2013年04月

2013年04月25日

バラマキでない「国土強靭化」を

 4月も後半になって、国会での仕事も少し落ちついてきつつあります。今日も朝から、これまで数ヶ月間にわたって競争政策調査会の事務局長として取りまとめに動いていた独禁法の改正案の党内手続きの最終段階の政策審議会での審査。党内手続きとしては明日の総務会での了承を得られれば一段落です。

 同様に財務金融部会で取り扱っている金融関連の法案数本、環境部会で取り扱った数本の法案も閣議決定を終えて国会での審議が進みつつあります。

 夏の参議院選の影響で6月後半までの会期が事実上決まっている今国会が、GWや都議選を考えれば残すところあと一ヶ月少しとなって、法律関係の自分の業務は少しずつ終息に向かいつつあるという状況です。

 ようやく参加が決まったTPPや様々な改革ダマなど、これからは個人的に進めねばならないと考えている政策に取り組んでいきたいと思います。

 そんな法案ラッシュの中、今日の新聞報道で国土強靭化基本法案の話題が掲載されていました。この問題、TPP参加同様、選挙前から主張し続けている問題ですが、断じて旧来型のバラマキの復活をさせるわけにはいきません。

 震災対応という名の下に様々な思惑が入り交じって、当初の国土強靭化基本法案は、以前もこのブログで指摘したように、新幹線や高速道路の建設の条項もあるなど、旧来型の公共事業、バラマキ色の濃いものとなっていました。

 そのような法案が通れば、そもそも安倍政権の方針である「平成25年度の予算編成の基本方針」の記述と矛盾するわけで、与党と政府の方針が食い違うことは避けねばなりません。そして、もっと根本的な話として、今の財政状況や今後の人口動態、経済のありかたを見れば、大型の公共事業を乗数効果も考えずに進めるという経済政策はそもそもナンセンスなわけで、耐震化やメンテナンスなど防災・減災に資するものに絞ることが政治の責務です。

 そして事実、業界の対応能力や資材の状況などを考えても、国費ベースで6〜7兆円という小泉政権の最後から安倍政権時代くらいの事業規模が適正という声は、建設業界の関係者からも聞こえてきています。

 選挙対策、政治的な思惑で必要性の低い公共事業をバンバンやるような旧い政治、歪んだ政治をするわけにはいきません。この点も引き続き党内で発言していきたいと思います。

suzuki_keisuke at 14:09トラックバック(0) 

2013年04月17日

今年3月の気温は例年より2℃しか高くない、という事実

 首都圏は急激に暖かくなってきました。まだまだ気温の乱高下が続くようですが、今年は3月もとても暖かく、というよりも異常なまでに暑かったのをご記憶でしょうか。桜もおかげで3月後半には見頃を迎え、4月の普段の花見の時期には葉桜を楽しむという観桜会が地元でもあちこちで繰り広げられました。。。

 さて、少し前の発表になりますが、今年の3月は例年に比べて非常に暖かい、あるいは暑かったという印象があったところですが、実はそれでも3月の平均気温はデータで見ると2℃しか例年と比べて上がっていなかったということです。

 2℃といえば、温暖化の議論で、対策を講じなかった場合に平均気温が2℃程度上昇するといったことが言われることがあります。

 2℃なら大したことはないと一瞬思いがちですが、ここに大きな落とし穴があるのかもしれません。あくまで「平均」で2℃の上昇。

 この意味するところを考えてみると、即ち、夜や冬の気温がそこまで変わらない中での平均値とすれば夏の昼間の上昇幅は2℃では済まないことになります。ましてや地域差もある中です。シュミレーションでも、平均2℃でも場所によっては寒冷化、場所によっては5℃以上の上昇が見られるケースもあるという想定がされています。

 こうしたことを考えれば、仮に地球上の平均で2℃の気温上昇が見られるということは、かなり大きな変化で、かつ我々の生活、生態系に極めて深刻な影響を及ぼしかねないという意識を我々も持つべきなのではないでしょうか。

 あまり体感しないが故に、切迫感を持って語られることが少ない温暖化の問題ですが、2015年の議論終結に向けて我が国としても、さらに危機感を持って枠組みの議論をリードしていく必要がありそうです。

suzuki_keisuke at 17:39トラックバック(0) 

2013年04月09日

サッチャー英元首相死去のニュースを耳にして

 サッチャー元英国首相が亡くなりました。謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。

 親の仕事の関係でロンドンで育った幼少のころ、様々な記憶の中で残っているシーンの一つが、テレビに映されたフォークランド紛争の映像でした。実はそれは戦死者の葬送の場面だったと記憶しています。

 戦争中ということだったのか、社会全体が何となく暗かった、そんな記憶が残っています。

 英国病と言われ、没落する既に栄光を失ったかつての大英帝国、というイメージで語られることが多かった1970年代から80年代にかけてのイギリスにあって、そのような決して見通しの明るくない時代にあってサッチャー元首相の果たした歴史的役割は極めて大きかったと思います。

 経済的には自由主義経済と「小さな政府」路線を貫き、そしてフォークランドのように、自由主義、民主主義、法の支配、人権といった世界の「共通の価値」に対する頑なまでの姿勢は、政治家としてのある意味でのあるべき姿を示しているように思われます。

 結果的に政権を終結させることとなった人頭税を巡っての一連の動きも含めて、様々な意見がある中で、少なくとも自分自身の信ずる「正論」や原則にこだわる姿勢には政治家として学ぶべきところが多いと思います。

