2017年01月

2017年01月30日

イスラム7か国の国民に関するトランプ大統領令

 トランプ大統領が、イスラム7か国の国民のアメリカへの入国を禁ずる大統領令を発出したというニュースが、世界で衝撃をもって受け止められています。テロリストの可能性があるものを一切入国させないためということのようです。

 もちろん、アメリカ人が選んだ大統領がアメリカの法令にのっとってアメリカ国内で行う行政行為ですから、自国民が影響を受けない限りは、我々が口を挟む筋のものではないとは思います。しかし、あまりに極端な方法で、かえって世界の断絶を強め、世界の安全をかえって脅かしてしまいかねない可能性もありますので、あえてここに私の受け止めを書かせていただきます。

 目的は理解できるものの、個人ではどうしようもない属性を理由に、何の罪もない普通の人の入国を拒否するという方法は、少なくとも自由な国がとるべき手法ではないというのが私の率直な感覚です。またこの方法では、テロリストの迫害を受けて国を脱出しようとする人を見殺しにすることにもなりかねません。

 世界の主要国の反応は概して否定的ですので、このような排他的な動きが世界に広まることはないと思われますが、万一にでもそのようなこととなれば、世界中が憎悪の連鎖ともなりかねません。

 9.11の後にも、様々な議論がありました。しかし、イスラム過激派テロリストと一般のイスラム教徒を明確に分けるべきで、イスラムというだけで差別するべきではない。これがブッシュ政権下のアメリカの中でも広く受け入れられていた考え方でした。

 そうでなければ、一般のイスラム教徒を追い込んだり反米感情をいたずらに煽って、テロリストが勢力を拡大する隙を与えることになってしまう。

 もちろん、結果として、それ以降のすべてのテロを抑制できたわけではありません。しかし、イスラム世界全部を敵視していたとしたら、もっと悲惨な世界となっていた可能性が高いのも事実だと思われます。

 今の生活や経済を考えれば、完全な閉鎖的な社会は現実的ではありません。現在のすべての社会の前提は、ヒト、モノ、カネの最適化であり、そのためにはそれぞれが流動化することが必要です。

 セキュリティ、安全のためにその一部を様々な技術により排除、隔離することは当然必要です。しかし、その流れのすべてをせき止めてしまうことはあまりに極端な議論と言わざるを得ません。我々は開放的な世界に生きることを前提にテロ対策を考えるべきなのではないでしょうか。

 特に、島国である日本にあっては、社会、経済、国家をオープンにすることができるか否かが、長期的な国益、国力を左右します。そして当然、国際社会もオープンでなければ得べかりし利益を享受できません。

 今後トランプ大統領がどのような方向に行くのかを見極めながら、G7などの場において、他の自由な国々と連携し、自由でオープンな世界を守っていく役割が日本には求められるのではないでしょうか。

suzuki_keisuke at 18:21トラックバック(0) 

2017年01月27日

危機的な状況になりつつある日本の財政

 先日、内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」が公表されました。高い成長を織り込んだ経済再生ケースでも、2020年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化は難しいという試算となっています。これは大きな衝撃をもって受け止められ、様々な報道もされたところです。

 そもそも、この試算自体がバブル期の過去最高の税収(60.1兆円)に近い税収を達成している現状(平成27年度で56.4兆円)からさらに税収が伸びて、経済成長が1%台に留まるというベースラインケースですら70兆円近くに達するというもので、楽観的に過ぎるとの指摘をされているものです。

 そのような楽観的といわれる試算ですら、非常に厳しい結果を示していることを我々は深刻に受け止めねばなりません。

 これまで、増税をせずに自然税収増だけで予算の増加を吸収できるという、極めて恵まれた状況に日本はありました。それは、第一に繰越欠損金の仕組みの中で、法人税収が大きく伸びる時期にあたっていたこと、第二に世界的な低金利の状況下で、日本の国債の借り入れ利回りが極めて低く抑えられていたこと、この二つのボーナスがあったからかろうじて成り立っていました。そのボーナスがどちらもなくなりつつあるのが現在の状況です。

 こうした現実を現実としてしっかりと受け止めて、我々は、医療費をはじめ、少子高齢化が進む我が国の中で、社会保障の予算など、メリハリをより効かせて、予算の膨張を防ぐようなメカニズムを本気で考えねばなりません。

 リーマンショックのような急激な需要の縮小が世界的に起これば、政府が財政措置を通じて緊急に需要創出せねばならない状況も発生します。そうした事態に備えるためにも、今から財政についても規律を持った改革を行っていくことが重要です。

 問題の先送りをするには危険すぎる水準に近付きつつある、この現状認識の下で、メリハリのある財政運営をすることが、将来の負担を最小限に抑制する唯一の手段です。

suzuki_keisuke at 18:34トラックバック(0) 

2017年01月12日

トランプ政権発足を前にして

 来週の金曜日、1月20日に第193回国会が開会します。同じ日にアメリカではトランプ新大統領が就任します。

 昨年12月、台湾とベトナムに出張し、要人と会談し意見交換しました。一様に、アメリカの今後に深い関心と保護主義的な流れへの一抹の不安を抱いていたのが極めて印象的でした。

 中国の軍事的脅威にさらされているアジア各国にとって、アメリカ軍の西太平洋・東アジア地域でのプレゼンス、法の支配をはじめとした共通の価値に基づく国々の連携の象徴でもあったTPPは、いわばアジア地域の公共財のようなものです。

