アメナクシテニジハナシ

一般内科,感染症,HIV,救急などの医学領域と個人的な趣味について

2011年06月

末梢静脈カテーテル関連合併症

先日自分が研修した病院でケースカンファレンスをさせていただきました.
末梢静脈カテーテルを毎日観察する習慣を初期研修のうちにつけよう!
というメッセージを込め(たつもりで),カンファレンスをしました.が,すでにそのような習慣を持っている研修医の先生方が多かったようで感心しました.

実は末梢静脈カテーテル関連合併症(とくに末梢静脈カテーテル関連血流感染症)は未開拓の分野で,詳しいことは未だわかっていないようです.もっとも頻繁に行われている手技なのに.

末梢静脈カテーテル関連合併症には主に
 ・(血栓性)静脈炎
 ・末梢静脈カテーテル関連血流感染
 ・出口部感染
の3つがあります.下記はそのreviewです

Int J Antimicrob Agents. 2009;34 Suppl 4:S38-42.
Peripheral venous catheters: an under-evaluated problem.
PMID:    19931816

Abstract
・70%までの患者が入院中に末梢静脈ラインが必要で,控えめに見積もって,急性期病院のPVC daysはtotal patient daysの15~20%.
・ほとんどの研究が血栓性静脈炎にフォーカスを当て,カテーテル交換のスケジュールに関する問題に取り組んでいるが,PVC交換の至適な時点について,あるいはそもそもカテーテル交換が必要かどうかについて,コンセンサスはまだない.
・末梢静脈カテーテル関連血流感染(PVC-BSI)は血栓性静脈炎よりさらに深刻だが,この問題に取り組んだ研究はほとんどなく,大規模な多施設研究は欠如している.
・PVC-BSIについて利用できる現在のデータでは,incidence density rateは1000 device daysあたり0.2~0.7 episodesで,他のカテーテルと比べて低いようだ.
・しかし,いくつかの研究は,中心静脈ライン関連感染の範囲内でPVC-BSIの絶対数を報告している.
・PVC-BSIは深刻な医療問題と考えるべきか,ただのとてもまれな出来事と考えるべきか,はっきりしないままである.

1. Introduction
・30~80%の患者が入院中に末梢ラインを受けていると見積もられる.
・このルーチンデバイスの頻繁な使用にも関わらず,PVC-BSIを調査したランダム化研究はまれである.
・実際に,この潜在的に深刻な合併症のデータは小研究からのみ,とりわけ模範となるのはMakiらの報告,手に入れることができる.
・われわれは,PVC使用から起こる合併症が過小評価されているかどうか,とくに,peer-reviewされた文献がこのデバイスの幅広い利用を適切に反映しているかどうか,潜在的に有害な合併症によく取り組まれているか,を決定するために文献をreviewし,そして提案された予防と介入の手段をreviewした.

2. Epidemiology
・米国では年間合計1億5千万のPVCが使われ,推定catheter daysは4億5千万に達する.これは中心静脈ラインの累積留置期間の15倍を超える.
・2006年のthe Swedish Council on Technology Assessment in Health Careが実施した全国規模の年間PVC使用のreviewでは5百万のPVCが報告されている.
・PVC使用はルーチンな処置だが,さまざまな研究で,4~28%は治療には利用されておらず,catheter daysの20%は不必要と見積もられている.
・入院時のルーチン処置として患者が末梢ラインを受けている可能性の高いERでは,不必要なPVCの割合がほとんど50%に達する.
・PVCの平均留置期間は3~4日で,留置期間の中央値は2日.
・CDCが奨める短期間の留置は,たいていは,短い手術時間,短い入院期間,あるいは血栓性静脈炎や出口部感染のようなカテーテル合併症の結果である.(残念….)

