2016年05月

2016年05月28日

オバマ大統領の広島訪問〜日本にとっての死活的に重要な核軍縮戦略〜

 アメリカのオバマ大統領の広島訪問、そして演説、非常に大きな意義のあるものでした。一国民として素直に歓迎したいと思います。

 私は現在、核軍縮・不拡散議員連盟(PNND JAPAN)の事務局長を務めています。昨年の8月6日には私自身も原爆で犠牲となられた方々の慰霊と核軍縮関係会議への出席のため広島を訪れたところです。

 いま我が国の安全保障にとって核軍縮・不拡散は極めて重要です。北東アジアに位置する五か国のうち、3か国(ロシア、中国、北朝鮮)が核を保有しており、また世界的に核軍縮の流れの中で核弾頭の数を逓減させている状況下にあって、その流れに反して核弾頭の数を増加させているいくつかの危険な国のうちの二か国(中国・北朝鮮)があるのが我が国の位置する北東アジアの地政学的環境です。世界で増加している核弾頭の大半が我が国の近傍での出来事、これが国際政治の現実です。

 そして、北朝鮮にしても中国にしても、その核弾頭のターゲットは実質的にはアメリカと日本だと言われています。さらに、小型化の技術、運搬手段のミサイル技術の状況から、アメリカ全土を確実に射程に収め策源地攻撃のリスクからも逃れられるということは現時点では不可能ですから、そのうちでも確実に高いレベルで核攻撃が可能なターゲットは現在のところ日本だけという現実がそこにはあります。

 唯一の被爆国である日本が、現時点でも世界で最も核攻撃のリスクにさらされ脆弱性が高い。しかもそれに対抗する手段を自国だけでは有していないということは、我々が忘れるわけにはいかない事実です。

 日米同盟の堅持・深化はもちろんのこと、国際政治の中で核軍縮の流れをより強くしていくことが、日本国民の生命や暮らしを守るためには死活的に重要です。国連においても日本政府として積極的な働きかけをしているところでもありますが、今回オバマ大統領がアメリカという国のトップとして広島を訪問し、スピーチを行ったことはこの意味においても非常に重要です。

 「アメリカの核兵器だけがけしからん」といった従来の左派的な発想ではなく、現実的な国際政治のリアリストの観点から、この核軍縮の戦略を日本が主体的に働き掛けていくことが重要です。中国やロシアの中長期的な動向が不透明さを増しており、朝鮮半島についても核兵器が存在する中での現状の変更の可能性も否定できない状況になっています。

 与党の政治家として、責任ある外交・安全保障戦略を今後もしっかりと進めていきたいと思います。

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2016年05月22日

蔡英文・台湾新総統就任式典への出席

 20日に台北で行われた蔡英文新総統の就任式典に、自民党を代表し日本代表団の一員として出席しました。伝統的に自民党においては青年局が台湾との正式な窓口となっていて、私はその青年局長代理を務めていますので、国会開会中ではありましたが、小倉青年局国際部長とともに党務として出張しました。

 台湾においては李登輝総統時代に直接選挙による総統選が始まり、それ以降、民進党の陳水扁総統、国民党の馬英九総統、そして現在の民進党の蔡英文総統と3回目の政権交代がなされています。

 何といっても、民主主義のもとで平和裏に政権交代が行われているということは、社会の成熟でもあり、今回の総統就任式典においても、新旧の総統が揃って祝賀に駆け付けた市民の前に顔を出すなど、国全体として民主主義という価値を極めて重視していることが感じられたところです。それは、中国共産党が支配する大陸とのもっとも大きな違いの一つでもあります。

 そして就任スピーチの中でも強調されていたのが、自由や人権、民主主義といった価値を共有するアメリカ、日本、欧州と連携を深めていくということでした。TPPであったり、東シナ海、南シナ海をはじめとする西太平洋・東アジア地域の安全保障への関与であったり、台湾に期待される役割は極めて大きいといえます。

 アメリカの大統領選の今後の行方、中国の国内の情勢、北朝鮮情勢、フィリピンの動向、オーストラリアの選挙、イギリスのEU離脱問題など、国際政治の安定という観点からの懸念材料も散見される中で、日本と地理的にも隣接する台湾において価値と戦略的な方向性を共有する新政権が誕生したことは極めて重要です。

 日本としても、様々なレベル、分野での関係強化を従来にも増して進めていくことが重要です。

 余談になりますが、今回の訪台においては、新外交部長(外務大臣)や民進党幹事長、長期にわたり議会トップを務めた王金平立法院長、新たに駐日代表となる元行政院長(首相)の謝長廷氏をはじめとした台湾要人との会食、意見交換の機会もあり、また蔡英文新総統との会見も就任式直後にセットされるなど、台湾側の対日関係重視の姿勢がかなり色濃く感じられたところでもあります。

 価値と利益(interest)を共有する、そして何よりも両国の国民感情が極めて親密な日台の連益強化に向けて、私も次世代の政治家としてしっかりと努力してまいります。


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2016年05月09日

日豪関係強化に向けて(オーストラリア出張報告)

