2006年08月
2006年08月19日
連斬戦艦大和用木甲板プラシート
下記のシートを8/20のワンダーフェスティバル2006夏で発売します。
ブースはあらあらこまった堂(A34−12)です。

・特徴
この木甲板プラシートは、インクジェットプリンタ用プラシートに大和の木甲板を1枚1枚1/700リアルサイズで印刷したシートで、タカラトミーから発売されていた連斬戦艦大和の甲板パーツの代わりに取り付けるよう想定して作成しています。この為、他社キットとは平面形が異なるため、そのままでは使用出来ませんご注意下さい。
・戦艦大和の木甲板の概要
旧日本海軍の戦艦の木甲板は伊勢型まではチーク材や欅(ケヤキ)、長門型以降は檜(ヒノキ)が使用されていました。【(参)江畑謙介著作:軍艦の塗装:出版 モデルアート社刊モデルアート(連載)】
大和型にも使用された檜は、軟材と言われ、幅125mm、厚さ65mm以上のものが使用されていましたが、長さについては確証ある文献がありません。しかし最近ネット上では研究が進み、当時の技術では6m位が限界であったろうと推定されています。【山野内氏のウェブページ「模型 海と空」】
また木甲板の取付は下記の基準で取り付けられていたようです。
1.木甲板の縦方向のつなぎ目は、船体のフレーム構造の位置に合わせた。
2.つなぎ目の位置は横方向6枚おきに一致している。
3.1枚おきに繋ぎの位置を1フレームずつずらして取り付けた。
ただ、船体フレームは1フレーム間の幅が1000mmから1225mmとなっており、また大和坂ではその傾斜分延長されていたので、木甲板の長さは6m固定とはなりません。
つまりその差異を考慮して作図する必要があります。
・連斬大和用プラシートの作成
木甲板はイラストレーターを使用して作成しています。フレームの位置はアテネ書房の戦艦武蔵建造記録の戦艦武蔵の断面図を使用しています。
木甲板の取付は先の説明では判りにくいと思いますので、下図を用いて説明します。
下図は111フレーム付近ですが、104から111フレームまでが1200mm間隔となっており、111〜113フレームまでが1150mm、そして113フレームからまた1200mmとなっています。しかし108フレーム以前は大和坂となっています。そこで同図面から大和坂の傾斜の割り出しました。

フレーム 108を原点として
No.108〜No. 89: l=23,100mm / 高低差 h=1,700mm
: 木甲板の実長 23,162.5mm (+62.5mm)
No. 89〜No. 61: l=30,650mm / 高低差 h= 150mm
: 木甲板の実長 30,650.4mm (+0.4mm)
No. 61〜No. 40: l=18,900mm / 高低差 h= 120mm
: 木甲板の実長 18,900.4mm (+0.4mm)
フレーム No.89以前は 直しようが無いのですが、No.89〜No.108に関してはこのフレーム間の全長が 62.5mm増加するため、1フレーム均等に割り振ると約3.2mm/フレームの増加になります。木甲板は1本で4〜5フレームとなりますから、1本あたりでは、12〜15mmの違いになります。それを 1/700にすると、木甲板1本当たり 0.005mm程度の差になります。
ここで木甲板の一部を分かり易く木甲板を緑、橙、水色で塗り分けてみました。
1) 水色木甲板上: No.110〜115
5900mm (= 1200mm x 1 + 1150mm x 2 + 1200mm x 2 )
2) 水色木甲板中: No.111〜116
5900mm (= 1150mm x 2 + 1200mm x 3 )
3) 水色木甲板下: No.112〜117
5950mm (= 1150mm x 1 + 1200mm x 4 )
4) 橙色木甲板上: No.107〜114
5953.2mm (= 1203.2mm x 1 + 1200mm x 3 + 1150mm x 1 )
5) 橙色木甲板中: No.108〜116
5900mm (= 1200mm x 3 + 1150mm x 2 )
6) 橙色木甲板下: No.109〜114
5900mm (= 1200mm x 2 + 1150mm x 2 + 1200mm x 1 )
7) 緑色木甲板上: No.105〜110
6009.6mm (= 1203.2mm x 3 + 1200mm x 2 )
8) 緑色木甲板中: No.106〜111
6006.4mm (= 1203.2mm x 2 + 1200mm x 3 )
9) 緑色木甲板下: No.107〜112
5953.2mm (= 1203.2mm x 2 + 1200mm x 2 + 1150mm x 1 )
となります。
ところで、本当に1/700リアルサイズなのか疑問に思う方もいると思いますので、下図をご用意しました。