3. Complications
3.1 Thrombophlebitis
最も頻繁なPVC合併症は静脈炎あるいは血栓性静脈炎(血栓形成を伴った静脈炎)である.
・PVC関連の血栓性静脈炎の頻度は2~80%.この注目に値するバリエーションは,異なった研究セッティングや血栓性静脈炎の個別の定義の使用の結果である.
・すべての定義が,発赤,腫脹,圧痛,疼痛,熱感,索状物触知,排膿などの臨床所見に基づいているが,ある厳密な定義ではほとんどすべての臨床所見を必要とし,より寛大な定義ではいずれか2つの臨床所見しか必要としていない.
・血栓性静脈炎の定義の不均等な利用が研究結果の比較を難しくしている
スコアリングシステムも提案されているが,広く採用されているものはなく,状況を楽にするというよりも,複雑にしている
・血栓性静脈炎は局所の静脈の炎症と血栓形成のプロセスである(Fig.1)
・注入剤,硬いカテーテルの材質,あるいは細菌のコロナイゼーションによる血管壁の機械的な刺激が内皮にダメージを与えると仮定される.
・このプロセスが血管壁の炎症,フィブリンの沈着と血栓形成を誘発する.
・早期の血栓形成は穿刺部の近くにみられる(カテーテル挿入による血管integrityへのダメージ).
・後期の血栓形成はカテーテル先端の周囲によりよくみられる(カテーテル先端からの機械的刺激による血管integrityへのダメージ).

3.2 Factor associated with thrombophlebitis
・血栓性静脈炎の危険因子は4つのグループに分類できる.

3.2.1 Catheter-related risk factors
・血栓性静脈炎の割合はカテーテル留置期間とともに増加する.
・このことは成人で,とくに最初の3日間に,明白に示されているが,新生児や小児では有意ではない
・tetrafluoroethylene-hexafluoropropylene(テフロン)から作られたような,より好ましくない血栓形成の特性をもったカテーテルはより血栓性静脈炎を誘発する.
テフロンとpolyurethane cathetersとでは30~45%の違いがある(polyurethane cathetersが好ましい).しかし,血栓性静脈炎が誘発されているあいだは,カテーテルの材質は局所の感染とは関係しないかもしれない(それぞれ5.4%と7.6%).

3.2.2 Drug-related risk factors
塩化カリウム,フェニトイン,あるいは化学療法薬剤のような,低pHあるいは高浸透圧の注入剤は,直接に血管内皮のintegrityを阻害し,血管壁にダメージを与える.
・ヘパリンのフラッシュはカテーテルの開通性を高めるが,血栓性静脈炎を引き起こすかもしれない.この機序はまだ解明されておらず,他の研究ではこの結果を確かめられなかった.
・注入剤の粒子によって血栓性静脈炎が誘発されうることが提唱されており,end-line filterが血栓性静脈炎を減らすことがひとつの研究でわかり,完結した.

3.2.3 Patient-related risk factors
高いヘモグロビン値血栓形成傾向の素因質の悪い静脈というような,直接に血栓性静脈炎と関連する,いくつかの内在する危険因子がある.

3.2.4 Healthcare-related risk factors
トレーニングを受けていないあるいは経験の浅い医療従事者によるPVCの挿入と管理は血栓性静脈炎のリスクを増やすことは明らかに示されている.

3.3 Catheter-associated bloodstream infection
・血栓性静脈炎と比べて,PVC関連血流感染あるいは敗血症は,カテーテル挿入のより深刻な合併症である.
・PVC-BSIの最も可能性の高いメカニズムは,血管カテーテルの管のコロナイゼーションと,それに続くバイオフィルムの形成である(Fig.1).
・コロナイゼーションは,カテーテル挿入のあいだや,薬剤投与あるいは血液採取のためにカテーテルを操作する際に起こりうる.
・PVC-BSIのincidence densityは1000 device daysあたり約0.2~0.7 episodes,全体の割合はカテーテル使用の0.08%と見積もられている.
・比率は低いが,ICU外ではPVC-BSIの絶対数は中心静脈ライン関連感染(CLABSI)の絶対数に到達するかもしれないと報告されている.
・血栓性静脈炎が血流感染に移行するということが広く推測されている.それゆえ,血栓性静脈炎に取り組めば,血流感染は問題ではないと考える傾向がある.しかし,血栓性静脈炎は主に機械的な合併症であり,PVC-BSIと血栓性静脈炎の関係はまだ納得のいくように証明されてはいない.
・いくつかの研究ではPVC-BSIを二次アウトカムとして記述しているが,どの研究も十分なパワーを持っていないので,結果の解釈には注意が必要である.
・血栓性静脈炎に関する多くの研究が,血栓性静脈炎とPVC-BSIの関係においても,PVC-BSIの重要性においても,我々の知識を増やすことはなかった.
PVCの5~25%が抜去時に保菌していた.中心静脈カテーテルの所見を考慮すると,末梢カテーテルの保菌は,血栓性静脈炎よりもPVC-BSIとより関係しうる.PVCのコロナイゼーションの高さからは,もっと多くのPVC-BSIがみられないのは驚きである.その理由は短い留置期間と低頻度の操作かもしれないと推測される.適切なサーベイランスが欠けていて,PVC-BSIのエピソードが見逃されていることも想定される.

