2016年03月

2016年03月17日

いま必要なのは「三本目の矢」の議論

 最近の経済政策に関する議論について、若干感じるところがあり、書かせていただきます。

 予算委員会の議論においても、あるいはメディアや党内の議論においても、いわゆるアベノミクス三本の矢について、一番重要な三本目の矢、つまり企業や個人といった各プレーヤーの稼ぐ力、リスクテイクできる環境とその後押しをするための改革という部分に焦点が当たらず、ある意味でそのような構造的な改革をするための時間稼ぎとしての位置づけだった、一本目と二本目、つまり金融緩和と財政政策にばかり焦点が当たっている、そんな気がしてなりません。

 確かに外国人投資家など、日本市場への投資を行っている機関投資家にとって、一番注目する材料が即効性の高い金融政策というのは理解できますし、ある意味当然の反応だと思います。そして、デフレ脱却局面での最初の一押し、呼び水としての需要創出、あるいは法人税減税などの財政政策に当初注目が集まったのもまた当然といえば当然です。

 しかし、アベノミクスのもともとのコンセプトどおり、真にいま必要とされているのは日本の社会構造、企業の機動性を高める改革であり、それは同時に日本の国内の様々な資源や外の資源の国内への呼び込みと相まって、長期的かつ自律的な経済成長に不可欠の政策だったはずです。これこそが安倍政権の経済政策の本丸中の本丸です。

 実際この三年間、労働分野と社会保障分野を除けば、様々な分野での規制改革はそれなりに進み、またコーポレートガバナンス改革や株の持ち合い解消という、企業の収益性を短期的にも長期的にも高める政策も実行に移されてきました。様々な戦略的な減税も実行に移されてきました。

 人口減少に対応するための施策として、マーケットの縮小という側面に対してはTPPへの参加により外のマーケットを日本の市場と同様にチャンスとできる環境を整え、労働力の減少という問題については、女性の就業の支援も従前以上に精力的に行ってきました。

 とはいえ、もちろんまだまだ足りないところもあります。抜けているところもあると思います。だからこそ、こうした点についてのしっかりとした建設的な具体的な議論をこそ、政治家もメディアもせねばなりません。

 実は、世界の標準から考えれば、すでにそれぞれの企業がそれなりのリスクをとれる、積極的な成長戦略に打って出ることができる環境整備は多くの産業においてなされてきたといえる状況でもあります。

 にもかかわらず、このような環境変化が民間セクターのリスクテイクにつながっていないということが根源的な問題の一つです。マイナス金利という環境に対する反応を見てもこの点は明らかだろうと思います。

 本来議論すべきは、なぜこのような事態となってしまっているのか。何が足りないのか、政府は何ができるのか、あるいは何をやってはいけないのか。三本目の矢についての議論でなければなりません。

 金融・財政にはやはり限界がありますし、これは決して打ち出の小づちではありません。いつまでも一本目の矢や二本目の矢に頼るわけにはいかないのです。

 ともすると金融政策、財政政策の評価に終始し、真に必要な構造改革という痛みを伴う政策についての議論をせずにいることは、日本経済の真の成長にとって決していいことではありません。

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2016年03月11日

5年目の3月11日にあたって

 あの東日本大震災から5年の歳月が過ぎました。犠牲となられた多くの方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、いまだに被災の痛手を負っている多くの方々にもお見舞い申し上げたいと思います。失われた尊い命、依然として避難生活を余儀なくされている多くの被災者の方々、被災地の復旧・復興は政治の最優先課題であり続けなければなりません。

 そして、日本は地理的に、地震、火山、津波の脅威に常にさらされる国でもあります。こうした自然災害は避けることはできません。可能なことはどのようにして被害を最小化できるかということに尽きます。政府・政治が果たさねばならない役割はまさにそこにあるわけです。

 被災地の復旧・復興に加えて、日本全国でどのようにして将来の自然災害の被害を最小化できるか。もちろん、日々の暮らし、経済活動もありますから、そこへの影響を最小限にしつつ、地震や火山の噴火、津波への対応をハード・ソフトの両面からしておかねばなりません。

 日本は多くの外国に比べれば、こうした自然災害への備え、対応はかなり高いレベルにあると私自身多くの国々を見る中で感じてはいます。しかし、それでもまだ犠牲が出て、甚大な被害が出ているのもまた現実です。ゼロを目指すことは当然ですが、実際にゼロにすることは極めて難しい。だからこそ、最小化する現実的なプロセスが極めて重要になります。

