アメナクシテニジハナシ

一般内科,感染症,HIV,救急などの医学領域と個人的な趣味について

2012年01月

骨髄炎治療後再発のタイミング

骨髄炎の治療を終えた後,再発するのはいつが多いのでしょう.
治療期間が約30日と短めの集団ですが,下記の文献が見つかりました.

J Antimicrob Chemother. 2003 May;51(5):1261-8.
Risk factors and treatment outcomes in osteomyelitis.
PMID:12668581


Commentもあると思って読もうとしたら
Duplicate publication: a cautionary tale.
というタイトルで,実は
Am J Med. 2003 Jun 15;114(9):723-8.
Outcomes of osteomyelitis among patients treated with outpatient parenteral antimicrobial therapy.
PMID:12829198
と重複出版?なのでした.

以下内容

454名の外来抗菌薬静注療法(Outpatient parenteral antimicrobial therapy , OPAT)を行った骨髄炎患者.
7人のID専門家により治療.

●抗菌薬レジメン
主に
2 g of a penicillinase-resistant penicillin (PRP) such as oxacillin,nafcillin or methicillin every 6 h
2 g of cefazolin every 8 h
2 g of ceftriaxone every 24 h
1 g of vancomycin every 12 or 24 h
腎機能により適宜調節.
リファンピシンは使用せず.
緑膿菌はceftazidime or piperacillin + tobramycin or amikacinで治療.

45%の患者が入院後にOPATにスイッチ.残りは最初からOPAT.

●OPATの平均期間
抗菌薬毎の有意差なし.
PRP, 34 days
ceftriaxone, 30 days
cefazolin, 30 days
vancomycin, 34 days

●感染部位
foot 236 (52%)
leg 86 (19%)
hand 45 (10%)
spine 27 (6%)
other 60 (13%)

●骨髄炎のタイプ
haematogenous 27 (6%)
contiguous 409 (90%)
vascular 9 (2%)
other 9 (2%)

●原因菌
S. aureus
 methicillin-susceptible 237 (52.2)
 methicillin-resistant 9 (2.0)
Non-group D streptococci 62 (13.7)
Coagulase-negative staphylococci 63 (13.9)
P. aeruginosa 20 (4.4)
Other Pseudomonas spp. 2 (0.4)
Others 61 (13.4)

454名のうち315名(69.4%)がcure,139名(30.6%)がrecurrence.
recurrenceのうち22名がrelapse(同一菌),23名がreinfection(別の菌),94名がnot be determined.
13名(2.9%)が死亡,27名(5.9%)がamputation.
56%が3ヶ月以内,78%が6ヶ月以内,95%が1年以内にrecurrence.

原因菌では緑膿菌がrecurrenceの高リスク(RR 2.5),非D群連鎖球菌が低リスク(RR 0.6).

抗菌薬では(黄色ブドウ球菌の場合のみ)
Oxacillin,methicillin,nafcillinは同等で,recurrence rate 28.6%(OR 1.0).
Ceftriaxoneのrecurrence rate27.3%(OR 0.94).
Cefazolinのrecurrence rate 34.8%(OR 1.3).
Vancomycinのrecurrence rate 53%(OR 2.8).→有意に高い

糖尿病,末梢血管疾患,年齢(>70歳)を調節すると
penicillinase-resistant penicillin (PRP) RR 1.0
Ceftriaxone RR 0.8(P=0.54)
Cefazolin RR 1.1(P=0.76)
Vancomycin RR 2.5(P=0.03)→有意に高い

Thus, patients can be told that their prognosis for a good outcome increases following the third posttreatment month, with every succeeding disease-free month, and that there is a 95% chance of cure after a disease-free year.

とのことです.

骨髄炎に対する抗菌薬終了後のrecurrence

低アルブミン血症と抗菌薬

以前どこかの勉強会で
・アルブミンが低い例でセフトリアキソンを使うと失敗例が多い
・セフトリアキソンはアルブミンの結合率が高い
・使うならセフォタキシムにしている
というような話を聞きました.

