2007年02月

2007年02月28日

学生映画祭2月22日は南大沢(京王相模原線多摩センターの西にある、ちょっとした未来都市のような町...八王子市になる)のTOHOシネマズ(8つの会場があるいわゆるシネコン)で開かれた《TOHOシネマズ学生映画祭@南大沢》に審査員として招かれた。これは学生が企画運営するイベントで、この日は140本の中から最終審査に残った11本のの短編映画(15分以内--実写・アニメ)が昼間から上映。夜にはグランプリ等が選出された。
実行委員長は早稲田大学の松川君。司会進行はこの地区の大学の3名で進行した。いつも音楽専門学校で音楽の審査はしているが映画の審査は、なれないし、映像の専門家ではないし・・・だから気楽っていうこともあるけど、とにかく新鮮でちょっと緊張感ある時間があっという間に過ぎ、楽しんでしまった。

グランプリは川部良太監督の『雨の跡』で、この作品はある地方都市を舞台に団地に住む中学生の目を通して過ぎゆく日々、人間の姿、埋もれゆく記憶を風景の流れとともに描いた。いやいやエリック・ロメールのようでもあり、日本映画のいいエッセンスをもった映画の中の映画ともいうべき作品だった。
こんな若者がこういう作風でねえ...驚いた。まだ完成してはいないけど、淡々とした語り口、大袈裟なドラマはおこらず...的な雰囲気で描くタイプだった。中学生や中年の起用も拡がりがあった。身近な仲間で作った感じじゃなくて、クールな映画だが、内に秘めたホットな気合いが感じられた。

そして準グランプリは2作になった。(審査員の間でもめて!)そのひとつは『久美子と由美子』というコメディ。しかしめちゃくちゃ凄かった。笑った。その発想に感心&編集もよかった。2人の女の口喧嘩をアップで捉えて、すごいテンポで展開する。場内も笑いの渦に巻き込まれた。いやあ〜笑えるって大変難しいからね。笑いは生理的なもんだから、脚本よくても、演出と役者の演技がきてないと可笑しくないし。深夜のテレビっぽいというむきもあったが、とにかくこのアイデア、発想は素晴らしい。ここまで女の子の感情を表現できるのは女性監督かと思ったら、この日風邪で調子悪い、といってでてきたのは女性的な男性監督だった。僕はたまたま造形大学で非常勤講師しているが、この大野佐登留監督は造形大だった。なんか嬉しいネ。音楽も自分でやってるとのこと。

そしてもうひとつの準グランプリは『PRESENT』という人形アニメーション作品。圧倒的な技術の高さで審査員を唸らせた。感性の飛翔とか若さの爆発、みたいなものは感じられなかったが、凄い緻密で丁寧な仕事量、1年がかりで制作したらしい。音楽もセミクラシカルにきちんと職人していた。
音楽では慶應大学の竹林亮監督の『ジローの災難』でスネアドラムやラテンパーカッションでつけた劇伴が、安っぽい情緒的な音楽にしないという点で良かった。『kinkiri』というこだわりの世界観で包まれた作品に音楽も歪み系のギターがとてもいい融合をしていた。さすがに140本から残ってここに選ばれただけあって作品、音楽とも全体にレベル高い。


さて審査員はというと映画監督の冨樫森さん(「かわいいひと」「ごめん」「天使の卵」等数々の作品をてがけている。僕は彼とはなんと23年振りに会った)、キネマ旬報社取締役編集長の関口裕子さん(見るからに知的な方、静かにしゃべるがその内容は鋭い!唯一映画祭の審査員経験がおありになる方でした)、STUDIO4℃代表取締役プロデューサーの田中栄子さん(明るくがんがんいくエネルギッシュな方!ジブリ時代は「となりのトトロ」「魔女の宅急便」のラインプロデューサー、現在「鉄コン筋クリート」でも注目されている)、アスミック・エース エンタテインメント常務執行役員、製作宣伝プロデューサーの竹内伸治さん(ベルリン映画祭から戻ってきたばかりということでしたが、この日は審査員のまとまらない意見の進行のイニシアティヴをとって、とりまとめていただいた)という、いやいやほんとうにほんまもんの凄い方々でした。
映画祭後の懇親会では学生たちといっぱいおしゃべりできて、こちらもパワーをもらったし、楽しい語らいができました。お疲れ!!!


