2012年10月

2012年10月22日

日本の貿易赤字拡大の真相 〜中国よりも脱原発〜

 今朝平成24年9月分の貿易統計の速報値が公表されました。報道ではヘッドラインは対中国輸出の14%減少。中国での反日暴動などと結びつけて対中国の輸出が落ち込んだのが貿易赤字拡大の主な要因で、今後中国との関係悪化が続けば半期ベースで過去最大の貿易赤字となった今年度上半期よりもさらに厳しい状況にもなりかねない、といった分析がされているようです。

 確かに対前年同期比、あるいは前期との比較という観点からはそれはあたっているのかもしれません。しかし、二年前の同期比で比較してみると、若干違った光景を目にすることになります。本当に我が国の貿易赤字の最大の要因は対中国の輸出が減ったからなのか?この報道には若干の意図を感じざるを得ません。

 今回公表された統計を実際に検証してみると、例えば今回公表された平成24年9月のデータを二年前の平成22年9月と比較した場合、対中国の輸出額は約1273億円の減少となっている一方で、中東からの輸入額が約4604億円の増加、そして、項目別に見ると天然ガスや原油などの鉱物性燃料の輸入額が約7778億円の増加となっています。

 つまりこの統計の分析から推測出来るのは、日本経済という観点からすると、中国との関係悪化による輸出への悪影響の何倍もの大きなマイナスが「脱原発」によりのしかかってしまっているという事実です。

 もちろん、中国との関係改善は我が国の経済にとっては目先という意味ではとても重要です。しかし、例えば中長期的にベトナムやマレーシアなどの他のアジアの国々に投資先を転換する等のリスクマネージメント、あるいはTPPの枠組みで法の支配・自由競争・知的財産権等の基盤整備を進め将来的に中国そのものをその方向に誘導していく等の戦略性のある政治決断を行うことができれば環境は変化していきます。また数値から見ても脱原発に比べればインパクトは限られているわけで、中国との関係改善は日本にとって主権の問題で譲歩してまですべきものかといえば、そこには若干の疑問が残ります。(中国が意図があって戦略的に関係を悪化させているので日本が何をしても長期的には意味がないという本質論はこの際横においておきます。)

 そして、もう一つ我々が認識せねばならないのは、脱原発のコストはこれほどまでに大きいのだということです。これに加えて企業や工場の海外への流出に伴う失業率の上昇、日本の産業競争力の低下が中期的にはでてきます。こうした事実を踏まえたうえで、精神論ではなく現実として日本の将来の進む方向の選択を我々はせねばなりません。

 今回の貿易統計の見方でもそうですが、先入観や目先の変化だけに目をとられるのではなく、事実が一体何なのか、そしてその現実にどのような戦略で対処していくのか、まさに政治が果たさねばならない役割は非常に大きいと言わざるを得ません。

suzuki_keisuke at 13:24トラックバック(0) 

2012年10月19日

玄葉大臣の訪欧について

 玄葉外務大臣が英仏独を訪問しています。

 尖閣諸島を巡る情勢についての説明が目的の一つのようですが、その関係で言えば、今ヨーロッパ諸国における一つのトピックがEUの対中武器禁輸解禁問題です。単純化して言うと、ビジネス上の要請から中国への武器輸出を行いたいフランス・ドイツに対してイギリスがストップをかけているという状況です。

 一つの背景としては、欧州諸国においてはもはや国単位での紛争ということが現実的には想定されていないが故に、東アジアの安全保障問題への配慮が欠けているという事実があります。

 仮に対中武器禁輸が解禁されれば、中国の人民解放軍の装備のハイテク化が急速に進む可能性が高く、日本のみならず台湾や韓国、アメリカにとっても大きな脅威となることは火を見るより明らかです。

 もう終わった会談ですが、イギリスに対してはこの点での協力への謝意を伝えるとともに、最近の東シナ海や南シナ海での中国軍のアグレッシブな行動への懸念を共有出来るような認識の共有が必要です。