3.4 Local PVC infection: dressings
・PVCに関連した局所のカテーテル出口部感染は2.3%の率で起こる.
・これらの感染は皮膚の微生物がカテーテルの皮膚部位(the cutaneous tract of the catheter)へ入り込むことで誘発される.
・皮膚の保菌は,局所の消毒手段やカテーテル挿入部位の保護に使われるドレッシングの種類に依存する.
・何年ものあいだガーゼがカテーテル挿入部位の保護の標準であったが,ガーゼはカテーテル挿入部位の観察のために定期的に交換が必要である一方,透明なドレッシングは全カテーテル留置期間のあいだそのままでよい.
・この理由で透明ドレッシングは次第にガーゼに置き換わっているが,密閉されてカテーテル挿入部位の細菌定着につながる可能性が懸念される.しかし,いくつかの研究とひとつのメタアナリシスが,皮膚のコロナイゼーションと血栓静脈炎について,ガーゼは透明ドレッシングより優れてはいないことを示している.

4. Scheduled catheter change
・血栓性静脈炎の予防のためのカテーテル交換のスケジュールについての報告はたくさんある.早期の結果に基づいて,CDCは48~72時間後にPVCを交換すべきであることを提唱している.
・3日間という閾値は,その後にさまざまな研究で疑いを持たれており,そのなかでは,カテーテルは血栓性静脈炎の増加なしに96時間以上留置されていた.
・留置期間を96時間まで延ばした研究は十分な結果を生んだが,スケジュールされたカテーテル交換は廃止できると提唱しようとしたものの,深刻な方法論的な問題に悩まされた.主な障壁は,多くのカテーテルが4日後にはなくなってしまっていることだった.ほとんどのPVCがスケジュールされたカテーテル交換以外の理由で3~4日後には除去されてしまっており,コントロール群と介入群のカテーテルの期間は同様であった.
・しかし,スケジュールされたカテーテル交換が実際に日々のプラクティスで行われているかどうかは疑問視されうる.日々のプラクティスでスケジュールされたカテーテル交換はあまりみかけず,必要なくなるか,合併症を起こすまでカテーテルは留置されたままということが,合理的に想定されうる.(残念…).

5. Precautionary measures
・臨床的な介入戦略を調べた研究は少しだけしかなく,それらは主に第一のアウトカムパラメータとして血栓性静脈炎にフォーカスをおいて行われている.
・イギリスの37の外科病棟の研究では,フィードバックは静脈炎の率を8.5%から5.4%に減らした.フィードバックは医療,とくに感染制御における確立された介入方法である.効果はsmallからmoderateだが,専門的なプラクティスの改善においてフィードバックは有効であることが繰り返し示されている.
・特化したintravenous teamは,カテーテル関連合併症の発生とそれに関係したコストの減少において,はっきりとした有効性が示されている.intravenous teamは局所の炎症所見を21.7%から7.9%に減らし,全静脈炎の率を32%から15%に減らした.
・2つの小さな研究が,PVC挿入部位をカテーテル交換のあいだでローテーションさせて血栓性静脈炎が減るかどうかを調べた.この目的は達成された.しかし,理論的にはこの所見は興味深いが,挿入部位のローテーションのために日々PVCを変えるのは現実的ではない.

カルバペネムのまとめ(カルバペネムどうしと他剤の比較)

以前に調べる機会のあったものです.

総論

・大同小異.

“Generally speaking, doripenem, imipenem, and meropenem are therapeutically equivalent and interchangeable in most clinical situations.”(Mandell)


・カルバペネムを使い分けるという考え方が通常なく,複数のカルバペネムを院内で採用する必要性はない.
・特徴に若干の違いがあるが,実際の臨床の現場で意識されることは少ない.

・グラム陽性球菌(に若干強い):IPM/CS,PAPM/BP
・グラム陰性桿菌(に若干強い):MEPM,DRPM
・BIPMは中間.
(メモ:CIDのDRPM特集には,DRPMはGPCについてはIPMなみで,GNRについてはMEPMなみ,といった記載もあった.)