イラストレータの選択した図形のプロパティダイアログを赤で囲ってますが、この「H」が木甲板の幅、「W」が木甲板の長さになります。青で囲ったところが設定している木甲板長で、黄色で囲われているのが現在選択している木甲板(図形)です。
1: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.585 mm x 700倍 = 6009.5mm (6009.6mm)
2: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.581 mm x 700倍 = 6006.7mm (6006.4mm)
3: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.428 mm x 700倍 = 5898.9mm (5900.0mm)
4: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.5 mm x 700倍 = 5950.0mm (5950.0mm)
5: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.504 mm x 700倍 = 5952.8mm (5953.2mm)
如何でしょうか?
リアル 1/700と言う事がお判り頂けたでしょうか?
このプラシートを使えば、あなたの連斬大和に、既存のキットや作品、そして1/700以上の大スケールをも凌ぐ考証に忠実な木甲板を設置する事が可能になるのです。
・木甲板プラシートの使い方
1.船体
この木甲板プラシートは連斬大和を直結した状態での取付しか想定してませんので、まずは連斬大和の船体の甲板部を外した後、瞬接等で一体に付けて下さい。船体の中は補強をする事をお勧めします。特に木甲板プラシートの厚さは0.2mmしかないので、横方向の補強は必ずして下さい。
2.プラシート
木甲板プラシートの枠線に沿って甲板を切り抜いて下さい。
このプラシートの厚さは約0.2mm位なので、はさみでも簡単に切れます。船体とは合わせが必要なのである程度大きめに切ってすりあわせを行って下さい。甲板上部に構造物を接着する際は、インクジェットのコート剤まで剥がさないと接着不良となりますのでご注意下さい。
(注)
1) この木甲板プラシートにはコート剤としてクレオスの水性つや消しクリアを噴いてますが、念のためもう2〜3回噴いて頂いた方が塗膜が安定します。
2) この大和の木甲板は連斬大和用です。タミヤ、フジミ、ニチモのキットの船体とは平面形が違いますので、そのままご使用にはなれません。もし、他メーカーのキットで使用する場合は、CD-Rに入っているPhotoshopファイルより、鉄枠部のレイヤを外してご使用下さい。
・CD−Rについて

CD−Rには下記のデータが入っています。
・連斬戦艦大和用木甲板データ(図面忠実版)

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・連斬戦艦大和用木甲板データ(大和坂修正版)

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・連斬戦艦大和用捷1号作戦時スル海 (1944/10/26)
甲板の黒塗装が部分的に剥がれた状態。

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と汚し部、鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・連斬戦艦大和用天1号作戦前柱島 (1945/03/28)
前甲板が一部補修状態。

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と新木甲板部と鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・汎用木甲板(無考証)
1.Photoshop形式。1600DPI。 (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
尚、データは結構大きいので、なるべくパワーのあるマシンをお使い下さい。
当方は、Pentium4/2.6GHz、Memory 2GByteですが、それでも何かの処理を行
うと10分以上かかります。
尚、これらの情報はワタ艦ウェブ及びこのブログにて今後も掲載していきます。
ウェブページ:ワタ艦
http://www.watakan.com/
ブースはあらあらこまった堂(A34−12)です。

