アメナクシテニジハナシ

一般内科,感染症,HIV,救急などの医学領域と個人的な趣味について

2011年08月

CEZ感受性→CEX感受性?(大腸菌)

まず感受性があった場合にE.coliKlebsiellaにセファゾリンを使いますか?もちろん感染臓器にもよりますが.
セファゾリンのE.coliKlebsiellaに対する抗菌活性はセフトリアキソンなどの第3世代セフェムに比べるとやや低いとは言われています.
実際にKlebsiellaの肝膿瘍治療において合併症発生率に差があるという報告もあります.

Antimicrob Agents Chemother. 2003 Jul;47(7):2088-92.
Extended-spectrum cephalosporin compared to cefazolin for treatment of Klebsiella pneumoniae-caused liver abscess.
PMID:12821451


でも菌血症ではなかったり,defenitive therapyの段階ですでに落ち着いている尿路感染なら自分は使います.
そしてセファゾリンにde-escalationしたあと,さらに内服へ切り替えるときは何の躊躇もなくセファレキシンを使っていました.でもセファレキシンの感受性はセファゾリンの感受性と同じなんでしょうか?セファレキシンの感受性は普通わかりません(調べないし,基準もない).

Kucer's the Use of Antibioticsという本には抗菌薬別にさまざまな菌のMIC90が記載されています.そこでCephalexinのところをみるとE. coliのMIC90は16~32μg/mL.意外に高くて心配になります….

そこでこんな文献を見つけました.

J Clin Microbiol. 2007 Nov;45(11):3762-3. Epub 2007 Aug 29.
Narrow-spectrum cephalosporin susceptibility testing of Escherichia coli with the BD Phoenix automated system: questionable utility of cephalothin as a predictor of cephalexin susceptibility.
PMID:17728468


別の研究内容も同時進行で行われているので,関係のあるところだけ抜粋します.
ちなみに
very major errorとは耐性を感受性と誤ること
major errorとは感受性を耐性と誤ること
minor errorとはMICの値を誤ること(「感受性」、「耐性」といった評価は同じ)

・CLSIのガイドラインでも解釈の仕方の記載がないのでセファレキシンの感受性は検査室ではルーチンには検査されない.
・CLSIは“セファレキシンの感受性を予測するのにcephalothinを使用するべき”と推奨しており,(セファレキシンの)市販のパネルもない.(コメント:本邦でcephalothinの感受性ってやっているのでしょうか?セファゾリンの感受性しかやっていないことが多いと思います.)
・セファレキシンの感受性のpredictorとして,cephalothinやセファゾリンを使うことが妥当かどうか検討した.
・主に尿培養から検出された225の大腸菌株を検査した.
・CLSIのセファレキシンのブレイクポイントは存在しないので,他の狭域セファロスポリンと同じように(感受性 ≦8μg/mL,intermediate ≦16μg/mL,耐性 ≦32μg/mL)決定した.
・Cumitechなどでは,very major errorは3%以下,magor errorとminor errorは合わせて7%以下にすべきとしている.
・微量液体希釈法でセファレキシンのpredictorとしてcephalothinやセファゾリンの有用性を評価した.
・CLSIの推奨とは対照的に,cephalothinはセファレキシンの感受性のpoor predictorであることがわかった.
・他の狭域セファロスポリンでCLSIが推奨するブレイクポイントをセファレキシンに利用すると,major errorとminor errorは合わせて40%であった.
・さらにセファゾリンもpoor predictorであることがわかった.very major errorが11%にあった.
・セファレキシンの感受性は独立して検査するべきだし,CLSIはセファレキシンのブレイクポイントを設定すべきだ.という結論.

CEZ感受性→CEX感受性?

大腸菌だということをお忘れなく.
まあ1割なら大丈夫ですかね.でも頭の片隅には置いておこうと思います.

IDATEN感染症サマーセミナー2011(横浜)

2011年8月5日~7日に
IDATEN感染症サマーセミナー2011(横浜)
に参加させていただきました.

