2012年08月

2012年08月28日

DF41の衝撃

 尖閣、竹島の問題に注目が集まる中、それ以上に我が国の安全保障に影響を与える情報についての報道が先週ありました。かなり小さな扱いだったので、あまり注目はされませんでしたが、かなりショッキングな情報だったのも事実です。

 それは中国が新型の大陸間弾道ミサイルの発射実験を行ったというもの。DF41と称される新型のものだった模様で、これは従来の射程11000キロメートルと言われる東風(DF)31Aミサイルと比較しても大幅な射程の延長(一説によれば14000キロ)が実現されているようです。正直想定されるよりも早いタイミングで中国の軍装備の近代化が進んでいると言わざるをえません。

 この射程であればアメリカの全土が射程の範囲内に収まることとなります。まだこのミサイルの詳細ははっきりしていませんが、車載型の固体燃料のミサイルである可能性も高く、そうであるとすれば、アメリカとの比較で差を大きく詰める要素ともなり得ます。

 ここのところ、いわゆるA2/AD(Anti-Access and Area Denial)、すなわち、日本の関係するケースでいえば、アメリカ軍が西太平洋や東シナ海にアクセスしにくい環境を作り、さらには当該地域でアメリカ軍が行動しにくい状況を作る、ということが中国の軍事戦略の基本概念と言われています。

 アメリカの全土を射程におさめ、しかも発見が困難なタイプのICBMを手に入れたということは、中国にとって非常に大きなステップといえます。

 アメリカに安全保障の多くを依存している日本としても、アメリカ軍がこの地域におけるプレゼンスを低下させることは直ちに国益に大きな影響をもたらすことにもなりかねません。

 実際に戦争になる可能性は低いにしても、アメリカ軍のプレゼンスが大きく落ちれば、中国の安全保障上の脅威は飛躍的に増大し、我が国の外交的な発言力や国際的なビジネス環境に関する仕組みづくりのような点でも中国の影響が強くなる可能性が極めて高くなります。

 中国の軍事費の増大は以前から指摘されてきましたし、軍の装備の近代化も指摘され続けてきました。今回DF41という新たな脅威が現実のものとなったことで、対策、対応策を打つために日米に残された時間はいよいよ限られてきたと言わざるをえません。

 沖縄の問題等、日米の安全保障の問題のほとんどは間接的にあるいは直接的に我が国の安全保障そのものの根幹に関わる問題です。

 党派を超え、政治全体が、さらには日本全体が危機感を持って臨まねばならない事態にあることを改めて認識する必要があります。

suzuki_keisuke at 15:38トラックバック(0) 

2012年08月23日

尖閣そして竹島。いまするべきこと。

 竹島の問題について、韓国側が日本の総理大臣の親書を送り返すという前代未聞の暴挙に出ようとしていることは、全く理解出来ません。このこと一つとっても、そもそも、韓国側が冷静な国益の判断を出来ていない状況であるような気がします。

 我が国としては、そのような状況の韓国にいつまでも付き合うのではなく、国際司法裁判所にキチンと提訴して日本の主張の正当性と領土問題の存在を国際社会にしっかりと発信をしていくべきであり、その判断に関しては政府を支持したいと思います。

 これまでの発信不足もあって、外国メディアでも日本が実効支配している尖閣問題は領有権争いと認識されている一方で、日本が逆に実効支配されてしまっている竹島や北方領土は領有権争いとはあまり認識されていないのが現状です。これは明らかにこれまでの政治の不作為の結果と言わざるを得ませんし、まさに近隣国にいいようにやられてしまっているその証左です。

 そうした意味で、より深刻な問題は尖閣です。尖閣については、中国は単にメンツの問題というよりも、軍事的な観点から冷静な計算に基づいて、制海権の拡大を図っていることが明らかです。問題は海洋資源のように、折り合いを付けることができる可能性がある問題ではありません。対アメリカの軍事的な戦略も見据えた上での行動である可能性が高いと思われます。

 中国の行動の背景にあるものは何か。その認識を間違えると日本としても大きな戦略的過ちを犯しかねません。

 彼らの行動原理は、何を差し置いても「中国共産党が権力の座を維持すること」が最大の目的です。そのために経済成長により果実を分配して民衆の不満を和らげ、あるいはアメリカに対する軍事的プレゼンスを誇示することで共産党支配の正統性を対国内的にアピールする。そして対外的にもいわゆるA2/ADのようにアメリカが万一のときに中国に手出しするようなことが出来ないような軍事的状況をつくる。これが中国の行動原理と分析されています。