 まずは5年を経た今、東日本大震災について、政府の初動、それまでのハードソフト両面の対応も含め検証をしていかねばなりません。単なる批判ではなく、その後の風評など間接的な被害も含め、避けることができたものを避けられなかった理由・背景等についても分析し、その過ちを繰り返さないようにすることが必要です。すでにその時の反省が生かされ被害の軽減に寄与しているとはいえ、阪神淡路などほかの震災についてももう一度再検証することも必要かもしれません。

 そして、震災直後、あるいは少したってから行われた様々な対策、こうしたものについても、時間が5年経過した今日の視点から、必要性をもう一度厳格に検証し、ブラッシュアップしていくことも必要です。

 さらに、被災地にあっても5年が経ち、必要とされている支援の中身も大きく変わってきてもいます。また直後の復旧に加え、地域経済としてどのように産業、雇用を柱とした自律的な成長軌道をつくっていくことができるかという視点もますます大事になってきています。今年度で集中復興期間が終了し、来年度からは復興・創生期間となりますが、現地の声をしっかりと聞き、意義のある対応をしっかりと進めていかねばなりません。

 このような検証を真摯に行うことが、命を落とされた方々の思いに少しでも報いることとなるのではないでしょうか。しっかりと取り組んでまいります。

suzuki_keisuke at 16:32トラックバック(0) 

2016年03月01日

南シナ海に垣間見える中国の実態

 南シナ海に中国がレーダー施設を設置し、防空識別圏の設定をする可能性が高いとの報道があります。東シナ海での挑発的な行動、北朝鮮への事実上の庇護と同様、南シナ海における中国の動向も極めて深刻な問題です。国際社会は中国の実態を早く認識し、ナチスドイツの台頭のような過ちを繰り返さないようにせねばなりません。

 中国は従前から、「中国は平和国家であり現状を力で変更するようなことはしたことがない」と繰り返してきています。もちろん、東シナ海や南シナ海での行動、チベットや新疆、台湾での行動を目の当りにすれば、そんな中国共産党のリーダーたちの言動は全くの嘘で、国際社会を騙すための虚偽の宣伝に過ぎないということは一目瞭然なのですが、国際社会では地理的に遠く、中国のそうした脅威に直面していない国も多いわけで、中国のバラマキ外交の効果と相まって、中国脅威論が中和されてしまっているのも事実です。

 特にアメリカの力が相対的に低下し、財政問題や孤立主義的な傾向など、アメリカ国内における米国の国際的な積極関与への支持が弱まっていることもあり、アメリカの圧倒的な影響力のもとで秩序が保たれてきた1990年以降の東アジア情勢が徐々に変化しつつあります。

 誰がアメリカの次の大統領となろうとも、このトレンドに歯止めをかけることは長期的には困難です(もちろん短期的にはだれが大統領になるかで大きな違いが出てきますが・・)。

 であるからこそ、日本としては、この現実を認識し、アメリカのみならず、東南アジア諸国、オーストラリア、インド、台湾、韓国といった国々と連携しながら、中国の軍拡を抑制していかねばなりません。アメリカの力にある意味で甘え、アメリカの軍事力の下に東アジアの安定が維持され中国の覇権主義的な行動も抑止されるだろうという前提の下で、中国にもいい顔をしているような、そんな余裕は実はもうないのだということを、それぞれの国が認識する必要があります。

 今回の南シナ海での一連の動きにはASEANも懸念を表明しました。日豪、日英についても、日米を補完するような強い二国間協力を徐々に構築できるようになってきています。このような流れをさらに加速させていくことが必要です。

 中国の一連の動きは、アメリカのアジアにおけるプレゼンスを長期的に逓減させ、アジアにおける中国の圧倒的な外部に干渉されない覇権を確立することにあることは各種の行動から明らかです。

 中国の東シナ海、南シナ海での行動、アメリカの不透明な大統領選の行方、これをいい機会として、我が国としても、国際的な協調の中で域内各国が主体的に平和で安定した秩序構築のために必要な行動、アクションを考え実行していくことが求められます。


 

suzuki_keisuke at 07:57トラックバック(0) 
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