●抗HIV治療にについて

即時に起こりうる合併症の管理が優先
例:
日和見感染症予防
糖尿病治療
→抗HIV療法は最終的な治療成功のカギだが急がない

●バックボーン(backbone)
(HIV感染症「治療の手引き」<第15版>改訂箇所)
・AZT/3TC削除
・ABCのCVDリスクを否定するFDAメタ解析

1999:AZT,3TC,ddI,ddC,d4Tから2剤
 2001:ddC dropped
 2003:ddI dropped
2003:AZT + 3TC,d4T + 3TC,TDF + 3TC
 2004:d4T dropped
 2008:AZT dropped
2008:ABC + 3TC,TDF + FTC

ミトコンドリア毒性(乳酸アシドーシスなど)
d-drug>AZT>EZC,TVD

DHHS・IAS-USAガイドラインで2009年にABC dropped
ABC過敏症とCVDリスクが理由,しかし
・HLA-B5701日本人0%
・CVDも米国ほど問題にならない
・TDFは小柄な日本人では腎障害が多いかもしれない
日本ではABC/3TCも上手に使おうという立場

ただし日本でも新規ではbackboneのほとんどがTDF/FTC
しかし治療経過とともにABCが増えてくるという,ぶり返しの現象が起こっている

EZC(ABC/3TC)選択のときには以下に注意
・HBVキャリアではない
・(HLA-B5701ではない)
・治療前HIV-RNA <10^5 cpmではない
(カレトラとの併用ではウイルス量で差はないという報告)
・心血管障害のリスクが少ない
(D:A:D studyの報告,FDA metaでは差がない)
・(腎疾患のリスクがある)
・(HIV脳症・髄膜炎(髄液移行はABCあり,TVDなし))

どういうときにEZCにするか?
・腎障害(糖尿病を含め)
・リンパ腫治療(抗がん剤治療)の際にはRAL + EZCが多い
・中枢移行性を理由に
・日和見治療との兼ね合いでも

TDF/3TCによる腎障害(とくに尿細管障害)
TDF使用例の尿中β2MG上昇例は多い.数千なら気にしないが万のオーダーなら考える.尿中α1グロブリンをみている施設もある(100超えたら注意らしい)

TDF/3TCによる骨粗鬆症
50歳以上のTDF使用例ではDXAするようにしている

HBV合併例について
TDF/3TCによるHBVのVLの減り方はHIVと違ってとてもゆっくり
HIV未発覚でエンテカビルが入ってしまってからくる症例がある
→HBV症例では必ずHIVチェックを!
TDFはB型肝炎治療薬としての発売の予定あり
→今後TDFがすでにHBV治療で使われてくる症例が出てくる可能性がある

HBV/HIV IRISによるALT Flare
・ALT 基準値の5倍以上
・ALT >2000
とすると20%くらいに起きる
1~3カ月でALTは100-1000程度まで上昇するが自覚症状なく急速にpeak outする

●キードラッグ(key drug) DRV or RALといった構造
(HIV感染症「治療の手引き」<第15版>改訂箇所)
・SQV + RTV削除
・MVC初回治療適応取得
・DRV治療経験者QD取得
・LPV/r QD取得

EFV

新規は少なくなっているが,QDで食事と関係ないという理由での新規処方例まだまだあり
使用者では継続希望者が多かったりもする

EFVからの変更理由
抑うつ,悪夢・不眠>肝障害,慢性掻痒疹,>ウイルス学的失敗
ほかにもVRCZ併用不可など

K103変異の耐性株が新規患者でもあり

結核治療中はEFVの増量の考慮が必要

suicideなどのリスクを考えた場合にガイドラインに残すべきか?
・実際にはEFVに関係のない例が多い.
・とは言っても,早めに察知するよう努め,そのような患者には使わない.

ATV

PIで高脂血症が少ないのが特徴だったがDRVが出てからはDRVにとられた
ただし安定していればATV→DRVに変える必要はない
PPIと尿管結石には注意

PPI併用による中断例あり
副作用:尿路結石,発疹,黄疸,肝障害,高脂血症

ATVからの変更理由
薬物相互作用>尿管結石>治療失敗>食事との関連>黄疸>脂質
薬物相互作用の内訳:PPI・H2ブロッカー>化学療法薬>向精神薬

DRV

ここ数年で大きく変わった
2008年:LPV/r or ATV or FPV
(ウイルス量10^5ならLPV,10^4ならATVという感じ)
2011年:DRV or RAL
(ウイルス量あまり気にせず)

食後というのはデメリット
LPV/rは下痢が多くてDRVにとられている
DPVは皮疹に注意.日和見の複雑な例ではDRVの代わりとしてLPV/rを使うことも.
CVDリスクや相互作用の問題がある症例はRAL

LPV/r,DRV,RALの比較で,48週での成功率(<40cpm)は同等だが,途中はRAL>LPV/r>DRVなのかも.
<400cpmだと同等.臨床的にどれだけ意義があるかは不明.
すっと下がった後に,その後は下がり悪い印象

RAL

食事制限なし,冷所保存が不要,相互作用が少ない,副作用が少ない
2回というのはデメリット
肝障害は多少であれば,経過みていても大丈夫

others

MVCの新規症例もあり:MVCを使用する前にHIV指向性検査の確認を
耐性症例でのETRの使用


Genetic barrier
RAL,EFVはGenetic barrierが低い
→1カ所変異が入ると耐性の度合いが大きい
→が,きちっと飲んでいれば大丈夫
DRVはGenetic barrierが高い

DRV vs RAL
RAL選択理由 副作用>相互作用>患者希望
Genetic barrierの問題.RALの2回は….初来のインテグラーゼ阻害薬使用のためにも.
DRV選択理由 QD>副作用>治療効果
発症例や高齢者.導入はRALでその後変更する例も多い.

長期生存時代へ向けた課題
長期毒性の回避
・脂質異常症
・ミトコンドリア異常
長期にわたるウイルス学的効果の維持
・簡便な服薬スケジュール
・自覚的な副作用
・Genetic barrier
長期にわたる精神の健全の維持
・精神神経症状
・CNS penetration

NRTI sparingについて
原則はスイッチで,ナイーブ例ではしない
スイッチ例は腎障害,心血管障害,NRTIの耐性蓄積などが理由
NRTIアレルギーでナイーブ症例でやっている例もあるが少数
NRTI spareの報告はたくさん出てきているが結果はまちまち
・高ウイルス量でDRV + RALは失敗例多いというパイロットスタディあり
・失敗が多いという報告(DRVの血中濃度低下)もあるが,それほど問題ない印象.

まとめ
治療開始症例
・DRVまたはRALが主に選択される
・EFV,LPV/rが選択される頻度が減少
・BackboneにABCが用いられる頻度が増加傾向
継続症例
・LPVの使用頻度の低下
・d4T,ddI,ZDVの使用頻度の減少
・TDFで開始後にABCに変更する症例の増加
・NRTI sparing regimenの増加
・新規薬剤であるMVCが使用され始めている(T-20からの変更やNRTI sparing)

●妊婦に対する抗HIV療法
(HIV感染症「治療の手引き」<第15版>改訂箇所)
妊婦の場合にはAZT/3TC + LPV/rはBIDを推奨(QDではない)

●ウイルス学的失敗の定義
(HIV感染症「治療の手引き」<第15版>改訂箇所)
ブリップや検査のばらつきを除外するため>200 copy/mLとした