・特徴
この木甲板プラシートは、インクジェットプリンタ用プラシートに大和の木甲板を1枚1枚1/700リアルサイズで印刷したシートで、タカラトミーから発売されていた連斬戦艦大和の甲板パーツの代わりに取り付けるよう想定して作成しています。この為、他社キットとは平面形が異なるため、そのままでは使用出来ませんご注意下さい。
・戦艦大和の木甲板の概要
旧日本海軍の戦艦の木甲板は伊勢型まではチーク材や欅(ケヤキ)、長門型以降は檜(ヒノキ)が使用されていました。【(参)江畑謙介著作:軍艦の塗装:出版 モデルアート社刊モデルアート(連載)】
大和型にも使用された檜は、軟材と言われ、幅125mm、厚さ65mm以上のものが使用されていましたが、長さについては確証ある文献がありません。しかし最近ネット上では研究が進み、当時の技術では6m位が限界であったろうと推定されています。【山野内氏のウェブページ「模型 海と空」】
また木甲板の取付は下記の基準で取り付けられていたようです。
1.木甲板の縦方向のつなぎ目は、船体のフレーム構造の位置に合わせた。
2.つなぎ目の位置は横方向6枚おきに一致している。
3.1枚おきに繋ぎの位置を1フレームずつずらして取り付けた。
ただ、船体フレームは1フレーム間の幅が1000mmから1225mmとなっており、また大和坂ではその傾斜分延長されていたので、木甲板の長さは6m固定とはなりません。
つまりその差異を考慮して作図する必要があります。
・連斬大和用プラシートの作成
木甲板はイラストレーターを使用して作成しています。フレームの位置はアテネ書房の戦艦武蔵建造記録の戦艦武蔵の断面図を使用しています。
木甲板の取付は先の説明では判りにくいと思いますので、下図を用いて説明します。
下図は111フレーム付近ですが、104から111フレームまでが1200mm間隔となっており、111〜113フレームまでが1150mm、そして113フレームからまた1200mmとなっています。しかし108フレーム以前は大和坂となっています。そこで同図面から大和坂の傾斜の割り出しました。

フレーム 108を原点として
No.108〜No. 89: l=23,100mm / 高低差 h=1,700mm
: 木甲板の実長 23,162.5mm (+62.5mm)
No. 89〜No. 61: l=30,650mm / 高低差 h= 150mm
: 木甲板の実長 30,650.4mm (+0.4mm)
No. 61〜No. 40: l=18,900mm / 高低差 h= 120mm
: 木甲板の実長 18,900.4mm (+0.4mm)
フレーム No.89以前は 直しようが無いのですが、No.89〜No.108に関してはこのフレーム間の全長が 62.5mm増加するため、1フレーム均等に割り振ると約3.2mm/フレームの増加になります。木甲板は1本で4〜5フレームとなりますから、1本あたりでは、12〜15mmの違いになります。それを 1/700にすると、木甲板1本当たり 0.005mm程度の差になります。
ここで木甲板の一部を分かり易く木甲板を緑、橙、水色で塗り分けてみました。
1) 水色木甲板上: No.110〜115
5900mm (= 1200mm x 1 + 1150mm x 2 + 1200mm x 2 )
2) 水色木甲板中: No.111〜116
5900mm (= 1150mm x 2 + 1200mm x 3 )
3) 水色木甲板下: No.112〜117
5950mm (= 1150mm x 1 + 1200mm x 4 )
4) 橙色木甲板上: No.107〜114
5953.2mm (= 1203.2mm x 1 + 1200mm x 3 + 1150mm x 1 )
5) 橙色木甲板中: No.108〜116
5900mm (= 1200mm x 3 + 1150mm x 2 )
6) 橙色木甲板下: No.109〜114
5900mm (= 1200mm x 2 + 1150mm x 2 + 1200mm x 1 )
7) 緑色木甲板上: No.105〜110
6009.6mm (= 1203.2mm x 3 + 1200mm x 2 )
8) 緑色木甲板中: No.106〜111
6006.4mm (= 1203.2mm x 2 + 1200mm x 3 )
9) 緑色木甲板下: No.107〜112
5953.2mm (= 1203.2mm x 2 + 1200mm x 2 + 1150mm x 1 )
となります。
ところで、本当に1/700リアルサイズなのか疑問に思う方もいると思いますので、下図をご用意しました。