全国の有名な感染症の先生方の話が聞ける幸せな3日間.
僭越ながら糖尿病足病変のレクチャーをさせていただくことができました.

テキサス分類

糖尿病足病変は感染があれば,骨髄炎の評価も含めた感染症の治療が必要ですが,それだけみていてはだめ.血流が大事なんです.血流が悪ければ,いくら抗菌薬を注いだところでよくなりません.カルバペネムに変える前に,虚血でよくならないのでは?と考えましょう.もちろん血行再建術をするなら,心臓や脳の血管病変の評価も忘れずに.

というのが伝えたかったメッセージです.
感染症を中心に診療をしていると,どうしてもこういった根本的に重要なところを忘れがちという,自分に対する戒めの意味もあります.
お疲れのところをご清聴下さったみなさま,この場を与えてくださったスタッフの方々,本当にありがとうございました.

認知症(2)

今回はLarson EB先生のもうひとつの文献

Arch Intern Med. 1986 Oct;146(10):1917-22.
Diagnostic tests in the evaluation of dementia. A prospective study of 200 elderly outpatients.
PMID:3767535


を紹介します.こちらは主に検査のはなしです.

Abstrat
・認知症が疑われ標準的な診断学的評価とフォローアップを受けた60歳を超える200名の患者において診断学的評価の要素を研究した.
・最も頻度の高い認知症診断はアルツハイマー型認知症(74.5%)と薬物毒性による認知症(9.5%)であった.
・甲状腺機能低下症,低ナトリウム血症による代謝性脳症,副甲状腺機能亢進症,低血糖の11名の患者は,診断のために臨床検査が必要だったが,他の認知症診断は,主として病歴と身体所見と神経学的所見から利用できる情報に基づいてなされた.
・CBC,血液生化学バッテリー(とくにNa,Ca,血糖),甲状腺機能検査は疑われない疾患の診断に明白な価値があり,認知症患者の評価におけるルーチン検査として役立った.
・CBC,生化学バッテリー,甲状腺機能を組み合わせた注意深い病歴と身体所見は認知機能障害を起こす治療可能な疾患の診断に有効であった.他の診断学的検査は診察とスクリーニング検査の結果に基づいて選択的に使用することができた.
・選択的アプローチの診断費用請求の見積もりは“ルーチン”評価の25~34%であろう.

‐背景‐
・認知症患者のほとんどはより高齢だが,ほとんどの研究は入院患者や若年患者から主に得られた結果を記述している.
・私たちは以前に,標準的な方法で評価された認知症疑いの60歳を超えた200名の患者の診断と治療のアウトカムを報告した.
・この文献で私たちは,これらの患者でどのように診断がなされたか,さまざまな診断学的検査の結果,異なる検査オーダーリングストラテジーの効果を記述する.

方法
・4つのエントリー基準.(1)60歳を超えること,(2)患者あるいは家族から報告された,物忘れ,精神錯乱,自身の世話ができない,思考低下のような症状に基づいた全認知機能障害疑い,(3)症状は少なくとも3カ月続いている,(4)診断学的評価を施行することと評価後少なくとも1年間のフォローアップに参加することに乗り気であること.
・すべての患者が内科医と精神科医あるいは心理士の評価を受けた.内科医の評価は,完全な病歴聴取,身体所見,精神状態検査を含む型どおりの神経所見からなった.
・医学的評価の一部として,認知症の患者は,CBC,ESR,自動化された12項目の生化学バッテリー(Na,K,Cl,重炭酸,BUN,血糖,Cre,Bil,ALP,Ca,TP,Alb),血清リン,ASTあるいはALT,ラジオイムノアッセイによるサイロキシン(T4),トリヨードサイロニン(T3)レジン摂取率,TSH,VDRLあるいはFTA-ABS,血清シアノコバラミンと葉酸,脳CT,脳波からなる標準的な検査室評価を受けた.尿検査,頭蓋骨X線,ACTH負荷試験,といったオリジナルプロトコールの一部は研究開始後6カ月で削除された.
・心電図と胸部X線は,もし適応があれば,あるいは過去5年間で行われていなければ,施行された.
・認知症でない患者は必ずしもすべての検査室評価を受けなかった.過去の検査結果を見返して,もし以前に行われていれば,検査はルーチンには繰り返されなかった.
・診断は,オリジナルの評価,診断学的検査,心理試験,それらに続くサマリーの結果に基づいた.アルツハイマー型認知症や他の認知症の原因は,標準的で,一般的に認められている過去に報告された診断基準に基づいて診断された.
・付加的な診断の妥当性を与えるために,研究デザインには認知症診断コンセンサスグループによる患者の振り返りが含まれた.そのグループは,医学的評価,CTを含む臨床検査,精神鑑定,心理試験(Mini Mental State Examination,modified Dementia Rate Scale,Wechsler Adult Intelligence Scale,Wechsler Memory Scale,Fuld Object Recall Test),フォローアップデータの結果を振り返った.
・すべての患者はプロトコールによって評価のあと少なくとも12ヶ月間フォローアップされた.