 またフランスやドイツの当局にも懸念をしっかりと伝えることも重要です。今の中国の状況が、ミュンヘン会談前後のドイツと同じような状況にあるという現実をキチンと伝える必要があります。

 折しも、イギリスとフランス・ドイツの間で先日、BAEとEADSの合併交渉が安全保障分野での懸念から破綻したところです。安全保障への認識が再確認されたような状況ですので、今はそのような認識の共有を行うにはいいタイミングです。

 そして、もちろんイギリス、あるいはフランス、ドイツにたいして現在の状況を明確に認識してもらうためには、中国の脅威と対峙しているアメリカからも、中国の軍拡への懸念を欧州に伝えてもらうことが必要です。

 報道等からはこの点についても会談で触れたか否か明らかではありませんが、玄葉大臣は今日まで訪欧とのことですので、日本国の外務大臣として、この問題についても成果をしっかりと上げられることを求めたいと思います。

suzuki_keisuke at 15:03トラックバック(0) 

2012年10月15日

TPPについての考え方 〜ピンチかチャンスか〜

 これから政治的に大きなトピックになりそうなテーマの一つにTPPがあります。

 自民党も民主党もスタンスがはっきりしておらず、加えて様々な誤った情報をもとにした反対意見などが飛び交ったりと、議論がわかりにくくなってしまっている観があります。

 JAが以前行ったアンケートでも明らかなように、自民党内でも、TPPについては今の世界経済と日本経済の現状から考えれば不参加は現実的ではなく、参加を前提にして交渉でいかに国益を守れるかが重要との考えを持っている議員がむしろ主流派には多い気がします。先延ばししたあげくに、様々なルールが決まってから結局参加するというのが最悪のシナリオなわけで、国益を守るためにももっと早く表明しておくべきだ、という考えの政治家が党内には多いようです。

 様々な条件はまさに今協議中であり、いろいろなリスクをあげつらって参加しない理由を探すのではなく、そのような我が国にとってのネガティブな可能性を交渉によってなるべく少なくするというのが、現実世界で結果責任を負う政治家の責任ある行動のはずです。

 そもそも、この問題、単純化して言うと、推進か反対かは次のように考えた場合どう思うかで判断が決まるのだと思います。

 これは一つの例、トピックですが、例えば今言われているルールのもとでは、TPPに参加すれば、国の調達、つまり公共事業などについては自国以外の企業が応札出来る可能性が高いと言われています。これを聞いてどう考えるか。

 日本政府の調達に海外の企業も応札出来るが、同時に海外の政府の調達に日本企業が応札出来る。この状況をチャンスと捉えるかピンチと捉えるか、まさにTPPに賛成か反対かの根底にはその認識の違いがあるのだと思います。

 私は日本の企業の技術力や日本人の底力を信じています。今ならば外国勢と競争して優位に立つことは十分に可能だと思います。私は日本の企業や日本人は、保護しなくてはならない脆弱な競争力のない存在だとは考えていません。

 もちろんその支援のためには、それぞれの個人や企業が、人材や技術など必要なところに投資出来るように減税や規制改革をする必要がありますし、域内の共通ルールを策定するにあたっては、知的財産権の保護や訴訟における進出先の企業とのイコールフッティングなどを実現させるよう、政府・政治家が全力を尽くすことが必要です。

 後者について言えば、TPPの枠組みであれば、例えばASEAN+3などと異なり、この様なルールに強硬に反対する中国がイニシアティブをとることはないため、日本企業が強みをビジネスチャンスにつなげやすい環境を作ることは充分可能です。

 以前、構造改革を巡る議論のときに「ゆでガエル」という話がよく出ていた記憶があります。最初から熱いお湯に飛び込んだ場合にはすぐに飛び出して死にはしないカエルも、徐々にゆだっていくぬるま湯の中にいるとなかなか気がつかず、ついにはゆだって死んでしまうという寓話です。現状維持、変化への恐れが強すぎると必要な改革が遅れて死に至ることにもなる、という教訓だと思います。