(01:17)

2007年02月25日

キネマ旬報映画雑誌キネマ旬報3月上旬号のサントラ・ハウス(同誌168〜169ページ)に私の記事が載っていますのでちょっとご紹介します。
映画『それでもボクはやってない』のサントラの話ということで1月下旬に映画音楽ライターの賀来タクト氏にインタビューを受けたものです。しかしながら映画『それでもボクはやってない』は音楽が目立つ作品ではないのでナゼ?みたいな...ね。音楽担当の私が言うのもなんなんですが、エンディング音楽のおかげですね。あの曲「静けさの中で」が高い評価を受け、勿論tomo the tomoの素晴らしいヴォーカルもあって、この雑誌で私を取り上げてくれたんでしょうね。そして次号では映画『アルゼンチンババア』のサントラ話中心にまた載るんです。
ところで、キネマ旬報は月に2回発行される雑誌。もう創刊80年を超える老舗映画誌だ。820円するから一ヶ月2回で1640円...エクスペンシブ!   まあでも週刊誌も月4回ちゃんと買うと1200円以上いくんだから驚くほどでもないか。
偶然だが、先日まったく別の機会でキネマ旬報の関口裕子編集長と一日ご一緒した。その話はまたいずれ....


(01:27)

2007年02月24日

zitherこの楽器はZither(チターor ツィター)。チター奏者の河野さんが演奏中。この楽器はなんといっても映画『第三の男』で「ハリーライムのテーマ」として有名な映画音楽になっている。これはアントン・カラスというチター奏者が作曲、演奏している。この写真のものはミュンヘンスタイルのチターでアントン・カラスのはウィーンスタイルなのでチューニングその他、楽器自体多少異なる。
そのチターの演奏はというと、左手でギターのネックにあたる部分を上からフレットを押さえつけて、ポジションをとり、右手親指にサムピックをつけてメロディを弾く(スティールギターをバーでなく指で押さえるような感じ)。と同時に右手の親指以外で、たくさん張られている解放弦をはじき伴奏をする、という超技巧が必要とする。たくさん張られている解放弦は弦と弦の間が狭い。オートハープとギターの原理が融合したような特殊な奏法を必要とする。オーストリア、ドイツで発達したようだ。
この日はCMエビスビールのレコーディングで私がその曲「ハリーライムのテーマ」をアレンジした...といっても2拍子の伴奏とメロディが成立しているシンプルなもの。このCMは何年もこの音楽を使用しているが私ははじめて担当した。レコーディングではチターとブラジルの楽器カヴァキーニョでも演奏され、また伴奏はピックギターでレコーディング。現在オンエアされているものはカヴァキーニョversionでアコースティックギター奏者の田代耕一郎氏に演奏していただいた。

(17:31)

2007年02月20日

ASAMA以前京都神護寺が出てくるCMでナレーションに弘法大師-空海は言いました。「ここに住み、朝は谷川の水を一杯飲んで、夕方は山霞を一呑みする。それだけで魂を養うのにはじゅうぶんです。」という一説があった。
空海は幼名「真魚」。讃岐生まれということだが、畿内説もあり。都会より山を愛した。また空海、20歳過ぎには大学を中退し山林での修業に入った。といっても当時僧侶となるには官許を必要としたわけだから空海さんの場合は、修行に入ったといっても認定された正式出家ではなく私度僧(官許を得ない自称僧侶)っていうこと。はやい話ドロップアウトかな? 現代で自称なんやら...なっていったらアヤシ〜奴ですもんね。
『空海僧都伝』によれば当時の心境を「我習う所は古人の糟粕なり。目前に尚も益なし。況や身斃るるの後をや。この陰已に朽ちなん。真を仰がんには如かず」と伝えている。大学で学ぶことは古人の言葉の糟粕(酒の絞りかす)のようなもので何の役にもたたない(弘法大師年表より)、
ということ。......やっぱドロップアウトしてヒッピー生活に入ったんだ。「書を捨て街に出よ」と寺山修司は言ったが空海は「書を捨て山に入りよ」か!両方かっこいい。話変わってTVのバラエティ番組で女性タレントが「エリートよりストリートよ!」って怒鳴ってた。ちょっと、これもロックっぽくて、そのタレント好きでもないが感心しちゃった。


