2014年05月

2014年05月29日

東シナ海の中国戦闘機異常接近事案に見る深刻な状況変化

 先日発生した東シナ海での中国戦闘機による自衛隊機への異常接近事案について、少し書かせていただきたいと思います。

 まず、事案としては無防備の偵察機に対してミサイルで武装した戦闘機が30メートル、50メートルという異常な距離まで接近したこと、まさに常軌を逸しているといわざるを得ません。2001年海南島でアメリカの偵察機に中国戦闘機が体当たりして緊急着陸を余儀なくされ、米中関係が一気に緊張化したことを想起させる事案で、我々も極めて深刻にとらえていかねばなりません。

 この海域での様々な問題が起こっている背景には、法的には日本と中国の排他的経済水域が重複している点、防空識別圏についても重複があり、かつ中国においては実力行使を前提とするという国際法的に極めて疑義のある運用を宣言している点、この二点が特徴的です。

 その中、まず我が国としては国際法的に、境界解決がしていない状況下においては日本から200海里の権原を維持していることを明確にした上で、事実上の運用としては中国も実質的な状況認識を共有しているという前提のもとに国際的な通例でもある両国の領海基線からの中間線を運用上の目安としてきたのがこれまでの経緯です。

 この点において今回深刻なのは、最近の中国の動きから判断する限り、中国側が事実上受け入れているという前提でこれまで日本が運用面での目安としていた中間線についての中国のスタンスが変化している可能性が極めて高いという点です。これまでガス田開発にしても、あるいは日中間の共同開発の合意においても中国が事実上中間線を意識して行動しているという側面があったために、日本としても中間線から中国側については中国の行動を容認してきたところです。

 それが今回の異常接近事案、あるいはADIZの運用、いずれも、中国側が中間線を事実上受け入れてきた運用を変えようとしている可能性が高いことを裏付けるものとみられます。となれば日本としてはこれまでの中間線での自制をしている必要はありません。国際法上の解釈に従って日本から200海里までの権原の主張をし、資源探査についても中間線よりも中国側についてもその対象とし、その安全を守るためにとるべき措置をとることが必須になってきます。

 この点においてこれからしばらくの中国人民解放軍の行動を注視する必要がありますが、まずは当該海域の実効的な制空権制海権を維持する活動を日米できちんと継続すること、そして国際社会に対して日本の主張の正当性を明らかにするために、中間線よりも日本側でのガス田の試掘を開始することが第一のステップになろうかと思われます。

 リスクも伴う判断ですが後世あれが転換点だったと指摘されるタイミングである可能性もあります。政治があらゆる能力を結集して適正な措置を進める決断を下す必要があります。


suzuki_keisuke at 13:33トラックバック(0) 

2014年05月17日

集団的自衛権について

 集団的自衛権に関し、一昨日、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」からの提言がなされ、それを受ける形で総理が記者会見で行使容認に向けての取り組みを進めることを表明しました。

 私のこの問題へのスタンスについては、度々表明もしているところですが、改めてここに書かせていただきたいと思います。

 まず我々が考えねばならないのは、我が国を取り巻く安全保障環境の急激な変化です。その一つは中国の急速な軍拡による軍事バランスの変化、そして北朝鮮の体制の不安定化が進んでいる点、そしてもう一つは、アメリカの変化です。アメリカの変化とは具体的に何か。それは最近のアメリカの財政状況の悪化、シリア、クリミアで顕著になったアメリカ国内の孤立主義的なムード、その結果としての日米同盟の「ゆらぎ」です。

 確かにアメリカの安保戦略の中で東アジアへのリバランスが言われ、アメリカの安保政策の中でのアジアへのコミットメントは強化されつつあります。しかし、アメリカの政策の中で安保政策がかつてほどの「聖域」では無くなってきていることには注意が必要です。それはすなわち、日米同盟がアメリカ国内世論に対して非常に脆弱になってきている、ということを意味します。

