前回、“ゴーンの弁護士”弘中惇一郎さんの「無罪請負人」という本に
『警察にしろ検察にしろ組織の論理が最優先される。組織上層部で方針が決定されれば、構成員はその方針の実現を最優先に動く。』
と書いてあることを紹介しました。

消費税についても同様に、きっと日本のどこかの組織の上層部で
「消費税は上げるべきだ」
という方針が決定されたのだと感じます。


今回の消費増税に関する法律には「この経済指標の条件を満たさなければ増税を中止する」という“景気条項”がありました。 
野田前総理大臣によれば、この“景気条項”がつけられていた理由は、
『やはり景気が悪いときは消費税を上げることはできないだろう、中止したり先送りしなければいけないだろう、そういう問題意識があったから〜』
だそうです。
ところが、消費税10%への増税が延期された際(平成27年)にこの景気条項は削除されました。
問題意識はどうなった?どういう議論を経て解決したのか?
とても重要なことなのに、その経緯の透明性ゼロ。

たぶん“そういう話は言いっこなしの空気”“で削除されたのでしょうね。
だって「消費税は上げるべきだ」という方針だから。
その方針の実現、組織の論理が最優先だから。

景気が悪いから増税中止とかもう言わせない。クリアできない景気条項なんて削除すればいいじゃない」という感じ。
「健康の為なら死んでもいい」みたいな本末大転倒。
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『消費税率の引上げに当たっての措置(附則第18条)
消費税率の引上げに当たっては、経済状況を好転させることを条件として実施するため、物価が持続的に下落する状況からの脱却及び経済の活性化に向けて、平成23年度から平成32年度までの平均において名目の経済成長率で3%程度かつ実質の経済成長率で2%程度を目指した望ましい経済成長の在り方に早期に近づけるための総合的な施策の実施その他の必要な措置を講ずる。
〜施行前に経済状況の好転について、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止を含め所要の措置を講ずる。』
<社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律案 : 財務省>
 https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/180diet/sh20120330g.htm


『他方で、社会保障制度を次世代に引き渡していく責任を果たすとともに、市場及び国際社会における国の信認を確保する観点から、抜本改革法附則第18条第 3 項に規定されていたいわゆる景気判断条項については、削除することとされました。』
<消費税法等の改正 - 財務省>
www.mof.go.jp/tax_policy/tax.../p0825_0867.pdf


 『社会保障を立て直す国民会議の野田佳彦でございます。
消費税と景気の関係で大臣にお尋ねをしたいんですけれども、社会保障と税の一体改革を推進をする際に党内でさまざまな議論がございました。
 一番骨を折っていただいたのは、ここにいらっしゃる前原政調会長でございまして、二〇一一年の暮れだとか二〇一二年の三月、長時間にわたる党内のさまざまな議論がありましたが、その中で、一つの党内議論の争点になったのが景気条項にかかわるところだったんですね。
 名目とか実質の成長率の数字を入れた方がいいという意見があったり、定性的に表現した方がいいという意見があったり、などなどありながらの、いろいろ意見調整をやった記憶があるんです。問題意識としては、どなたにも共通しているのは、やはり景気が悪いときは消費税を上げることはできないだろう、中止したり先送りしなければいけないだろう、そういう問題意識があったからなんですね。
 ところが、安倍政権においては、この景気条項というのを撤廃しましたですよね。〜』
<衆 - 財務金融委員会 - 7号 (平成31年03月12日)>