2016年02月

2016年02月21日

特例公債法

 衆議院での予算審議もすでに総審議時間もそれなりになり、先日の地方公聴会、今週水曜日の中央公聴会と、後半戦を進んでいる状況です。そんな中、来年度の税制や軽減税率、特例公債法の審議が財務金融委員会でスタートしました。

 この特例公債法とは、簡単に言うと、政府のお金の使い道を議論する予算の裏付け、それも最近では財政赤字の状態が続いていますから、税金の収入では足りない部分を補う国債の発行を定めるものです。いわば予算とは一体の歳入法案の一部がこの特例公債法です。

 しかし実はここに問題があって、これまでの日本における多くの国会の混乱のもとともなってきたのがこの特例公債法でもあります。というのは、歳出を定める予算については憲法で衆議院の優越が定められていますが、歳入を定める税法や特例公債法にはその定めがなく、衆議院参議院両院での可決が原則として必要となっているため、ねじれ国会においては、国会の審議が空転してしまう背景ともなってきたわけです。もちろん、日本が世界でも珍しく議院内閣制でかつ二院の力がほぼ同じという仕組みをとっていることもその大きな背景ではありますが、ここに指摘したように本来一体であるべき歳出歳入の法案において、歳出は衆議院が優越するにもかかわらず、歳入は優越しないという矛盾もその大きな理由です。

 さすがに、歳入が伴わない歳出というのは論理的にありえず、しかしながら憲法の規定によってその両方の取り扱いが異なるという状況により引き起こされる混乱はいわば不毛なものであることも事実です。決められない国会、決められない政治の象徴のようにして見られてきたところでもあります。

 その反省に立って、実は2012年に自民党、公明党、民主党の合意のもとで歳入についても複数年分を一括して成立させることで、このような議会の空転を防ごうという3年間の特例公債法が成立したところでありました。

 そこから3年が経った今年は、それを受け継ぐ形でプライマリーバランス黒字化の目標年である2020年度までの5年間の法案が提出されたところです。

 もちろん、特例公債はあくまで例外でありますから、それを時の政権に授権することは場合によっては財政規律を緩め、歯止めが利かなくなる可能性をはらみます。当然そのようなことがあってはならないわけであって、今回の5年間の特例公債法も、政府が2020年度のプライマリーバランス黒字化目標に明確にコミットしかつキチンと責任を持って達成することがその条件であるべきなのは言うまでもありません。

 歳出の見直し、歳入においても経済成長を阻害しない税体系への転換を行い適切な債務管理をする等々、政府与党は現在の厳しい財政状況の中で重い責任を負います。

 こうした点を明確にし、かつ国民に分かりやすい形でしっかりと説明して納得をいただくということが極めて重要です。そうした意味で、これから3月末までの参議院も含めた予算・財政の議論、極めて重要なものです。衆議院予算委員会理事の一人として、内容の濃い意義のある国会論戦を行い、しかるべき時期にしかるべき結論を得られるよう努力していきたいと思います。

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2016年02月09日

不透明な経済情勢と予算案審議。そして石炭発電問題

 衆議院における予算審議も二週目に入り様々な観点からの審議が続いています。そんな中、今日は衆議院の本会議でいわゆる特例公債法の趣旨説明が行われました。経済成長と財政再建、どのように好循環を作っていけるか、きちんとした議論をして、しっかりとした政策を進めていきたいと思います。

 そんな中、今日は長期金利が史上初めてマイナスとなり、また株価も大きく値を下げるなど、金融マーケットの混乱が続いています。日銀の金融政策であったり、欧米の信用不安など様々な材料があるなかで、先行きの不透明感も増しています。信用収縮のような事態となることがないよう、適切な対応を先進国が協調しながら進めていく必要があります。

 こうした環境の中での予算や税制の審議が今後行われていくわけで、我々は現在の状況を様々な観点から検証し、必要な施策を進めていかねばなりません。同時にいろいろな意味で政策面・政治面の不安定要因を取り除いていくことも、日本経済のリスクを最小化していくためには必要です。この点において、まさに今政治が役割を果たすことが求められています。私も、今年はその最前線ともなる予算委員会の与党の理事を務めさせていただいていますので、しっかりと責任を果たしていきたいと思います。

 外的ショックへの対応もさることながら、長期的にはいつまでも財政や金融政策頼みの経済運営を続けていていいはずはなく、自律的な民間主導の好循環がヒト・モノ・カネの各分野でしっかりと回るような環境づくりが求められます。マクロ・ミクロ両面での構造改革が必要です。

 そして同時に北朝鮮のミサイル実験、核実験をはじめとして、またアジア・太平洋地域で政治環境が変化する国が多い状況もあって、外交・安全保障においても適切な対応が求められます。各国の緊密なコミュニケーションと連携が地政学的な不安定要素を最小化するためには不可欠です。こうした点についても与党の一員として責任を果たしていきたいと思います。

 ところで、今日はもう一つ気になるニュースがありました。全く違う話ですが、書かせていただきたいと思います。それは、石炭火力容認を環境省が表明したというものです。このブログでもいろいろと書かせてきていただきましたが、これは明らかに世界の潮流からも逆行した誤った判断と言わざるを得ない。ひとたび建設を許可すれば、その発電施設は民間企業の採算を考えれば数十年は確実に使われ続けることになります。引き続き都度都度チェックをしていくなど適当なことを言って軽々に下すべき決断ではありません。

 そもそも、コスト、地球環境への負荷、原子力のリスク、エネルギー安全保障等の要因の最適解を見つけなければならないのがエネルギーミックスの議論ですが、石炭にあまりにものめりこみすぎている最近の日本の議論は全く不適当と言わざるを得ない。確かに洋上風力を中心とした再生可能エネルギーが主力となるには蓄電の技術革新が不可欠で、いましばらく時間がかかる。しかし、その間の中期的な主要な発電源として考えられるべきは、安全性を確保した原子力であり、天然ガスによる火力発電です。単位当たりのCO2排出量が天然ガスと比べて1.5倍前後の石炭であっていいはずがない。

 CCSの設備設置を義務化することもなく、炭素税や石油石炭税の必要な改革を明示することもなく、負担の議論だけ先送りして当面の建設の容認をするのは責任ある政府の態度として疑問が残ると言わざるを得ません。

suzuki_keisuke at 18:21トラックバック(0) 
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