 そのような中、例えば米艦防護などのように、アメリカが日本を護るための活動を行っているにもかかわらず日本がアメリカ軍を見殺しにするような事態がひとたび起これば、まさにそれは日本の安全を守る大前提、基盤ともなっている日米同盟そのものが一瞬にして消滅してしまうことを意味します。そしてそれは即ち日本の安全が守られないということと同義です。

 この様な事態を、我々は全力で防がねばなりません。

 アメリカを守りそれゆえ戦争に巻き込まれる可能性が増えるという議論が反対論の中心だと思いますが、今回の集団的自衛権の議論は、実は「アメリカを守る」というものではなく「日米同盟を守る」ための議論だということが重要な点です。

 その意味で、今の環境の変化を踏まえれば、私は今回の「限定的」な集団的自衛権の行使容認は、我が国の安全、国民の命を守るために必要だと考えています。


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2014年05月12日

中国出張の所感

 先週自民党の議員団で中国に出張し、多くの要人との会談の機会がありました。その時の所感を何点かここに書かせていただきます。

 まず、やはり中国は共産党の一党独裁の国であって、個人個人の意見の表明は無いという点。さらには、相互監視社会にあって最高権力者以外は監視対象になっているわけで、「日本側にどれだけ厳しいことを言ったか」という競争のような状況となっている点が非常に印象に残りました。

 そしておそらく中国側は最も効果をあげられるように、組織だって様々な面会を一連の流れで行っていると思われる点も重要です。今回の訪中においては、最初に面会したのが唐家セン元国務委員。次に中国共産党中央対外連絡部の幹部、外交部の幹部、全人代の委員、最後に共産党NO4と言われ兪正声氏の順番でした。私の印象では最後の一番序列が高い幹部の発言が最も心に響くように、それまでの面会者で日本に対しての批判を徹底的に行っておいて、日本側の期待値を下げておき、最後の序列の最も高い幹部の発言が(日本に対してかなり厳しい発言であるにもかかわらず)穏当なものでまともなものだと日本側が思うように仕向けるというストーリーが組まれていたような印象を受けました。

 基本的に彼らのメッセージは、靖国神社等の歴史認識、尖閣諸島の二点における日本の行動が原因で日中関係はうまくいっていないわけで、日本側が改めなければならない。そして最近の安倍総理の海外での中国牽制の言動もけしからん、というものです。その基本のラインがあって、最近では、悪いのは安倍総理・安倍内閣だけで、日本全体が悪いわけではないという点、そして日本のビジネスは中国にとっても大事なので関係を重要視しているのだという二点が話に加わってきているという状況だと思われます。

 つまり、まず安倍総理を孤立化させて日本側を分断させようという意図があり、また経済的に状況が厳しくなってきているので、日本企業が出て行ってしまうのは実は中国側にもマイナスなのだという現実に気づき始めその面では若干不安に思っている、といった彼らの意図がここで読み取れるのかと思われます。

 と色々と書いてきましたが、我々としては、日中関係の改善はもちろん重要ですが、日本が焦って譲歩する必要は全くなく、焦ったほうが負けという国際交渉の現実を直視して、日中関係の改善を中国側が求めてくるまではこちらから一歩を踏み出すことはしないという点を確認する必要があると思われます。特に南シナ海でも中国が国際社会と衝突している今の状況下にあっては、日米豪と台湾、東南アジアの国、そして韓国との連携を重視することが大原則となろうかと思われます。

 また相手方が共産党の一党独裁国家であることを考えれば、各種のコミュニケーションができるパイプの構築は重要ですが、意思決定交渉の中で相手方の分断作戦に乗ってしまうような二元外交は断じてするべきではないと思われます。それは与党だけでなく、野党や財界も含めて中国を利するような行動はとるべきではないということでもあります。

 中国は非常に困難な国ですが、日本も引っ越すことはできません。永遠に隣国であるわけですから、ここに書かせていただいたような点を踏まえながら正面から中国問題に取り組んでいくことが我々日本の政治家には求められると改めて感じさせられた今回の訪中でした。

suzuki_keisuke at 17:55トラックバック(0) 

2014年05月04日

出張報告(ロンドン・カタール)

