こけしのなかのわたし

東北地方が誇る文化、「伝統こけし」について語り考証しながら愛すべきこけしたちへの理解を深めるBlogです!

長谷川辰雄

2013.2.1 神田書肆ひやね一金会

かっぱです。

北海道で大きな地震がありました。(2/2 23:17、震度5強)
皆様、お気を付け下さい。
東京では、ものすごくゆっくり、弱い揺れを感じました。

昨日は、神田の書肆ひやねさんで一金会に参加してきました。
毎月第一金曜日に、ベテランの蒐集家がテーマを決めて古品こけし(主に戦前のこけし)を持ち寄ります。
作者の年代による作風の変遷や、拡がりなどを見ることができます。

昨日のテーマは、「長谷川辰雄描彩を中心とした大鰐のこけし」でした。
一金会facebookページのアルバムをご覧ください。
一金会facebookページの写真は、木人子室の橋本正明さんがUPしています。
facebookのアカウントを持っている方は、ぜひ「いいね!」してくださいね。

津軽のこけしには、盛秀太郎を中心とした温湯系、間宮明太郎や村井福太郎等が木地挽きをし、長谷川辰雄等が描彩をした大鰐系の系統があります。
現在大鰐系のこけしを作っているのは、長谷川健三さん・優志さん、島津誠一さん、今晃さん、鶴岡の五十嵐嘉行さん等がいます。
村井福太郎型は、温湯系の阿保六知秀さんらも作っているので、意外と多くの工人の作品があるかも知れません。

かつての大鰐では、木地製作者と描彩者が異なるケースが多く、名義としては、木地を挽いた人の名前が使われました。
長谷川辰雄は、描彩のスタイルを使い分けながら、複数の工人の木地に描彩しました。

こちらは、小寸の村井福太郎型。
P1090861
橋本さんによると描彩者不明とのことでしたが、「こけし辞典」では辰雄描彩になっているようです。
胴模様の横菊?を見ると辰雄と共通した意匠に思えます。

こちらは間宮明太郎型。
P1090866
比較的整った顔の2本が辰雄描彩のようです。
間宮正男さんもこういった人間っぽいリアルな表情のこけしを作っていますが、胴とのバランスが面白くて好きです。
五十嵐嘉行さんの明太郎型復元も、よく雰囲気が出ています。

アップにすると、ちょっとアニメ顔?
銀山の伊豆定男さんのこけしにも似ていますね。
P1090868

こちらはまた趣の異なる表情、髪の毛の墨をロクロで引いているところと描き足しているところが分かりますね。
肘折等にも見られるような結び口です。
P1090870

こちらは三上文蔵名義。
P1090871
左のものは胴模様の色が褪せていますが、真ん中のものと同じ模様でしょう。
シンプルにして斬新です。
右の1本だけ前髪が描かれていますね。
温湯の盛秀太郎は、初期から胴模様も凝っていたと思いますが、大鰐はシンプルな傾向でしょうか。
今回、佐藤伊太郎のこけしもありましたが、伊太郎のこけしもシンプルな胴模様のおかっぱこけしです。

こちらは島津彦三郎名義、左1本が島津彦作名義とのこと。
P1090878
 左から2本目は首がはめ込みになっています。
胴模様が物足りない気もしますが、左端のこけしを見ると、どれも黄胴だったのかも知れませんね。
肩の山やくびれ方に、鳴子こけしの影響が見られるようです。

やたらと写実的な表情のこけし。
P1090881

今晃さんは、こういう表情をよく写していると思います。
P1090882

こちらも木地はまちまちですが、描彩は長谷川辰雄。
ここまで描き分けるのは、類まれな才能です。
P1090879
左端のこけしのような模様は三上文蔵型かと思っていましたが、島津木地のものにも描いているようです。

右端の村井福太郎型も長谷川辰雄描彩です。
眉毛がありません。
胴模様は鳴子的な菊模様ですね。
他に、ひょうたんの描かれたものもあります。
P1090884
 左2本も島津彦三郎名義、右から2本目は佐々木金次郎名義でしょうか?
描彩は全て長谷川辰雄とのこと。

中央のようなこけしは戦後もずっと長谷川辰雄名義で作られているこけしですが、とてもかわいく、普遍性のあるこけしではないかと思います。
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小寸の引き締まった感じも面白いです。

左2本は金次郎名義だと思いますが、鳴子風に鬢が描かれ、めずらしく黒頭ではありません。
P1090889
赤と緑の重ね菊は、蔵王高湯のこけしを彷彿とします。
右から2番目は、こぎん模様と称されるものですね。

「こけし辞典」によると、明治38年生まれの長谷川辰雄、兄が佐々木金次郎です。
島津彦作について木地を挽き、昭和元年にこけしを描彩してからはほとんど描き方専門に。
昭和7年から1年間斎藤幸兵衛が来たり、同時期に鳴子の大沼岩蔵が大鰐を訪れて辰雄に影響を与えたようです。

