こけしのなかのわたし

東北地方が誇る文化、「伝統こけし」について語り考証しながら愛すべきこけしたちへの理解を深めるBlogです!

2011年12月

大事なお知らせと、KOKESHI OF THE YEAR

こんばんは。
かっぱです。 

すでに東京こけし友の会や青葉こけし会のHPなどで情報を得た方も多いかと思いますが、津軽系工人の笹森淳一さんのご自宅と仕事場で火災が発生し全焼、ご本人・家族の方は無事とのことです。

また、笹森さんが実演予定だった来年の横浜・高島屋のイベント「青森県の物産と観光展」には出演できなくなったため、急きょ津軽こけし館の山田店長が津軽こけしの販売のためにいらっしゃるそうです。
経緯など詳しくは津軽こけし館・山田店長のBlogをご覧ください。
ご連絡と緊急告知

追加:津軽こけし館のBlogも…

笹森工人の悔しさや心労のほどはいかばかりかと思いますが、高円寺フェスでも阿保六知秀工人と共に津軽こけしを売り込みに上京した山田店長、今度は横浜で、きっと素晴らしい成果を挙げてくれることでしょう。
期間は1月11日(水)~16(月)までと、平日・週末どちらも含むので、多くの方が足を運んで現役工人の津軽こけしを買ってくれたらと思います。

さて、2011年に購入したこけしを振り返って、宇宙犬とかっぱでお気に入りこけしを選出してみました。
東京こけし友の会に入会したり、こけしまつりに参加したり、一気に購入機会が増えたこの一年でした。  

まずは、中古こけし編。
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左が、かっぱ選出の佐藤英吉、照井音治型。
右が、宇宙犬選出の野地忠男、由吉というか本人型でしょうか。
この一本となると、こうなりますなぁ。
自分が選出した佐藤英吉さんのこけしについて語りますと、かなり、理想の音治、西田コレクションの音治に近い印象のものなんですね。
英吉さんの方がやはり丁寧な印象にはなるかと思いますが、それでも深い情味、表情の余韻を感じずにはいられません。
見れば見るほどに、穏やかに微笑みかけてくれるようなこけしです。
写真のピントがやや後ろに合っているのが残念です。

そして、現役工人の新作部門。
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一人一本には絞れませんでした。
右がかっぱ選出の津軽・阿保六知秀工人の斉藤幸兵衛型。
高円寺フェスのDMでおなじみですね。
六知秀工人の作るこけしの生き生きとした健康的な感覚には、今まさに作られている伝統こけしということで、強く感銘を受けました。 
中央は、宇宙犬選出の蔵王高湯・岡崎幾雄工人の岡崎栄治郎型。
なめらかな木地と、太くエネルギッシュに描かれた描彩のバランスが面白いです。
そして左、共同選出ということで、鳴子・大沼秀顯工人の車菊模様。
きっちりと秀雄さんからの伝統を継ぐ、繊細な描彩です。
こうしてみると、三者三様ながら、なかなか現代的な感覚のこけしが集まっているでしょうか。

さらに宇宙犬リクエストにより、そんなに買っていないのですが、えじこ部門も。
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左、津軽・阿保六知秀工人。
眠った表情が愛らしいです。
右、土湯・西山敏彦工人のえじこ、そして前列にその中身のだるまたち。
うーん、よい意味でファンシー!! 

明日はいよいよ大晦日です。
たくさんのこけしたちと、清々しい新年を迎え、また素敵なこけしと出会えることを願います。
ではでは。

年末年始こけし会ニュースと郷土玩具

東京こけし友の会のHPによると、「六本木ヒルズのお正月2012」に阿保正文さんが1/2、3といらっしゃるようですね。
言わずとしれた阿保六知秀工人のご子息・お弟子さんで、津軽系のホープです。
青森県ブースの出展内容を見ると、「ずぐりごま選手権」というのがあるので、独楽を作られるのでしょうか。
高円寺フェスのときにちらっと六知秀さんに聞いたような気もするのですが。

