2015年08月

2015年08月15日

70年目の8月15日に思う

 今年も8月15日、特別な日がやってきました。

 70年前のこの日、終わった戦争。ソ連軍の侵略等の犠牲となった方々もおられたことを考えれば、この日以降も含め、多くの方々がこの戦争において命を落とされました。

 今の我々が、日本があるのは、こうした先人の方々の尊い犠牲の上にある、そのことは疑いようのない事実です。心から哀悼の誠をささげるとともに感謝の気持ちを捧げたいと思います。遠く離れた異国の地で、斃れた多くの先人の思いを受け、日本の平和と繁栄をより確固たるものとする責務が我々にはあるのだと、改めて決意を新たにした次第です。

 そのためにも、この70年間先輩方が築き上げてきた日本の経済力、そしてその絶対条件でもあった平和という礎。こうしたものをより強固なものとするべく最大限の努力をしていかねばなりません。戦後70年間の日本の歩みを考えたとき、自由・民主・人権・法の支配といった価値を共有している多くの国や人々と手を携えて、世界の平和や安定に貢献していくことも重要です。

 経済の繁栄は、今日の次が明日、明日の次には明後日がやってくる、そんな平和な日常があって初めて成り立つものだからです。

 そしてこの70年間、一度も日本は戦争に巻き込まれることはなかった。ソ連、北朝鮮、中国といった軍事的脅威(ソ連は意思を明確にしていなかったので正確には潜在的脅威)に囲まれる環境の中で、それは奇跡的なことです。

 それは紛れもなく、その時々の政策判断の中で他国の攻撃の対象とされないような抑止力を持ってきた結果であって、ただ、非戦の思いを持っていたから攻撃されなかったということではありません。日米同盟が有効に機能し、その時代時代の環境に即した抑止力を日本が保持してきたからに他ならない。特に北朝鮮が日本に向けたミサイルに搭載できるといわれている核弾頭を保有し、中国が尖閣をはじめとする東シナ海で日本の権益を侵そうと軍備を拡張し挑発的な行動を実際に行っている今だからこそ、我々はこの現実を忘れるわけにはいきません。

 めまぐるしく変わるその時々の国際政治経済環境に、国のあり方をどう適応させていくことが出来るか。安全保障にしても経済にしても、あまりに硬直的であれば、そのツケは間違いなく我々自身が将来払わされることになります。

 常に時代の要請を敏感に感じ取り、必要な改革を断行していくことは、時として非常な困難を伴いますが、国の将来に責任を持つ政治家の最大の責務であることは論を待ちません。安全保障、経済あらゆる分野で、そのような正確な分析と洞察に根差した必要な変革を断行していくことが求められます。

 この日に改めて政治に携わる一人として感じたところです。全力で頑張ってまいります。

suzuki_keisuke at 21:33トラックバック(0) 

2015年08月10日

香川前財務事務次官の訃報に接して

 香川前財務事務次官が病死されました。

 退官後わずかひと月。危機的な財政状況にあるこの国にあって、在任中も病を押して任務を全うされたその鬼気迫る姿勢は、永田町・霞ヶ関で国事に携わる多くの者にあらためてその責任の重さを思い起こさせたのではないかと思います。心よりご冥福をお祈りいたします。

 同じ高校の大先輩ということもあり、入省以来いろいろなことを教えていただきました。一月半ほど前に大蔵省関係者の高校の同窓が集う会にて会話を交わさせていただいたのが最後となってしまいました。

 集団的自衛権の問題同様、財政も日本の将来を考えれば、誰かが必ず取り組まねばならない問題です。

 もちろん、消費税率の引き上げのような国民負担を増す政策、社会保障改革のような痛みを伴う政策はやらないで済むのであればそれに越したことはありません。必要なサービスを提供しながら将来にわたって国民の負担を最小限に抑える、それこそが政治や行政の大きな使命だからです。

 しかし、いくら無駄な歳出をカットし、優先度の低い政策を取りやめたとしても、あるいは、今ですら様々な既得権がらみの抵抗で遅々として進んでいない社会保障改革が仮に進んだとしても、今後の高齢化や金利上昇リスクを考えれば、消費税の引き上げを全く行わずにおくことはどこをどうやっても不可能です。

 むしろ金利リスクを考えれば、消費税率の引き上げを先送りすればするほど、20年後の我々の税負担はどんどんと重くなっていくことは火を見るより明らかです。消費税の議論は上げるか上げないかではなく、いつ上げれば最も経済へのマイナスが少ないか、という議論であって、永遠に上げなくていいという議論は無責任な先送りにすぎない。

 ましてや、今ですら赤字構造の我が国で、税負担は増やさず公的サービスを維持する、あるいは公的福祉を向上するというのは、不可能であって、そのような主張はただの欺瞞にすぎません。

 高齢化に伴う自然増という言葉で、必要な改革が先送りにされてしまっている社会保障についても、改革が遅れれば遅れるほど、将来の改革はより急激なものになってしまいます。いつまでも今のままでは出来ないという「現実」を見据えた議論を進めねばなりません。

