2014年11月

2014年11月21日

「改革を前に進められるか否か」、それが選挙の争点

 先ほど衆議院が解散されました。

 今回の解散の決断、消費税率の引き上げの一年半延期の判断が一つの理由と言われています。もちろん、日本の現在の財政状況、金利による利払い費の増大のリスク、さらには少子高齢化に伴い今後ますます社会保障関係費用が伸びることを考えれば、財政の健全化は避けて通ることが出来ない問題です。

 何の改革もしなければ20年後の消費税率が40%近くなるとも言われている中で、必要ない改革をきちんと進めて将来にわたって消費税率を20%以下に抑えるための戦略を示すことは我々政治家の責務です。

 その意味において、今回の判断は決して消費税率の引き上げを「するかしないか」ではなく、上げざるを得ないとして、どのタイミングで上げれば最も日本の財政状況の改善に資するのか、という極めて技術的な議論であったと私は考えています。当然単なる先送りといったポピュリズム的な無責任な議論ではありません。だからこそ、総理も明確に2017年4月に景気条項を入れずに引き上げをするということを表明されました。そして金利の動向を見る限りは、マーケットもその判断を容認しているようにも思われます。

 また、医療や年金、社会保障の各分野において、未だに必要性・優先順位の低いところに多額の予算が使われている状況もあります。必要な改革を社会保障分野においてもしっかりと進めていくことは、未来に責任を持つ政治家の責務でもあります。

 では今回の選挙で一体何が問われるか。今の経済状況やその関係の政策を考えれば、それはまさにこの二年間の経済政策をそのまま進めるべきなのか否かという点に尽きるのだろうと思われます。あるいは、自民党内の抵抗で骨抜きになることが多かった様々な改革について、それをさらに加速させるべきか否かという点もまた大きな争点です。

 安倍政権のこれまでの政策は、端的に言えば、大胆な金融緩和で市中に資金供給し、同時にデフレの状況下で動きが止まってしまっていたヒト・モノ・カネの動きの最初の一押しをするために財政政策からの刺激をし、そうやって景気が浮揚している時間に、我が国のポテンシャルを最大限発揮できるような環境づくりを断行する。すなわちそれは、医療や農業分野の規制改革であり、TPPであり、法人税減税を中心とする減税パッケージであり、まさに、従来の政府や政治が口出しをやたらとする旧い「大きな政府」的なモデルから、企業や個人、まさに民間の活力が主導する経済政策への大転換を図り、額に汗して頑張る人が真に報われる「やればできる」日本を再び構築する構造改革であったのだと思います。

 残念ながら、自民党の中でも、既得権を持つ業界団体の圧力により様々その足を引っ張るような動きも見られ、いくつか形が変わってしまったものもありましたが、基本的には高い政権支持率に支えられ、根幹となる改革については、TPP、法人税、農協改革、医療改革とそれなりの答えを出しつつあるというのが今の率直な状況だと思います。

 まさに今回の選挙は、この様な政治モデルの大転換、構造改革を断行し、旧態依然とした業界政治、利益誘導型の政治には戻らせない、という点を明確にし、これまで安倍政権が進めてきた改革の方向性を堅持してさらに前に推し進めるべきかどうか、という点が争点になろうかと思います。

 まだまだ景気回復、経済成長の流れが全国津々浦々にまで行き届いている状況ではなく、肌感覚としての景気はまだまだ厳しいものがある中ではありますが、だからこそ、ようやく一部ではありますが回復の兆しが見えてきた今、これまでの流れを止めてしまうわけにはいきません。

 選挙を通じて多くの有権者の皆さんに改革の必要性をお訴えをし、さらに様々なところでご意見をいただきながら、よりよい改革をしっかりと前に進めることが出来るような政治状況を創るべく、全力で頑張ってまいります。

suzuki_keisuke at 14:27トラックバック(0) 

2014年11月17日

第3四半期のGDP一次速報をうけて

 吹き始めた「解散風」が、総理の発言が何もないままに暴風になったようなここ一週間の国会情勢でした。国会対策副委員長として私が担当していた内閣委員会においては、今国会かなりタイトな日程であったこともあり、もし解散ということになれば、女性活躍推進法案を始めいくつかの法案が成立することなく廃案となってしまう可能性もあり、今日もその法案の関係業務で日中は国会で会議や打ち合わせに追われていました。いずれにしても、解散が正式に決まるまでは、一国会議員としての責務に従って行動したいと思います。

 さて、今朝の第3四半期のGDPの速報値、正直在庫のマイナスなどがあるとはいえ、想像を超える弱さでした。
 
 私は元々来年10月の税率引き上げについての判断を下すのに第3四半期、すなわち1年前の7月から9月の指標では若干早すぎる。1年後の景気の状況を予測することなど不可能に近いし、特に今年の4月の消費税率の引き上げの反動で大きく落ち込んだ第2四半期の直後の指標だけで、今回の落ち込みが一時的なものなのか、景気の循環そのものが弱まっているのかの判断はつけられないと考えていました。こうした点を首相官邸を始めいろいろなところに訴えてきたのですが、様々予算関連の圧力もあり、判断はこのタイミングでするという判断を夏頃に総理がされたところです。

 となったところで、最近鉱工業生産の回復などを見ている中で、さすがにマイナスという数値までは予想しておらず、正直やはり今のタイミングでの判断は極めて難しい、というのが偽らざる感覚です。

 経済指標をいろいろ見ていますが、いくつかのところでは回復基調も顕著になってきているのも事実です。もちろん、今の日本の経済状況、あるいは消費者、企業の行動性向を考えれば、引き上げをすれば当面個人消費等を中心に景気の押し下げ要因となることは避けられないわけで、その一方で、今の財政状況を考えれば、いつまでも先に延ばせるものでないこともまた事実です。

