Staphylococcus lugdunensisご存知ですか?
S. aureusではないのでコアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)です.
が,ひとくせある細菌なのです.

Clin Infect Dis. 2009 Jul 1;49(1):1-45.
Clinical practice guidelines for the diagnosis and management of intravascular catheter-related infection: 2009 Update by the Infectious Diseases Society of America.
PMID: 19489710
の記載では

S. lugdunensisのCR-BSIはS. aureusのCR-BSIと同様のやり方でマネージメントするべき
・至適治療期間についてはUNRESOLVED ISSUES
となっています.

引用文献の
Infection. 2008 Aug;36(4):314-21. Epub 2008 Jul 21.
Significance of Staphylococcus lugdunensis bacteremia: report of 28 cases and review of the literature.
PMID: 18648747

には次のようにあります.

S. lugdunensis菌血症には2つのパターンがある.
・一つ目のパターンは心内膜炎を来たすパターン(46%)で,一般的には市中感染.
・もうひとつのパターンは心内膜炎のないパターン(54%)で,多くが院内感染.
S. lugdunensis心内膜炎はaggressiveな経過で死亡率が高い
・心内膜炎がなければ,院内感染,CVアクセスに関係していることが多く,予後良好
S. lugdunensis菌血症の頻度は見つかっている数よりも多いだろう.
・その理由はCoNSのspeciesまでの同定がルーチンには行われていないこととS. aureusにmisidentifyされているかもしれないこと.
S. aureusとコロニーのmorphologyが似ており,またclumping factorが陽性.
S. lugdunensis異物感染では異物除去をしないと除菌は難しい
S. lugdunensis心内膜炎の外科手術施行率は,この研究では85%.死亡率は23%.
・外科手術が回避できた2例は僧帽弁症例.
・他の報告でも左心系の心膜炎と複数弁病変では手術の必要性が高いとあり.
・その報告では手術施行率は51%,死亡率は42%.
・同時にS. aureusとCoNSについても調べており,S. aureusuは手術施行率36.9%,死亡率14.5%.CoNSは手術施行率54%,死亡率23.5%(S. lugdunensis含む).
・large overviewではS. aureusは手術施行率37.8%,死亡率22.4%.また脳卒中21.3%,塞栓症27.1%.
・この研究ではS. lugdunensisの塞栓症77%.
S. lugdunensis心内膜炎はS. aureusu心内膜炎と比べても,aggressiveで合併症多い
S. lugdunensis菌血症における心内膜炎の頻度(46%)も高い.S. aureusでは7~34%.
・この研究ではS. lugdunensisの82%がペニシリン感受性であり,すべてがオキサシリン感受性.
・他の報告では,オキサシリンを含む耐性が25%にまでのぼる.
・オキサシリン耐性株ではmecA遺伝子がまれにしかみつからない.
・ディスク法ではオキサシリン耐性を誤って指摘する可能性があるので,MIC>0.5μg/mLの株はmecA遺伝子かPBP2aの存在を調べるべき.
S. lugdunensisのブレイクポイントはS. aureusと同様.
・automated systemではS. lugdunensisのβラクタマーゼ偽陽性の報告あり.
S. lugdunensisの抗菌薬治療はCoNSやS. aureusと変わらない.
S. lugdunensisS. aureusは同じ完全溶血と黄色コロニーを示すが,S. aureusの方が早くて強い.
S. lugdunensisは2日後にはかすかに黄色のコロニーで,3~5日後には薄い黄色~金色になる.
S. lugdunensisはtube coagulase testは陰性.
・臨床家はS. lugdunensisの診断が難しいことに気付くべき.
S. lugdunensisも,S. aureusの同定の際に用いられるrapid agglutination testによって検出されるclumping factorが陽性.
・tube coagulase testが施行されないと,S. aureusと間違えられる.
とてもaggressiveなブドウ球菌心内膜炎をみたら,S. lugdunensisを考えろ.
S. lugdunensisの異物感染と心内膜炎の臨床経過がどうしてここまで違うかの理由はわからない.
・他のCoNSとは対照的に,S. lugdunensisS. aureusの潜在的なvirulence要素をたくさん共有している.
・宿主の要素とS. lugdunensisの特定のvirulence要素の相互作用が心内膜炎のようなnormal hostの重症感染症へと結びつけている.
・異物やカテーテルや創傷によるバリア障害のある患者では感染の閾値は低い.
・けれどもその経過は多くは軽症で,抗菌薬治療と異物除去といったのような適切な手段でコントロールされうる.

In conclusion, S. lugdunensis bacteremia is associated with endocarditis in up to 50% of patients. Every patient with community-acquired S. lugdunensis bacteremia should be carefully examined for the presence of endocarditis. Once S. lugdunensis endocarditis is diagnosed, close monitoring is essential and surgical treatment should be considered early. In the nosocomial setting, endocarditis is far less frequent, and S. lugdunensis bacteremia is usually associated with a catheter or other foreign material.