・グラム陽性菌で用いる「必然性」はほとんどない.
・院内のグラム陰性菌感染に特に有利.

・ICU患者などの重症患者における臨床成績が重要であるが,その点においてはIPM/CSとMEPMが他を圧倒している.
・IPM/CSは催けいれん性が比較的強く,髄膜炎の適応がないことや,緑膿菌の治療途中での耐性化の懸念などがあって,MEPMが最も標準的なカルバペネム.
・救急救命領域ではMEPMが最も標準的に使用されており,カルバペネムの第一選択薬.
・BIPMはsepsisに対する使用経験が少なく,データ不足.動物実験で腎毒性,効果も微妙.

・DRPMは各種組織は移行性良好だが,髄液に対してはデータがない.
・DRPMは他のカルバペネムよりも生食,5%ブドウ糖溶解後の安定性良好.
 DRPM 生食12時間 5%ブドウ糖4時間
 MEPM 生食4時間 5%ブドウ糖1時間
 IPM/CS 生食4時間 5%ブドウ糖4時間

Empirical therapy

・発熱性好中球減少症,医療関連肺炎,腹腔内感染などについては臨床試験の数も多く,十分な臨床成績が蓄積しているといえる.
ちなみにthe major sources of infection in severe sepsis or shock are pneumonia and intra-abdominal infections (4,5) and other sources generally account for < 5 percent of cases.  (http://ssc.sccm.org/bundles/individual_changes/improve_antibiotic_time
→①重篤な複数菌感染症(腹腔内感染症),②医療関連感染症,においてはその効果が十分に検証されている.一方で市中感染をターゲットに日常的に使用することはまず“ありえない”薬剤.

・RCTの多くはカルバペネムと他の薬剤の臨床的な効果が同等であることを示したものや,対照薬剤に対するカルバペネムの非劣性を示したもの.
・よく比較の対象となっているのは抗緑膿菌作用を有する第三・四世代セファロスポリンやPIPC/TAZ,ニューキノロン.
・同程度の効果が期待できることは事実だが,明らかな優位性をもっているわけではない.

・重症患者では早期の適切な抗菌薬導入が必要である.しかし,その際に用いる抗菌薬はカルバペネム系薬剤でなければならないという必然性には乏しいことが,以下に示すような多くのランダム化比較試験で示されている.
・重症感染症における第四代セファロスポリンとカルバペネムのEmpiric therapyにおける効果を比較した4つのRCTのmeta-analysisでは,両者間に優位な差は認められなかった. (ただし第四世代セファロスポリンとの比較に関しての結論を出すにはエビデンス不足としている.また抗緑膿菌ペニシリンに関してはカルバペネムより劣るという結論になっている点には注意が必要.)
・入院中の重症感染症の代表として,発熱性好中球減少症や腹腔内感染症,髄膜炎や院内肺炎などのランダム化比較試験でカルバペネムと他のβラクタム剤などの治療成績が同等であることが示されている.

・エンピリカルな使用における治療成績は同等.
IPM/CS,MEPM
PIPC/TAZ
CAZ + MNZ or CFPM + MNZ

・他剤に優先してカルバペネムを用いるべき状況があるのだろうか?
→ここで考慮すべきなのがlocal factorである.

・施設や地域によって感受性パターンは異なる.

・カルバペネムの使用量が多い施設では,緑膿菌にエンピリックなカバーにカルバペネムの信頼性は高くないこともあり,個々の施設のローカルファクターを把握することは非常に重要である.

・病歴(市中感染vs医療施設関連感染,患者の免疫状態を含む),身体所見,一般検査(過去の培養結果を含む),画像所見から感染臓器,起因菌を推定し,グラム染色でさらに絞り込んだ上で,敗血症性ショックという後がない状況と自施設でのローカルファクターを考慮して,十分なスペクトラムを持った抗菌薬を選択するのが常道である.
・基本的に「この組み合わせで」と決めてしまうと,当たり前のことだが“敗血症”という病態の診断まではできても,それ以上の確定診断に至ろうとする努力が行われなくなる.その結果,非定型肺炎,リケッチア,マラリアなど,この組み合わせではカバーできない感染症や疾患に足元をすくわれたり,壊死性筋膜炎や急性化膿性胆管炎などドレナージやデブリードマンが必要な病態を見逃す可能性もあるだろう.