(01:44)

2007年02月19日

マラソン別にそのつもりなかったんです。だいたい人がたくさん集まるとこそんな好きじゃないし....行列のできるラーメン屋、花火大会、渋谷スクランブル交差点、満員電車、休日の行楽地、ディズニーランド(あっ、ここ行ったことないんで強いこと言えないっすが)、東京ドームのコンサート、バーゲン会場、大晦日の有名な神社...
いやいやでも凄い、お祭りのようにたくさんのヒト、ヒト。.........それは2月18日お昼頃、僕は偶然銀座4丁目交差点にいた。この日、東京マラソンだったんですね。それも都内の名所巡り風にコース変わり市民マラソンとして新たなスタートを切った一大イベントでした。銀座のど真ん中交通止めで、ランナーがゆくゆく。
ただ道の反対側には終わるまで渡れないんです。7時間は交通規制してたようです。銀座の場合地下鉄入口から行く方法はあるけどね。
もうお昼だったのでトップクラスのランナーはとっくに走り過ぎた後。どしゃぶりの中でしたが、首都東京の中心をがんがん走れるんですから気持ち良さそうでした。

全然内容違うけど、イギリスのトム・リチャードソン監督の「長距離ランナーの孤独」っていう映画良かったです。1960年代のイギリス地方都市の不良少年が少年院送られて、そこで長距離走をする話。ひとつの青春ものです。これと同監督の「蜜の味」はやはりイギリスのブラックプールという田舎町を舞台にした、地味ながらいい作品で好きです。


(01:02)

2007年02月15日

今年もまたMPJで私、周防義和の映像音楽講座が行われます。
アマチュアからセミプロクラス向けの作曲編曲講座で、実際に周防義和が作編曲した
楽曲を題材にスコア、音源から分析。また参加者へは出された課題から作曲してもら
い2週間後の講座の際に発表、周防義和からコメントさせていただきます。

【日時】
  第1回3月9日(金) Start 19:30 (Open 19:00)
  第2回3月23日(金) Start 19:30 (Open 19:00)
  ◇全2回の講座です。
  ◇受講締切:3月8日(木)※定員になり次第締切ります。

【場所】MPJ事務局
  詳しくはこちらhpです。

(00:46)

2007年02月14日

東寺京都駅南側の八条口から西へ油小路から東寺道を行くと空海(高野山で修業したり、朝廷から偉い役職についたり、遣唐使の一員として唐にも行ってたスーパーなお方=後の弘法大師)が開いた大きなお寺、東寺がある。駅から15分弱歩いた。796年にまず金堂が建てられ826年に写真の五重塔が建立。といっても何度も焼失し、現在のものは江戸時代3代家光の頃に建てられたもの。
もともと桓武天皇が奈良から長岡京を経て平安京に都を移した時に羅城門の東西に大寺を置く為に造営したらしい。権力の記念行事でしょうか。ただ西寺は今はなく、その跡だけが残っている。金堂や講堂内にある立体曼荼羅や薬師三尊十二神将、大日如来、不動明王等は見ごたえある凄いものだ。国宝、そして世界文化遺産に指定されている。五重塔の建築様式も一層ごとに揺れが吸収するようにできてる、つまり耐震構造になっているとのこと。内部は一般公開しないのが常らしいが今は特別公開中ということで見れた。.....歩いて京都駅に戻った。

(00:10)

