2014年03月

2014年03月08日

6613a1b0.jpgROLLING STONESがやってきた。
ミック・ジャガーとキース・リチャーズは70歳、チャーリー・ワッツは72歳、ロン・ウッドは66歳。
ジジイのロックだ。しかしミックのパフォーマンス、体型はとても70には見えないし、身体の動きも10〜20年前と大してかわっていない。朝は6時に起き毎日10キロ以上走り、夜も11時には寝るとのことらしい。
ストーンズの場合、一般には酒と女とドラッグとかの不良イメージばかりが目につくがミックは父が体育学の先生で厳しい家庭に育ちロンドン経済大学の特待生だった賢く運動神経も良い人なので、身体を鍛えたりストーンズのビジネス面まで自らイニシアティブをとるということができたのかもしれない。
ミックと同じロンドン南東ダートフォード生まれのキースはボーイソプラノで活躍した少年時代がある。
キースの女性スキャンダルはあまりなくパティ・ハンセンとも結婚30年をむかえた。
他のロッカーや映画スターと大して変わらないスキャンダルでもストーンズの場合はすぐ不良だのなんだのということになる。ミックやキースもそのマスコミイメージのミック、キース役を扮するか、っていうこともあるんだ、と言ってたりする。
ミック、キース、ロンの顔のシワもドラッグからくるものとか、になってしまうが駐日米大使のキャロライン・ケネディ氏も50代ながら凄いシワ、どう説明すんのかな。ストーンズの場合なんでもかんでもワルに結びつけるのがメディアっていう感じ。
そのキャロライン氏、どうでもいいが安倍首相も6日の東京ドームに来ていたとのこと。

そんなストーンズの東京ドーム公演、僕も4日6日の2回観に行った。
ポリス(この時は音がひどく、もう東京ドームにはこないと思ったが、来ちゃった)を見に行って以来数年振りの東京ドーム、開演直前には満杯、5万3千人が入ったらしい。
僕が住んでる軽井沢町が人口1万9千人なので、その2倍以上の人々が同じ場所に集まったということだ。
5万3千人の聴衆がミックにうながされ一緒にコーラスをする時の凄さはちょっと言葉で表現できない。

20年前の1990年代のアメリカのショービズのニュースを見ると「ローリング・ストーンズがツアーを開始しましたが皆50代にさしかかり、これが最後のツアーと言われています」なんていうことを言われていたのを思い出す。それから20年、いまだに現役バリバリでワールド・ツアーしてるのが凄い。

6日のミック・ジャガーは日本最後の公演ということか、凄い絶好調で「You can't always
get what you want」が終わってもまだノリノリでキーボードのチャック・リベールに
come on,come on,とカウントしてまたコーダ部の演奏を引き出したり、上着が脱ぎかけながらの
だらだらしたパフォーマンスで、あまりミックっぽくないんだけど、いかにノッてるかっていうのが
わかった。
ミックって責任感強いから客を楽しませようとして、自分がリラックスして歌っているのかなって
、ファンとしては思う時があるんだけど、今回は楽しんでたかな、ていう瞬間がある。

「Midnight Rambler」のリズムチェンジ、ルバ−ト、客とのコール&レスポンスは4日、6日で微妙に
異なり、ミックが客の反応で替えてアドリブでひっぱているのが楽しめた。
この曲では1969年から1974年頃までメンバーだったミック・テイラーもスペシャルゲストで参加して素晴らしいテクニックのブルース・ギターのソロを聴かせた。
テイラーは昔は微動だにしないで弾くスタイルだったが現在はミック・ジャガーと一緒に動いたりずいぶん陽気な雰囲気になった。本人もメチャ楽しそうに演奏している。
ジャガーのブルース・ハープとのやりあいは見ものだった。
キースは全体的に絶好調という感じではなく珍しく慎重な表情でしたね。
まあそのくらいのほうが暴走しなくていいかも。

