私の男 | |
おすすめ平均 小説は価値観を知る機会。 文学の皮をかぶった変態小説 漫画的かな 後味は、最悪 “ぬめり”の正体。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
底なし沼へぶくぶくと溺れていくような歪んだ愛と依存。
確かに後味の悪い小説。でも現在から過去へ遡る構成で人間らしさが見れたせいか、後半では私の中で変化が生じた。なるほど、遡ることで多少は調和されるこんな効果があるのかと《作家、桜庭一樹》の見事な調理法がうかがえる。それにしても勝負を賭けたテーマだなぁ。序盤は嫌な予感で胸がざわつき、中盤辺りは胸がムカついた。気持ち悪くもなった。「これは加害者と被害者じゃん!」しか思いつかなかった。
しかしあるインタビューで桜庭さんが「私の男」について・・
【異様な関係を肯定する物語ではないので、別の価値観を持つ人物が必要でした。小説の語りも三人称で書くか、二人以外の別の視点を入れるかのどちらかを選ばなくては、このテーマをフェアに書けないと思いました。】を読んで、私の中の色んな「なぜ?」が解けた気もした。
感情移入や共感を求めるのは難しい作品。そして友人知人の性格をよく知らないで貸すと引かれる本。とどめに私情の濃い感想で恐縮ですが、これは女性作家である桜庭さんの作品だから、目をそらさずに読めたんだと思う。
第138回 直木賞受賞作品
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