●呼吸器感染症および複雑性尿路感染症
BIPM 0.25g 12時間毎 vs MEPM 0.5g 12時間毎 非劣性

●複雑性腹部感染
DRPM 0.5g(1時間)8時間毎 vs MEPM 1g(3~5分ボーラス)8時間毎 差なし

●複雑性尿路感染
DRPM 0.5g(1時間)8時間毎 vs LVFX 250mg(1時間)24時間毎 差なし

●院内肺炎
DRPM 0.5g(1時間)8時間毎 vs PIPC/TAZ 4.5g(■時間)6時間毎 差なし
DRPM 0.5g(4時間)8時間毎 vs IPM/CS ■g(■時間)■時間毎 差なし

・日本の小児科領域では,PAPM/BPを市中髄膜炎に対するエンピリック治療(主にPRSPとBLNARの可能性を想定して)に使用することが,慣習的に普及している.

Definitive therapy

・カルバペネムが第一選択となる状況はごく限られる.
・多くの感染症はカルバペネムを使わなくとも治療可能.

・複数菌感染症に対してはきわめて有効.

●PISP,PRSP
・PAPM/BPが最もMIC良好.
・髄膜移行性が優れる点や痙攣誘発が少ない点からも肺炎球菌性髄膜炎例にはPAPM/BPが推奨.
・小児に適応を持ち,中枢毒性が軽減されたことから,髄膜炎に対して伝統的に使用されてきた.
・PAPM/BPはIPM/CSよりベター.髄膜炎に適応あり.
・細菌性髄膜炎のエンピリック・セラピーとしてのMEPMの効果を検証したRCTでは,CTXと同程度の効果.
・特に小児領域の細菌性髄膜炎のエンピリック・セラピーとしてMEPMが注目されている(universalに感受性があるわけではないので注意).PAPM/BPもその使用をサポートするcase seriesが存在する.

●BLNAR
・特に小児科領域でのBLNARによる細菌性髄膜炎の増加が問題となっている.
・CTRX、CTXなどによる治療に関心が集まっている.同様にMEPMも期待されている.
・MEPM,DRPMに対して高い感受性.IPM/CS,BIPMは劣る.
・BLNARに対する薬剤間の感受性の違いあり.

●緑膿菌
・PAPM/BPは他の4剤に劣る.
・MEPM,DRPMが他の3剤より優れる.
・DRPMはMEPMと同等.IMP/CSより2倍(in vitro).
MEPMが耐性でもDRPMが感受性がある場合があるため感受性検査は必ず行うべき.
・PAPM/BPはIPM/CSより劣る.
・MEPMは抗緑膿菌に優れる.

●ESBL
・DRPMはMEPM,エルタペネムと同等,IPM/CSより2~4倍のdilution advantage(in vitro).
・ESBL産生菌の重症感染,とくに血流感染症では、カルバペネムを早期に導入することが,予後に関連することが知られている.

●Amph C型βラクタマーゼ
・通常ペニシリン系,セファロスポリン系,これらとβラクタマーゼ阻害剤との合剤の使用は推奨されない(ただしセフェピムに関してはAmpC-βLactamaseを誘導しにくいとの報告もあり,使用できるかどうかは結論が得られていない).カルバペネムによる治療は通常は成功する.

Acinetobacter
DRPMはIPM/CS,MEPMより強い活性はない(例外はある)(in vitro).

●嫌気性菌
Bacteroides fragilisの耐性菌は10%(DRPM).
・ペニシリン,クリンダマイシンやセファマイシン系に対して耐性のB. fragilisに対しても良好な活性を有する.

Enterococcus faecalis
・DRPMはIPMより2 dilution劣り,MEPMと同等,エルタペネムより優れている(in vitro).

●MSSA
・PAPM/BPはIPM/CSよりベター.
・IPM/CS,PAPMがベター.
・ただし意味のない属性.