イラストレータの選択した図形のプロパティダイアログを赤で囲ってますが、この「H」が木甲板の幅、「W」が木甲板の長さになります。青で囲ったところが設定している木甲板長で、黄色で囲われているのが現在選択している木甲板(図形)です。
1: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.585 mm x 700倍 = 6009.5mm (6009.6mm)
2: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.581 mm x 700倍 = 6006.7mm (6006.4mm)
3: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.428 mm x 700倍 = 5898.9mm (5900.0mm)
4: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.5 mm x 700倍 = 5950.0mm (5950.0mm)
5: H = 0.178 mm x 700倍 = 124.6mm ( 125.0mm)
W = 8.504 mm x 700倍 = 5952.8mm (5953.2mm)
如何でしょうか?
リアル 1/700と言う事がお判り頂けたでしょうか?
このプラシートを使えば、あなたの連斬大和に、既存のキットや作品、そして1/700以上の大スケールをも凌ぐ考証に忠実な木甲板を設置する事が可能になるのです。
・木甲板プラシートの使い方
1.船体
この木甲板プラシートは連斬大和を直結した状態での取付しか想定してませんので、まずは連斬大和の船体の甲板部を外した後、瞬接等で一体に付けて下さい。船体の中は補強をする事をお勧めします。特に木甲板プラシートの厚さは0.2mmしかないので、横方向の補強は必ずして下さい。
2.プラシート
木甲板プラシートの枠線に沿って甲板を切り抜いて下さい。
このプラシートの厚さは約0.2mm位なので、はさみでも簡単に切れます。船体とは合わせが必要なのである程度大きめに切ってすりあわせを行って下さい。甲板上部に構造物を接着する際は、インクジェットのコート剤まで剥がさないと接着不良となりますのでご注意下さい。
(注)
1) この木甲板プラシートにはコート剤としてクレオスの水性つや消しクリアを噴いてますが、念のためもう2〜3回噴いて頂いた方が塗膜が安定します。
2) この大和の木甲板は連斬大和用です。タミヤ、フジミ、ニチモのキットの船体とは平面形が違いますので、そのままご使用にはなれません。もし、他メーカーのキットで使用する場合は、CD-Rに入っているPhotoshopファイルより、鉄枠部のレイヤを外してご使用下さい。
・CD−Rについて

CD−Rには下記のデータが入っています。
・連斬戦艦大和用木甲板データ(図面忠実版)

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・連斬戦艦大和用木甲板データ(大和坂修正版)

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・連斬戦艦大和用捷1号作戦時スル海 (1944/10/26)
甲板の黒塗装が部分的に剥がれた状態。

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と汚し部、鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・連斬戦艦大和用天1号作戦前柱島 (1945/03/28)
前甲板が一部補修状態。

1.Photoshop形式。1600DPI。木甲板部と新木甲板部と鉄枠部が別レイヤ (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
・汎用木甲板(無考証)
1.Photoshop形式。1600DPI。 (PSDフォルダに収録)
2.Jpeg形式。1600DPI (Jpegフォルダに収録)
尚、データは結構大きいので、なるべくパワーのあるマシンをお使い下さい。
当方は、Pentium4/2.6GHz、Memory 2GByteですが、それでも何かの処理を行
うと10分以上かかります。
尚、これらの情報はワタ艦ウェブ及びこのブログにて今後も掲載していきます。
ウェブページ:ワタ艦
http://www.watakan.com/
2006年08月05日
パスカルメイジ

「シルドブレイブ」がモス・ポールされてから40年の歳月が流れた。
その間、太平洋上にグランドロアが発生し、海上輸送がより重要視されるようになったが、それに伴い海洋テロ集団も再び活動を活発化させるようになった。
しかし、各国海軍は既に50ノット越えの高速艦艇を多数配備しており、今更「シルドブレイブ」を再役させる必要もなくその処遇を決めかねていた。ちょうどそのころ民間護衛会社のharu-nico警備保障では、海上護衛をするにあたり、各社から提供される艦載兵器のテスト評価用のプラットフォームを新造または適当な艦艇の購入を検討していたが、たまたまヨーロッパに出張中だった担当者が「シルドブレイブ」の元乗員と出会い、「シルドブレイブ」の存在を知ることになる。
早急に調査したところ、この艦は40年以上前に建造されたものの、竣工後わずか4年で手厚くモス・ポールされていた為、船体自体の老朽化は殆ど見られず、また破損箇所も主要構造部分から外れていたので、現在の技術であれば同クラスの新造艦を建造するよりも遙かに安いコストで復旧する事が可能である事が判った。
すぐさま担当者はNATO海軍との交渉を行ったが、NATOも渡りに船、2つ返事で「シルドブレイブ」の譲渡を決定した。こうして「シルドブレイブ」はharu-nico警備保障の所属となり、「パスカルメイジ」と艦名を変更することになった。
しかし太平洋で運用するには、あまりにも航続力が短かいしグランドロア周囲では航用性にも問題があった。そこで船体補修時に船体を覆い尽くすようなバルジを取付、その内部に燃料を搭載する事にした。このバルジ部分は一種の複合装甲の役割もしており、喫水水線下の攻撃を受けた場合、その爆発力の大部分を吸収し、艦内部への被害を最小限にとどめるようになっていた。
燃料搭載量が増したものの、それでも航続距離は十分といえないので、プロパルサ(ポッド式スクリュー)も装備した。プロパルサ自体の旋回機構は後部短SAM用のVLSを撤去することで確保したが、その代わり短SAMの4連装水平ランチャーを装備することで攻撃力の低下を防いだ。
このような改造で航続距離は延びたが、速力の低下が著しく、ウォータージェット機関を過負荷出力させても40ノット迄達しなくなった。しかし対海洋テロ集団用に開発された兵装の実験をするには、どうしても速力は40ノット以上出ることが必要であったので、最も抵抗に支障があるプロパルサ部は着脱式とされた。この為、プロパルサがあるにもかかわらず舵は残されることになった。(余談ではあるが、緊急時にはプロパルサ部を爆落させることも可能である。)
尚、このウォータージェット機関も超電導推進機関への改装も検討されてはいた。プロパルサと超電導機関の組合せであれば、軸流シャフトを使用するウォータージェットの機関部を艦底部に持っていく必要もなく、機関から煙突までのダクト長も短くなり艦内スペースに余裕が生まれるのだが、改装に新造艦と同じくらいのコストがかかるため中止となった。