 今週、ロンドン(一日半)とドーハ(二日間)を訪れ、昨日帰国しました。グローバルな金融センター・ロンドンにおける投資家とのミーティングと日本へのLNGの第二位の輸出国であるカタール政府の要人との面会のための出張です。

 ここでは余り詳細には触れませんが、今後の政策に活かすべきポイントとしては、次のような点になろうかと感じました。

 まず、ロンドンについては昨年4月末以来一年ぶり、アメリカ東海岸にもこの一年で9月、1月と出張し、さらに東京での海外投資家とのミーティングも含めれば、この一年で海外機関投資家延べ50社以上とミーティングしてきておりますので、定点観測的なアウトプットも含めれば、日本への見方はこんな感じかと思われます。

 そもそもの大きな流れとして、昨年盛り上がった日本への期待感は、依然残ってはいるものの大きく低下しています。彼ら自身の損失というのもありますが、やはり一番大きいのは「三本目の矢」がなかなか見えてこないという点。確かに市場や経済に直接的に効果をもたらす「一本目の矢」「二本目の矢」に比べれば、間接的に構造改革を促す三本目の矢に関しては、市場の期待と政治の現実のかい離が時間軸の差となって存在しているのは事実です。

 この点の説明も時間をかけて行ってきました。しかし、コミュニケーションという点を除いても、構造改革の進捗が遅過ぎるのは確かで、永田町にいても自民党内の議論が政権のスピード感を相当減じているのは私自身も感じるところであり、我々も危機感を持って進めていかねばなりません。

 さらに彼らがフラストレーションを感じているのは、結局日本の企業も投資家も、リスクをとるマインドが極めて弱く、積極的な動きがないため、外国人投資家のみで日本の株価上昇を担っているような状況となっている点。確かにようやくインフレへ期待がデフレマインドに打ち勝ちつつある環境変化も見られつつありますので、企業活動や投資活動において適切なリスクを取れるようなマインドセットへの転換を後押しできる政策を打つ好機であるのも事実です。

 具体的なメニューについては、法人税減税、各分野における規制改革をはじめ明確となってもいますので、時間軸も明確にしながら6月の成長戦略・骨太の方針に向けての努力を進めていきたいと思います。またここには書きませんが、消費税の問題をはじめ多くのポイントについて状況説明をしディスカッションもしてきていますので、しっかり活かして、日本経済の回復・成長に向けて引き続き取り組みを進めていきます。

 そして、次にカタールでの印象。日本での原発事故以来、完全に足元を見られている印象を受けました。基本的に大臣クラスとの会談が多かったわけですが、表面的な親日というアピールとは裏腹に、彼らもLNGの輸出先が事実上日韓に絞られているにもかかわらず天然ガス(LNG)の売り手として非常に強気なスタンスで日本の足元を見ている印象を受けました。特に大きな売り先が日本の電力会社であって、彼らは総括原価方式の下で厳しい価格交渉を行わねばならない環境にない、その点も大きいのかもしれません。独占企業の悪弊が結果的に電力コストの上昇への無策をもたらしている現実を感じさせられました。

 少なくとも世界的に原子力発電は温暖化の急速な進行のもとではやむを得ないものとの認識が共有されている中で、日本だけが政治的にきわめて原油・天然ガス産出国に弱い立場に立たされ、それが世界一高い日本のLNG価格の支払いにもつながっています。ナイーブな議論が実質的には考えられない世界ですので、わが国も価格交渉力や温暖化の観点からもエネルギー戦略を考えていかねばならないと強く危機感を再認識した次第です。

 国会開会中の国会議員の海外への出張は国会の会議がない日の重要な会議であっても原則禁止(外務大臣ですらフレキシブルではない)され、また基本的に毎回自腹での出張ですので、数もどうしても限られてしまいますが、このグローバル競争の時代にあって、世界の中で日本がどうやって競争に伍していけるか、その観点から対外的な説明と状況把握は必要不可欠ですので、今後もしっかりと取り組んでいきたいと思います。

 

suzuki_keisuke at 11:04トラックバック(0) 
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