2009年02月14日

ジョゼと虎と魚たち その5

「荷造りはもうすませて」は、バツイチ子持ちの夫をもつえり子が主人公。夫・秀夫との生活には満足感を得ているものの、元妻・子どものいる家へ時々出向く秀夫を横目に、「日常次元のもろもろを引き受けている」向こうの家が「ホントウの生活」ではないか、といった考えが頭をもたげます。

「あそこでヤッサモッサしている、あれこそ人間のホントウの生活ではないか、という気がする」

本編で、男女ふたりの間での「不機嫌」に対するアフォリズム!? が心に残りました。

「しかし不機嫌になるのはいちばんいけない。(不機嫌というのは、男と女が共に棲んでいる場合、ひとつっきりしかない椅子なのよ……)とえり子はいいたいのである。(どっちか先にそこに座ってしまったら、あとは立っていなかればならない椅子とり遊び。自分が座っちゃいけないのよ)。二人とも不機嫌になることはできない。もし、なったとすれば、それはもう共棲みの関係を解消したときで、まだまだ共棲みをしようとすれば、椅子はつねに一つしかないと知るべきである」

つづく


『ジョゼと虎と魚たち(角川文庫)』
(田辺 聖子/角川書店)


suta2news at 23:59コメント(0)トラックバック(0)田辺聖子  

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