2006年09月07日
「この曲はロックっぽくしよう!」なんて会話、よくあるが、え〜っ?作曲上そうなってないじゃん。という場合が多い。
ここでいうロックは基本的なロック。いまやなんでもロックになっちゃってるしね。Rockは絶えずドラム、ベース、ギターなどでリズムキープされている。2拍目と4拍目に響き線の張ってあるスネアドラムが強く叩かれるリズムパターンが特徴なので(勿論1拍目3拍目などにKick=BassDrumもいる)、またエレキギターは歪んだ音(この歪みはちょい悪っぽいからいいのだけど、それ以上に重要な意味あり--いずれ解説シマス)を出すので、歌手はそれに負けないパワーが必要になる。男声ヴォーカルでもおのずとフランク・シナトラよりは音域高めになる。譜面でいうと記譜上のト音記号の一番上のGの音が実音(ファルセット=裏声でなく)で歌えないとロックっぽくない。音域高そうには聴こえないミック・ジャガーだってロバート・プラントのような高音域でないとはいえA の実音がばりばりに出る。
うえのAってけっこう高いんですよ。普通の男性でもだいたいDとかEくらいの実音歌えるのがやっとだから。ちなみに女声はAの半音上のB♭とかの実音でるのが普通なのでロックの男声は女声音域に近いわけです。ロバート・プラント(レッドツェッペリン)やスティングはほぼ女声音域歌えます。
また絶えずリズムセクションが強いビートを出し技巧的なアレンジはあまりふさわしくないので、ダイナミクスの臭いほどの強弱つけないのがかっこいいロックなのである。つまり作曲上はサビにきたからといって技巧的に凝ったメロディがくるわけではないので、そのかわりごきげんなリフの繰り返すサビだったり、なんらかの手続きはなされている。いわゆる歌謡とは異なる。ウェットな節回しで口ずさんで泣ける...みたいなのナシなんです。まあロックファンはそれでも泣いちゃう境地に行ってますが。リズムキープの強いということはめそめそウェットなメロディより毅然とした感じになってくるわけですわね。まあ歌詞の内容はしょうもない自分の弱さの吐露だったりするのですが、ブルースもそうなのと同じように、「めそめそ」がネタでもいいのですが、それを逆説的に居直ってガンガンいくのがまたいいわけです。「ダメなアタシ」を直接的に美化していくのが演歌っていうことでしょうか。モチロンそれはそれでひとつの美学ではありますよね。
ボブ・ディランの1960年代後半の名曲『Like A Rolling Stone』もAメロ部分はまるでラップの如く、早口フレーズのディラン節が炸裂し、サビで皆一緒に歌えるリフで...How does it feel〜Like A Rolling Stoneという歌詞で終える。ロックっぽい作曲の典型でしょう。また音程も無視するかのように情緒的に旋律されていないのがロックっぽいデス。コード進行になぞった美しいメロディなどはいらないわけです。何故って、強力なリズムキープにグルーヴしているから。そのほうに快楽があるのです。ディランのような歌いかたはそれまで誰もしていない革命的なものだった。フォークブームでデビューしたが、それまでの白人的キレイキレイのフォークではなくR&Bの影響からシンコペ(たとえばメロディを半拍突っ込んで歌う...つまりリズムキープがカラダにはいっているとできる技である)ーションしたりキレイなメロディも崩して汚くしたり...しかしそれが反戦や若者の欲求不満を表現するとき非常にリアリティを出し、一躍トップスターになりフォーク越えしていった。
こんな歌いかた習ってできるもんじゃない。っていうかアカデミックやっちゃったら行けないところでアートしている。ボブ・ディランはいろんなミュージシャンに影響与えている。ジミ・ヘンドリクスは自分の歌に全く自信がなかったがディラン聴いて、これでいいんだ、と思ったとのこと。またミック・ジャガーもディランの歌詞を見て、これでいいんだ、と感じたらしい。まあそれは職業作家が書くいわゆる「歌詞」から私小説で恋愛から社会派的なところまでいくシンガーソングライターの時代への幕開きでもあったようだ。
CREAMのブルースに根ざしたロック大傑作楽曲『Sunshine of Your Love』(1967)はギターの2小節のリフがそのまま歌メロになり数回リフレインする。ただリフレインの時微妙なニュアンスで譜面上でいう完全な同じ音符というわけではない。リズムにノリながらいいグルーヴのアドリブ感覚で歌詞にあったメロをはずしていくのである。その後サビになるがサビも盛り上がるわけではない。非常にクールな展開で5度進行やドミナントからの機能的な解決はない。それ以前のスタンダードと決定的に異なるのはここでも明らかだ。またサービスというか媚びた雰囲気がしないのもロックのひとつの要素だ。この『Sunshine of Your Love』はいわゆる売れセンという感じがまったくない。それも当時、凄いことだった。CREAM《DISRAELI GEARS》のDVDではエリック・クラプトンがこの曲を解説する箇所があり興味深い。
写真はCREAM《DISRAELI GEARS》1967