●抗菌活性が低い
Stenotrophomonas maltophilia:無効
Burkholderia cepacia:感受性は様々
KPC産生菌(MIC 8~64μg/mL)
メタロβラクタマーゼ産生菌(MIC 8~64μg/mL)
Enterococcus(効かない菌)一部のfecalisfeacium
MRSA(効かない菌)
MRSE(効かない菌)
MDRP(効かない菌)
細胞内寄生菌(効かない菌)
Clostridium difficile

耐性化
・DRPM vs IPM/CSのVAP治療のopen-label studyでは
DRPM群の緑膿菌検出例では,治療前に対するfollowのMICが4倍以上は36%.
IPM/CS群の緑膿菌検出例では,治療前に対するfollowのMICが4倍以上53%.
MEPMが耐性でもDRPMが感受性がある場合があるため感受性検査は必ず行うべき.
・交叉耐性について.
MEPM耐性であれば,IPM/CS,PAPM/BP 100%耐性.
IPM/CS耐性でMEPM交叉耐性は41.8%,PAPM/BP 98.7%.
PAPM/BP耐性ではMEPM交叉耐性23.7%,IPM/CS 56.1%.
・現時点では,IPM/CSとMEPMしか,薬剤感受性テストが標準化されていない.
・カルバペネムの使用は,カルバペネム耐性の緑膿菌ばかりでなく,ほかの薬剤に耐性の緑膿菌のリスクファクターであることも認識されている.
・カルバペネムは他の抗菌薬と比べて耐性誘導の危険性が高い.
抗菌薬暴露と薬剤耐性についての調整ハザード比はフルオロキノロン4.0, 第三世代セファロスポリン3.5, ABPC/SBT 2.3, IPM/CS 5.7とIPM/CSとの相関が最も強かったとの報告がある.緑膿菌について限った報告では,抗菌薬治療に伴う緑膿菌の薬剤耐性のハザード比がCAZで0.8,CPFX 9.2,IPM/CS 44,そしてPIPCが5.2と,IPM/CSで突出して高かった.

副作用
・中枢毒性(中枢神経副作用)
IPM/CSで多い(0.23%).MEPM 0.07%.
・DRPM vs IPM/CSのVAP治療のopen-label studyでは
痙攣の発生率はDRPM 3/262(1.1%),IPM/CS 10/263(3.8%).

【参考資料】
・カルバペネムをどう使うか?―適正使用のための基礎と臨床
・ブログ『楽園はこちら側』
http://georgebest1969.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/post-b7fc.html
・感染症999の謎
・Clin Infect Dis. 2009; 49 Suppl 1
・Clin Infect Dis. 2009; 49(2):291-8. PMID: 19527173
・【臨床医が知っておきたい感染症治療と抗菌薬のエビデンス】 抗菌薬使用のエビデンス カルバペネム系薬剤の適正使用とは? EBMジャーナル 2009; 9(3): 336-42
・抗菌薬の使い方を究める 各抗菌薬の特徴と使い方 カルバペネム系抗菌薬の使い方 medicina; 47(4): 630-635
・医学書院/週刊医学界新聞(第2886号 2010年07月05日)
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02886_02

唾液腺炎(残り)

2週間あいてしまいました….前回の続きです.
(この文献,どうして慢性耳下腺炎のあとにウイルス性耳下腺炎という順番になっているんだろう.)

包虫症
・耳下腺の包虫症は極めてまれである.
Echinococcus granulosusの生活環は,一次宿主の犬やジャッカルが包虫のシストを含んだ生の臓物を摂取することで,長続きする.
・とくに流行地域では疑い,臨床検査と超音波で嚢胞性の腫脹を確かめることで診断される.
・単純X線では,変性嚢胞における曲線,リング状,あるいは斑状の壁の石灰化がみられるかもしれない.
・顎下腺や耳下腺を侵す症例は,術中に診断される例がほとんどであり,術前に診断されることはまれである.
・唾液腺切除術の際には,術者は嚢胞を破裂させないように注意すべきである.

アクチノミセス
・頸部顔面のアクチノミセス症は,mycotic originな?特異な肉芽腫性疾患である.
・ヒトにおける第一の病原体はActinomyces israeliiであり,顔面,頸部,口腔底部領域における腫脹で特徴づけられる.
・頻度は低いものの,感染はActinomyces propionicaActinomyces naeslundiiActinomyces viscosusActinomyces odontolyticusによっても起こる.
・すべてはヒトの口腔の片利共生生物である.
・疑われないこと,適切な環境で培養されないこと,偏好性の性質のために,培養での検出率は30%未満である.
・3つの臨床病型がある.
① 急性,迅速進行性で,化膿を伴い,他の急性頸部顔面感染症と臨床的に区別はつかない.
② かなり慢性,緩徐進行性で,際立った硬結と板状の腫脹を伴い,いくつかの症例では特徴的な“sulfur granules”を含んだ膿を排泄する多発した皮膚の腔に発展する.
③ 上記の臨床的な記載には合わず,亜急性の病型で,かすかに圧痛があり,堅固に骨に付着した腫瘤様病変で特徴づけられる.
・唾液腺は歯性起源からの直接進展により侵されうる.
・急性感染の治療は外科的で,明らかな膿貯留があればドレナージする.
・今もなおペニシリンGが好ましい.効果のある代替薬はテトラサイクリン,エリスロマイシン,クリンダマイシン