 何事も変化というのは怖いものです。特に国を開くということは幕末を見ても明らかなように、後から見れば選択の余地がないものでも、そのときにはいろいろな「やらない理由」「やったことによるリスク」ばかりに目がいって、「やらないことによるリスク」には鈍感になってしまうのが人間の性です。

 同じ事象を見てピンチと思うかチャンスと思うか。それはある意味で、自らの力、自国の底力を信じるか否かの問題であり、そして、それをやらないで済むのか、やらないリスクはどのくらいなのかに関する外部環境の分析、自己の立ち位置の客観的判断の問題です。

 TPPの問題、私は自民党としてもそろそろ党内の一部の反対派に気兼ねして「聖域なき」TPPには反対するという玉虫色の表現をするのではなく、参加の決断を明確にして、国益を守る交渉を推し進めるべきだと思います。それが国益のために尽くす政党のあるべき姿なのではないでしょか。

 

 

suzuki_keisuke at 19:12トラックバック(0) 

2012年10月08日

ふと感じた時代の変化

 先日The beatlesのデビューからちょうど50年が経ったというニュースがありました。

 The Betlesが活動していたのは1960年代。私が生まれる前ですが、ベトナム戦争やケネディ暗殺、そして60年代末にはアポロ11号による月面着陸と今とは全く異なる時代だった印象を持っています。日本国内でも1964年に東京オリンピック、そしてそれと時期を同じくして東海道新幹線の開業と、敗戦後の復興を象徴する出来事が相次いだ時代だったようです。

 ある意味では、世界中が暗い影を意識しながらもダイナミックに動いていた時代とも言えるのかもしれません。環境省の設置が1971年ですから、公害や環境問題への関心もあまり持たれていなかった時代です。オイルショックも起こる前で、成長や経済活動への制約がまだあまりなかった時代とも言えます。

 その当時と比べると、今、我々は非常に制約の多い時代に生きているといわざるを得ません。地球環境の問題、エネルギーの問題、日本にあっては人口が減少し少子化高齢化の影響が出てきています。暮らしを維持するために必要不可欠な経済成長を達成し、しかも我々が生きていける環境を守っていく。以前であればごく当たり前に達成できていたゴールを政治が達成するのが至難の時代になってきている現実を我々は意識せざるを得ません。

 そして我が国にあっては、当時の米ソ対立、冷戦の時期以上に、中国や北朝鮮といった近隣国からの軍事的な圧力が強まっているという現実も忘れるわけにはいきません。単純に受け身の外交をしていればどうにかなった時代ではもはやなくなってしまっています。

 さまざまなファクターに配慮しながらバランスを取りつつ、しかし、その一方で社会を前に動かしていくダイナミズムを喚起する環境を創る。まさにそんな絶妙なかじ取りが政治に求められる時代になってきています。

 私はやったことがないのではっきりとはわかりませんが、ビジネスの経営者にとっても同じように、ケアしなければならないリスクが多い一方でリスクをとっていかねばならない難しい時代になっているのだと思います。

 しかし、日本の人口は減っていても、すぐ近くのアジアの人口は増加している、というように、チャンスの芽がいろいろなところにあるのも事実です。こうした芽を最大限伸ばせるような目利きのセンスも重要です。

 「生き残るのは最も強いものではなく、最も適応能力に優れたもの」という名言もあるようですが、まさにそんな前に進むための変革、前例にとらわれずに今の状況に最適な解を求める自由な精神とバイタリティーが今ほど重要な時代はないような気がします。複雑な政治にあっては、ともすれば、バランスやリスクの最小化にのみ目が行きがちですが、そのような縮小均衡では本当の意味での未来への責任を果たしたとは言えません。

 「近いうち」の衆議院選挙、そして来年夏の参議院選挙をスタートとして、リスクのとらえ方やスピードや機動性など、日本の政治をどれだけ根っこの部分から変えることが出来るのか、政策についても体質についても改革は待ったなしです。私自身も、前の4年の経験を踏まえ、我が国の未来に最大限の貢献ができるよう出来る限りの行動をせねばならないと改めて痛感しています。

 

suzuki_keisuke at 18:47トラックバック(0) 
Profile

suzuki_keisuke

Archives
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