2007年02月13日

マルカート大阪中崎町のライヴハウス「創徳庵」で。photo:中村千夏(Faith)
アコーディオン弾き語りスタイルのシンガーソングライター《マルカート》。
《マルカート》はタテヤマユキのソロユニット名。いやいやいや!!!アコーディオン弾き語りソロのスタイルなんて初体験だ!驚き!でも素晴らしい。アコーディオンのテクニックは卓越していてお見事、といってもテクニックを売り物にする音楽ではないので昔のフランス映画の雰囲気がそこで上映されるがの如くココロ優しく包む。ちょっとレトロで懐かしい、彼女のパースナルな詩と歌世界。
そして、おフランス風で歌といえばシャンソンかと思うところそうではない、良かった!日本のシャンソン=クラシック崩れのリズムグルーヴない&大げさな抑揚で嘘っぽい・・みたいな印象(そうじゃない人もいるでしょうけど)。最もこの意見硬派音楽評論家中村とうよう氏にかかったら僕の何十倍何百倍手厳しいデスけど。

話戻ってとにかく《マルカート》タテヤマユキは現代のポップシンガーソングライターの歌唱、すごく大ざっぱに言えば、くせのない矢野顕子というか・・・別の意味でクセはあるが・・・本人は大貫妙子が好きだとか。とにかく日常的な題材を気取らないで茶目っ気もありで淡々と歌う。雰囲気でごまかす感じもない。あっけらかんとしたヴォーカルだ。ステージ後彼女に「マルカート(はっきり)で歌うね」と言った。レガートというよりはっきり歌う感じ。そして歌うときも、自分でカウントとる為に集中する時もいつも聴衆のほうをきっちり向いてる姿がとても気持ちいい。下向いたりしない。自らのバックグラウンドの音楽を愛し、自信もって楽しんでいる人だなあって。

しかしアコーディオンの左手のボタン部分で低音&和音の伴奏しながら歌い、右手で鍵盤でオブリガートいったりするときは、一人で完全に3役やっててすげ〜って感じ。まあピアノ弾き語りでもそうか・・・なんかとにかく新鮮なんですね。5度進行半音進行転調を駆使したフランスっぽい歌曲作曲も見事な職人業。作曲的に全く新しい感性という世界ではないが、昔のフランス映画風に現代の彼女の日常が重なって独自のものになった。
4枚のアルバム、1枚のアコーディオンソロインストアルバムをジェマティカ・レコーズからリリースしている。ライヴは東京、大阪中心に活動。これからも楽しみなオンリーワンのミュージシャンだ。


(00:19)
高満洋子大阪中崎町のライヴハウス「創徳庵」で。photo:中村千夏(Faith)
シンガーソングライター、高満洋子のステージ。泉尚也プロデュースのアルバムで聴かれた気持ちいい声、特に高い音域で伸びる声が心地良かった。piano弾き語りでほぼスローなしっとり多少ウェットな音世界。アコーディオンでの弾き語りを含め。最後の子守歌風の曲までゆったりとしたいい音世界が漂うように拡がった。写真のように最近は和服でのステージが多いとのこと。音楽がしっとり系なので彼女の声や詩とも違和感なかった。ライヴは東京、大阪中心に活動。


(00:07)

2007年02月12日

中崎町大阪梅田の隣、天満との間にある中崎町の商店街。いや〜ディープでんな。昭和30年代のような駄菓子屋がそのまんま残ってるぜ!その他の店も凄い凄い。時たまおしゃれな創作和食屋さんなんかもある。東京でも下町行けば残ってるのかな?この商店街・・・つまりスーパーとかコンビニがないっていうことか。僕の住む隣の佐久市なんかでも郊外の広大な敷地に車で来れるモールができてしまうと地元の昔からの商店街は寂れてしまう。でも便利で安いとか・・経済原理でそうなるのはしょうがないし・・・・という中でこんな場所があるのはなんかほっとする感じ。


(00:12)

2007年02月08日

Dylan/Archive《BOB DYLAN The Archive Vol.1》というDVD。これは1965年のサンフランシスコでのプレス会見をはさんで、1963年1964年1976年のライヴ映像が収録されている。
最初の3曲は1963年のワシントンD.C. での大規模なデモ、野外集会での壇上のマイクのところでのライヴ。歌うようなステージではないところが凄い臨場感に溢れている。ハーモニカホルダーにフォークギター弾き語りスタイル。ジョーン・バエズがハーモニーをつける。次ぎに1964年の山小屋風の室内で歌うディラン。「Talking WW3 Blues」 は殆どメロディというよりラップに近い。若き日のディランの独壇場パフォーマンスだ。すげ〜すげ〜!ただ見た目は天然パーマでリージェント崩れのようなへんちくりんなヘアースタイルはどう見ても、スターというよりストリートのお兄ちゃん。