 先週、超党派の若手議員団の団長として豪州を訪問し、シドニー、メルボルン、キャンベラの各都市で各レベルの会談を行いました。

IMG_3872 TPP、資源問題、潜水艦を含む安全保障問題等、日豪関係が注目を集める中での訪問となり、ダブル選挙、解散の直前にもかかわらず、ビショップ外相、フライデンバーグ資源相、パリー上院議長、スミス下院議長をはじめとする13名の連邦上院・下院議員、メルボルン市長やビクトリア州議会の上院・下院議長、政府観光庁、連邦準備銀行、鉱物資源研究所他豪州の多くの要人と有意義な意見交換を行うことました。

IMG_4021 特に印象に残ったのは、オーストラリアにおける極めて高い親日ぶり。政治家はもちろん、ドライバーや州議会のドアマンに至るまで、日本への旅行に行ってきた、あるいはこれから行く、親類が住んでいるなど、訪日経験を持つ国民が極めて多く、また日本語が第二外国語となっているところもあるとのことで、アジアの中でも台湾に次いで親日国といえるレベルとなっていることは自分にとっても驚きでした。

 さて、せっかくの機会ですので、様々な会談での所感など、オープンにできる範囲でここに書かせていただきたいと思います。

IMG_4215 まず、経済面に関しては、オーストラリアにあっては、移民受け入れ等の効果もあり人口の増加が当面続くこと、物価が高いこと、トヨタをはじめとする製造業が人件費の高騰などにより概ね撤退する方向であること、等が特徴的です。従来から脆弱性が指摘されてきた資源への依存から、イノベーション指向、サービス業への転換が言われているものの、実際に転換が進んでいるとはまだいえない状況です。ただ、資源景気もあり景気拡大が続いており、消費性向は基本的には高く、特に物価に関しては、シドニー・メルボルン等においては家賃も東京都心の数倍となるなど、相当深刻な状況です。また、気候変動に伴う水不足などは今後顕在化してくる可能性が高く環境問題に関しても当事者たちは深刻にとらえているようでした。こうした中で、自国をSmall/Open Economyであるとし、自由貿易、航行の自由、外国人労働力の積極受け入れといった点においては党派を超えたコンセンサスがあるということに強い印象を受けました。

IMG_4193 次に外交安全保障面では、日本との関係の強化、アメリカとの同盟強化、経済的な中国への高い期待、南シナ海など安全保障面での中国への警戒感、が大きなポイントです。その文脈で、日本が憲法改正や武器輸出三原則の改正により国際社会においてより大きな役割を果たすことに関しては党派関係なく非常に歓迎するといったスタンスであり、特に法の支配や自由・民権などの基本的価値の共有という切り口は広く共有され、日本は事実上アジア地域における唯一のパートナーとの認識が強いと思われます。

 また安全保障の観点からは危機感のレベルの違いはあるものの、オーストラリアからの天然資源などの輸出品の大半が南シナ海を通過することからシーレーンの航行の自由の確保についての危機感は極めて強く、その観点から南シナ海のパトロールについては長年行ってきているとのことです。

 特にトランプ候補が共和党の指名を確実にする中で、アメリカの対外政策の今後が不透明になっており、アメリカを孤立主義や財政問題の中でいかにアジア、西太平洋地域につなぎ留め米国の軍事プレゼンスを維持できるか、日米豪が関係を共同演習など名実ともに深化させ、ASEANの国々やインドと関係を深めていくことが極めて重要との認識は与野党通じて共通しており今回の会談を通じて、理解を深めることができた点です。

IMG_4364 今回は、訪問時期が潜水艦決定の直後であったこともあり、特に言及されることも多かったのが潜水艦問題でした。与野党共通の認識として、潜水艦問題に関しては日豪関係や日米豪の戦略的パートナーシップの深化といった観点とは異なった政治判断、具体的には雇用や専門家で議論された潜水艦の仕様などの関係で政府の判断はやむを得ない。しかし日本が失望していることは十分理解するし、豪州から持ち掛けたものでもあるので大変申し訳なく思っている、というのが率直なところかと思います。日本にとっては残念な結果だったが、決して大局的な日豪関係に影響を与えてはならない、むしろこの一件で逆に今後の(オーストラリアの)行動が重要になるとの見解が大半でした。

 一点気づいた点があるとすれば、南シナ海や中国の動きへの懸念はシーレーンの観点から強く持っているものの、東シナ海の問題に関しては認識がほとんどされておらず、この点については外交当局の働きかけが重要だと思われます。

 最後にオーストラリアは基本的に二大政党の国であり、政治的には、訪問の時期が上院下院のダブル選挙の解散直前であったこともあり、与野党の対立点が顕在化する時期でした。しかし、中道左派の労働党ですら自由貿易に強くコミットしており、安全保障や自由貿易へのコミットメントについては与野党で大まかなコンセンサスが存在していることは非常に印象的でした。10年程度で交互に政権を二大政党が担ってきたいい意味での二大政党制の定着を象徴している点といえるかもしれません。

 いずれにしても、今回のオーストラリア出張で、日豪関係の強化に超党派の次世代の政治家で有力政治家と会談できたことは、多少なりとも長期的な日豪関係の強化に貢献できたのではないかと思いますし、与党の政治家として、今後しっかりと関係強化に努力していきたいと思います。


suzuki_keisuke at 16:48トラックバック(0) 
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