 多くの有権者の方はそのことを直感的に理解している、だからこそ、財政再建についての正論を訴え真実を語る政治家も多くの得票をいただき当選することができています。しかし、選挙において、「税金を上げない、サービスは増やす」という不可能な主張が一部の有権者に受けるのは事実ですし、その目の前の誘惑に多くの政治家が負けてしまっているのも残念ながら現実です。

 だからこそ、使命感を持った香川さんのような官僚が、与野党問わずに存在するポピュリズムに負けず、現実に裏打ちされたビジョン・政策の選択肢を、総理をはじめとした使命感を持った政治家に提示し、トップリーダーの決断と意志の下でそれを推し進めるアシストをする。危機的状況にある日本だからこそ求められるのではないでしょうか。

 内政においては、将来にわたって一人ひとりの負担を最小限にし、活力ある社会を創る、それが至上命題です。そのために政治家として真摯に真実を語り、必要な改革を断行する。国政に携わるものにとっては、まさに全身全霊で取り組まねばならない責務です。そのことを官僚の立場から身を以て示された香川前次官の訃報に接し、私自身、まだまだ未熟ではありますが、思いを引き継ぎ、覚悟を新たにし、全力で努力してまいりたいと思います。

 最後に改めてご冥福をお祈りいたします。安らかにおやすみください。

suzuki_keisuke at 18:32トラックバック(0) 

2015年08月05日

アメリカでも温室効果ガス排出規制

 東京で史上はじめて35度を超える猛暑日が6日連続で観測されるなど、温暖化・気候変動の影響が肌でも感じられるようになってきています。以前著書でも触れましたが、日本においても各地で平均気温の上昇がこの数十年で確実に起こっている、このことは現実として我々は認識せねばなりません。
 
 そんな中、オバマ大統領による米国における温室効果ガス排出規制が注目されています。石炭発電所についての規制を従来よりも強化した内容で、石炭を生産する州や一部の企業、共和党などから反対の声が上がっています。その一方で欧米のメディアを中心に野心的な試みと評価する声もあるようです。

 少なくとも、中国に次いで温室効果ガスの排出源の6分の1近くを占めるアメリカのトップが、削減に本気のコミットメントをしているということは歓迎し評価すべきことであろうと思われます。

 今年末のCOP21においてどのような将来枠組みの合意が出来るかは、地球全体の将来を考えたとき、極めて重要です。そして、これまでは、ライフスタイルの違いなどからあまり前向きでなかったアメリカと、常に途上国の権利ばかりを主張し、大国としての義務を果たす気がない中国、主にはこの二カ国の動きによって結果が出てこなかったのが、気候変動・温暖化対策の流れでした。

 そのアメリカがシェール革命による天然ガスのコスト低下という背景があるにせよ、温室効果ガスの削減に本気になっていることは極めて大きいことです。

 一方で、日本は、東日本大震災以降の原発の稼働停止とその後の石炭発電への偏重により、主要先進国の中で電力セクター単位当たりのCO2排出量が最悪の水準に転落してしまっています。福島の事故直後は理解を示していた諸外国も、4年以上が経過する中で、もはや原発の稼働が出来ていない状況を日本が温暖化対策の遅れの言い訳にすることを許さなくなってきています。

 そもそも、原発の安全性、温暖化のリスクのトレードオフという中で各国ギリギリのリスク判断をしている一方で、日本では「石炭は安いから一番いい」といった中国ですら表立っては言わないような議論が時としてされている状況です。

  原発からもCO2からも目をそらして石炭に逃げるということはあってはならない選択です。石炭にしても先日視察をさせていただきましたが苫小牧で海底に二酸化炭素を貯留するCCSの実証実験も行われるなど、ある程度コストをかければ可能な対策も存在しているにもかかわらず、その議論すらあまり行われていない現状もあります。

 そしてなぜかベースロード電源に入らなかった天然ガスについても、本来であれば、シベリアからのパイプラインと国内のパイプライン網の建設を行いLNGも含めたコスト削減につなげる長期戦略なども、議論されていねばなりません。もっと短期的にも仮想のハブを作るという議論もありました。これらも「とりあえず石炭」という雰囲気の中で議論が止まってしまっています。

 グローバルな議論から考えれば、日本の電力源は超長期的には蓄電等の電力マネージメントを技術革新により確立することにより風力や地熱などを中心とした再生可能エネルギー主体に移行すべきでしょうし、それまでは過渡的に第三世代の進化型をはじめとした安全性の高い原子力、そして化石燃料の中ではまだマシな天然ガスで補う、という方向性であるべきものが、短期的な視野で物を考えるあまり、原子力と石炭、水力がベースロードという妙な話になってしまっています。

 アメリカですら温室効果ガスの排出規制で石炭を減らそうとしている時代に、日本だけがその増設に動いている。いくらなんでも国際的にもズレすぎた議論だと言わざるを得ません。

 微力ではありますが、年末のCOPに向け、様々な形で、日本としてもベストな方向性を打ち出せるよう頑張っていきたいと思います。

suzuki_keisuke at 18:27トラックバック(0) 
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