山田太郎ものがたり [DVD]
二宮和也
TCエンタテインメント
2008-01-09


【ドラマデータ記事】
「山田太郎ものがたり」


【感想】
ひと言で言えば溌剌とした明るいドラマだ。
悪意に満ちた人間は誰ひとりとして登場しない。
個性的ではあるけれど、皆、善良な人たちばかりだ。
だから見ていて元気になれた。笑顔になれた。楽しかった。
あたたかな気持ちをいつも残してくれた。

主人公である山田太郎は「すれていない」人間だ。
太郎を取り巻く人々は、いつしか知らず知らずのうちに彼の影響を受け、より人間味を増していく。

対照的に御村託也はどこか「斜に構えている」ような人物である。
山田家の実態を知り、それでも楽しげに毎日を過ごしている太郎に興味を持ち距離を縮めていく。
太郎を通してさまざまな出会いや経験をすることで、良い意味で人間臭さを取り戻していくことになる。

太郎は成績も良く、いつも快活で明るい。
貧乏だけれど負けることなく、家計を助け母を支え、幼い弟妹たちを優しく見守っている。
バイトのために女装しようとも、弟妹のためにスーパーでの争奪戦に臨もうとも、けっして後ろ向きになることなく、逆にそのことを楽しんでいるようにもみえる。
けれどドラマは、その描写のみでは終わらない。
太郎にも、それまでは表に出てこなかった・・・そして自分自身でも気づかなかった一面があったのだ。
第9話で、太郎は見知らぬ自分と向き合うことになる。
ある意味、太郎自身も「家族」に依存していた部分があったことに気づくのだ。

どんなに非の打ち所がないように見える人間にも、必ず内に抱えているものがある。
それでも、人は成長し、前に進み、自分自身と向き合いながら生きていく。
単なる楽しい学園ドラマでは終わらない「山田太郎ものがたり」の良さはそこにあったように思う。


【自己満足的感想】
まず主要登場人物である山田太郎、御村託也、そして池上隆子の三人が良い。
玉の輿に乗ることが夢だという隆子のやたらと明るい妄想も楽しいし、そのたびにコスプレ姿で登場する太郎が面白い。
御村と山田家の家族との交流もあたたかいし、執事である磯貝との関係性も見どころのひとつだ。
三人でエアギター選手権に挑む場面は楽しく、明るく、思わず笑顔がこぼれてくる。

脇を固めている俳優たちも良い。
隆子の母親・まりあを演じた柴田理恵さんがいい味を出している。
争奪戦を勝ち抜くための特訓には笑わせてもらった。
太郎に恋をする?杉浦圭一を演じていた忍成修吾さんのうろたえぶりも楽しかった。
吹石一恵さんが演じた鳥居京子と、吉沢悠さんが演じた永原眞実の二人の会話にも楽しませてもらった。
思い込みが激しくすぐに動揺する京子と、やたらとSっ気のある永原の愛ある絡みは、ドラマの中の良いアクセントになっていた。

山田綾子と山田和夫の夫婦。
世間知らずだが可愛い母親を演じた菊池桃子さんと、愛妻家だけれど放浪癖のある父親を演じた松岡充さん。
意外にも二人が並んでいるとお似合いの夫婦だ。
子供たちを演じた子役たちも良かった。
夏合宿に出かけた太郎の代わりをしようと頑張っていた子供たちは、本当に可愛かった。

爽やかな風が通り抜けるような軽やかな笑顔が、太郎というキャラクターにピッタリだった二宮くん。
女装姿も良かったけれど、コスプレ王子もよく似合っていた。
映画の出演場面があったり、バイト姿があったり、真剣にレポートを読む場面があったりと、ファンにとっては盛りだくさんな内容だった。
淡々とマイペースに「家族」を最優先に生活している太郎が楽しそうだったので、第9話での太郎の姿はほんの少し衝撃だった。
迷った末に選択した進路も、いかにも「家族」最優先の太郎らしいものだった。
これといった刺激的な特徴もない役柄も、しっかりと見せてくれる自然体の演技が好きだった。