 そうした中、中国当局の今回の比較的抑制的な反応というのは、何も冷静なのでも大人な訳でもなく、国内の政治状況が重慶の問題などで安定しておらず、権力移行を無事に果たしたいという彼らの最優先の事情があるというだけのことです。

 自国の政治体制の足下が揺らいでいるために、たまたま今は静かにしているというだけなのですから、政治体制が安定すれば、再び攻勢を強めてくる可能性が極めて高いわけで、我が国としても十分な備えをしておくことが必要です。日本としては、このタイミングと今回の中国の行動を利用して、国際社会の理解を得ながら実効支配を強めるような戦略を、対外発信面でも、実態面でも押し進めていくことが求められています。

 そして、日本としては、以上のような、国家主権を守るためにどこの国でもとるであろう対策をきちんと打ったうえで、「今後」についても考えていかねばなりません。

 少なくとも日本、中国、韓国の三国とも、近く新しい政権が発足する可能性が高いわけです。であるとすれば、その後に冷静で建設的な関係が構築出来るように、あまりに短期的な視野からの過激な行動はいずれの国も控えねばなりません。そのためにも、アメリカ、台湾、ASEANといった利害をある程度共有する国々を巻き込みながら、日本が主導して地域の安定に向けた枠組み作りを進めることもまた必要です。特に韓国は、一応は自由主義圏の国ですし、日本やアメリカ、台湾とそれなりに価値観を共有している国であったはずです。自国の国益を考えれば日本と感情的な対立を繰り返しても意味が無いことは明らかですし、韓国の識者の間にもそのような認識があるようです。大統領・当局にも長期的な視野からの冷静な対応を期待したいものであります。

suzuki_keisuke at 23:37トラックバック(0) 

2012年08月15日

8月15日を迎えて

 敗戦から67回目の8月15日を今年も迎えました。まさに日本国民全員にとっての鎮魂の日であり、全国各地で先の戦争の戦没者の方々の追悼が行われていることと思います。

 今我々がこうして安心して暮らしていくことが出来るのも、そして日本という国の繁栄、安定も、自らの命を捧げられた多くの先人の犠牲の上にはじめて成り立っていること、改めて感謝と敬意とともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げる次第です。常に心の中にその思いを持っているつもりではありますが、改めてそのことに思いをいしたところであります。

 先の戦争に限らず、国の安全、命が守られ、明日以降も今日と同じ日が続いていくという前提のもとに初めて経済成長や暮らしの向上を目指すことが出来ます。ともすれば日常の中で忘れがちなこの認識を、一政治家、一日本人として忘れてはならないと改めて感じています。

 そして、これからの我が国の、あるいは世界規模での繁栄、安定を考えていく上で忘れてはならないことがあります。

 先の戦争のきっかけともなり、当時の日本にとって死活的だった問題。それは食糧自給の問題とエネルギー自給の問題でした。この問題を直視せずにいれば、それは泉下の方々の無念の思いを無にしてしまうものともなりかねません。この国の繁栄と安定を未来にわたって続け、心ならずも戦争で多くの方が犠牲になるような事態が再び起こることを避けるためにも、長期的な視野でこれらの問題を解決する責任が政治にはあります。だからこそ、あえてこの日に書かせていただきたいと思うのです。

 今年の夏、温暖化の影響が指摘もされていますが、アメリカの穀倉地帯を襲っている大干ばつの影響で、アメリカにおいてはトウモロコシの生産が壊滅的な打撃を受けています。今後温暖化の歯止めがかからなければ、世界的な気候の振れ幅の増加のもとで、このような事態が頻発することが予想されます。

 我が国として海外での開発も含めて食糧供給について取り組みを進めることももちろんですが、今のグローバル経済においては、鎖国のような状態をイメージしてもあまり意味はなく、むしろ、温暖化の問題も含めて、世界的な食糧供給問題、さらには水の問題をまじめに考えねばならない時期に来ていると思われます。水や食糧の危機的状況は紛争の大きな原因ともなりますし、世界での流通が変調をきたしてしまえば、我が国にも大きな影響は避けられません。

