2012年09月

2012年09月29日

対中戦略を考える上で

 ここのところの中国の東シナ海における攻勢、あるいはICBMを含む軍備の状況から考えると、中国が本気で西太平洋におけるアメリカのプレゼンスを下げに来ている可能性も考えねばならない状況です。

 わが国としても、海兵隊や第7艦隊の今後の動向を見極めつつ必要なソフト・ハードの整備を行っていく必要が出てくるかもしれません。

 最近の東アジア情勢を見ていると、北朝鮮問題は日朝の二国間の問題ではなく、本質はあくまで日中、日米であり、日中関係はやはりその本質は日米である、このことをつくづく感じます。

 さらにそれに加えて、メディアも含めた国際的な世論がそこに様々な影響を与える時代でもあります。よく言われる話ですが、うそでも100万回繰り返せば信ずる人が出てきてやがて本当になってしまいます。

 中国に関しては南シナ海での前科もあり、今すぐに国際世論を味方につけられてしまう状況ではありませんが、状況経緯に詳しくない海外メディアの一部が無邪気に中国の発信に影響を受けないとも限りません。

 「言わなくてもわかってくれる」という国内の理屈は国際社会においては通用しません。あらゆるチャンネルを使って正確な発信をしていくことが必要です。

 特に今回の経緯を見てみれば、尖閣の国有化はただの口実で、機会を見て東シナ海の境界線問題についての発信を中国は行いたがっていた可能性が高いといわざるを得ません。もともとが日本の主権下にあり中国としては失うものはない横車ですから、やれるだけやってやれというのが本当のところだと思われます。

 経済的な圧力をかけるのも、政治的には野田政権も自民党も外交についてはほぼ姿勢が一致していて、以前のように政治サイドからの突き崩しが効かないので経済を利用しているにすぎません。今回譲歩すれば次回からもっとエスカレートするのは目に見えています。

 日本企業の投資の流出や日本の軍備強化など、彼ら自身が今回のような強硬姿勢をとると損をするということを明確に理解しない限り、今回のような事態が繰り返されることは必定です。今中国の強硬姿勢に少しでも成果を上げさせてしまうことは、中国のリーダーが11月にも変わることを考えると、10年近く悪影響を残すことにもなりかねません。

 変な譲歩をすれば国際世論にも悪い影響を与えかねません。対中国だけを考えると「落とし所」という発想になりがちですが、国際世論や、日米関係への影響を考えれば安易に「落とし所」を探ることは戒めねばなりません。

suzuki_keisuke at 01:30トラックバック(0) 

2012年09月24日

「脱原発」が日本国民の放射能リスクを増大させる

 ようやく暑さも和らいで、秋風が涼しい時期を迎えました。今年の夏、日本においては様々な節電努力がされ、どうにか停電という事態を避けることが出来ました。しかし、生活の場であるいはビジネス的に電力面での制約が他国と比べて極めて大きくなってしまっているのは否めない事実です。もはや日本は電力事情の悪い国、電力面では発展途上国レベルに落ちてしまっていると言っても過言ではありません。

 以前このブログでも指摘しましたが、一、二年の時限的な節電と永続的な電力制限は全く意味合いが異なります。日本の電力事情が長期的に改善されないのであれば、ビジネスの判断は大きく変わってくるものと思われます。そろそろ現実的な電力、エネルギー戦略を考える必要があります。

 私のスタンスは、再生可能エネルギー、蓄電、送電のイノベーションを最大限加速しつつ、可能な限り早く全世界で脱原発・脱火力というものです。最近世界中で旱魃や大洪水といったさまざまな異常気象に現実的に現れてきていて、地球温暖化についても一刻の猶予も許されない状態です。その事を考えれば今日本の一部で言われているような、原子力から火力へのシフトなどということは現実的には考えられませんしすべきでもありません。そのようなことをすれば日本は世界の笑い者になりかねません。

 では原発について、なぜ「全世界で脱原発」なのか。それは、仮に日本だけが脱原発に突き進んだとして、果たしてそれが日本国民の原発事故へのリスクを軽減することに繋がるのかといえば、むしろ結果は逆のものになりかねないからです。

 日本が脱原発に突き進めば、今の途上国レベルの電力事情は当面改善することはありません。そして、「日本だけ」そのような状況にあるということは、日本国内でビジネスをする限り大きなハンデを負うということを意味します。

 利益を上げねばならない企業の判断としては当然そのような制約のない場所に移転するということになります。そしてその移転先は消費地を考えれば、近隣のアジア諸国、具体的には中国や韓国ということになります。

 こうした国において日本で本来行われていたはずの経済活動が行われるということは、すなわち、日本で本来消費されていたはずの電気量が中国や韓国に移転するということです。企業活動というものを考えれば、おそらくアジア地域での電力消費量が変わらない中で、国のシェアが変わるだけとなってしまいます。