 民主主義においては、主張や原則、哲学を明確にした政治家がそのビジョンに対して審判を受ける。逆に言えば、もしその社会にビジョンが明確でない政治家が多ければ、そもそも主権者たる国民はその選択をする機会を実質的に奪われてしまうということともなります。

 誤摩化しや先送りの事なかれの政治では何も変わらない。だからこそ政治家は自らの主義主張、ビジョンを明確にして選挙に臨み、信任を受けたならばその実現を全力で図る、そうあらねばならないのだと私は思います。

 改めてその覚悟と、主義主張を突き詰められるような鍛錬をせねばならないと改めて感じた、そんな一日でありました。

suzuki_keisuke at 19:45トラックバック(0) 

2013年04月06日

日銀が演出した「サプライズ」と日本の三つの「リスク」

 昨日のFinancial Timesは、 "Japan starts monetary revolution"との大見出しに始まって数ページにわたって日本の金融政策あるいは経済についての記事で埋め尽くされました。このように日本に関心が、それもポジティブな驚きをもって向けられるのはいつ以来か、というくらい久しくなかったことです。

 マーケットの動きを見ても、概ね日本の今後に向けての期待が見られるように感じられます。確かに金利が若干乱高下しましたが、概して日本の今後の変化を前向きにとらえる動きが感じられます。

 このことは非常にいいニュースですし、政府日銀連携しながらいい流れを加速していってほしいと思いますし、我々与党もそれをサポートできるように、「日本経済にとっての最後のチャンス」との覚悟と緊張感を持って頑張っていきたいと思います。

 しかし、このような明るい側面の一方で、我々が決して忘れるわけにいかない「三つのリスク」があります。そしてこの3つはいずれも根が深く、すぐに変えられるものではありません。しかしだからこそ、一刻も早く本気で覚悟を持って取りかかる必要があるリスクです。

 一つは人口動態。少子化高齢化が進み、人口が今後減少していくトレンドにあること。これはきわめて大きなリスクであり制約です。

 二つめは、これまでの累積の国の巨額の借金です。現在の巨額の借金は利息分の負担を考えても極めて大きな制約要因です。そして、その規模はもはや「無駄をなくせばいい」というレベルのものではありません。今後の高齢化の中で、今の社会福祉のシステムが、構造的に財政赤字を今後も拡大させていく仕組みになっていることを考えれば、このポイントは非常に深刻なリスクです。

 そして、三つめは、今週国会の二つの委員会で私自身外務大臣に対しての質疑もさせていただいた点ですが、東アジアの安全保障環境、地政学的な状況です。朝鮮半島情勢の緊迫化、中国の軍備拡張と対外政策による周辺国との摩擦は極めて深刻なリスクです。

 この三つはまさに日本経済に固有のリスクであり、グローバルな枠組みでの議論というよりは、日本が独力で、あるいは安全保障については同盟国と連携して、向き合わねばならないリスクです。

 この三つのリスクを認識し、適切な対応を本気で進めていくことが、今後日本の国が長期的に繁栄を維持していくためには不可欠です。

 明るさがようやく少しだけ見えてきたこの時期だからこそ、そして、もしかしたらという希望も芽生え始めているこの時期だからこそ、「好時魔多し」とならないように、こうした点の認識を、我々は改めて持たねばならないのではないでしょうか。そのことがこの国の未来に責任を持つ政治家の使命のはずです。

 この週末、嵐の予感の中、選挙区内のあちこちの地域で行われている観桜会などの行事に伺って多くの皆さまとお話しさせていただきながら改めて感じた次第です。

suzuki_keisuke at 16:38トラックバック(0) 

2013年04月02日

安倍政権、まもなく100日

 安倍政権が昨年の12月26日に発足してからまもなく100日になろうとしています。政権発足100日までの間はハネムーン期間、それをすぎれば厳しく成果が吟味される、というのが多くの国の政権のパターンです。

 政権発足より、金融政策における大胆な緩和策およびその発信、財政からの景気刺激策等の効果もあって、株価もそれなりに回復をし、様々な指標も改善の兆しがようやく見えてきたところではあります。マーケットをはじめとして評価も上々です。しかし、まだまだ実体経済にプラスの影響が出て、暮らしや仕事の現場でも実感が出来るようになるには至っていません。

 その意味で、「三本の矢」のうちの三本目の中身とそのタイミングが極めて重要です。一本目の矢と二本目の矢で稼いだ時間で、どうやって実効性あるものを打ち出していくことが出来るか。旧来型の財政出動による成長策だけではなく、必要な規制緩和や減税によって民間の活動のフィールドをどの程度拡げることが出来るのかが大きく問われています。

 TPPも将来のマーケット、領域の拡大という意味では非常に大きな意義がある枠組みで、安倍総理の決断は極めて大きなものだったと思いますが、それに加えて農業や医療、雇用分野での改革を明確に示すことが出来るかが大きく問われています。もちろんそれぞれに単純に物事を進めることが出来ない事情があるのも事実で、それ故にこれまでも必要性については皆気付いているにも関わらずなかなかそれを進めることが出来てこなかったわけで、少なくとも、方向性を明示してプログラムを明確に示すことが急務です。

 これから夏に向けて、いわゆる「骨太の方針」の議論も進められます。我が国の成長に真に寄与する政策パッケージを示せるよう頑張っていきたいと思います。

 

suzuki_keisuke at 15:45トラックバック(0) 
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