●長期管理
(HIV感染症「治療の手引き」<第15版>改訂箇所)
「手引き」でも長期の非感染性合併症の予防と管理の項を追加
(日本人向き手引きの作成を予定している)

6か月後からは,メタボ,腎臓,骨,がん
CKD,CVD,糖尿病を意識する

EACSガイドライン(おすすめ)
Non-infectious co-morbidities in HIV
http://www.europeanaidsclinicalsociety.org/

糖尿病・高脂血症

HbA1c
・6-7 monotherapy
・7-8 combination
・8-10 intensified combination therapy
・>10 insulin

治療薬
・メトホルミン:選択肢,第一選択になりうる
・チアゾリジン:選択肢,膀胱がんに注意
・α-GI(食後高血糖):自己血糖測定が必要
・短時間+長時間インスリン:アドヒアランスに注意
・長時間インスリン

DPP4阻害薬なども(一度最近の糖尿病治療の確認を)

食事療法
糖尿病のガイドラインのほうが高脂血症のガイドラインよりtight
→糖尿病のガイドラインに従えばよい

高脂血症の二次的原因:
・高血糖,CKD,HIV
・ライフスタイル:飲酒,喫煙,運動不足,高炭水化物食,肥満
・薬剤:エストロゲン,サイアザイド,βブロッカー,ステロイド,PI

治療薬
・オメガ3(フィッシュオイル):エパデール+市販のサプリメント
・エゼチミブ(ゼチーア)
・スタチン+フィブラート:横紋筋融解症の警告はあるが,大丈夫かも?

治療自己中断によりもとのもくあみ状態になってしまったら…
まず前のレジメン(ARV+経口糖尿病治療など)を再開する

CVD
βブロッカー,ACE阻害薬,アスピリン,スタチン,オメガ3,運動,禁煙,うつ
Framingham soreを利用したリスクアセスメント

骨粗鬆症
HIVそのものあるいはTDFにより骨粗鬆症の問題はあるがビスホスホネート使う前には歯に注意する

ARTの選択(最も使いやすいのは?)
→RALが選択肢
・ABC:cohort signal of MI association,HCV治療(リバビリン)の妨げになる可能性
・EFV:risk of HL,HCV治療(IFN)の妨げになる可能性(うつ)
・LPV:cohort signal of MI association
・RTV:risk of HL
・TDF:risk of nephrotoxicity(HCV & renal atrophy)

(おまけ)
Telaprevir(C型肝炎の新しい抗ウイルス薬)
副作用として皮疹と貧血が多い
薬剤相互作用の問題:RAL,ATV,EFVは少ない

●総合内科的な視点

感染のうちの不明熱の場合に考えるのは「膿瘍,血管内,細胞内」
膿瘍→画像,血管内→血液培養,細胞内→抗酸菌など

HIV感染者の不明熱

・HIV感染症自体でも発熱はある
・免疫不全の程度と地域性の要素*
・感染症(HIV患者のFUOの8割が感染症)
 PCP/CMV/MAC/TB
 トキソプラズマ,サルモネラ
 クリプトコッカス
 悪性腫瘍(非ホジキンリンパ腫,薬剤熱)

地域性の要素*
ヒストプラズマ
ペニシリウム(とくに東南アジア領域では播種性ペニシリウム症)
リーシュマニア
寄生虫
結核,NTM
コクシジオイデス(米国)
ブラストマイセス

結核

結核は間違った治療をしてもよくなるし,正しい治療をしても悪化する.
結核はそれ自体がimmune-suppressorであり,非HIVでも免疫再構築の病態は以前から知られていた(paradoxical reaction).

新規感染も多い→多剤耐性結核のリスク
先進国でもアウトブレイクの報告あり

結核合併例のART
(HIV感染症「治療の手引き」<第15版>改訂箇所)
DHHSガイドラインと記載を一緒にした
抗結核治療開始から抗HIV治療開始までの期間
CD4 0~200:2~4週以内
CD4 200~500:2~4週以内または,少なくとも8週以内
CD4 >500:8週以内

N Engl J Med. 2011 Oct 20;365(16):1538-40.
When to start antiretroviral therapy in HIV-associated tuberculosis.
PMID: 22010921
SAPIT,CAMELIA,ACTG 5221の3研究
→ARTの早期開始が推奨される
→途上国での研究であるため,日本でそのまま当てはめてよいかは?
→4剤終わってからのART開始でもよいか

早期ARTの問題点:Pill berden,相互作用,IRIS

ART内服中Cre上昇傾向
鑑別:高血圧,糖尿病,薬剤性(TDF),HIV腎症(本邦では少数,高ウイルス・未治療例,巣状糸球体硬化症のタイプが多い)
プロテインによる腎障害も(J Am Soc Neph)

HIV患者の下痢症

Aliment Pharmacol Ther. 2011 Sep;34(6):587-603. doi: 10.1111/j.1365-2036.2011.04781.x. Epub 2011 Jul 20.
Review article: the aetiology, investigation and management of diarrhoea in the HIV-positive patient.
PMID: 21777262


HIV感染症の各ステージ別の下痢の原因
・急性感染症による下痢
・CD4が低下するにつれて
↓ 細菌,結核,イソスポーラ,サイクロスポーラ,糞線虫,消化管がん
↓ クリプトスポリジウム,微胞子虫(CD4 <100)
↓ MAC,CMV(CD4 <50)
・HIV治療による下痢

3週間続く水様性下痢の原因は?
クリプトスポリジウム,ジアルジア,赤痢アメーバ,MAC,カポジ肉腫

播種性MAC感染症
抗MAC療法の選択肢は?
CAMが第一選択
(AZMも選択肢だが血液培養の陰性化がCAMの方が早いというデータ)
EBが第二選択
RFBが第三選択
ほかに活性が証明されている薬剤:AMK,SM,NQ,INH 重症ならこれらの併用も
最低1年間は治療
CAM + EBが基本+RFB(or +CPFX)