ウイルス性唾液腺炎
・「ムンプス」という言葉は古典的にはパラミクソウイルスによるウイルス性耳下腺炎を指しているが,広範囲なウイルスが急性ウイルス性唾液腺感染の原因として同定されている.
・ムンプスは世界的に起こっており,高い感染性がある.
・85%は15歳以下小児に起こり,小児期の曝露あるいはMMRワクチンによる免疫により成人での感染はまれである.
・他のさまざまなウイルスが急性ウイルス性耳下腺炎の患者の血液や唾液から培養されている.インフルエンザパラインフルエンザコクサッキーエコーリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスが含まれる.
サイトメガロウイルスアデノウイルスもまた,HIV患者の急性耳下腺炎の原因として報告されている.
HIVの耳下腺病変は,急性ウイルス性耳下腺炎の原因としてはまれであるが,より一般的には慢性嚢胞性耳下腺肥大と関連する.
・(急性ウイルス性耳下腺炎の)最大1/3までの患者が,頭痛,筋痛,関節痛,食欲不振,倦怠感,微熱などの耳下腺炎発症前の前駆症状を経験する.
・耳下腺病変発症の前触れとして,耳痛に続く耳下腺局所の痛み開口障害嚥下障害が起こる.痛みはしばしば,咀嚼食事のあいだの唾液分泌の刺激により悪化する.
・たいてい相対的なリンパ球上昇を伴う白血球減少血清アミラーゼの上昇が起こる.血清アミラーゼは最初の週のあいだにピークとなり,第2~3週までに正常化しうる.
・補体結合抗体はパラミクソウイルスの曝露に続いて出現する.S抗体(ウイルスの核蛋白の可溶性抗原に対する抗体)は,感染の最終週以内に出現し,2週間以内にピークになり,8~9ヶ月以内に消失する.つまり活動性の感染と最近のワクチン接種と関連.V抗体(外表の凝集素に対する抗体)は,S抗体の数週あとから出現し,曝露後約5年間低レベルで持続する.つまり過去の感染,以前のワクチン接種,急性感染の後期と関連する.
(特異性が高いという話もありますが,そもそもあまり用いないと思います.なぜCF法の解説だけ…)
<参照>
名鉄病院:http://www.meitetsu-hospital.jp/kakuka/pdf/yobou_koutaikensa.pdf
ビーエムエル:http://uwb01.bml.co.jp/kensa/conpe.asp?d=110&t=50&k=4908&e=0
・最初のserologyが役立たなければ,非パラミクソウイルスが急性ウイルス性唾液腺感染症を起こしているかもしれない.インフルエンザ,パラインフルエンザ,コクサッキー,エコー,リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスなどのウイルス抗原に対する抗体価は調べられる.正常から4倍の抗体価上昇が急性感染では診断的である.まれにウイルスは血液,唾液,母乳,脳脊髄液から培養されうる.
・急性耳下腺炎症の原因としての報告があるので,このようなケースではHIV検査もすべきだ.
・ウイルス性唾液腺感染はself-limitingなので,治療は休養と適切な補液といった対症療法が第一である.

HIV
・HIV患者は感染性唾液腺炎発症のリスクがある.
・唾液腺,とくに耳下腺に起きるリンパ性病変が文献にて広く報告されており,HIV患者の耳下腺の嚢胞性病変の発生の増加と関連している.
・日和見病原体にはサイトメガロウイルス,ニューモシスチスカリニ,アデノウイルス,ヒストプラズマがある.
・臨床像はさまざまで,感染あるいは腫瘍が疑われる.
・多くのAIDS患者で唾液腺にCMVを分泌しても,明らかな唾液腺のCMV diseaseはまれである.
・AIDSの乳児にみられる慢性の耳下腺腫脹は急性CMV耳下腺炎によると考えられている.
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