結果
<患者>
・症状の平均期間は42.0±31.1ヶ月であった.
<診断>
(Table 1. Illnesses Causing Dementia in 200 Patients)
・しばしば,1つより多い(2つ以上の)疾患が認知症に寄与しており,患者数より多くの診断数がある.
・48名の患者において,うつの所見が認知症と併存した.
・Table 2は,認知症が疑われる高齢者はしばしば,治療的に重要な他の内科的疾患をもっていることを明示している.
(Table 2. Other Newly Recognized Diagnoses and Treatment Recommendations in 200 Elderly Patients)
・合計248の他の内科的診断が124名の患者になされた.92が新しい診断で156が以前に診断されていた.
・副甲状腺機能亢進症の3名の患者のうち2名は副甲状腺機能亢進症に関連した認知機能障害をもっていると考えられた.
・臨床的な経過と治療の反応に基づいて,コンセンサスグループにシアノコバラミンあるいは葉酸の欠乏による認知症があると判断された患者はいなかった.これらの(シアノコバラミン欠乏あるいは葉酸欠乏の)患者のすべてはアルツハイマー型認知症あるいは原因不明の認知症という一次性認知症に分類された.これらの分類が難しい症例のうち,いくつかの患者は(例えばシアノコバラミン治療後に)一過性の改善をみたが,結局アルツハイマー型認知症に典型的な進行性の悪化を認めた.
<診断方法>
・Table 1の疾患は主に病歴と身体所見から診断された.
・4疾患(甲状腺機能低下症,副甲状腺機能亢進症,低ナトリウム血症,低血糖)の11名は,疑われた診断の臨床検査での確認あるいは疑われていなかった診断の発見に基づいて診断された.
・248の他の内科的診断のうち,192は病歴と身体所見の情報から診断された.
・鉄欠乏性貧血,葉酸低値,シアノコバラミン欠乏,副甲状腺機能亢進症,尿路感染症の患者は全て,それらの発見・確認のために臨床検査が必要であった.うっ血性心不全と消化性潰瘍のすべてではないが,いくつかの診断に診断学的検査が使われた.
<診断学的検査の解析>
・Table 3は診断学的血液検査の結果を示している.
(Table 3. Results of Routine Blood Tests in the Dementia Workup)
・結果は正常と異常,異常は治療上重要な診断を証明するのに役立つかどうかに分類された.
・偶発的,偽陽性,治療上の重要性がない,以前にわかっている所見である,といった異常所見は,異常であるが“no clinical consequence”に分類された.
・Table 3の診断学的血液検査のなかで,CBC,甲状腺機能検査,生化学バッテリーは治療上重要な診断を導く異常を発見するのに必要であった.
CBC
・CBCは29名の患者で異常であった(低ヘモグロビン,低ヘマトクリット,MCV異常).
・シアノコバラミン吸収不良の2名の患者と鉄欠乏性貧血の3名すべての患者はCBCの異常があった.
・初期評価では15名の患者に葉酸低値があったが,11名だけが持続的に低値であった.葉酸低値の5名の患者が貧血または大赤血球症であった.CBCが正常のすべての患者(6名)の葉酸低値は軽症であったが,CBC異常の5名の患者のうちの4名は葉酸がより低値であった.
・持続的な葉酸低値の患者は葉酸補充療法と食生活を改善する試みがなされた.