戦前は歴史の浅さや、木地と描彩が別人のことからか、評価の低かった大鰐こけしですが、現在では、かえって幅広い作風に人気が集まっているようです。

それから最後に、長谷川健三さんのこけしを例の万華鏡で覗いてみた図。
たまりません。
IMG_0382[1]


ではでは。

茶房たんたんより・津軽系 長谷川辰雄のこけし

かっぱです。
先週末土曜日は高幡不動の茶房たんたんに行ってきました。
友人と待ち合わせしていたので、こけしや郷土玩具、民藝の話をいろいろとできて楽しかったです。
抽選による即売会のないときはこけしの量は一棚+αというところですが、ゆっくり見ていると、慌しい即売会のときには気が付かなかったものが目に付いたり、当時買わなかったけれど、やっぱりいいな!というものにも出会います。

前回の抽選会のときに宇宙犬が欲しがって結局買わなかったこけしが、まだ残っていたのですが、やはり良いこけしなので買ってきました。
P1070605
津軽系・長谷川辰雄工人のこけしです。
尺物のこけしは背景をはみ出してしまうのが困りもの…
胴模様は独特のこぎん模様、津軽らしい色使いになっています。
値段もかなりお安かったです。
現在は息子の長谷川健三工人・孫の長谷川優志工人のこけしが津軽こけし館などで購入できます。
即売会のときは芥子の胴模様のこけしを買ったのですが、顔はこちらの方がよいかなと思います。
控えめな笑いが、ほっとする表情です。

津軽系といえば、温湯温泉では盛秀太郎を祖とするこけしが発展しましたが、大鰐では複数の工人のこけし木地に器用に違う個性の絵付けをしていた長谷川辰雄の貢献が大きく、それぞれに魅力あふれる津軽こけしのバリエーションを作り出したのではと思います。

今、土湯温泉の絵付けコンクールに応募するべくオリジナルこけしの図案を考えていますが、顔もさることながら、バランスのとれた胴模様を考えるのはとても難しいですね。
工人さんの気持ちが少しでも伝わる気がするので、絵付けの機会があればぜひチャレンジしてみてください! 

それから、西荻窪の洋菓子屋さん「モイスェン」で「紅茶とこけし」なるイベントがあるそうです。
詳しくはこちら

珈琲とこけしもよいですが、紅茶とこけしもね!

ではでは。

茶房たんたん12月抽選会のこけし その4

かっぱです。
最近僕にも趣味ができました。
知りたいですか??

…そう、こけし研究です!!
知れば知るほどに楽しいですね。
温故知新とはこのことでしょう。
古いこけしを知ると、新しいこけしもわかります。

さて、今宵も茶房たんたんの抽選の後、即売で購入したこけしを紹介します。
かっぱセレクトは、弥治郎系・佐藤誠孝さんの小倉嘉三郎型です。
P1070356
嘉三郎型は初めて買いました。
これもそれなりの大きさがあって魅力が出るもの…と思います。
鼻と口は薄墨で引いてありますね。
誠孝さんは、現代の工人さんらしく器用で木地の仕上げもよいですが、このこけしには鄙びてほがらかな古い弥治郎こけしの味が出ているかなと思います。
これがもっとざらざらとした木肌であれば嘉三郎の魅力をさらに伝えてくれただろうか、なんてことまで思ってしまうようになりましたが、実際にあえて木肌を磨きすぎない工人さんもいますし、型によってはそういうオプションもあってよいのかなと思います。 
ただ写しのためとか原点回帰というだけでなく、木地の質感というのも作品の印象を左右するポイントではないでしょうか。
先日の友の会のビデオで西山憲一さんの足踏み轆轤での返し轆轤を見ましたが、すごく時間がかかるのだなぁと驚き、モーターでの返し轆轤技術とはその効果も異なるだろうと思いました。 

もう一本は宇宙犬セレクトで。
P1070357
長谷川辰雄さん、芥子の胴模様が素敵です。
ちょうど先日の皆既月食も月がこんな赤銅色でしたね。
胴の黄色もよく残っています。
辰雄さんは一代でこういった洗練された描彩のパターンをいくつも作り上げたのですから、才気のほとばしりを感じずにはいられません。
顔もにんまりではなく、好きなタイプです。
現代の工人さんは、逆に当時の辰雄さんのように自由な発想で新しい描彩を作れないとは思いますが、伝統を継ぎながらも、粋な本人型を作ってくれる工人さんが沢山出てきたらよいな、と思います。 

…ということで、たんたんで12/10に購入したこけしはすべてUPしましたので、明日からは友の会で買ったこけしをUPします~。
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