 そしてそのような国の電力の供給は、その多くを原子力発電がになうことになる可能性が高い。

 簡単にいえば、東アジア地域の原発というのはほぼ一定で、日本のものが減ればその分だけ中国や韓国に増設されることとなるわけです。

 そして、例えば日本においてはここのところ建設されている原発は、第三世代の進化型という廃棄物レベルも安全性も現時点の世界最高水準のものだったわけですが、中国や韓国でこの様な最新型が作られるかといえば、資金的な問題から旧いタイプのものが作られる可能性が極めて高い。そして、その製造においても、新幹線や建築物のずさんな工事等の問題を見る限り、日本の原発ほど安全なものは作られない可能性が極めて高いと判断せざるを得ません。

 そして、中国の沿岸部や韓国は偏西風を考えれば日本の風上です。黄砂や越境公害の問題を考えても、我が国はもしそこで事故が起きれば極めて大きな被害を受けることとなります。

 簡単にいえば日本が脱原発を進めれば進めるほど、日本の風上にスペックの低い危険な原発が多く作られることになってしまう。

 全世界で脱原発を進める仕組みが作れるまでは日本だけが脱原発を進めても、何の意味も無い。政治に携わるものは空気に流されるのではなく、こうした現実も直視せねばならないのではないでしょうか。


suzuki_keisuke at 16:28トラックバック(0) 

2012年09月18日

中国の暴動を、ビジネスの中国偏重や反TPPの転換点に

 中国における暴動がエスカレートしています。そもそもは中国共産党が暴動を黙認、あるいは煽動したことが背景にあるわけですから、日本政府が尖閣等に関する対応を変えたところで根本の解決には決して繋がりません。究極的には日本政府が中国共産党の言うままにしない限りこうしたリスクは無くならないわけで、ここで軟化すれば中国共産党の要求は一気にエスカレートしかねません。

 まさに今の中国の状況は、政府のコントロール、指導層の意思という観点でいえば、ある意味、アメリカの大使の殺害を防げなかったリビアや、混乱が続き外国人の保護を出来なくなっているシリアと一部似たものになってきていることに注意が必要です。西側の国々がリビアやシリアに対してして譲歩することがないのと同様、日本もそのような選択をすべきではありません。特に中国は体制の交代を目前に控えています。最初が肝心です。

 少なくとも今の状況を安定化させるためには、いくらこの様なやり方をしても中国共産党が「得をしない」ことを明確にする必要があります。日本の政府としては、今回の中国の対応を理由に、自衛隊や海上保安庁などの活動に関し、ハード面、制度面で今後増大する可能性が高い中国の軍事的圧力に対応出来るよう備えを強化する必要があります。

 もちろん経済的なダメージを日本も受けるという事実は一面であります。もちろん、現地で活動する日本人の安全を確保するよう、中国共産党に圧力をかけることは当然ですし、体制崩壊など、万一の際の脱出避難が可能な体制をキチンと作っておくことは日本の政府の責任です。しかし、ビジネスを優先し、中国の軍事的な横暴を許容する、あるいは国の主権を脅かされることはあってはなりません。今日本政府がすべきことは、この様な筋を通しつつ、国際社会に対して、中国共産党の行動がいかに国際社会の常識から逸脱しているかを、バイやマルチの会談、メディアを通じて明確に発信していくことです。この点を間違えてはならない。

 そもそも、この様な政治的リスクがあることは何年も前からわかっていたことです。また簡単に撤退が出来ないなどの問題も明らかになった上での各企業の進出でした。各企業にあっては、これまで目の前の利潤に囚われてあえて低く見がちだった中国の政治リスクを適正に評価し、今後の海外戦略を変更していく必要があると思われます。

 「日本は中国抜きではやっていけないが、中国は日本抜きでやっていける」という中国側の勘違いが今回の暴動の原点にあることを考えれば、中国の日本依存はやむを得ないにしても、日本としてはリスクの分散をはかることがこれからは必要です。具体的には、中国の工場においては最終消費地が中国であるものをのぞいては中国以外の国に移転していくことが必要です。この点を支援するためにも、我が国として、TPPなど、中国抜きの経済連携枠組みを積極的に進めることが必要です。

 これまで日本の近隣諸国で、本格的な体制崩壊や内戦といった事態は朝鮮戦争以降ありませんでした。そのために、政治リスクを低く考えがちなのはやむを得ないことです。しかし、有事のビジネスの利益までは政治は保護することは出来ません。また保険においても戦争は地震などと並んで基本的には免責事項になっています。民間企業といえども、自らの判断でリスク管理を行うことが今後必要となってきます。

 大学などの高等教育においても日本には諸外国で当たり前に存在している危機管理学、いわゆるsecurity studiesがありませんでした。今度の中国の暴動を契機に、日本は、官民ともにリスクに強い社会に転換していかねばなりません。