・葉酸とCBCの異常のあった5名のうち2名は,家族や看護師に報告された認知のかすかで一時的な改善を認めた.5名のうち3名は全体的な健康において持続性の改善を認めた.CBC正常,葉酸低値であった1名は改善したが,甲状腺機能低下が併存し,改善はレボチロキシン治療と関係があった.
・持続的な葉酸低値のあった11名の患者すべてが認知症のままで,アルツハイマー型認知症と判定された.
・より重症な認知症患者において,葉酸低値は適切な食事を確保することができないことと関係していた.最初に葉酸低値があった15名のうち9名(60%)は,評価の時点で,他人の補助なしに自身で料理をしていた.葉酸正常の166名のうちでは61名(36.7%)だけであった(P < .025).
・葉酸低値患者の平均Mini Mental State Examinationスコアは14.8±8.3(n = 15),葉酸正常患者では19.1±7.4(n = 170)であった(P < .02).
・最初のCBC異常がある患者だけにシアノコバラミンを測定すると,コストは下がり,検査をしなかった165名のうちで(シアノコバラミンが)見逃されたものはいないだろう.
・CBC異常がある患者だけに葉酸を測定すると,コストは下がるが,かすかに葉酸の低い6名は発見されていなかっただろう.
甲状腺機能
・甲状腺機能低下の6名うち3名が臨床所見に基づいて甲状腺機能低下の診断が強く疑われた.他の3名は臨床検査によって診断がついた.その後,かすかな甲状腺機能低下の症状が臨床的により明らかになった.
・6名のうち3名はT4の低値とT3レジン摂取率低値があったが、ほかの3名はT4とT3レジン摂取率は正常であった.
・6名すべてでTSHは15μU/mL(mU/L)を超えていた.
・他の30名の(甲状腺機能低下でない)患者はTSHが正常上限である6.5μU/mL(mU/L)を超えていた.28名が10μU/mL(mU/L)未満であり,30名すべてが12μU/mL(mU/L)未満であった.30名すべてがT4とT3レジン摂取率とfree T4 indexは正常で,甲状腺機能低下の臨床症状はなかった.フォローアップで甲状腺機能低下の症状があったものはおらず,12名の患者は繰り返した甲状腺機能検査は正常であった.
・(甲状腺機能低下の)6名のうち4名は,甲状腺機能低下の治療後に認知の改善があった.6名のすべてが認知以外の他の健康面の明白な改善を認めた.
・①実際に甲状腺機能低下の診断にかかった費用>②thyroid screen(T4とT3レジン摂取率のこと?)を最初のスクリーニング検査で行った場合の費用>③最初の検査ではTSHのみ,TSHに異常があればT4とT3レジン摂取率をフォローアップとした場合の費用,であり②では3名が見逃されただろう.
生化学バッテリー
・生化学バッテリーの異常は頻度が高く(65名,33.7%),5名の患者(低ナトリウム血症2名,副甲状腺機能亢進症2名,低血糖1名)の可逆性認知症の診断に結び付いた.副甲状腺機能亢進症の3名のうち2名は,腺腫切除後に客観的な認知の改善を認めた.1名はアルツハイマー型認知症が併存していることがわかった.
・軽症,無症候の慢性腎不全が13名(6.8%)にみつかった.
CT
・CTによってみつかった治療の変更に結び付く疾患はなかった.
・失語と脳血管障害のある2名がCTによって脳血管障害を確認された.
・2名が意義不明の脳室周囲の異常輝度があることがわかった.
・10名に脳血管障害で矛盾しない高輝度領域があった.6名は病歴と神経所見から明らかであったが,4名は臨床背景からは疑われなかった.Hachinskiスコアとコンセンサスグループによって認知症に寄与していると判定されるものはなかった.
