かっぱです。

神田・書肆ひやねさんの三土会に参加してきました。
毎月第一金曜日に集まる一金会、第三土曜日に集まる三土会をやっています。
昨晩再放送があったBS日テレ「中川翔子のマニア☆まにある」でも映っていましたが、本当にやっているんですよ~。


通常は一金会でテーマを決めて古作こけしを持ち寄っていますが、今回はGWがあったので、三土会に移して津軽こけしのスター、盛秀太郎のこけしが集まりました。
一金会のFacebookページもぜひ見てくださいね。

また、最近こけしの「つん毛」についての議論を活発にしているので、つん毛のこけしも持ち寄られていました。
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左より福島県会津~喜多方の小椋千代五郎、山形県酒田の柏倉勝郎、山形の小林栄蔵、同清蔵?、秋田県川連の樋渡治一(描彩辰治郎?)、宮城県仙台の加納伝三郎?ちょっと詳しくないものもあり、間違えていたらすみません。。
ともあれ、こうした地域のこけしに「つん毛」と思われる様式が残っていました。
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「つんけ」の語源がはっきりしませんが、実際に幼児の髪型として近かったのは左端の千代五郎ではないでしょうか。
鳴子・遠刈田という有名産地に全く見られなかったものがこうして描かれるようになった経緯が気になるところですが、いつまでその土地で実際に子供の髪型として残っていたのかももしかしたら関連があるかも知れません。
堤人形などの土人形にも「つん毛」はほとんど見られないようですし、これらのこけしは直接には土人形などの影響を受けていないか遠く離れたようにも見えます。

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あっもう一本小林栄蔵のこけしがありました。
立たないので助けを借りて撮影。
こちらは蔵王高湯系の影響を受けたような垂れ鼻。

さて、主役の盛秀太郎と交流のあった斎藤幸兵衛のこけしも来ていました。
佐藤善二さんの弟子達もよく作っていますね。
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 一見して盛秀太郎のタッチとまるで違うのですが、このあと盛秀こけしを見ると共通した意匠があり、影響関係が認められます。

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盛秀の晩年の作風は、COCHAEの「KOKESHI BOOK」表紙に奥瀬恵介さんの盛秀型が紹介されていますが、甘美で極端にデフォルメされた目の描き方に特徴があります。
まつ毛を描いているように見えますが、下瞼が変化していくうちにああした描き方になったようです。
津軽系は産地で大別して温湯(ぬるゆ)系と大鰐(おおわに)系に別れますが、盛秀太郎を中心とするのが温湯系です。

この左端のものが昭和3年頃かというこけしですが、別人のように野趣に富んだものになっています。
ただ、僕は初期の盛秀こけしに対してもっと泥臭い印象であったのですが、明るい表情でもあり、かなり作風には幅があったのではないかと思います。
シンプルな轆轤線のバチ鼻のものは明らかに幸兵衛の影響がありますね。
ここまではっきりと幸兵衛のこけしを模しているのを見ると、だるま絵なども幸兵衛からの影響だったのかなという気がします。
しかし、作りつけで胴上部がふくらみ裾が広がる作り付けの美しいフォルムやアイヌ模様など、初期から完成度が高いです。
このくびれをデフォルメしていくと山谷権三郎の糸巻きとよばれる形に近づくのかなと思ったり。

また、つん毛に関連して、こけしで後ろに手描きの絵付けをするのはやや例外かなと思うのですが、アイヌ模様などはぐるりと入ります。
僕の見た晩年の映像では、モーター轆轤につけたまま手でくるくる廻してアイヌ模様の絵付けをしていました。

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こうして年代で並べると、やや稚拙な味わいから、だんだんと定型化、洗練されていくのが分かりますね。
蒐集家には、初期の大らかな作風のこけしが好まれるようですが、そこにはきっと、大正~昭和初期の津軽の風土が表れているのだと思います。
時代と呼応し、人生と共にこけしを変化・成長させ続けたところに盛秀太郎翁の凄味があると、改めてこれらのこけしを見て感じました。
この中での個人的な好みでは、昭和3年のものや4寸の小さなもの、子供らしいかわいいものがいいかなぁ…と思いましたがみなさんはどうでしょう?

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幸兵衛と盛秀太郎のこけしの共通点ですが、顔に薄い紅を引くというのもあります。
秋保の菅原庄七や中ノ沢の岩本善吉などにも見られますね。
樋渡治一にも。。
温湯こけしに関していうと、ねぷた絵の絵付けから来ているのではないかなと思います。

斎藤幸兵衛のだるま絵のアップ。
ド迫力!
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だるまを作る工人さんも多くいますが、ここまで上手い人はなかなかいないかと。

おまけ、というにはあまりに楽しい画像。
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土湯系の太田孝淳さんの小寸こけし&えじこたち。
かぶりもの、カラフルなものが多く、若い人にも人気が出そうです。
素朴な仕上がりの木肌といい、玩具らしさ満点です。 

ではでは。