CDトキシンのキットの感度は高くないため,便を3回提出するというプラクティスがかつては(いまも?)ありました.
しかしSHEA/IDSAが2010年に出したCDIのガイドラインをみると次のような記載があります.
下痢の複数回の検査は効果が限定されており推奨されない.(B-II)

Ann Intern Med. 2009 Aug 4;151(3):176-9.
Does my patient have Clostridium difficile infection?
PMID: 19652187
には下のような表があって,2回目以降に偽陽性が真の陽性を上回る結果(PPV<0.50)になっています.なるほど.これをみるとガイドラインの記載もわかる気がします.

CDトキシンを繰り返す


これなら自分でも計算できるかもと思いやってみると…

CDトキシンを繰り返す(エクセル計算)

文献ではわかりやすいように整数で表されているためか少しずつ値がずれています.

ところが,有病率(=検査前確率)を50%で計算してみると…下図を参照
3回まではPPVが50%を上回る結果となります.
単純にいうと,最初からあまり疑っていなければ(検査前確率10%くらいなら),繰り返すと偽陽性がすぐに多くなるけど,ある程度疑っていれば(検査前確率50%なら),繰り返すことはそれなりに意味を持つ,ということになります.
やはりPPVは検査前確率にかなり影響されるということが言えます.

Am J Infect Control. 1995 Oct;23(5):295-305.
Epidemiology of infectious and iatrogenic nosocomial diarrhea in a cohort of general medicine patients.
PMID:8585641

をみると,院内下痢症においてCDIの頻度は約25%なので,25%で計算してみると…下図を参照
2回検査を繰り返す意味はあるのかもしれません.

SHEA/IDSAのガイドラインの最後にもClinical questionsとして次のようにも記載があります.
Is there any role for repeated C. difficile stool testing during the same episode of illness?

さて,以前に抗酸菌検査を1回だけやる意味についてブログに書いたことがありました.
それをもとに抗酸菌塗沫の感度を50%,特異度を90%として計算してみると…下図を参照
最初からあまり疑っていなければ(検査前確率10%),陰性的中率は1回の検査で9割を超えているので,1回だけ抗酸菌塗沫を出しておく意義はありそうです.
半々(検査前確率50%)だと思っている場合は3回塗沫を出せば陰性的中率は8割を超えることになります.
計算が間違っていたらすいません.かつ机上でのはなしです.この計算だと検査を繰り返すほどNPVは100%に近づいてしまっていますが,きっとその前にプラトーに達するのだと思います.

検査を繰り返す意味