2006年08月01日

「パスカルメイジ」の前身「シルドブレイブ」

西暦20xx年、中東情勢の不安から一気にヨーロッパ及び地中海沿岸でテロ活動が拡大した。さらにある海洋テロ組織では特定アジアの某国よりコルベットクラスの高速艦艇を数隻受け取り、地中海を運航する船舶に対し海賊行為も行うようになった。
被害額は膨大に及び、NATO各国海軍ではシミュレーションを実施した結果、この神出鬼没の高速艦艇を撃破するには50ノットを越すフリーゲートクラスの艦艇でなくては不可能という結論に達した。
しかし、今から新規設計・建造していたのでは遅すぎるため、NATOでは当時建造を開始したばかりのMEKO型スピキオ級フリゲートの一隻を50ノット級の超高速フリーゲートへと設計変更することにした。

これが「パスカルメイジ」の前身である「シルドブレイブ」である。

スピキオ級フリーゲイトは、もともとプロパルサとウォータージェット方式の2重推進方式ではあったが、「シルドブレイブ」はあえてプロパルサを装着せず、超伝導電磁推進方式のみの推進を採用することになった。しかし超伝導電磁推進方式はこの時点でも効率が悪く所定の性能が発揮できないことが判り、急遽当時開発中であった高速ウォータージェット機関を採用することになった。

ウォータージェット


また、特殊用途で建造されたため同型艦はなく、1艦で数隻の敵高速艇と対処せねばならなかったので、排水量の割にはかなりの重武装となった。
本来の任務である敵高速艦艇用には、艦首部に76mm速射砲を1門及び4連装対艦ミサイルハープーン発射筒2基を搭載した。また海洋テロ組織が攻撃へりや旧式ではある物のジェット攻撃機の運用も始めたことから、建造途中でミニイージスシステムが組み込まれた。艦橋トップにSPY−1Fを、前甲板には64セルのVLSを搭載している。更に艦尾航空作業甲板後部には12セルの短SAM用VLSが2基、艦橋前と格納庫上部には近接防御用にCIWSを装備した。

シルドブレイブ




ようやく竣工した「シルドブレイブ」は設計通り50ノット強の速度性能を得ることが出来たが、このウォータージェット機関はご多分に漏れず燃料消費量が非常に大きく、航続距離は1000海里以下となってしまった。またトップヘビー気味のため、お世辞にも航洋性が優れているとも言えなかった。

とはいえ、「シルドブレイブ」は竣工後、完熟訓練を経てNATO軍に配備され、3年間の間に対テロ用のオペレーションに5回参加し、敵艦の撃沈破だけでも7隻(うち2隻を単独で撃沈)という好スコアを記録した。その間、「シルドブレイブ」の受けた被害は小破程度だったという。

その3年間のオペレーションの結果、海洋テロ組織はほぼ壊滅させることが出来た。が、「シルドブレイブ」は、停泊中にテロ組織残党一派の奇襲を受け1時は沈没寸前まで追い込まれることになった。この時、乗員の必死の努力で持ち直したが、その損傷程度は大きく大規模な修理が必要であった。しかし海洋テロ組織の壊滅により、その存在意義を無くしてしまった「シルドブレイブ」に廻す予算は無く、そのまま予備役に廻り、ミニイージス他各種武装を撤去され廃艦の一歩手前までとなった。

だが、「シルドブレイブ」の乗組員や「シルドブレイブ」の活躍で助かった人々の救いの手と、将来同種の海洋テロ組織が再度出現した場合の保険として、沈まない程度の補修の後、竣工後わずか4年でモス・ポールされることになった。

「パスカルメイジ」に続く..


super_dreadnought at 23:33│Comments(0)TrackBack(0)世界の艦船 | コミック

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