胸部X線
・選択的に適用されたが,6名でうっ血性心不全の臨床的疑いを確認するのに役立った.
・治療上重要でない偶発的な異常は,胸部X線の41.7%に存在した.
心電図
・選択的に適用されたが,身体所見で不規則な脈拍のあった2名で心房細動の新規診断が確かめられた.不規則な徐脈と浮遊感のあるもう1名では,心電図所見は洞不全症候群の最終診断に結び付いた.
脳波
・特異的な診断には結び付かず,スクリーニングテストとしては役立たなかった.
・かすかな精神状態異常のある3名において,臨床背景上で予想される以上のびまん性の徐波がアルツハイマー病を確かめるのに役立った.
・しかし,軽症のアルツハイマー型認知症は,しばしば,正常の加齢に伴う変化と区別がつかないと解釈される,最小限の非特異的な脳波異常があるだけである.
頭蓋骨X線,ACTH負荷試験
・オリジナルプロトコールの一部であったが,役立つ所見が得られなかったため中止.
肝酵素(AST or ALT)
・いずれの診断にも結び付かず,5.1%の偶発的な異常がみつかった.
血清リン
・スクリーニング検査としては役立たなかった.
VDRLとFTA-ABS
・2名がVDRLの異常(両者とも<1:8 titer)があったが,フォローアップのFTA-ABSは正常の結果であり,患者に神経梅毒の徴候はなかった.
ESR
・ESRは14.5%の患者で上昇し,3名で繰り返しの測定で80mm/hを超えた.そのうちの2名は側頭動脈生検正常であった.1名はその後臨床的に明らかな関節リウマチとなった.もうひとりはシアノコバラミンの吸収不良であることがわかった.3人目の患者は直腸診の便潜血が陽性で,大腸癌であることがわかった.
<診断学的検査のオーダリングストラテジーと結果>
・Table 4はいくつかの異なる診断学的検査のオーダリングストラテジーとそのコストの痒点を述べている.
(Table 4. Costs and Components of Various Diagnostic Test-Ordering Strategies for the Evaluation of Demented Patients)
・最も精選されたストラテジーは“Selective Test-Ordering Strategy 1”で,最も少ない診断学的検査を使用している.
・このストラテジーは3つのステップを含む.(1)全般的な病歴と,神経精神学的な評価も含む完全な身体所見,(2)CBC,生化学バッテリー(とくに血糖,Naと他の電解質,Ca,Cre),TSHを含む臨床検査のスクリーニング,(3)他の検査の選択的使用:(a)TSHが上昇していた患者のT4とT3レジン摂取率(36名),(b)貧血そして/あるいは大赤血球症のある患者の血清シアノコバラミンと血清あるいは赤血球の葉酸(29名),(c)最初に異常があればNa,Ca,血糖の測定を繰り返す(25名),(d)特定の臨床適応のある患者あるいはハイリスク患者におけるCT(34名).
・このストラテジーは200名の患者のなかで10名の患者における重要性の不明確な葉酸低値をみつけられなかった.葉酸低値の患者をすべてみつけるためには,すべての患者の葉酸値を測定しなければならないだろう(“Selective Test-Ordering Strategy 2”).
・CTの選択的な使用は,少なくとも4名の臨床的には明らかでない治療上の重要性のない脳血管障害を見逃した.