フォークギター弾き語りでデビューしたので一応フォークとか、詩の内容からプロテストソング系とかに分類されたが、いわゆる白人的な綺麗なフォークソングではないので精神的にはROCKと言っていいだろう。クラシックや1930年代から50年代の素晴らしいミュージカルやスタンダード曲の価値観をぶっとばしてしまったディラン。そちら側から見たらディランはただの音楽知識のない下手で粗野な歌手だったのかもしれない。そちら側がそう思えば思う程にディランやロック音楽の価値観は高まり、1960年代後半からのヒッピームーブメントからロックがポップのメインストリートを完全に制覇する時代になる。マッカートニーみたいな人でも60年代中期は「Yesterday」をつくってスタンダード世代にゴマすったが時代はロックに流れていってた。
ディランはピート・シーガーやウディ・ガスリーといった1950年代のフォークを親世代に持ち、散文詩的な歌詞などでビートルズ、ストーンズに、その歌唱で歌に全く自信なかったジミ・ヘンドリクスにに多大な影響与えている。ジミ・ヘンドリクスはディランの「All Along The Watchtower」をレパートリーにしている。ストーンズの最高傑作1968年の『BEGGARDS BANQUET』の「Jigsaw Puzzle」はディランの影響のある歌と言えよう。

ではディランの歌はヘタか?きっと譜面は読めないでしょうが、フレージングは柔らかいしコブシも回る。一見投げやり風だが温かみのある唱法だ。1976年のフロリダでのライヴでの大ヒット曲「風に吹かれて」は原メロディの美しさをあえて捨ててリズムのリフのようなフェイクスタイルで歌う。それは即興ではなくゲストのジョーン・バエズとのデュオなのでわかるが、前もって綿密にメロディアレンジしている。こぶしも回る。美しいメロディよりも投げ捨てるかの如くリズムにメロディをぶつけるほうが、リアリティがある。単なるラヴソングでないし、ロックのひとつの技法だ。1950年代までのスタンダードな音楽の価値観とは異なるものだ。ロックシンガーも勿論ある意味鍛えられた声ではあるが、それがベルカントなどのマニュアルそのままだと現代の価値観を反映する詩を歌う時にリアリティない。パースナルなものをダイレクトに表現するポップやロックの感覚的な芸術性はそこに存在し、与えられた作曲家の楽曲をまず忠実に表現するところがスタートのクラシック音楽は職人的技術の中の芸術表現ともいうべきカテゴリーというべきだろうか。ここいらへんは硬派評論家中村とうよう氏に言わせれば「クラシックは作曲家、次ぎに指揮者中心の階級世界の...」ということになる。クラシックでは演奏家の「個」は最重要表現ではない。まあディランはそんなことどうでもいいと言うでしょうが。

フロリダでのライヴではバーズによっても有名な、これまた大ヒット曲「ミスター・タンブリンマン」(最近日本のCMでもリメイクされてた)「Just Like A Woman」と続く。マンドリン、フィドル、スティールギター、ギター、ベース、ドラムからなるカントリーロック風の編成で、勿論60年代後半からディランはすでにフォークギターからエレキに持ち替えている。「Just Like A Woman」はメロディの美しい曲だが、ここではまたロック風のラフなメロディにアレンジされている。またここでのゲスト、ジョーン・バエズは60年代のあのフォークの女王のシンボリックな長いストレートヘアではなくショートなのも時代の変遷を物語っている。ここでは背丈がほぼ同じなディラン&バエズはギター持って、ひとつのマイクに顔を寄せ合ってお互いの口がくっつくくらいの距離で息ぴったりでデュエットする姿がとても印象的。ディランの音楽はバエズのキレイなフォークをもぶっとばしたはずなのにバエズは60年代初期から、ずっとディランとデュオしているのがまたほほ笑ましくもある。
1970年代のヒット曲「Knockin' On Heaven's Door」はレゲエ調で。そしてクライマックスはやはり60年代のヒット曲「Like A Rolling Stone」。最高のロックチューンのひとつだろう。
ラップのようにラフに投げつけるように、それでいて温かみのあるAメロ部分から、サビは臭い技巧的な仕掛けがあるわけではなく、自然な流れで詩を生かしたいいリフが繰り返される。そのコーラス最後の歌詞「Like A Rolling Stone」というフレーズまでが流れるようにノっていくディランワールド全開。ほんとうに素晴らしい曲、このライヴのディランの歌が魂こもった集中力のきてるノリで絶好調だ。

