以前どこかの勉強会で
・アルブミンが低い例でセフトリアキソンを使うと失敗例が多い
・セフトリアキソンはアルブミンの結合率が高い
・使うならセフォタキシムにしている
というような話を聞きました.

それに関してつぎのような文献がありました.
Clin Pharmacokinet. 2011 Feb 1;50(2):99-110.
The effects of hypoalbuminaemia on optimizing antibacterial dosing in critically ill patients.
PMID:21142293


低アルブミン血症だと血中のunbound fractionが増えるので,その結果,分布容積とクリアランスが増加し,血中濃度が保たれなくなるので,とくに時間依存かつアルブミン結合率がもともと高い抗菌薬を低アルブミン血症で使うのには注意が必要という内容でした.
(そういうものなのでしょうか…汗)

セフトリアキソンは1回あたりの量を増やしてもunbound fractionが増えるだけなので,回数を増やして対応しろ
と書かれています.

つぎのようにも書かれていました.
Data from Joynt et al. describe significantly increased Vd and CL in patients with hypoalbuminaemia, leading to failure to attain the pharmacodynamic targets for therapy in some of the patients. This is supported by data from other studies.

勉強会で知った内容は聞き間違いでないことはわかりました.
どの程度気をつけるべきものなのかはまだわかりません.

抗菌薬のアルブミン結合率

低アルブミン血症と抗菌薬投与(案)
(訂正:テイコプラニンの目標トラフ >12mg/L → >15mg/L)

Abstract
 アルブミン低値は重症患者ではとても頻度が高く,報告された発生率では40~50%である.アルブミン低値の状況は,蛋白に結合しやすい多くの抗菌薬の蛋白結合の度合いと関係しているようで,それはPKとPDの変化に繋がる.しかし,この話題は日常診療においてはまれにしか考えられていない.低アルブミン血症のPKに対する影響は,アルブミンに結合する抗菌薬の程度の減少によって決定づけられ,それが蛋白非結合の割合の増加に繋がる.血漿蛋白に結合する分画と違い,非結合分画は血漿からの分布とクリアランスに利用される唯一の分画である.それゆえ,低アルブミン血症は薬剤の分布容積(Vd)とクリアランス(CL)の見かけ上の和を増やす可能性が高く,とくに時間依存性の抗菌薬では,抗菌薬が低濃度になることでPDのターゲットへの到達を危うくするかもしれない.低アルブミン血症の非結合濃度への影響は,PDへの重要な役割をもっている可能性も高いが,この分野で利用できる情報は非常に限られている.
 この総説の目的は,腎不全のない低アルブミン血症の重症患者の蛋白に結合しやすい抗菌薬のPK(主にVdとCL)のバリエーションを報告した原著論文を探し,そのあとに抗菌薬の用量の結論を解明することである.腎機能の保たれた低アルブミン血症の重症患者における蛋白に結合しやすい抗菌薬のPKとPDを記述した関係あるすべての記事を振り返った.
 低アルブミン血症の存在のもとでは抗菌薬の蛋白結合の減少は重症患者においてしばしば観察されるものだとわかった.例えば,低アルブミン血症の重症患者のセフトリアキソン(85~95%の蛋白結合率)のVdとCLは2倍に増えていた.同様の現象はエルタペネム(85~95%の蛋白結合率)でも報告があり,それによりPDターゲット(非結合のフリーの抗菌薬の濃度が最小阻止濃度MICを上回る時間が投与間隔の始めから終りまでの40%)の到達に失敗している.テイコプラニン,アズトレオナム,fusidic acid,そしてとくにダプトマイシンのような蛋白に結合しやすい他の抗菌薬のVdとCLは,健常者と比較して低アルブミン血症の重症患者では有意に増加していた.
 抗菌薬のVdの上昇は,CLの上昇とともに,減少したアルブミン結合の最も重要なPKへの影響のようだ.これらのPKの変化は,とくに時間依存性の抗菌薬にとってのPDターゲットの不到達と最適でない治療に繋がるかもしれない.濃度依存性の抗菌薬のPDへの影響はデータの不足によりさらにcontroversialである.結論として,低アルブミン血症の存在のおける抗菌薬とアルブミンとの結合の変化は,蛋白に結合しやすい多くの抗菌薬のPKの重要なバリエーションを作りだす可能性が高い.低アルブミン血症の重症患者のこれらの抗菌薬の用量調節は抗菌薬用量の適正化のもう一つの手段として認識されるべきである.さらに,重症患者の臨床試験において低アルブミン血症が考慮されることはまれであるが,開発過程の新規抗菌薬のいくつかは高い蛋白結合を示している.このように変化したPKを把握した用量を明確にするさらなる研究が勧められる.