先ずは米国GDPからです。アフガン戦争(この名称が正しいかどうか、不朽の自由作戦としますか)がいつ始まったか?2001年10月より、とWikipediaに書いてあります。ですから、2001年からの米国GDP成長率に着目してみましょう。
見事なまでに成長しています。2004年から下がり始めて2007年を境に一気に落ち始めます。サブプライムローンですね。リーマンショックに繋がります。サブプライムローンはある意味モラルハザードです。返せる見込みの無い人にお金を貸して住宅ローンを組ませました。更にそのローンのCDSが何故か用意されていて、サブプライム層の人達が次々とデフォルトする度にCDSが次々と発動する。何故か、このCDSがAAAの格付けで、何故かCDSで大儲けした金融機関が、と言う代物です。
きっかけが「不朽の自由作戦」だとは申しませんが、例えば軍需産業の一角ボーイングの株価はどうでしょう?
結構上がっていますね。それなりに効果はあったようです。米国GDPの成長率ともしっかり相関関係はあるようですから、公共事業の恩恵にはしっかりあずかっているのです。リーマンショックで一気に転落していますけれど、又最高値の6割程度に持ち直しています。ここまでで、「不朽の自由作戦」は明確に公共事業である、とある程度言えると思います。
次に、どうしてアフガンだったのか?と言う疑問が湧きます。先ずこちら。
New York Times紙は14日(米国時間)、アフガニスタン各地に、総額1兆ドル(約92兆円)規模の鉱物資源が埋蔵されているとする米国防総省の調査結果を報じた。「リチウム等に関して、原油を産出するサウジアラビアのような国になりうる」とするものだ。
これらの鉱物資源は新しく「発見された」と報道されているが、実は米軍はかなり以前から、アフガニスタンの金属資源が豊富であることを把握していた。
New York Timesの記者は、アフガニスタンに鉱物があることを国防総省が知ったのは、2004年に発見された「古い図表やデータを集めた興味深い資料」による、と伝えている[旧ソビエト連邦が侵攻当時の1980年代に作製した鉱脈図を米国の地質学者が発見。米地質調査所(USGS)がこれを元に、アフガン全土の 7割以上を航空機で調査し、実際に多くの鉱脈があることをつきとめた、とされている(後略)
2010年の記事です。資源の他にも石油や天然ガスのパイプラインが敷ける、等色々と言われております。更にアフガンは盆地で周りは山岳であり、どうやっても米国の大量破壊兵器が中々通用しない、と言う事情もあります。つまり地上部隊を出す必要があり、しかも即座に片付ける事は難しい。実際未だに終わっておりません。ですから米国とすれば延々と公共事業を続ける事がある意味可能である、と言う事は言えるでしょう。
しかし、こちらによればアフガン・イラク戦争は2009年の時点で累計9,000億ドルを支出しており、結構な負担に成ってきました。そして時事通信。
オバマ米大統領は28日、ホワイトハウスで演説し、6月末に退任するゲーツ国防長官(67)の後任に中央情報局(CIA)のパネッタ長官(72)を、CIA長官にはアフガニスタン駐留米軍のペトレアス司令官(58)を正式に指名した。上院の承認を経て就任する。
オバマ大統領は「アフガン戦は新たな局面に向かっており、今夏に駐留米軍の縮小が始まる」と述べる一方、国際テロ組織アルカイダとの戦いは続くことを強調。パネッタ氏がCIA長官の経験を生かして対テロ戦に取り組むことを期待した。
さらに、「米国は借金を減らす必要がある」と指摘。パネッタ氏が行政管理予算局(OMB)長官を務めた経験に触れた上で、「予算に関して厳しい決断をすると同時に、米軍の優位性と世界最高の軍事力を維持してほしい」と述べ、国防費の削減を託した。
米国の財政赤字が深刻である事は前のエントリで書きました。軍事予算も本格的に削減する必要があります。上記記事でそれは本気である、と言う事は分かります。削減の為には、差し当たりアフガンから撤退する必要がある。何しろリビアでも絶対に深入りはしない、としていますから、アフガンだって続行と言う選択肢は厳しい。ましてや日本が東日本大震災でお金を出してくれる余裕が無くなってしまいました。
国際テロ組織アルカイダ指導者のウサマ・ビンラディン容疑者射殺について、カーニー米大統領報道官は3日の記者会見で、襲撃時に同容疑者は武器を持っていなかったと述べた。潜伏先の特定に過酷な尋問手法を使っていたことも明らかになっており、急襲作戦の正当性を巡り波紋が広がる可能性がある。
日経ですが、だから取り合えず引き上げる為の大義名分を作って、撤退する。記事の他にもちょっと調べてみましたが、いつでも殺害は可能だったようです。イスラム教では死後、その日の内に埋葬しなくてはいけない。でも聖地に成るのは困るから水葬にする。この辺りまでてきぱきやるのですから、用意周到所ではありません。
それは分かっていて、かつ先にあげた資源やらパイプラインやら、それらも放って置いて、兎に角撤退。と言う事は、私的にはじゃあ次はこれで行きましょう、と言うその次と言うのが、途轍もなく重要に成ると思うのです。それがTPPだとしますと、日本は本気で対応しないといけないのですが、しかしこれは推測に成りますから。
と言う事で、ビンラディンの死によってアフガンにおける米国の公共事業は終わったのです。次の公共事業は何だ?が最大の問題だと思います。
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