 いつ引き上げをするのが短期・中期・長期で最も正しい判断なのか、冷静にその判断を総理には下していただきたいと思いますし、他の国では消費税の増税のたびに駆け込みとその反動といったことが起こっていない例もそれなりにありますので、その対策も含めて講じていかなければならないと考える次第です。今後、選挙となる可能性もあるわけですが、少なくとも日本の「これから」にとって最善の選択を日本の政治が下せるよう、一政治家として政治の場できちんと貢献してまいりたいと思います。

suzuki_keisuke at 16:44トラックバック(0) 

2014年11月06日

アメリカの中間選挙を受けて

 昨日、アメリカの中間選挙の結果が出ました。共和党が上下両院の多数派となったということ、そしてオバマ大統領との関係で言えば「ねじれ」状態となった、ということは日本に取って何を意味するのか、慎重に分析する必要があります。

 日米は特に安全保障面においては、中国という地域の脅威、かつ国際的なルールへの挑戦を続ける軍事大国と、太平洋あるいは東シナ海を挟んで対面しているという地政学的な環境の中で、政党による若干の違いはあっても原則的には極めて緊密な協調が出来ているところです。

 今後、オーストラリアも含め、西太平洋、アジアの地域の安定の為に共通の利益を数多く有する環境には大きな違いは無く、また共和党も一時期隆盛を誇ったティーパーティー系の候補が多数を占めるわけではないので、安全保障面においてはそれほど大きな違いは無いだろうと思われます。相互にさらなる緊密化を進めていくことが重要です。

 むしろ、今後を考える中では、経済面、より具体的に言えばTPPのような貿易・通商の面と、金融規制についての行方が注目されるところではないかと思われます。

 もちろん、民主党の大統領のもとで上院下院ともに共和党という状況であっても、現実的にはその大統領や院内総務の相性や性格によっていろいろなパターンは存在するわけで、日本としては、先入観をもつことなく、うまく交渉するということに尽きるのではないかと思われます。

 次の大統領選挙が近づいてくれば、当然党派の理屈が優先されレームダック状態になることは予測できることですので、懸案についてはなるべくその前に処理しておくことが重要でしょうし、また、金融規制や財政については世界経済への影響も大きいところでもあるので、イギリスなど立ち位置の近い国とともにアメリカに対しても様々な形でメッセージを国際社会として伝えていくことも重要ではないかと思われます。

 いずれにしても、アメリカの国内の政治バランスが変わったことは事実であり、精緻な分析が喫緊の課題です。

suzuki_keisuke at 18:39トラックバック(0) 

2014年11月04日

社会保障の本質的な改革が求められる時代

 国会は会期末まで4週間となりましたが、永田町としては年末に向けて、予算や税制の議論の季節がだんだんと盛り上がってきています。

 大きく注目される消費税の論議、あるいは法人税改革の議論といった税制面の論議が注目される今年の年末ですが、それはあくまで、経済成長と財政の健全化を目的とした方法論を巡る議論です。税に関して言えば、税負担を「出来る限り」低く抑え、また成長を阻害せず、フェアな制度でなくてはならぬというのはその大原則です。

 その上で、まず我々が共通の認識としてもっておかねばならないことは、財政の立て直しは避けてとおることが出来ない課題であるということ、そして財政再建に当たっては、歳出、歳入両面での改革が不可欠であるということに他なりません。常に選挙を意識せざるを得ない政治家は、予算を拡大し、税金を安くするという、両立し得ないことを口にしがちであるというのは、ある意味事実でもありますが、政治家は同時に将来に責任を負っており、どんなに厳しくとも、歯を食いしばってその責務を果たさねばなりません。

 そして、歳出面の改革を考えるのであれば、やはり年間一兆円近いペースで急増している社会保障の歳出の改革は避けて通れない課題です。もちろん、無駄といっても良いような支出や非効率な支出を無くすということも極めて重要、かつすぐに実行せねばならないことですが、構造的な見直しも同時に行っていかねばなりません。

 国民生活を考えれば、何よりも重要なことは、自助をベースとしながらも、どうしても必要な部分についての「公助」とそれを補う「共助」を組み合わせ、をし、その負担を国民の間に「公平に」求めることで、持続可能な状況を維持すること、に他なりません。

 構造的な見直しとは何を意味するのか。

 それは例えば、医療について言えばこの様な話です。今後医療が高度化していく中で、全ての疾患の全ての治療法を、公的保険制度の対象とすることは事実上不可能になっていきます。その中でどこかで線引きをせねばなりません。非常に厳しい作業ですが、「みんなで負担をする」公的保険制度においてはいつかやらねばならない判断でもあります。

 あるいは年金。元々は「何歳まで生きるか判らない中で現役時代にどのくらいの蓄えが必要か判らない」というリスクをヘッジする為の保険であって、それ故に平均年齢より長生きした場合に支給される性質だったはずのものが、いつの間にか、給与か年金が毎月振り込まれるという所得保障の色合いが強い制度に変質してしまった点に、今の年金制度の根本的な問題があります。個々の本質を踏まえた改革をしない限り、構造的な問題の解決は出来ません。

 構造問題を先送りをすると、その分制度の持続可能性は下がり、その維持をする為のコストが上昇します。政治家が、覚悟をもって改革をせねばならない問題、取り組まねばならない問題はこれに限りませんが、少なくとも、今後数年のスパンで見れば、優先順位の極めて高いものであることに疑いの余地はありません。

 この様な問題意識を持ちながら、なるべく現実的なマイナスが少ない制度となるよういろいろなご意見をいただきながら取り組んでまいります。

suzuki_keisuke at 17:56トラックバック(0) 
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