弥治郎こけし村では初挽きがあるようですし、津軽こけし館も初挽き・福袋の販売があるかと思います。 

雑誌「こけし時代」も無事3号が発行されたので、入手しました。
各取扱店で年末年始の営業状況が異なると思いますので、ご注意の上購入に向かわれた方がよいかと。
今回は、素敵な手ぬぐい付きで、表紙も面白い仕掛けがあります。
まだ手に入れていない方が多いと思いますので、内容はお楽しみで…。

たまには、こけしじゃないけど…
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大分県郷土玩具の福獅子です。
郷土玩具はまったく詳しくないのですが、お手頃な価格で小さいものですし、かわいらしいので買ってみました。
こういった土人形等も、わりと近年に伝統的技法を用いつつ発案されたり、あるいは廃絶していたものが復刻されたりということがあるようですね。
張子なども、携わる人が少なくて廃絶するケースもあるようで、今一度日が当たるとよいなと思います。
メディアに取り上げられても一過性で終わってしまうことが多いでしょうし、何か、もっと長い目で育て、発信することができればよいのですが。

ちなみに口元が狛犬と同様に、ちゃんと阿吽になっていますね。
赤い子は口が大きいだけで開いていない気も?
なんとなく、ガチャピンとムックを思い出してしまったりします。

世間的にはそろそろ仕事納めという方も多いようですが、仕事の性質上、30日まで出勤します。
毎朝冷えるので、仕事に行くまでが一仕事です。
ではでは。

聖夜の賜りもの その3

かっぱです。
来年の話をすると鬼が笑うと言いますが、クリスマスから4~5日経ってクリスマスの話をするのもかなりやばい、白々しい感じになってしまうのはなぜでしょう?
来るまではあんなに待ち遠しいのに…

今晃工人の長谷川辰雄型。
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今さんの木地は、丁寧でありながら、表面が粗さを残していて、おかっぱの部分など、ちょうどビロードのように見えたりします。
思わず触れてみたくなるこけしです。
頭の四角さと、肩の平らさ、裾にかけてゆっくり広がっているフォルムがうまく調和しているなぁと、シンプルなこけし故に思います。
写真には写っていませんが、後ろで長く帯を垂らしているのがどこか民族衣装を思わせる型ですね。
左右で対象にならない表情も、動きを生んで、視線の先を感じさせるようです。

さらに…今晃さんの鳴子型のこけし。
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首は作り付けですが、たちこの形でもなく…胴模様は、楓を抽象化したように見えます。
今さんは、小松五平の弟子の本田功さんの他、鳴子の岡崎斉司さんのもとでも修行されたようですね。
このこけしは、頭が平らで前髪が頭頂に乗っている感じです。
鳴子風に肩が張り、胴はくびれていますが丸みを帯びているのが今さんらしいなと思います。
現代のこけし界で、今さんほど自由に新しいこけしを作り、また、成果を出している工人さんも稀なのではないでしょうか。
特殊な例かも知れませんが、やはり稀代の工人さんで、現代のこけしを語る際に外せない強烈な個性を持つ方でしょう。

サンタさんには、このような素敵なプレゼントを心より感謝いたします。
最近は古いこけし文献を読むことが多かったので、どっこい現役工人、現代の工人さんにも名品はあるぞ、と意を新たにしました。

ではでは。

聖夜の賜りもの その2

かっぱです。
いよいよ、2011年も最後の週に突入しましたね。
気が付いたら年は明けていることでしょう。
今ふたつの図書館からこけし資料を借りまくっているので、短い冬休みは楽しくこけし研究します。
今現在のこけし、これからのこけしについて考えてみたい、知りたいと思ったら、どんどん過去の伝統こけしの成り立ちであるとか、風土、作品について興味を惹かれ、楽しみは増える一方です。