再就役した「パスカルメイジ」は当初の目的通り、元々持っていたMEKO式コンポーネント設備を使用し各社が提供してきた兵装の運用試験を行ったが、コンペが行われる場合が多く、似たような兵装を重複して装備する場合が多かった。また、システム自体が40年前のためかうまく艦のシステムと兵装システムとがリンクせず、155mm砲やレーザー近接防御兵器等、その機能を十分発揮出来ないものもあったのも事実だ。ただ護衛任務に就いた場合、例え使用出来ないとしてもテロ集団にとってはそれなりの威嚇になったようだ。
こうして「パスカルメイジ」はharu-nico警備保障で第2の人生?を送ることになるが、やはり民間企業だけあって、運用試験より護衛の実務に運用されることが多かったようである。
(注! これは「パスカルメイジ」用の解説イラストを作る際の裏設定であって、アニメの公式設定ではありませんのでご了承下さい。)

2006年08月01日
「パスカルメイジ」の前身「シルドブレイブ」
西暦20xx年、中東情勢の不安から一気にヨーロッパ及び地中海沿岸でテロ活動が拡大した。さらにある海洋テロ組織では特定アジアの某国よりコルベットクラスの高速艦艇を数隻受け取り、地中海を運航する船舶に対し海賊行為も行うようになった。
被害額は膨大に及び、NATO各国海軍ではシミュレーションを実施した結果、この神出鬼没の高速艦艇を撃破するには50ノットを越すフリーゲートクラスの艦艇でなくては不可能という結論に達した。
しかし、今から新規設計・建造していたのでは遅すぎるため、NATOでは当時建造を開始したばかりのMEKO型スピキオ級フリゲートの一隻を50ノット級の超高速フリーゲートへと設計変更することにした。
これが「パスカルメイジ」の前身である「シルドブレイブ」である。
スピキオ級フリーゲイトは、もともとプロパルサとウォータージェット方式の2重推進方式ではあったが、「シルドブレイブ」はあえてプロパルサを装着せず、超伝導電磁推進方式のみの推進を採用することになった。しかし超伝導電磁推進方式はこの時点でも効率が悪く所定の性能が発揮できないことが判り、急遽当時開発中であった高速ウォータージェット機関を採用することになった。

また、特殊用途で建造されたため同型艦はなく、1艦で数隻の敵高速艇と対処せねばならなかったので、排水量の割にはかなりの重武装となった。
本来の任務である敵高速艦艇用には、艦首部に76mm速射砲を1門及び4連装対艦ミサイルハープーン発射筒2基を搭載した。また海洋テロ組織が攻撃へりや旧式ではある物のジェット攻撃機の運用も始めたことから、建造途中でミニイージスシステムが組み込まれた。艦橋トップにSPY−1Fを、前甲板には64セルのVLSを搭載している。更に艦尾航空作業甲板後部には12セルの短SAM用VLSが2基、艦橋前と格納庫上部には近接防御用にCIWSを装備した。