それに関してつぎのような文献がありました.
Clin Pharmacokinet. 2011 Feb 1;50(2):99-110.
The effects of hypoalbuminaemia on optimizing antibacterial dosing in critically ill patients.
PMID:21142293


低アルブミン血症だと血中のunbound fractionが増えるので,その結果,分布容積とクリアランスが増加し,血中濃度が保たれなくなるので,とくに時間依存かつアルブミン結合率がもともと高い抗菌薬を低アルブミン血症で使うのには注意が必要という内容でした.
(そういうものなのでしょうか…汗)

セフトリアキソンは1回あたりの量を増やしてもunbound fractionが増えるだけなので,回数を増やして対応しろ
と書かれています.

つぎのようにも書かれていました.
Data from Joynt et al. describe significantly increased Vd and CL in patients with hypoalbuminaemia, leading to failure to attain the pharmacodynamic targets for therapy in some of the patients. This is supported by data from other studies.

勉強会で知った内容は聞き間違いでないことはわかりました.
どの程度気をつけるべきものなのかはまだわかりません.

抗菌薬のアルブミン結合率

低アルブミン血症と抗菌薬投与(案)
(訂正:テイコプラニンの目標トラフ >12mg/L → >15mg/L)

Abstract
 アルブミン低値は重症患者ではとても頻度が高く,報告された発生率では40~50%である.アルブミン低値の状況は,蛋白に結合しやすい多くの抗菌薬の蛋白結合の度合いと関係しているようで,それはPKとPDの変化に繋がる.しかし,この話題は日常診療においてはまれにしか考えられていない.低アルブミン血症のPKに対する影響は,アルブミンに結合する抗菌薬の程度の減少によって決定づけられ,それが蛋白非結合の割合の増加に繋がる.血漿蛋白に結合する分画と違い,非結合分画は血漿からの分布とクリアランスに利用される唯一の分画である.それゆえ,低アルブミン血症は薬剤の分布容積(Vd)とクリアランス(CL)の見かけ上の和を増やす可能性が高く,とくに時間依存性の抗菌薬では,抗菌薬が低濃度になることでPDのターゲットへの到達を危うくするかもしれない.低アルブミン血症の非結合濃度への影響は,PDへの重要な役割をもっている可能性も高いが,この分野で利用できる情報は非常に限られている.
 この総説の目的は,腎不全のない低アルブミン血症の重症患者の蛋白に結合しやすい抗菌薬のPK(主にVdとCL)のバリエーションを報告した原著論文を探し,そのあとに抗菌薬の用量の結論を解明することである.腎機能の保たれた低アルブミン血症の重症患者における蛋白に結合しやすい抗菌薬のPKとPDを記述した関係あるすべての記事を振り返った.
 低アルブミン血症の存在のもとでは抗菌薬の蛋白結合の減少は重症患者においてしばしば観察されるものだとわかった.例えば,低アルブミン血症の重症患者のセフトリアキソン(85~95%の蛋白結合率)のVdとCLは2倍に増えていた.同様の現象はエルタペネム(85~95%の蛋白結合率)でも報告があり,それによりPDターゲット(非結合のフリーの抗菌薬の濃度が最小阻止濃度MICを上回る時間が投与間隔の始めから終りまでの40%)の到達に失敗している.テイコプラニン,アズトレオナム,fusidic acid,そしてとくにダプトマイシンのような蛋白に結合しやすい他の抗菌薬のVdとCLは,健常者と比較して低アルブミン血症の重症患者では有意に増加していた.
 抗菌薬のVdの上昇は,CLの上昇とともに,減少したアルブミン結合の最も重要なPKへの影響のようだ.これらのPKの変化は,とくに時間依存性の抗菌薬にとってのPDターゲットの不到達と最適でない治療に繋がるかもしれない.濃度依存性の抗菌薬のPDへの影響はデータの不足によりさらにcontroversialである.結論として,低アルブミン血症の存在のおける抗菌薬とアルブミンとの結合の変化は,蛋白に結合しやすい多くの抗菌薬のPKの重要なバリエーションを作りだす可能性が高い.低アルブミン血症の重症患者のこれらの抗菌薬の用量調節は抗菌薬用量の適正化のもう一つの手段として認識されるべきである.さらに,重症患者の臨床試験において低アルブミン血症が考慮されることはまれであるが,開発過程の新規抗菌薬のいくつかは高い蛋白結合を示している.このように変化したPKを把握した用量を明確にするさらなる研究が勧められる.
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