数学ノート

高校数学の標準問題の解説を軸に展開しています。ご指摘、ご質問、ご感想などは、メッセージへお願いします。

2017年06月

0268.東大後期(2009)

【問題】
数直線上を運動する点Pの座標を時間t(≧0)の関数としてx=f (t)で表す。
点Pの速度v(t)=f '(t)について、v'(t)=1/{f (t)}^2が成立するとする。
また、f (0)=1,v(0)=1とする。ここで、f (t),v(t)は微分可能な関数であるとする。
(1) 不等式 f (t)≧1+t が成り立つことを示せ。
(2) 不等式 f (t)≦1+2t-log(1+t) が成り立つことを示せ。

【解法その1…微分法】
(1) g(t)=f (t)-1-t
とおき、g(t)≧0を示せばよい。
まず、v(t)=f '(t) , v'(t)=1/{f (t)}^2 であることから、
f ''(t)=1/{f (t)}^2
が成り立つ。よって、
g'(t)=f '(t)-1
g''(t)=f ''(t)=1/{f (t)}^2>0
より、g'(t)は単調に増加する。
いま、g'(0)=f '(0)-1=0だから、g'(t)≧0 (t≧0)
よって、g(t)は単調に増加する。また、
g(0)=f (0)-1-0=0だから、g(t)≧0 (t≧0)
よって、不等式 f (t)≧1+t が成り立つことが示された。

(2) h(t)=1+2t-log(1+t)-f (t)
とおき、h(t)≧0を示せばよい。
h'(t)=2-1/(1+t)-f '(t)
h''(t)=1/(1+t)^2-f ''(t)=1/(1+t)^2-1/{f (t)}^2
ここで、(1)より、f (t)≧1+t(>0)であるから、
1/(1+t)^2≧1/{f (t)^2}
が成り立つ。よって、
h''(t)=1/(1+t)^2-1/{f (t)}^2≧0
より、h'(t)は単調に増加する。
いま、h'(0)=2-1-f '(0)=0だから、h'(t)≧0 (t≧0)
よって、h(t)は単調に増加する。また、
h(0)=1-0-0-f (0)=0だから、h(t)≧0 (t≧0)
よって、不等式 f (t)≦1+2t-log(1+t) が成り立つことが示された。

【解法その2…積分法】
(1) まず、v'(t)=1/{f (t)}^2>0より、v'(t)は単調に増加し、
v(0)=1より、任意のs≧0に対してv(s)=f '(s)≧1
が成り立つ。ここで、f '(s)≧1の両辺の0からtまでの定積分を計算すると、
∫[0~t]f '(s)ds ≧ ∫[0~t]ds
f (t)-f (0) ≧ t
f (0)=1より、
f (t)≧1+t が成り立つ。

(2) まず(1)より、任意のs≧0に対して、v'(s)=1/{f (s)}^2≦1/(1+s)^2
より、v'(s)≦1/(1+s)^2の両辺の0からtまでの定積分を計算すると、
∫[0~t]v'(s)ds ≦ ∫[0~t]1/(1+s)^2ds
v(t)-v(0) ≦ [-1/(1+s)][0~t]
v(t)-1 ≦ -1/(1+t)+1
ここで、v(t)=f '(t)より、
f '(t)≦2-1/(1+t)
が成り立つ。変数をsにして、
f '(s)≦2-1/(1+s)
この両辺の0からtまでの定積分を計算すると、
∫[0~t]f '(s)ds ≦ ∫[0~t]{2-1/(1+s)}ds
f (t)-f (0) ≦ [2s-log(1+s)][0~t]
f (t)-1 ≦ 2t-log(1+t)
よって、不等式
f (t) ≦ 1+2t-log(1+t)
が成り立つことが示された。

0267.第2次導関数と証明

【問題】
第2次導関数をもつ関数f (x)が次の3つの条件
f (0)>0 , f (1)=1 …①
f '(0)>0 , 0<f '(1)<1 …②
全ての実数xに対してf ''(x)>0 …③
を全てみたすものとする。
0≦x<1のとき、f (0)≦f (x)<1 , f '(0)≦f '(x)<f '(1)
が成り立つことを示せ。

【解答例】
まず③から、f ''(x)>0より、f '(x)は単調に増加するので、
f '(0)≦f '(x)<f '(1) (0≦x<1)
がいえる。
また②より、f '(0)>0であるから、0≦x<1においてf '(x)>0 (∵f '(x)は単調に増加する)
よって、0≦x<1においてf (x)も単調に増加するので、
f (0)≦f (x)<f (1) (0≦x<1)
①より、f (1)=1であるから、
f (0)≦f (x)<1 (0≦x<1)
であることがいえる。 (証明終)

0266.等式と文字の消去

【問題】
x+1/y=y+1/z=1
のとき、z+1/xの値を求めなさい。

【解答例】
x+1/y=1
より、
x=1-1/y
∴1/x=1/(1-1/y)
また、
y+1/z=1
より、
1/z=1-y
∴z=1/(1-y)
よって、
z+1/x=1/(1-y)+1/(1-1/y)
=1/(1-y)+y/(y-1) (∵2項めの分子と分母にyを掛けた。)
=1/(1-y)-y/(1-y) (∵2項めの分子と分母に-1を掛けた。)
=(1-y)/(1-y)
=1 …(答)

【解法その2…yを消去する】
y+1/z=1
より、
y=1-1/z
これを、
x+1/y=1
に代入して、
x+1/(1-1/z)=1
x+z/(z-1)=1 (∵左辺の2項めの分子と分母にzを掛けた。)
x(z-1)/(z-1)+z/(z-1)=1 (∵左辺の1項めをz-1を分母とする分数にした。)
{x(z-1)+z}/(z-1)=1
(xz-x+z)/(z-1)=1
xz-x+z=z-1 (∵両辺にz-1を掛けた。)
xz-x=-1
z-1=-1/x (∵両辺をxで割った。)
∴z+1/x=1 …(答)

【コメント】
解法その2のように、yを消去するよりも、
解答例のように、1/xとzをyの式で表してみるほうが簡単になります。


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