まず感受性があった場合にE.coliKlebsiellaにセファゾリンを使いますか?もちろん感染臓器にもよりますが.
セファゾリンのE.coliKlebsiellaに対する抗菌活性はセフトリアキソンなどの第3世代セフェムに比べるとやや低いとは言われています.
実際にKlebsiellaの肝膿瘍治療において合併症発生率に差があるという報告もあります.

Antimicrob Agents Chemother. 2003 Jul;47(7):2088-92.
Extended-spectrum cephalosporin compared to cefazolin for treatment of Klebsiella pneumoniae-caused liver abscess.
PMID:12821451


でも菌血症ではなかったり,defenitive therapyの段階ですでに落ち着いている尿路感染なら自分は使います.
そしてセファゾリンにde-escalationしたあと,さらに内服へ切り替えるときは何の躊躇もなくセファレキシンを使っていました.でもセファレキシンの感受性はセファゾリンの感受性と同じなんでしょうか?セファレキシンの感受性は普通わかりません(調べないし,基準もない).

Kucer's the Use of Antibioticsという本には抗菌薬別にさまざまな菌のMIC90が記載されています.そこでCephalexinのところをみるとE. coliのMIC90は16~32μg/mL.意外に高くて心配になります….

そこでこんな文献を見つけました.

J Clin Microbiol. 2007 Nov;45(11):3762-3. Epub 2007 Aug 29.
Narrow-spectrum cephalosporin susceptibility testing of Escherichia coli with the BD Phoenix automated system: questionable utility of cephalothin as a predictor of cephalexin susceptibility.
PMID:17728468


別の研究内容も同時進行で行われているので,関係のあるところだけ抜粋します.
ちなみに
very major errorとは耐性を感受性と誤ること
major errorとは感受性を耐性と誤ること
minor errorとはMICの値を誤ること(「感受性」、「耐性」といった評価は同じ)

・CLSIのガイドラインでも解釈の仕方の記載がないのでセファレキシンの感受性は検査室ではルーチンには検査されない.
・CLSIは“セファレキシンの感受性を予測するのにcephalothinを使用するべき”と推奨しており,(セファレキシンの)市販のパネルもない.(コメント:本邦でcephalothinの感受性ってやっているのでしょうか?セファゾリンの感受性しかやっていないことが多いと思います.)
・セファレキシンの感受性のpredictorとして,cephalothinやセファゾリンを使うことが妥当かどうか検討した.
・主に尿培養から検出された225の大腸菌株を検査した.
・CLSIのセファレキシンのブレイクポイントは存在しないので,他の狭域セファロスポリンと同じように(感受性 ≦8μg/mL,intermediate ≦16μg/mL,耐性 ≦32μg/mL)決定した.
・Cumitechなどでは,very major errorは3%以下,magor errorとminor errorは合わせて7%以下にすべきとしている.
・微量液体希釈法でセファレキシンのpredictorとしてcephalothinやセファゾリンの有用性を評価した.
・CLSIの推奨とは対照的に,cephalothinはセファレキシンの感受性のpoor predictorであることがわかった.
・他の狭域セファロスポリンでCLSIが推奨するブレイクポイントをセファレキシンに利用すると,major errorとminor errorは合わせて40%であった.
・さらにセファゾリンもpoor predictorであることがわかった.very major errorが11%にあった.
・セファレキシンの感受性は独立して検査するべきだし,CLSIはセファレキシンのブレイクポイントを設定すべきだ.という結論.

CEZ感受性→CEX感受性?

大腸菌だということをお忘れなく.
まあ1割なら大丈夫ですかね.でも頭の片隅には置いておこうと思います.