 そして、もう一つがエネルギー安全保障の問題です。福島原発の事故以降まったく忘れ去られてしまった問題意識ですが、これこそ、日本が先の戦争に突入した最大の理由であったことを忘れるわけにはいきません。そして、中東で混乱が起こるたびに世界が振り回され、我が国にあっても二度のオイルショックという形で大きな影響を受けた問題です。

 それ以降の我が国のエネルギー政策は、日本の脆弱性をどうやって克服するか。別の表現で言えば、中東をはじめとした輸入に電力・エネルギーの多くを頼る我が国の状況をいかにして改善するか、という点を中心に進められてきました。

 今でも台湾海峡や朝鮮半島など、安全保障環境が安定しているとは言えない我が国にあっては、この問題意識は一番重要なもののひとつです。

 我が国がこれから国際競争の中で生き残り、今の暮らしを守っていくために必要なエネルギーのベストミックスは何なのか。原子力エネルギーの安全の問題ももちろん考慮せねばならないリスクの一つですが、温暖化の問題や安全保障の問題など、それに勝るとも劣らないリスクが数多くある中で、必要性を満たしながらリスクを最小限にできるポートフォリオを作っていくこと。冷静な分析と決断が必要とされています。

 国を動かし、国民の暮らしを守っていくということのなかで、非常に大きなこの二つのテーマについても、正しい決断ができるよう今後も幅広い視野で取り組んでいきたい。多くの方が犠牲となられた先の戦争が終わったこの日に、その思いに少しでも応えられるよう、改めて政治に携わる者の一人として懸命に尽力していくことをお誓いしたいと思います。

suzuki_keisuke at 15:34トラックバック(0) 

2012年08月12日

消費税と「これから」

 金曜日に参議院において消費税の関連法案が可決されました。確かにさまざまな問題点があるにはありますが、大筋では、国の将来のために避けては通れないものであり、この判断をした与野党の決断を歓迎したいと思います。

 以前からこの稿でも書かせていただいていますが、問題はこれからであります。

 一つは、今後の税制のあるべき姿として、我が国の暮らしを維持していくために不可欠な経済成長を実現するために必要な国際競争力強化、そして社会の構造において少子高齢化が進む中で、負担の公平と活力の維持を考えれば、ある程度の直間比率の変更が必要だという点です。頑張って仕事をされている個人(所得税)や稼いでいる企業(法人税)に負担が集中している構造は今後も改善していく必要があります。

 消費税の論議も、単に上がった下がったではなく、こうした税システム全体の中での所得税、法人税、消費税のバランスの中で議論されねばなりません。

 そして第二に、やはり今回の税率引き上げによって、さまざまな改革が緩んでしまっては元も子もありません。公務員の削減も含む行政改革然り、議員の定数の問題然り、「焼け太った大きな政府」から「効率的な小さな政府」への構造転換が必要ですし、それと表裏一体の問題として、意味のある地方分権や、事前規制型社会から事後チェック型社会への転換も必要です。

 さらには、選挙を前にして、各党内で、ともすれば生活保護の問題に代表されるような社会保障や旧来型の公共事業などのバラマキ圧力が非常に強まっている実態があります。

 これらについては、必要か必要でないかという議論をしてしまえば、必要な理屈などいくらでも出てくる。である以上は、優先順位と今の税負担の中で可能な支出総額のバランスのなかで、必要性の優先順位を議論せねばなりません。そして優先順位が低いものについては、しがらみがあろうとも、国のために厳格に「切る」覚悟と勇気が政治家には求められます。

 負担をお願いしている以上のものをばらまいてしまえば、今回の消費税の議論も国民負担も全く意味がないものとなってしまいます。それだけは断固として阻止せねばなりません。

 こうした点に関する考え方の違いは、各政党、あるいは政党の中にあっても、個々の政治家の間でかなり明確に存在しています。

 「近いうち」に信を問うということについて、何について信を問うのか、それは今回の消費税率引き上げの問題だけではなく、国の財政運営全般について信を問うということにならなければ国の将来にとっては全く意味がないものになってしまいます。

 最終的には税の文脈で言えば、どのやり方が、20年後の一人一人の税負担を最小限に抑えることができるやり方なのか、が判断基準であるべきなのではないでしょうか。今回消費税の引き上げを避けて通って、あるいはバラマキをしてしまったり改革が鈍ることで環境の悪化を招き、20年後に30%前後の消費税が課税される重税国家になってしまったのでは意味がないわけですから。

