かっぱです。
先週も神田・書肆ひやねさんの一金会に参加してきました。
テーマは「佐久間七郎・米吉のこけし」 、一金会のアルバムもご覧ください。

土湯系のこけしといってまず思い出されるのが、湊屋系列のこけし、特に佐久間浅之助長男の佐久間由吉のこけしが花形と言えるでしょう。
由吉型を野地忠男さんや二代目浅之助こと渡辺和夫さん(共に故人)、渡辺忠雄さんや野地三起子さん等が作っています。
次男粂松の型は故・陳野原和紀さんや現在工人組合長の陳野原幸紀さん(和紀さんの弟)が作っていますし、末弟(七男)の虎吉のこけしも、二代目虎吉と共に人気のあるものでしょう。
五男・七郎、六男・米吉のこけしは湊屋の兄弟中では、やや地味かなぁというのが印象としてありましたが、実際に見てみるとなかなか興味深いものでした。

では、まずは米吉のこけしから見ていきましょう。
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 左端は、米吉ではなく、佐久間常雄。
家系が複雑ですが、叔父の米吉が継父となったそうです。
「こけし辞典」掲載の中屋蔵(昭和17年)に似ていますが、ちょっと胴模様など違うようですね。
米吉のこけしはちょっと手が出ませんが、常雄さんのこけしも、時代が下ってもなかなか雰囲気がある良いこけしです。

その右は米吉と思いますが、珍しく眉毛が太いですね。 
粂松寄りな表情です。
帽子のこけしも太子胴(地蔵型)、とぼけた表情で素敵です。
米吉のこけしには胴の轆轤線の間に不思議な手描き模様が散りばめられています。
蝶や鳥のようにも見えますが、ふと、粂松の描く菖蒲模様と関連があるのかなと思いました。
かせは由吉と似たような描き方でしょうか。

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 こうして見ると轆轤線に黄色を使っているものが多いですが、右から2本目のこけしは黄色を使っていないようですね。
いずれも頭はあまりやや細長く、らっきょう頭です。

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米吉のこけしは、湊屋に共通するつぶし目が極端になったような表情で、古風でシャープに見えます。
どことなく、古鳴子のこけしにも通じるような古さを感じる表情と思うのですが、いかがでしょう。
目と鼻の位置関係で、粂松は鼻の描き始めが目よりも上にありますが、米吉は目と同じ高さから描き始めているので、ちょっと面長になっています。

こうしてみると、胴の太さや頭の大きさのバランスはかなりバリエーションがありますね。
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 轆轤線の間隔も、肩、真ん中(帯?)、裾に太目に赤を引くのはおおよそ決まっていますが、わりと自由に引いているようです。

米吉こけしの表情のアップ。
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佐常こと佐久間常雄(左)と米吉(右)こけしの頭部。
佐常のこけしも良く似ていますが、かせの描き方が硬く特徴的です。
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帽子の米吉こけし。
UFOっぽいです。
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さらに米吉こけしのアップ。
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こうしてみると結構粂松の影響があったのかなぁと思います。

いやあ、なかなか壮観でした。
いつも素敵な古品こけしを見せていただく先輩蒐集家の皆様と、場所を提供していただいているひやねさんに感謝しつつ…

後編・七郎のこけし紹介に続きます!