全体に画像の状態はいいとはいえないが、まあARCHIVEというタイトルつけられちゃってると、未公開の...しようがないかな、というところ。


(01:03)

2007年02月04日

Norah J.NORAH JONESの新作『NOT TOO LATE』 が出た。これで3作目ということだ。
今までの2アルバムが世界中で何千万枚もセールスしたというから凄い。ライヴのDVD見ていてもノラ・ジョーンズは充分にベテランのような味わいがある。この作品はプロデューサーでベーシストで公私ともにパートナーのLee Alexsanderとニューヨークのアパートメントに作った自分たちのスタジオ「The Coop(鶏小屋)」でゆっくりリラックスしてレコーディングしたらしい。そして全作品の作曲又は作詞にノラのクレジットがある。
とにかく1曲目からいい感じのアコースティックギターのアルペジオで始まり、ノラのメローなヴォイスが素晴らしい。大ヒット曲「Don't Know Why」の作者のジェシー・ハリスも5曲参加。ツアーでも参加しているアダム・レヴィーもスライドギター等で渋い味だしている。おとなのポップミュージックだ。
とにかくノラの歌は、なんでこんなに力抜いて、いいムードでリズムや伴奏をしっかり捉えて無駄のないフレージングでしっとり歌えるんだろう、と感心してしまう。「Sinkin'Soon」では彼女の好きなデューク・エリントンの雰囲気をちょっとだけだしている。それもおおげさなブラスではなく、トロンボーンのミュートソロに伴奏はマンドリンやバンジョー(ただクレジットにはguitjoと記されてる。guitjo?ワタシ知らないぞ...ジェシー・ハリスが弾いてる)上品に、でもエリントン風に、そしてその歌唱はトム・ウェイツに影響受けたらしい。トム・ウェイツの名前が出るなんて、ノラはただものじゃない! キレイキレイのアコースティック音楽ってわけじゃないんだね、これは。good!

ノラはピアノもうまい。それも弾きまくったりする感じではなく、自分の歌のオブリガート(対旋律)を即興風にさらりと入れる。玄人を唸らせる!ジャジーなリズムへの対応も柔軟にできる人だ。
ただこのアルバムでの作曲は主にギターを使ってしているとのこと。またウーリッツアのエレクトリックピアノも雰囲気ばっちり、といったところ。ノラさんの能力ずば抜けて高い。ジャズ、カントリー、ソウルといったアメリカのいい時代(1970年代からそれ以前)のエキスをカラダに持っている。
育ちがいい女性、というとクラシック味が考えられるが彼女にはそれがなく(指の動きも綺麗だし、たぶん弾いたら弾けるんでしょうけど)アメリカンルーツミュージックとそのグルーヴに浸透している。そこがまたにくいね。
アルバム全体のアレンジは考えられているが基本的にはごてごてしたりはしていなくシンプル。はったり的要素、ショービズっぽい要素が全くない。〈アコースティック〉とか〈癒し〉とかでくくることでもなく、自分の音楽を自信もって楽しくやってるっていう感じ。

また、レコーディングはOTARI の16track multi,でチャンネル足りなくなるとProToolsHDでエディットして、コンソールはニーヴ、とか本屋で立ち読みしたサンレコ誌(機材の進歩についていけず「サウンド&レコーディング」誌は立ち読みでいいかな、って)のインタビューに出てた。いや〜いまどき凄いこだわり。とことん、じゃないか無理ない程度にアコースティックというかアナログでいってるんですね。

(01:05)