 トランプ氏は、大統領予定者として、TPPについては否定をし、従来の同盟関係に基づくアジア地域への安全保障面での関与については、コミットメントよりも同盟国の負担増加を求めるなど経済財政面の議論を先行させています。

 現実論として、台湾にしろ、ベトナムにしろ、あるいは韓国やフィリピンにしろ、日本よりもはるかに強く中国の軍事的・経済的なプレッシャーにさらされています。地理的、地政学的にこれが現実です。

 だからこそ、これらの国々は自らの身を護るために、アメリカや日本の強いコミットメントがなければ、好むと好まざるとにかかわらず、中国の影響下に入らざるを得ない、そんな状況にあります。

 従来は、アメリカや日本のコミットメントがあった結果として、多くの国々で、中国の強い影響にさらされる中、カウンターバランスとして日米を利用しながらバランスをとってきていた、それが南シナ海や東シナ海での中国の非常に利己的な挑発的な動きに応じて、日米に一歩歩み寄る決断をした国も出てきていた、そんな最近流れがどうなるのか、極めて重要な局面を迎えつつあります。

 TPPについての議論を見る限り、少なくとも今までのトランプ氏はこうした大局的戦略的観点を重視しているようにはみえません。米軍のプレゼンスという観点についても同様であることが推測されます。

 私が様々な会議や会談で感じたアジア諸国の本音は、こうした状況下において、日本がより強いリーダーシップを地域で発揮すること、そしてアメリカをアジアにつなぎ留めておく役割を強く果たすことへの強い期待です。

 この不安定な状況下だからこそ、日本は、安倍政権が力強く続けてきた価値観外交、つまり航行の自由や法の支配、民主主義、人権などの共通の価値を地域全体で共有し地域の安定に資する努力をさらに強化せねばなりません。

 オープンな国家、社会、経済を内向きな孤立主義の流れに抗して高らかに維持し続けることこそが当面の日本の使命です。そのことこそが、人口が減少する島国である日本の国益にも、中国や北朝鮮以外のアジア諸国の利益にも寄与する。

 中国の脅威が地政学的に少し和らぐ、オーストラリアやインドなどこの地域の大国と連携を深め、アメリカが再び強いコミットメントを示すまでしっかりと耐える覚悟が我が国の外交に求められています。

 特に中国も秋に次期指導部が選出される共産党全国代表大会を控え、強硬路線に出てくることも予想されます。米中の動向をしっかり注視し、アジアの安定・平和への責任を果たすことが求められます。

suzuki_keisuke at 13:16トラックバック(0) 

2017年01月01日

平成29年の年頭を迎えるにあたって

 いろいろな出来事があった平成28年が終わり、新たな年、平成29年、2017年を迎え、年頭にあたっての所感をここに述べさせていただきたいと思います。

 今年は国際政治的に不透明感の漂う年と言われています。我が国が直接影響を受ける東アジア情勢に関連する国々の状況でいっても、アメリカでは1月20日にトランプ新大統領が就任、中国でも秋に中国共産党全国代表大会、韓国でも大統領の交代、フィリピン、タイでも政権の行方に不透明感が漂います。

 また国際金融的にも、中国の景気の先行き、新興国の脆弱性の高まり、英国の離脱手続きに加えオランダやフランスでも反EUの政権への交代の可能性が高まることによるユーロ圏の危機と、まさに不確実性の芽の枚挙に暇が無い状況です。

 そんな中、日本に求められるのは、経済、安全保障両面における世界の秩序へのコミットメントに他なりません。多くの国々の政治リーダーたちと様々な議論をする中で、日本への期待が高まっていることを実感しています。

 島国である我が国は、人口減少のこの時代にあっては、将来の暮らしを維持していくためにも、国をオープンにしていく、自由・人権・民主・法の支配といった共通の価値を持つパートナーを東アジア地域に広げていく、こうした取り組みを進めていくことが必要です。また世界においてもそのような役割を期待されているといって過言ではありません。

 そして、何よりも、国内にあっては頑張る人が報われる社会構造への転換・改革を断行し、活力とヒト・モノ・カネの好循環を民間主導で創りだしていくことができる環境を政治が創ることが求められます。

 安倍政権もスタートから4年が経過しました。政権与党の一員として、あらゆる政策の議論にあたって、弛みを指摘されるようなことが無いよう、緊張感を持って取り組まねばなりません。我々が改革姿勢を失うことがあれば、一瞬にして国民のみなさまからの信頼を失うことはこれまでの経験からも明らかです。

 このところ、税金の無駄使いにつながりかねない、何でも政治や政府が口を出す「肥大化した政府」を目指す旧い動きが一部で見られるようになってきているのも事実です。しかし、今の我々にそのような過去に政策効果が否定された旧い政治のやり方を今一度試してみる余裕はありません。

 また、金融政策、財政政策はあくまで真にこの国の底力を強くできる改革を進めるための時間を得るためのものという原点に今一度立ち戻ることが必要です。労働市場改革をはじめとする構造改革、社会保障改革をはじめとする財政改革を断行するために残された時間はわずかです。

 この一年、微力ではありますが、一人ひとりの努力が真に報われる社会を実現するべく全力で頑張ってまいりますことを改めてお誓いしまして、年頭にあたっての私の所感とさせていただきます。

※なお、公職選挙法第147条の2の規定により、政治家(およびその候補者となろうとするもの)が年賀状を含むあいさつ状を出すことは禁止されております。ご理解いただけますようお願い申し上げます。


suzuki_keisuke at 00:01トラックバック(0) 
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