2010年03月08日

初恋サンセット(13) 映画「大いなる遺産」

第13回目は映画「大いなる遺産」を紹介します。



この3流ポルノ映画みたいなひどいデザインのジャケットに、関心を持てと言われても難しいことは承知ですが、素晴らしい作品です。


原作は文豪チャールズ・ディケンズ。すでに6回の映画化を経ており、今回は150年前の作品の舞台を現代にスライドさせて映像化させています。


両親がいなくて貧乏な出身の少年が、超金持ちで美人の幼なじみに惹かれつつ、画家として成功する、というあらすじ。


脱獄犯役のロバート・デ・ニーロの圧倒的な存在感もすごいし、子役二人のキスシーンは美しくエロすぎるし、イーサン・ホークのおどおどした感じとか、太ももを撫でられるグウィネス・パルトロウのエロさとか見所盛りだくさん。主人公が描く絵を画家フランチェスコ・クレメンテが描いています。これもまた絶妙。


「生きる」っていう行為は自分の意思や努力だけじゃなくて、すげーいろんな人のいろんな思惑が引き合って積み重なって、時間的、空間的に前に進んでいきます。そういう中で引き裂かれずに続いていく関係や想いは、それぞれがオリジナルでそれぞれに価値があります。虚勢でも、どろどろでも、格好の悪いことの繰り返しでも、今この瞬間に見えるものや、巡ってきたチャンスを信じて、その打席にしっかりと立ち、次の新しい運命を手繰り寄せるしかないんです。


一人の男の成熟を足早に駆けて行く話ではありますが、夢や成功や喪失や消沈のバランスが、青春もの、恋愛もの、としても十分成立しています。そこもいいです。


すべてのシーンにおいて緑色が印象的に取り扱われていて、1回目はストーリーに集中していただきたいものの、2回目以降は世界にどれだけ魅力的な緑色の種類が存在するかを確かめるだけでもかなりの驚きです。同様に音楽もこけ脅しではない、感情に自然に寄り添う感じの、控えめで大人な演出です。


映像でしか語れないものを見事にフィルムに定着させていると思います。見る側の人生のステージが上がる度に、見えてくるものが変わっていく、そんな作品です。


(しいたけ)

superchannel at 13:33│Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!初恋サンセット 

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