「Miss You」ではファルセットの難しいリフを観客にも歌わせ盛り上がった。
ここではベースのダリル・ジョーンズにソロの場面を与えた。

サポートのメンバーも90年代初めから固まったメンバーだし、
ファミリー的な雰囲気でよかった。みんなコーラスするし。
女性コーラスのリサ・フィッシャーなどを描いた、「バックコーラスの歌姫たち」という
ドキュメント映画がアカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門で受賞したらしい。
これは業界の裏を描いてるから面白そう、見てみたい。
ミックもリサを紹介するときに祝福したみたいです。
リサをフィーチャした曲「Gimmie Shelter」もスケール感のある名曲で、せりだしたステージに先にリサに行かせてソロで歌い出すと大歓声でした。リサのアドリブの高音域は凄かったです。
リサ・フィッシャーはコーラス参加ですが、以前にグラミーの最優秀R&Bヴォーカルを受賞してるソロキャリアでも実力のあるシンガーです。
もうひとりのコーラス、バーナード。ファウラーもハービー・ハンコックのバンドでも有名だが、ドラムのチャーリー・ワッツのジャズアルバムでジャズ・ヴォーカルを聴かせているとのこと。

6日の日本最後の公演にはサプライズゲストでギタリストの布袋寅泰が1曲参加、場内がどよめいた。
テレキャスの音質がちょっときんきんしてたのが残念だったが、ミックと1つのマイクで一緒に歌う場面もあり、
無事コラボを終えた。
ソロ回しはロン、布袋、キースの順番で、キースの時の歓声は普通以上に大きいものでした。キースはギブソンセミアコでシンプルなフレーズですが、太い音質で観客の心をぐっとわしづかみっ、というやつでした。

いやいやこれは凄いことです。
布袋さんの参加は日本人としても嬉しいこともあり・・・ただストーンズというロックを作ったレジェンドなバンドの1つとの共演ということでコアなファンからは否定的な声もあがったり、で微妙なムードではあったことは確か。
でも最後の拍手は温かかった気がします。そういうところは日本人観衆の良き優しさデス。

アンコールの「You can't always get what you want」では洗足学園音楽大学の男女20人くらいの合唱団のコーラスを絡めた。これも「Let It Bleed」のレコード通りを再現した。フレンチホルンをティム・リースが吹いた。当時参加していたアル・クーパーのハモンドのフレーズをチャック・リベールが弾いている。
音大生の合唱の人々、ストーンズのこと自体知らないんじゃないかなあ、なんて思いつつ、でも共演なんてすげえなと。


ストーンズのロック曲はシンプルですが、「Midnight Rambler」「You can't always get what you want」「Gimmie Shelter」「Sympathy For The Devil」などスケール感のある楽曲づくりが良いです。
それは彼らも自分たちの曲を自分たちで作詞作曲するスタイル(「You can't always get what you want」なんかはシンガーソングライター的なアコースティック楽曲)ですが、パーソナルなものだけになりがちなフォークアコースティック系のミュージシャンと異なり、リズムに乗るという大前提、短くて皆で共有できるごきげんなリフがある、コード進行が細かくないなどの理由があると思う。リズムに乗ってみんなでリフレインを楽しむというのはパースナルな世界から肉体的な快楽を共有する世界への導きなので楽しい。
あとはギターミュージックというのはストロークでも成立し、楽しめるので4小節とか8小節コードが変わらなくても成立する作曲が可能ということもある。
またキース・リチャーズはテクニックの凄いギタリストではなくバンドサウンドの核のプレイに徹していること、自らを「マスター・オブ・リフ」と呼びリフづくりのキングだということが、ロックというスタイルを強固なものしている。
テクニックで見せる聴かせるソロだと曲がネタになってしまい、技術的な演奏家の音楽になってしまう恐れがあるが、リフで持たせるのはバンドの核、根幹を築くという意味で重要だ。U2のエッジやポリスのアンディ・サマーズなどはソロで聴かせるのではなく伴奏でバンド・サウンドの構築に重点を置いた演奏で素晴らしい。


