2018年12月

2018年12月17日

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BEGGARDS BANQUET   THE ROLLING STONES 1968

ローリングストーンズ最大傑作のひとつ「BEGGARDS BANQUET 」から50年かあ〜感慨深い。
このレコードの輸入盤発売日に、中学生の僕は渋谷ヤマハに行き買った思い出がある。日本盤より輸入盤のほうが先行して発売する時代だった。

1968年当時このトイレのジャケットは下品だとしてレコード会社が判断して、ストーンズ側とトラブルになり、結局別のジャケットでリリースされたが数年後にこのオリジナルジャケットになったいわくつきのアルバム。今回50周年記念アルバムでは両方のジャケットがついているし、「Jumping Jack Flash」のシングル盤ジャケットも付いている!

音楽的にはサイケデリックの時代にさよならして、ジミー・ミラーをプロデューサーに迎えたストーンズは原点であるブルースやロック、R&B、カントリーというアメリカ内のエスニックのようなルーツにたどり着いてこのアルバムを制作した。ミックもキースも24〜25歳の時だ。ブライアン・ジョーンズもスライド・ギターで参加していてほぼ死ぬ直前なので事実上の彼の遺作かもしれない。イージーな明るいヒットナンバーがない濃いロックのアルバムであり、ロック史上の名作と言える。レコーディングはストーンズのロンドンの拠点、オリンピック・スタジオ。
このBEGGARDS BANQUET , LET IT BLEED, EXILE ON MAIN STREETが3大傑作。

01 Sympathy For The Devil これはミックが作った曲。トニックから長2度下がる進行はロック音楽にとってダイアトニックに等しいほどスムースな流れ。ベースはキースが弾いていてこのベースラインが普通のラテンになっていないので独特のロック曲になった。スタジオミュージシャンのうまいベーシストだったら逆に普通のラテンパターンにいっちゃうかもしれない。ストーンズの最高傑作。伴奏陣にギターは使用していない。間奏のギターソロはキースにしては珍しい奏法。今では当たり前かもしれないけど、こういうしゃべり口調で叩き込むミックの唱法は独壇場だ。ニッキー・ホプキンスのピアノも途中からファンキーな伴奏で白玉ではなく絶えずフレーズしている。ちなみにニッキーは1990年代に3本の日本映画の音楽担当。
戻って、この歌詞はミックがロシアの小説からインスパイアされた言葉やケネディ暗殺とかを入れて、単なるポップの歌詞でないところも先駆的、甘いロマンティックや青春とは異なるロックという新しいジャンルを当時感じた。ジャンリュックゴダールのドキュメント映画「ワンプラスワン」のこの曲のレコーディング風景、アレンジの過程が克明に記録されている。

02 No Expectations これはストーンズならではアンビエントなカントリーかも。根底にはブルースがある。キースのアコギはギブソンのハミングバード。ブライアンのスライド。シンプルなだけに深みを感じる。しかしミック25歳でこういうの作曲か。
ニッキー・ホプキンスのピアノはフロイドクレイマー風のカントリー。ファンの間では評価高い曲。中学生だった僕は当時すぐにこの曲の良さが理解できなかった(アクティヴなリズム曲じゃないので)がだんだんジワジワ好きになった。ブライアンの最後の良い演奏〜彼の遺作的な曲かも。

03 Dear Doctor これもストーンズならではカントリー。アコギとブルース・ハープがめちゃ雰囲気を作っている。けっこうメロディアスでわかりやすい曲、ハモリもただのキレイキレイじゃなくて好き。こういうテイストもうまいことこなしちゃってる。ブルース・ハープはブライアンか、実はミックかも。本物の南部フィーリングとは別なんだろうけどなんか良い。

04 Parachute Woman 性描写が凄い歌詞だけど当時の僕=中学生には理解できなかった。その後対訳見てすげえ〜こと歌ってる!ってコーフン。アコギから始まるけどエレクトリックなムード。この歪み感は独自のエフェクト、そしてこのフィーリングはストーンズサウンド。1コーラスの最後にドミナントに行かないのが当時のアメリカの白人のブルースと異なっていた。スライドもテクニックが凄いというフレーズではなく曲の一部になるプレイをしている。テクニックが凄いと曲の良さよりソロの良さになるけど、こういうフレーズで貢献すると曲の良さになる。そこに深いなにかがある気がする。

