしい

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実話とミステリを巧く融合。スターリン政治下で起こった連続殺人事件。

共産党指導のもとに社会主義政権が樹立。本書は世界の共産主義の指導者として君臨したスターリンの政治下で起こった少年少女連続殺人事件。旧ソ連に関する本は読んだことがなく、詳しい時代背景が分からない。がしかし先日読んだ池上彰さんの【そうだったのか!中国】で毛沢東が目指した国家というのが、まさしくこの旧ソ連の共産主義であって、生産性を高めるこの工業化、集団化こそ世界のどこでも通用すると信じて疑わない世界が書かれていた。みんなが平等であれば殺人も貧困も起こらない。例え起こったとしてもそれは知的障害者や窃盗犯と、国家から不要とされた者たちの仕業として正しき制裁が行われない。そんな中、知人や家族を犠牲にしてまで真実に肉薄し危険に立ち向かうひとりの人民警察官レオのお話。
この連続殺人事件はアンドレイ・チカチーロ事件として実際に起こってる。『共産主義国で、連続殺人事件は資本主義国しか存在しない』とされ、共産主義国はこの事件を公にせず一般市民は犯人に対する自己防衛意識が薄くなった。この為チカチーロは10年近くも犯罪し放題となり、結果罪のない少年少女52人もの被害者が出てしまっている。国のあり方が犯罪者への盲点を作ってしまうなんて・・・。この辺りを巧く融合させた本書のストーリー展開は巧い!しかしミステリとしてはちょっとオリジナリティに欠ける・・・かなぁ。

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