ここでいうロックは基本的なロック。いまやなんでもロックになっちゃってるしね。Rockは絶えずドラム、ベース、ギターなどでリズムキープされている。2拍目と4拍目に響き線の張ってあるスネアドラムが強く叩かれるリズムパターンが特徴なので(勿論1拍目3拍目などにKick=BassDrumもいる)、またエレキギターは歪んだ音(この歪みはちょい悪っぽいからいいのだけど、それ以上に重要な意味あり--いずれ解説シマス)を出すので、歌手はそれに負けないパワーが必要になる。男声ヴォーカルでもおのずとフランク・シナトラよりは音域高めになる。譜面でいうと記譜上のト音記号の一番上のGの音が実音(ファルセット=裏声でなく)で歌えないとロックっぽくない。音域高そうには聴こえないミック・ジャガーだってロバート・プラントのような高音域でないとはいえA の実音がばりばりに出る。
うえのAってけっこう高いんですよ。普通の男性でもだいたいDとかEくらいの実音歌えるのがやっとだから。ちなみに女声はAの半音上のB♭とかの実音でるのが普通なのでロックの男声は女声音域に近いわけです。ロバート・プラント(レッドツェッペリン)やスティングはほぼ女声音域歌えます。
また絶えずリズムセクションが強いビートを出し技巧的なアレンジはあまりふさわしくないので、ダイナミクスの臭いほどの強弱つけないのがかっこいいロックなのである。つまり作曲上はサビにきたからといって技巧的に凝ったメロディがくるわけではないので、そのかわりごきげんなリフの繰り返すサビだったり、なんらかの手続きはなされている。いわゆる歌謡とは異なる。ウェットな節回しで口ずさんで泣ける...みたいなのナシなんです。まあロックファンはそれでも泣いちゃう境地に行ってますが。リズムキープの強いということはめそめそウェットなメロディより毅然とした感じになってくるわけですわね。まあ歌詞の内容はしょうもない自分の弱さの吐露だったりするのですが、ブルースもそうなのと同じように、「めそめそ」がネタでもいいのですが、それを逆説的に居直ってガンガンいくのがまたいいわけです。「ダメなアタシ」を直接的に美化していくのが演歌っていうことでしょうか。モチロンそれはそれでひとつの美学ではありますよね。
ボブ・ディランの1960年代後半の名曲『Like A Rolling Stone』もAメロ部分はまるでラップの如く、早口フレーズのディラン節が炸裂し、サビで皆一緒に歌えるリフで...How does it feel〜Like A Rolling Stoneという歌詞で終える。ロックっぽい作曲の典型でしょう。また音程も無視するかのように情緒的に旋律されていないのがロックっぽいデス。コード進行になぞった美しいメロディなどはいらないわけです。何故って、強力なリズムキープにグルーヴしているから。そのほうに快楽があるのです。ディランのような歌いかたはそれまで誰もしていない革命的なものだった。フォークブームでデビューしたが、それまでの白人的キレイキレイのフォークではなくR&Bの影響からシンコペ(たとえばメロディを半拍突っ込んで歌う...つまりリズムキープがカラダにはいっているとできる技である)ーションしたりキレイなメロディも崩して汚くしたり...しかしそれが反戦や若者の欲求不満を表現するとき非常にリアリティを出し、一躍トップスターになりフォーク越えしていった。
こんな歌いかた習ってできるもんじゃない。っていうかアカデミックやっちゃったら行けないところでアートしている。ボブ・ディランはいろんなミュージシャンに影響与えている。ジミ・ヘンドリクスは自分の歌に全く自信がなかったがディラン聴いて、これでいいんだ、と思ったとのこと。またミック・ジャガーもディランの歌詞を見て、これでいいんだ、と感じたらしい。まあそれは職業作家が書くいわゆる「歌詞」から私小説で恋愛から社会派的なところまでいくシンガーソングライターの時代への幕開きでもあったようだ。
CREAMのブルースに根ざしたロック大傑作楽曲『Sunshine of Your Love』(1967)はギターの2小節のリフがそのまま歌メロになり数回リフレインする。ただリフレインの時微妙なニュアンスで譜面上でいう完全な同じ音符というわけではない。リズムにノリながらいいグルーヴのアドリブ感覚で歌詞にあったメロをはずしていくのである。その後サビになるがサビも盛り上がるわけではない。非常にクールな展開で5度進行やドミナントからの機能的な解決はない。それ以前のスタンダードと決定的に異なるのはここでも明らかだ。またサービスというか媚びた雰囲気がしないのもロックのひとつの要素だ。この『Sunshine of Your Love』はいわゆる売れセンという感じがまったくない。それも当時、凄いことだった。CREAM《DISRAELI GEARS》のDVDではエリック・クラプトンがこの曲を解説する箇所があり興味深い。
写真はCREAM《DISRAELI GEARS》1967
(00:38)
この記事へのコメント
1. Posted by 阿部麻里絵
2006年09月07日 01:03
はじめまして☆ブログ見させていただきました↑歌手やってますι良かったら遊びに来てください☆あっ、足跡残してくれたら嬉しいです(>_<)
2. Posted by NAOIZM 2006年09月12日 03:14
この連載、とても楽しみです!
僕もCREAM《DISRAELI GEARS》のDVD見ました。
このDVD、とても興味深かったですね。
ジミヘン、スティービーやザ・バンドなど、このシリーズ、とても面白いですね。
僕もCREAM《DISRAELI GEARS》のDVD見ました。
このDVD、とても興味深かったですね。
ジミヘン、スティービーやザ・バンドなど、このシリーズ、とても面白いですね。