今夜もサンタさんに感謝しつつ…
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今晃さんのこけしです。
本人型でしょう。
小寸のこけしには、定寸のこけしをそのままミニチュアにしたようなもの、遠刈田のこげすや、鳴子のたちこのように、小寸用の形になっているものなどありますが、こういった、頭は大き目で胴を短くとったものもありますね。
紫色の染料が濃く、緑色のように光を反射します。
今さんのこけしはどこか、大人を童心に返らせるようなところがあり、その感触の心地よさ、センスのよい造形や色彩に、モダンさと素朴さを感じます。
おもちゃらしさ、気軽さも持ち合わせたこけしだと思います。

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続いて、國分栄一さんのえじこです。
勘内型の要素を用いて、こんなかわいらしいえじこに仕上がっています。
小さなえじこならでは、丁寧すぎない面描もまた愛らしいですね。
木地に滲む紅色の美しいこと…。
伝統こけしは、染料を毛筆を使って木地に彩色するものなので、こういった滲みや、かすれのテクニックというのは、存分に駆使されるとよいなぁと思います。
最近、國分栄一さんの木地玩具も見かけたのですが、ちょっと値段的に二の足を踏んでいます。

最近、こけし手帖のバックナンバーも少し古本屋さんで入手したので読んでいます。
自分が生まれた頃のものもあり、つかの間、タイムスリップ気分を味わえます。
そして、過去にも最近自分が考えているようなことを考えていた人がいることを知ったりもします。
今年は、自分の知っている範囲でも、伝統こけしに光が当たり、種の蒔かれた年であったかと思います。
そして、ひとつのイベントでこけしの魅力をうまく説明することの難しさにも思い当りました。
それでも、良いことがどれだけ多かったか…。

皆様も、この冬休みにぜひ、こけし読書などしてみてくださいね。
ではでは。

聖夜の賜りもの その1

かっぱです。
メリークリスマス!ホウ!ホウ!ホウ!(2回目)

今年1年良い子にしていましたら、我が家にもサンタさんがやってきました。
涙が出るほどうれしいプレゼントでした。
サンタさん、ありがとうございます。
サンタさんの許可をいただきましたので、皆様にもお披露目します。

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北山賢一さんの前垂れこけし。
このタイプは持っていなかったので、とてもうれしいです。
バサバサとした筆使いで、久四郎風の愁いを含んだ表情が余韻を残します。
頭頂部を平たく挽き、きゅっと引き締まった木地も良いですね。
精力的に、多様で味のあるこけしを作っている賢一さんのこけし、来年もよいものに出会いたいです。

続いて、土湯の佐藤三起子さん。
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平成22年7月の作。
今年入手したもの(平成23年2月、8月の作)と比較しても、やや初々しいように思いますが、健やかな表情で気持ちのよいこけしだな、と思います。
眼点は塗りつぶさない透かし目になっていますね。

北山さんのこけし、三起子さんのこけし、どちらもさらっとした木地が心地よいです。
昨今、コレクター向けにロウ引きしないこけしが多くなっていると思いますが、同様に木地、筆致に味があるこけしも評価されるとよいなぁと思います。
もちろん、綺麗に仕上げられてロウ引きされたこけしにも良いものがたくさんありますが、”質感”も印象を左右する重要な要素だと思います。 
昔は、足踏み轆轤だったり、いろいろ環境から迫られての表現もあったと思いますが、現代の工人さんは、たくさんの選択肢の中から、自分の表現を選んでいくので、その大変さもありますね。

また図書館でこけしの本など何冊か借りてきました。
少し知ると、また深い世界が広がるので、切りがなく、興味も尽きないこけしの世界です。
こうして急速にこけしにはまっていくのをはたから見ると異様なところもあるようですが、自分としては、自然でもあり、かつてこけしにはまり、愛し、研究してきた人たちも皆同じような気持ちであったのではないかとも思います。
そしてまた、シンプルなものだけれど、簡単には説明できない奥深さがあります。
ライフワークにするに足りる、魅力に富んだ世界と、覗き込むほどに思います。

ではでは。
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