「Satisfaction」「Jumping Jack Flash」「Brown Sugar」「Happy」「Start Me Up」「It's Only Rock'n Roll」「Miss You」「Paint It Black」「Honky Tonk Women」「Tambing Dice」等々あまりに美味しいリフのヒット曲が多すぎて書ききれないがシンプルなのによくこれだけの楽曲を生産できたものだ。
「Tambing Dice」はキースが最も納得できてる曲で、アメリカ南部のSwampMusic風なミディアムなロック。
ミックやキースは25歳から30歳くらいの時にほぼベストと呼ばれるアルバムを作った。それらは「BEGGARDS BANQUET」「LET IT BLEED」 「EXILE ON MAIN SYREET」で2人とも自らベストだと言っている。
今考えると20代の若者にしてはずいぶん渋い、いわゆるヒットチャート的でないブルースやロックンロール、アメリカルーツ音楽に根ざした大人な楽曲作りをしている。それでそれがあまりマニアックになっていないポップさがジャガー&リチャーズのソングライティングと言える。

ヒット曲ではないが僕が好きな「Loving Cup」「Sweet Virginia」などのカントリーのストーンズ解釈曲、「Live With Me」のファンキーナンバー、「I Got Blues」のメンフィスとかマッスル・ショールズレコード風R&Bが聴きたかったけどしようがないデシタ。
ミックのパフォーマンスはジェームス・ブラウンの影響を原点にティナ・ターナーの女性のアクションやポーズをそのままやるというアイデアらしいです。
振付があってダンスするソウル、ダンス・ミュージック系とは違って絶えず感じたまま適当にパフォーマンスしてるミックはやはり自由なロック・ミュージックのパフォーマンスです。

4日の日はアコースティックなヒット曲「Angie」(6日は名曲「Ruby Tueday」だった)を演奏した。この曲はちょっと切ないバラードなので、やっぱこういうメロの曲って日本人は好きなんだよね。結局ドライなロックリフよりウェットなメロディっていうのが日本人。僕の世代のビートルズ、ストーンズ、ロック好きとか言っても大半は昭和の歌謡メロが染み付いていて、いい曲を判断する時の基準も泣かせるメロディ・・なんてことが根底にある。別にそれが悪いことではないけど、ロックの価値観というのはそれと異なる原点を持つので、そこを理解しているのだろうか、という疑問がある。


ところで、
僕は6日のコンサート中、ずっと声だしてたし叫んでたので、次の日は喉の調子がダメになってしまいました。
その日はただのガキに戻った感じ。
まあ12歳の時からのファンなので、ミックとキースが未だに現役でかっこいいっていうのが
嬉しいことです。

16時半開場で18時半開演でした。僕は時間が余っていたので17時頃東京ドームに着いてしまったのですが、すでに凄い人・・・とくに場外のグッズ売り場は長蛇の列でそこだけで1時間待ちだったらしいです。
試しに並ぼうとしたら、ドームを4分の1周くらいしているんじゃないかと思うくらいでした。
場内のグッズ売り場のひとつでTシャツ買いましたが、そこは30人待ちくらいで数分で買えました。
とにかくお祭り、ローリング・ストーンズ祭りといった東京ドームでした。
写真は東京ドームの22番ゲート付近の柱に貼られたストーンズのイラスト。

ストーンズ観た次の日、日本ではサムラゴウチのゴーストライター事件の会見があったが、ここで話題にするに価値しない下らない詐欺事件だ。音楽にとって悲しい。クラシックファンの変なヨーロッパアカデミズム指向も考えもんだ。広島、震災絡みで音楽や芸術をすることは慎重にしなくてはならない。
音楽って聴いて好きになってくれたら嬉しいが、「嫌い」と言える選択肢も残して皆さんに提示しなければ不自由だ。広島、震災、原発、反核、チャリティ絡みで、不自由な音楽の提示は本来、音それ自体に意味が無くて素晴らしく楽しい音楽にとって強制的に意味付けをすることになりファシズムの国の歌のように不幸なこと。意味は聴く人それぞれで各々、もし異なってもいいから勝手に感じてくれるのがハッピーなことだと思う。
勿論今回の騒動、あの方はそれ以下だけど。

(11:07)