 お盆はある意味で、祖先から長く続く絆の伝承に思いをはせる時でもあります。そんなタイミングで、10年、20年スパンで国のこれから、個人と国のかかわりのこれからを考えてみるのもいいのかもしれません。

suzuki_keisuke at 19:39トラックバック(0) 

2012年08月07日

三党合意をめぐる政局について

 ここ数週間、毎週末20か所前後の夏祭りや盆踊りにお伺いさせていただいています。また、昨日は港北区で消防団による夏期訓練大会(消防団の皆さん、いつも暑い中お疲れさまです!:下の写真はその模様)も行われるなど、お祭りや街頭演説や集会だけでなく、他にも多くの機会に多くの方とお話しするチャンスに恵まれています。




 なぜ政治家はお祭りなどを回るのか。それは、選挙のため(というのもありますが)というだけではなく、オープンな場だからこそ、知っている方からも知らない方からもフランクにいろいろなご意見をいただいたり、話をさせていただいたりというコミュニケーションができるからです。そしてそのような声をキチンと受け止めて国政を動かしていく、まさにそれが政治家の原点だからです。

 さて、そんな中、「選挙近いだろうから今回こそは頑張ってね」という多くの方からの激励とともに、今週特に多く言われたのは、今の政局をめぐる話でした。「自民党もよくわからないね」「自民党は消費税潰して本当にいいのか?」「政局ばっかりになっていないか、ここのところ。おれたちにはどうでもいいんだよ、内輪の理屈なんて」「けいすけさんが今の自民党を変えなきゃだめだよ」といった声がほとんどだったのが現実です。

 今、自民党は解散のためには三党合意破棄も辞さず、という動きに進みつつあります。しかし、私が接した多くの都市部の有権者の方の思いは、そして私自身の感覚もそうなのですが、この動きはあまりにも党利党略、あるいはいわゆる「永田町の論理」が前に出すぎていて、今国のために何をすべきかということが見えなくなってしまっているといった感を禁じえないというものです。

 たしかに民主党の政権運営には問題も多いので、一刻も早く選挙すべきだとは私も思います。しかし、それが他のすべてを犠牲にしていいものとは思いません。

 今回の消費税の税率の引き上げは、やむを得ない苦渋の決断として、日本のために必要だからこそ、自民党は党利を捨てて党として賛成をしたはずです。

 そして、多くの国民の思いも、「消費税の税率引き上げはやむを得ないが、生活保護などの社会保障のバラまきや、公共事業などのバラまきは、断固としてやめてほしい」というものではないでしょうか。

 それが、今や、民主党は言うに及ばず、自民党までも、結果として、公共事業のバラまきはやります、消費税は先送りします、となってしまいつつある。自民党の中で、政権交代以降、地方への利益誘導ばかりに目がいく旧い政治スタイルへの回帰が目立つ中で、都市部の有権者のニーズ・思いから自民党がどんどんと離れて行ってしまっている気がしてなりません。

 確かに解散に一刻も早く追い込むことは大事です。そして今回の消費税引き上げについては、本来セットであるべき法人税や所得税の減税などが取り上げられていないなどパーフェクトなものではないと私も思います。しかし、今回三党合意を破棄すれば、政権を取ったとしても自民党が消費税の問題を前に進めることはできなくなってしまいます。本当にそれで日本の国の財政はもつのか、金利などの景気への悪影響を防げるのか、私にはそうは思えません。

 私は、自民党は、党利党略のために動くのではなく、国のために常に動く党であるべきだと考えます。そのためには、三党合意の破棄をするのではなく、それを成立させたうえで、来る選挙までに、現実問題として引き上げざるを得ない消費税という歳入面の問題ではなく、むしろ歳出面での民主党との違いを明確にして、その選択を争点にできるような国会の運びをすべきです。

 法案を成立させ、その後きちんと歳出の議論をする。社会保障をこれからどうするのか。生活保護などのバラマキをどうするのか、優先度の低い一般社会資本整備に関する公共事業などへのバラマキをどうするのか、それこそが自民党が民主党との違いを明確にすべきポイントです。にもかかわらず、今の党内の動きでは、公共事業のバラまきへの異論はほとんどなく、三党合意の破棄ばかりが喧伝されている。明らかにそこには党利党略しかなく国がない。これでは野党時代の民主党やみんなの党、小沢新党と違いが無くなってしまいます。