05 Jig-Saw Puzzle ベースが後で歌と一緒に入ってくるのが面白い。そうするとアコギが一時消える。なんか不思議な曲とも言える。当時ボブ・ディラン的な歌い方の影響って言われてたけど、今聴くとやっぱミックだ。1968年ころ日本でピアノの音楽っていったらクラシックとジャズしか知らなかったがこういうニッキーのファンキーで絶えずリズミックに動いているのは知りえなかった。この頃のストーンズのピアノは必ずニッキー・ホプキンスだ。 リフレインしているうちに盛り上がる、というリズム音楽、身体性の自然な流れ。

06 Street Fighting Man 「Jumping Jack Flash」についでシングル・カットされた。同時期のレコーディング。「王宮に革命を」と言いつつ「しがないオレはロックンロール・バンドで歌うだけ」という一節がミックの正直な心情かもしれない。当時はベトナム反戦やデモの時代で平和運動が真っ盛りだった。レノンはそのまま真っすぐにラヴ&ピース運動に行った。この曲もギターの歪感が独特でアコギをカセットに録ってそれをオーバーロードさせて再生してコンプ風だったりエレキ風な音質を作ったと言われてる。今のような機材がない時代、いろんないい意味チープなアイデアで独自のサウンドを作った。ドラムが普通に2拍4拍のスネアじゃなくて面白い。デイヴ・メイスンも参加している。キースやミックの作曲ってsus4のロックだ。この曲もsus4 の使い方が多く、その後のロックギターのsus4サウンドの先駆的な役割をしている。

07 Prodigal Son イントロから渋いアコギのフレーズ。当時のアメリカ人もできないようなルーツ的なブルース。原曲はロバート・ウィルキンスの戦前の作品。こんな題材を若きミックとキースは取り入れるいうことは相当黒人音楽を聴きこんでいるのだろう。ポップのヒット・チャートとは無関係な彼らのやりたい音楽を通している。

08 Stray Cat Blues ダイアトニックでないコード進行に音符でない歌い方で成立している。ライヴversionだと変にメロディになっていてミックも実はレコーディングの時の集中力でこういうメロディ、歌になったのではないか。コーダ部のソロではないキースのギターのムードが凄い。ソロで聴かせるというのでない分だけ曲の印象を高めている。左右2本ともキースのギター。コーダ部分がコンガなどでまた独自の世界観になっている。キースのソロとも言えないソロが全体へのブレンド感に徹している。

09 Factory Girl このカントリーアイリッシュ風なルーツミュージックも普通のポップな人では書けない濃いムードに満ちている。このアルバムはエレクトリック曲とアコースティック曲のメリハリが効いている。当時ブルーグラス的フィドルなんて知らなかったし、中学生にはきつかったが2年後には大好きになっていた。マンドリンやフィドルはある意味アイリッシュみたいな感じもある。パーカッションもエスニック。工場のおねえちゃんと待ち合わせ、大根足の工場の女、なんていう歌詞、当時の日本ポップから言ったら考えも及ばない世界。1968年当時こんな音楽は衝撃だった。

10 Salt Of The Earth 聖書の一節を題材にした歌詞。最初のワンフレーズはキースがメインで歌っている面白い構成。その理由も不明な緩い時代だった。たぶんキースが作った曲。スケール感のある曲で僕もギター弾きつつ歌う練習をした思い出がある。R&Bシーンで活躍する黒人女性合唱も説得力あって当時の日本のポップ・ロックでは考えられない凄さを感じた。ゴスペル風。コードはまたまたSus4も多用。2beatになるのも面白い。もしかしたらドラムはプロデューサーのジミー・ミラーが叩いていると思われる。この編曲の感じが次アルバムの「You Can’t Get Always What You Want」に繋がる。1989年ガンズ&ローゼスがストーンズのライヴにゲストした時にこの曲を一緒にプレイしたエピソードが有名。


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