 また経済連携などについても、反米保守と言われる勢力がアメリカと連携するTPPよりも中国と連携するASEAN+3、6を、などと主張していますが、今回の件からも、日本の国益を考えれば、価値をある程度共有する国の間で地域のビジネスのルールの基盤づくりを進める方が望ましいことが明らかになったのではないでしょうか。この点についても、政治全体が方向性を明確に打ち出すべきです。



suzuki_keisuke at 18:04トラックバック(0) 

2012年09月11日

9月11日におもう

 今日、9月11日は、9.11テロから11年、東日本大震災から1年半という節目の日でした。一人一人それぞれの想いがあったのではないかと思います。

 今日の次に明日があまり変わらずにやってくる、それは決して当たり前のことではない、ということを政治家の一人として肝に銘じたいと思います。

 多くの政策は、今日の次に明日がやってくる、そうした連続性を当然のものとして組み立てられています。しかし、今日の次に明日があまり変わらずにやってくるように、安全保障であったり、地球温暖化対策であったり、あるいは防災への備えであったり、こうしたことを政治が地道に備えをしておくことがその大前提にあるということ、ともすれば忘れられがちですが、改めて感じたところです。

 もちろん、そのように万全を尽くしていたとしても、リスクはゼロにはなりません。何か起こってしまったときの危機管理についても万全を尽くしておくことが必要です。こうしたCrisis Management、諸外国では研究もされ、プロフェッショナルなレベルでも実地に行えるように訓練されているケースも多いようですが、我が国は平時にこうした備えをしておくというよりは、有事になってからドタバタする傾向が歴史的にも強いような気がします。

 特にこれからの数十年、いろいろな意味で先行きの見通しにくい時代を迎えます。こうした危機管理、あるいは今日の次に明日がくるようにするための努力、あまり目立たないところではありますが、政治・政府の大きな役割であります。このことをキチンと進め、犠牲や混乱を未然に最小限に抑えること、これが、テロ、震災をはじめとした多くの惨禍で犠牲となられた方に本当の意味で報いるということではないでしょうか。

suzuki_keisuke at 18:24トラックバック(0) 

2012年09月05日

尖閣、東シナ海。対中政策のあるべき方向性

 尖閣の購入を巡る情報が錯綜しています。が、所有者が国、東京都のどちらになるにせよ、中国の攻勢を考えれば、一刻も早く実効支配の具体的な事実を積み重ねることが重要です。

 もちろん、中国は未来永劫我が国の隣にあるわけであって、いたずらに事を荒立てればいいというものではありません。しかし、尖閣に関しては、日本が実効支配し、かつ歴史的経緯から言っても全く問題がない日本固有の領土について中国が侵犯を繰り返しているわけで、中国側の都合により、既にことは荒立てられてしまっている状況です。

 中国側のこのような姿勢に変化が見込まれない以上は、実効支配している日本が曖昧な態度を取ればかえって事はさらに荒立てられ、結果的に地域の安定にも影響が出てきてしまいます。東シナ海の境界線の問題とともに、この尖閣の問題については、日本が明確な対応をすることこそが、最終的に事を荒立てずに済ませられる唯一の方策であることを政府は認識せねばなりません。

 さらに現状は、大陸の尖閣上陸グループが秋にも再度尖閣に不法入国することを明言している状況です。である以上は、少なくとも中国共産党が尖閣への不法侵入者の中国・香港からの出航を絶対にさせないと明言しない限り、日本政府としては「予測出来る事態」に備えるために、警察官および海上保安庁の職員が、不法入国者に対処出来るための環境整備をする必要が出てきます。台風のシーズンに何日も警戒にあたるためには、台風が来たときに避難出来るシェルター、必要な居住設備を整備せねばなりません。

 中国共産党がキチンと自国民の行動に対応しないがために、日本政府としてはこのような設備を嫌々でも作らざるをえないのです。平和を望んでいる日本としては全く迷惑な話であります。

 日本としてはこのような事情をキチンと日中首脳会談などの場で中国に伝え、先方が絶対に不法入国者の出航を止めると明言しない限りは、「日本としてもやりたくはないのだが」粛々と施設の建設工事に入らざるをえない旨伝える、さらには国際社会に対しても、日本として中国側が不法入国を強硬すると言っているので「やむを得ず」施設の建設を行わざるをえないという実態を正確に発信していく、こうしたプロセスが重要になってきます。

 特にこの秋には中国共産党の指導部の交代が予定されています。そうした中、中国共産党内部の権力争いで、江沢民派が再び勢力を強めそうだとの観測も出てきています。中国共産党が対日強硬姿勢を増すのであれば、日本としても中国側が日本に対して強硬な姿勢をとってもメリットが無いこと、デメリットが大きいことを具体的に理解させていく必要がこれまで以上に出てきます。

 こうした中共の政治情勢もキチンと分析しつつ、さらには国力のバランスの変化もにらみつつ、必要な対応を適切なタイミングで実行していく、そんな非常に難しい舵取りが今後の日本外交には求められます。

suzuki_keisuke at 17:11トラックバック(0) 
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