 加えて、その党利という面においても、内閣不信任案が可決される可能性が高い状況であれば強硬論にも意味があると思いますが、もしこれが可決されなければ、「党利党略でいったん賛成した三党合意をつぶした」とのレッテルをはられダメージを負うのは、民主党ではなく自民党です。

 いみじくもみんなの党の渡辺代表は、今回の不信任騒動が自民党への踏み絵だと明言しているわけで、まさにそれを狙ってみんなの党や小沢氏が仕掛けた罠にホイホイと乗っかってしまうことは避けねばなりません。みんなの党や小沢氏にとって、次の選挙に向けて一番ダメージを与えたいターゲットはもはや支持を失っている民主党ではなく、自民党に他ならないという現実も忘れるべきではありません。

 民主党も小沢氏もみんなの党も国のことではなく自分のことばかり考えている、そんな中だからこそ、自民党は国のことだけを考えて行動すべきですし、執行部にはどっしりと構えてそうした決断、発信をしていただきたいと思います。選挙は各党の損得ではなくあくまで有権者の判断であること、自戒も込めて、我々は忘れるべきではないと思います。


suzuki_keisuke at 00:00トラックバック(0) 

2012年08月01日

暑い夏に思うこと(地球温暖化問題を忘れてはならない)

 非常に暑い日が続いています。熱中症なども危惧される状況ですが、いかがお過ごしでしょうか?

 夏祭りなどでいろいろな方と話しをしていてよく聞かれるのは、「昔も夏はこんなに暑かったかね」という話。実はそのとおりで、横浜も東京も大阪も昔よりも確実に暑くなっています。

 このことは数値でも裏付けられていて、年の平均気温は、例えば東京では1901年から1910年までの平均は13.5度。これが2001年から2010年までの平均は16.6度と3度以上上昇しています。これはあくまで平均ですから、例えば夏の日中の気温に関しては3度以上の上昇幅となっている可能性が極めて高いわけです。

 外国の政治家や関係者と会議などで話したり意見交換して日本に戻って感じるのは、政治メディア問わず、温暖化の問題への関心が全般的にあまりに低いことです。特に福島第一原発の事故以来、温暖化の問題はほぼ忘れ去られ、顧みられなくなってしまいました。ダーバンの報道もほとんどされませんでした。

 しかし、実は温暖化の問題は、地球の複雑なシステム故に、対策をうってからその効果が出てくるまでにタイムラグがかなり生ずる問題です。また実際に温暖化の影響は目に見えるわけでもないですし、肌で感じることが出来るほどの劇的な変化がある問題でもありません。むしろ「ゆでがえる」のような性格の問題であって、まさにそういう意味では「気がついた時にはもう手遅れ」という性質の問題です。その意味では今の世界の最重要課題の一つですし、最も対策を急ぐべき問題の一つに違いありません。

 最近のニュースで、グリーンランドの氷床が大きく溶け出した、というものがありました。

 温暖化は、対策を打たないと、どんどんと加速してしまう問題です。氷が溶けて地球上の白い面積が減少すれば、太陽からの熱を地球全体として吸収しやすくなり温暖化はさらに進みます。また海水の温度が上昇すれば、今水中にとけ込んでいる二酸化炭素が大気中に放出され、大気中の二酸化炭素濃度が高くなり温暖化が進むという循環にもつながってしまいます。

 いろいろと評価はありますが、少なくとも国際社会のそれなりの規模での温暖化対策枠組みであった京都議定書は今年で失効してしまいます。

 もちろん一部の先進国にしか義務がない京都の枠組みを継続することは、実効性ある温暖化対策の観点からも望ましくありませんが、それにかわる枠組みを早期に合意して来年以降実行に移すことが求められます。

 省エネ大国として、そしてエネルギー原単位においては世界のトップを走っている日本が、このルールづくりにおいてイニシアティブをとることは、日本の国益だけではなく地球のためにも非常に重要です。

 目先の問題だけにとらわれるのではなく、グローバルな温暖化対策についても、一時のブームですぐに忘れるのではなく、きちんとした取り組みを政治が責任を持って進めていくべきなのではないでしょうか。

suzuki_keisuke at 17:11トラックバック(0) 
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