2014年東京都知事選は,ある意味順当に,桝添氏が当選しました。

 元首相である細川氏は,同じく元首相である小泉氏の支援を受けましたが,
結果,宇都宮氏にも及ばない得票数で惨敗しました。

 細川氏の敗因は,主なものだけで以下のようなものが上げられます。

① 冷めたピザ

 小渕恵三元首相が首相に就任した際,ニューヨーク・タイムズ紙が彼を評した言葉です。
 細川氏が都知事選に立候補すると聞いたとき,「何で今さら?」といった感を受けました。
 政治家を引退して陶芸家をしていたのではなかったんかい,といいましょうか。
 「昔の名前で出ています。」という感じですね。
 20代の人にとっては,細川氏が首相をやっていたこと自体,
あまり印象に残っていないのではないかと思います。

② 小泉氏自身が立候補しなかった

 今回,なぜか小泉氏自身は立候補せず,細川氏の支援に回りました。
 しかし,小泉氏は,どこまで行っても裏方になれるタイプではありません。
 結果,小泉氏と細川氏のどちらが立候補者なのか,どちらが目立っているのか,
よくわからない状態に……。
 これで,小泉氏が立候補していればまだ勝負の芽はあったと思いますが,
小泉氏自身が「自分は泥をかぶらない」ポジションに徹した結果,
かえって小泉氏の本気度が疑われたのではないかと思います。

③ 脱原発は争点にならない

 細川氏の特徴として,脱原発をワンイシューに掲げたことがあります。
 しかし,脱原発は,都知事選の公約の一つにはなり得ても,
ワンイシューにはとうていなり得ません。
 それはなぜか。
 原発政策は,基本的に国策ですから,一自治体である東京都の知事が
その帰趨を決めることができません。
 原発そのものを抱える自治体の長ならまだしも,東京都自体には原発はなく,
単なる電力の最大消費地で,かつ,東電の大株主であるという程度では,
原発政策についてキャスティングボートを握っているとはいえません。
 よって,この点を唯一の争点に掲げた時点で,当初から争点がずれていたといわざるをえません。
 例えれば,日弁連選挙で法曹人口を唯一の争点として論じているようなものです。

 他にも,細川陣営には,立候補の遅れによる準備不足や,組織の不十分さなどもあるようですが,
主なものは上記のとおりであり,いわば,選挙に負けるべくして負けたものといわざるをえません。