考察
・診断の定義を満たす連続的な患者が登録されたので研究の妥当性が強調された.しかし比較的均一な,白色人種の,中流階級の集団を研究した.
・私たちの研究は,多発脳梗塞性認知症の患者が際立って少なかった.
・この研究の目的は,どの検査が認知症の診断学的評価において最も価値があるかを決定することだった.
・過去に記述された選択的なストラテジーは2つの異なった患者群において有効であっただろう.
・私たちが強調するのは,どんな検査オーダリングの指針も慎重さと臨床的な判断が用いられるべきだということだ.ストラテジーは臨床医がより効果的な決定をするのに役立ちうるガイドラインを表すが,個々の患者の個性を気にせずに理解される決定規則ではない.
・この比較的均一な集団においてでさえ,意思決定の樹状図を作ろうという試みは成功しなかった.
・スクリーニングのために価値のある検査は驚くほどに少ない.
・CBCはシアノコバラミン欠乏の可能性をスクリーニングするのに十分な感度があった.95%確からしさでシアノコバラミン異常はCBCが正常のひとの1.2%を超えない.
・病院や施設にはいる高齢患者において葉酸低値は頻度の高い所見である.自由に生活できる健康な高齢者における葉酸の状態は主要な医学的問題ではないことをGarryらは報告した.認知症のある外来患者は,とくに重症の認知症がある患者あるいは自分で料理をする患者では,葉酸欠乏のリスクかもしれないことを私たちのデータは示唆する.
・葉酸欠乏の主要な効果は赤血球に対する効果である.
・血清葉酸値3.0ng/mL(7nmol/L)未満はスクリーニングの研究において葉酸欠乏の合理的な診断基準として認められてきた.CBCによって,私たちは葉酸が3.0ng/mL未満であるハイリスクな認知症患者をスクリーニングすることができただろう.
・甲状腺機能低下の有病率,とくに臨床的に明らかでない甲状腺機能低下,は認知症の評価における甲状腺機能検査のスクリーニングを正当化する.
・私たちの研究では甲状腺機能低下を効果的にスクリーニングするのにTSHの測定が必要であった.私たちの研究のもうひとつの効果的なアプローチは,Goldieらが提案したように,単純にT4の正常の下限を1μg/dL(13nmol/L)に上げ,その後にTSHそして/あるいはT3レジン摂取率で患者をスクリーニングすることである(最も低価格).イムノラジオメトリックアッセイのような改善したTSHアッセイの発展により,単一のスクリーニング検査が原発性甲状腺機能低下と甲状腺機能亢進の両方の発見のために効果的である可能性が高まった.
・ラジオイムノアッセイだけによるTSHに頼りすぎると,いわゆる感情鈍麻性甲状腺中毒を見逃す可能性がある.感情鈍麻性甲状腺中毒は高齢者の認知機能障害の鑑別診断において考えられるべき存在である.
・私たちの最初の研究では2名が硬膜下血腫であったが,今回は治療上重要な所見のあるものはいなかった.
・Dietchもまた次のように結論づけた.突然の発症あるいは付加的な異常神経所見のある認知症患者はCTの利益を得る可能性が高いが,緩徐進行の発症そして他の異常な神経所見のない患者はCTの利益を得る可能性は低い.
・イギリスのブリストルで500の連続した患者のCTをレビューしたBradshawらは次のようなことがわかった.症候のない5%を含めた10%は治療可能な病変があった.しかし,数年というより数か月という最近発症した認知症患者が好ましいというポリシーに基づいた選択グループで彼らは研究した.彼らは認知症患者全員にCTを施行することは明らかに不可能であると結論づけており,特定の診断学的指針(頭痛,局所症状,乳頭浮腫,構音障害)のあるほとんどの患者と1カ月を超え1年未満の認知症患者にCTを施行すべきと提案している.
・CTは恐らく,最近発症るいは急性増悪した認知症患者,そして正体のわからないあるいは非典型的な神経学的所見のある患者に最も価値がある.CTはまた,患者,患者の家族,医師に正常所見によって与えられる安心が必要と感じるときに価値があるかもしれない.
・慢性認知症の患者において異常所見の頻度が少なかったことから,認知症患者すべてに,とくに臨床的診断が合理的に確かである患者に,ルーチンにCTが必要であるとは信じない.
・認知症のワークアップの一部と考えられていた他の検査は,CT同様,何人かの患者では価値があるかもしれない.しかし,ルーチン検査としての価値はおそらくかなり過大評価である.
・注意深く,徹底的な病歴聴取と身体所見と神経所見と,それに続く選択的な臨床検査が認知症患者評価の基本である.
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