2005年02月23日

「校長降格制度」って知ってますか?

 本日の都教委定例会では、「教育管理職からの本人希望による降任について 」という報告事項があったようです。国旗・国歌の10.23通達と同時に始まった「校長降格制度」ですが、その後の運用はどうなっているんでしょうか。以下、「校長降格制度」について一年くらい前に「HB通信」に書いた原稿を掲載します。

都教委の人事政策を考える
「校長降格制度」って知ってますか?


 東京都の「教育改革」は、人事政策の面でも大きな変化が出ています。人事考課制度・指導力不足教員制度・自主校長会の解体・主幹制度・異動要綱改悪・東京未来塾・経営アドバイザー・不適格校長制度・副校長などです。これらは石原都知事の「東京から日本を変える」というスローガンの通り、国に先駆けて進められ、全国のモデルともなり注目されています。よく民間企業が引き合いに出され、「民間では当たり前のこと」との評価もよく聞かれますが、都教委の人事制度改革で、モチベーションやメンタルヘルス、サービスレベル、生産性などは向上したのでしょうか? 教育的にどうとか、労働者の権利がどうとかという問題だけでなく、経営・マネジメントという観点から見ても、都教委の人事政策には疑問を感じます。政治的意図や管理徹底が自己目的化しているのではないでしょうか。

 さて、今回は「校長降格制度」を見てみましょう。4月1日に「適格性に課題のある教育管理職の取扱いに関する要綱」が施行されたのをご存知でしたか? まずは中国新聞(03年10月22日)の記事を紹介しましょう。

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適性欠く校長や教頭 一般職員への降格を勧告 来年度から都教委

 東京都教育委員会は二十一日までに、管理職としての資質や能力に欠けると判断された公立の小、中、高校の校長や教頭に一般職員への降格を勧告する制度を来年度から導入することを決めた。都教委によると、こうした制度は全国で初めてという。
 地方公務員法には適格性に欠ける公務員を降格させる処分(分限処分)の規定があるが、都の新制度は分限処分に該当しないケースでも、管理職としてふさわしくないと都教委が判断すれば降格を勧告できるようにする。分限処分と異なり強制力はなく「希望降任制度」により校長、教頭が自ら降格を申し出るよう促す。
 対象は毎年の業績評定で二年連続下位だったり、懲戒処分を二回受けたりした校長や教頭。五日間程度の研修を受けさせた上で改善がみられなければ降格を勧告するという。
http://www.chugoku-np.co.jp/kikaku/child/news/031022c.html

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 この制度がプレス発表され、都教委から校長たちに伝えられたのは昨年10月23日です。この日は「教職員は、会場の指定された席で国旗に向かって起立し、国歌を斉唱する」などと定めた通達が出された日。校長たちを集めて職務命令を出した席で、この制度は校長たちに伝えられました。その意味を校長先生たちはすぐに察したことでしょう。(ちなみに、この制度の施行の前に、既に二人の管理職が降格されています。一人は、管理職試験でカンニングをした教頭。もう一人は、「過激な性教育」と産経新聞などで攻撃された七生養護学校の校長です。)
 要綱を読むと、適正手続き保障に疑問があります。「ただし、緊急を要する場合はこの限りでない」とのただし書きが複数見られ、「判定会」「審査会」が設けられているもののメンバーは教育長人事部の部課長などと「学識経験者2名」です。不服申し立ての手続きどころか、本人からの意見聴取の機会さえ、保証されていません。
 実際に発動されないとしても、都教委による校長統制はますます強まり、「指導力不足教員制度」のように政治的に利用される可能性大です。
地方公務員法28条では、本人の意に反して降任できる場合として「勤務実績が良くない場合」「必要な適格性を欠く場合」等をあげています。にもかかわらず、新制度をつくったということは、地方公務員法などにしばられずに、もっと手軽に「降任」を発動したいからでしょう。「勧告」とはいえ、実際に拒否することは困難です。(地公法の分限処分でなく、“自発的な”降格という形なので不服申し立てや裁判もやりにくそうです。)
 このように既存の法秩序に対する「クーデター」を次々と打ち出しているのが石原都政下の都教委です。「校長降格制度」はあまり注目されていませんが、「管理職は敵」というような発想にとらわれず、この制度を批判していけるかどうかは、今後の教職員組合運動や市民運動にとって、非常に重要な点だと思っています。

*要綱は都教委ホームページで読めます。
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/press/pr031023j.htm

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この記事へのコメント

1. Posted by fmy   2007年01月28日 07:09
3 貴重な情報のページなのですが,よく分からない
ところがあります。それは,「勧告」を「実際に
拒否することは困難」とされる理由です。
確かに管理職試験で不正行為するなどのケースは
もってのほかですので,不服もないでしょうけれ
ども,信念をもって行った行動に対して降格の
勧告があったような場合に,勧告の拒否をせずに
おれるのかどうか。拒否した場合には次の措置と
して免職の類があるということならば,その情報
を付されて解説していただきたいと思います。
2. Posted by 管理人   2007年01月29日 00:30
 コメントありがとうございます。民間の職場でも、「リストラ」の際には、解雇通告する前にまずはあの手この手で「自主退職」に追い込もうとします。典型的な例では、草むしり・トイレ掃除をやらせたり、何もない地下室に押し込めておくとかです。
 東京都の学校でも、教育委員会から退職に追い込まれる例はありますし、いまの都教委と校長との関係を考えると、よほどの強い意志がないと勧告を拒否することは困難ではないかと思います。
3. Posted by 管理人   2007年01月29日 00:31
 続きです。おっしゃる通り、拒否した場合には次の措置として、降任処分が検討されるようです。

■東京都教委、小学副校長2人に初の降任勧告(読売1/25)
 http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070125ur21.htm
 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070125i106.htm?from=main1
【勧告そのものには強制力はないが、今月末までに自主的に降任希望届を出さない
場合、地方公務員法に基づく「分限降任」処分が検討されるという。】