ようやく竣工した「シルドブレイブ」は設計通り50ノット強の速度性能を得ることが出来たが、このウォータージェット機関はご多分に漏れず燃料消費量が非常に大きく、航続距離は1000海里以下となってしまった。またトップヘビー気味のため、お世辞にも航洋性が優れているとも言えなかった。
とはいえ、「シルドブレイブ」は竣工後、完熟訓練を経てNATO軍に配備され、3年間の間に対テロ用のオペレーションに5回参加し、敵艦の撃沈破だけでも7隻(うち2隻を単独で撃沈)という好スコアを記録した。その間、「シルドブレイブ」の受けた被害は小破程度だったという。
その3年間のオペレーションの結果、海洋テロ組織はほぼ壊滅させることが出来た。が、「シルドブレイブ」は、停泊中にテロ組織残党一派の奇襲を受け1時は沈没寸前まで追い込まれることになった。この時、乗員の必死の努力で持ち直したが、その損傷程度は大きく大規模な修理が必要であった。しかし海洋テロ組織の壊滅により、その存在意義を無くしてしまった「シルドブレイブ」に廻す予算は無く、そのまま予備役に廻り、ミニイージス他各種武装を撤去され廃艦の一歩手前までとなった。
だが、「シルドブレイブ」の乗組員や「シルドブレイブ」の活躍で助かった人々の救いの手と、将来同種の海洋テロ組織が再度出現した場合の保険として、沈まない程度の補修の後、竣工後わずか4年でモス・ポールされることになった。
「パスカルメイジ」に続く..
被害額は膨大に及び、NATO各国海軍ではシミュレーションを実施した結果、この神出鬼没の高速艦艇を撃破するには50ノットを越すフリーゲートクラスの艦艇でなくては不可能という結論に達した。
しかし、今から新規設計・建造していたのでは遅すぎるため、NATOでは当時建造を開始したばかりのMEKO型スピキオ級フリゲートの一隻を50ノット級の超高速フリーゲートへと設計変更することにした。
これが「パスカルメイジ」の前身である「シルドブレイブ」である。
スピキオ級フリーゲイトは、もともとプロパルサとウォータージェット方式の2重推進方式ではあったが、「シルドブレイブ」はあえてプロパルサを装着せず、超伝導電磁推進方式のみの推進を採用することになった。しかし超伝導電磁推進方式はこの時点でも効率が悪く所定の性能が発揮できないことが判り、急遽当時開発中であった高速ウォータージェット機関を採用することになった。

また、特殊用途で建造されたため同型艦はなく、1艦で数隻の敵高速艇と対処せねばならなかったので、排水量の割にはかなりの重武装となった。
本来の任務である敵高速艦艇用には、艦首部に76mm速射砲を1門及び4連装対艦ミサイルハープーン発射筒2基を搭載した。また海洋テロ組織が攻撃へりや旧式ではある物のジェット攻撃機の運用も始めたことから、建造途中でミニイージスシステムが組み込まれた。艦橋トップにSPY−1Fを、前甲板には64セルのVLSを搭載している。更に艦尾航空作業甲板後部には12セルの短SAM用VLSが2基、艦橋前と格納庫上部には近接防御用にCIWSを装備した。

ようやく竣工した「シルドブレイブ」は設計通り50ノット強の速度性能を得ることが出来たが、このウォータージェット機関はご多分に漏れず燃料消費量が非常に大きく、航続距離は1000海里以下となってしまった。またトップヘビー気味のため、お世辞にも航洋性が優れているとも言えなかった。
とはいえ、「シルドブレイブ」は竣工後、完熟訓練を経てNATO軍に配備され、3年間の間に対テロ用のオペレーションに5回参加し、敵艦の撃沈破だけでも7隻(うち2隻を単独で撃沈)という好スコアを記録した。その間、「シルドブレイブ」の受けた被害は小破程度だったという。
その3年間のオペレーションの結果、海洋テロ組織はほぼ壊滅させることが出来た。が、「シルドブレイブ」は、停泊中にテロ組織残党一派の奇襲を受け1時は沈没寸前まで追い込まれることになった。この時、乗員の必死の努力で持ち直したが、その損傷程度は大きく大規模な修理が必要であった。しかし海洋テロ組織の壊滅により、その存在意義を無くしてしまった「シルドブレイブ」に廻す予算は無く、そのまま予備役に廻り、ミニイージス他各種武装を撤去され廃艦の一歩手前までとなった。
だが、「シルドブレイブ」の乗組員や「シルドブレイブ」の活躍で助かった人々の救いの手と、将来同種の海洋テロ組織が再度出現した場合の保険として、沈まない程度の補修の後、竣工後わずか4年でモス・ポールされることになった。
「パスカルメイジ」に続く..