2017年06月

2017年06月22日

瓶内残薬という無駄・非効率を改めるために

 日本でもフードロス(Food Loss)、つまり捨てられてしまっている食べ物の量が極めて多く、世界の食糧事情を考える中で大きな問題となっています。先日立ち上げたFAO議員連盟においても今後、このような問題について取り組みを進めていくことを検討しています。

 一方で、捨てられてしまっているものは食べ物だけではありません。今私が自民党行政改革推進本部の副本部長として進めているのが、瓶内残薬の問題。こちらは病院において残った薬が捨てられてしまっている問題です。

 現在、高額な抗がん剤なども含め、一人の患者さんに投与した後に瓶内に残った薬を捨ててしまっているケースがかなり多いとされ、ある試算によれば、高額な抗がん剤の一つであるオプジーボだけで年間94億円が、全体では数百億円が廃棄されているといわれています。

 特に現在、診療報酬の体系の中で、薬については薬価自体がミリリットル単位ではなく瓶単位での価格設定となっていて、請求の単位も一部の病院を除けば実際に使った量ではなく瓶単位での請求となっている実態があります。

 結果として、廃棄されていたり、あるいは他の患者さんに残薬を使うことで実際の使用した本数と請求した本数がずれて差益を生んでいるケースもあるといわれています。

 医療費は保険であろうと税金であろうと大半が国民の皆さんの負担する税金ですし、特に高額の医薬品に関してはそうです。だからこそ、そこに不正も無駄もあってはなりません。また同時に残った薬をきちんと使うために有効な、無菌・密閉状態をつくれる閉鎖式接続機器の導入が現在は一部の先進的な病院に限られていますが、さらに進むことにより、アメリカでは因果関係が立証されているといわれている空中に霧散した抗がん剤に看護士や薬剤師、患者の関係者がさらされる健康リスクも抑えることができます。

 瓶内残薬の有効活用(DVO)をしっかりと進めることで、医療現場の安全環境の改善、国民負担の軽減を図ることが可能となります。

 ようやく厚生労働省、関係業界においても我々の問題提起の結果、動きがみられるようになりつつあります。

 政治の使命は既得権を守ることではなく、未来のために必要な改革を推し進めることでなければなりません。国民の皆さんが負担されている税金だからこそ、無駄を徹底的に排除できるよう、薬価の在り方なども含め、制度としてこの問題の解決を促せるよう、引き続き同志のとともに頑張ってまいります。

suzuki_keisuke at 17:24トラックバック(0) 

2017年06月13日

我田引鉄はあってはならない〜只見線と鉄道軌道整備法改正案〜

 平成23年7月の新潟・福島豪雨で橋梁が流され、現在運休している、JR只見線に関する議論が党内で行われています。現在災害復旧において国が補助できる対象を黒字会社に広げ、また激甚災害指定されていない災害も対象に含むという鉄道軌道整備法の法改正も併せて議論されています。

 現在、国として巨額の財政赤字を抱え今後高齢化に伴って医療費の支出が増加することが予想されるなかで、財政においても選択と集中ということが言われ、またかつての国鉄の巨額赤字への反省もあって、JRが支えきれない鉄道網に関しては合理化がやむを得ず進められているところです。全国的に利用者が極めて少ない鉄道に関しては、メンテナンスコストが極めて高いことから、鉄路を廃止しバスへの転換などを行って住民の利便性を確保するという方策がとられています。

 一応の目安として、旧国鉄時代には輸送密度2000人/日が廃止の基準だったところですが、現在では明確な基準は示されていませんが、300人程度がその目安となっているようです。これまでも東日本大震災の被災地などにおいても地元の理解と協力もいただきながらこうした鉄道の転換を行ってきたわけですが、かつて我田引鉄と言われたように、また最近の北陸新幹線の大阪延伸問題でも明らかなように、特に鉄道は政治家の介入がいまだにみられるところでもあります。廃線に関してもそのことは否定できません。

 そんな中、今回の只見線。たしかに「災害を口実にうやむやのうちに廃止に追い込まれるのは困る」というロジックには一理ありますが、同時に「そもそも廃止の検討がされる可能性が高かった路線に災害の復旧ということで巨額の公費を投入して復活させるべきなのか」という検討は少なくともされねばなりません。

 今回の只見線の該当区間の乗車密度は49人/日で、被災前の6倍の人が恒常的に利用するようになってはじめて廃線の検討対象にならない可能性が生じる、そして旧国鉄時代の基準からいけば40倍の乗客の利用が恒常的に必要という路線区間です。

 現在バスで代替していますが、住民の目線でも、現在集落に近い道路を6往復半、しかもフリー乗降区間をなっていてどこでも乗り降りできるバスの運行が、鉄路となれば、一日3往復で駅にしか当然のことながら停車しないこととなります。住民のアンケートも取られていない中で首長が要望を行っているという声もあります。

 現在のバスの運行コストは年間0.5億円。鉄道復旧の場合には復旧費81億円+年間運営費2.8億円です。単純に30年間で比較すると150億円鉄道復旧の場合コストが高くなる計算となります。現在のスキームの中でのJRの負担分を除いても、公費の投入額が今後災害が再び起こらないという仮定(当該区間は過去しばしば橋梁が流失している区間)でも30年間で117億円となります。

 100億円をはるかに上回る税金を投入して乗車密度49人/日の区間の復旧をすべきなのか。ここは慎重に判断せねばなりません。ましてや、81億円かけて橋梁の復旧等して乗客数が増えず10年くらいでやはり廃線せざるを得ませんという判断になってしまえば、巨額の公費投入はいったい何だったんだということになります。

 だからこそ、復旧の決定にあたっては、今後持続的に路線維持できるような、乗車密度や収支に関する定量的な見通しが明確になっていなくてはなりません。

 また今回の鉄道軌道整備法改正案にしても、災害復旧への国費投入の要件を緩めた結果、このような事例が増えるのであるとすれば、看過できる改正ではありません。国民の税金を使うということですから、それぞれの地域の政治的圧力で国費投入がなあなあのうちに決定され、本来廃線せざるを得ない路線が、災害を口実に安易に延命されるようなことがあってはなりません。

 その観点から、法改正をするのであれば、少なくとも定量的な路線の収支の計画をきちんと作成したうえで厳しく客観的に誰かが責任をもって可否を判断するといったメカニズムが法的に組み込まれることが説明責任の観点からも必要です。

 こうした観点から、党の行政改革副本部長として、先日の国土交通部会でもこの趣旨の発言をしたところ、この法案については、さらに精査が必要とのこととなりました。

 国民一人ひとりが必死にご苦労されて得たお金からいただいている税金です。その使い道については無駄や非効率、理不尽があってはならない。その思いを胸に今後とも政策をしっかり精査し、モノ申してまいります。
 

suzuki_keisuke at 16:46トラックバック(0) 

2017年06月02日

パリ協定。アメリカの離脱と悪乗りする中国

 トランプ大統領がパリ協定からの離脱を発表しました。

 気候変動に関しては、実際に対策を講じて大気中の温室効果ガス濃度が一定に抑えられたとしても、植生や疫病など大きな影響を人類が長期にわたって直面せざるを得ません。また何度もこれまで書かせていただいているように気候変動は加速化することから、一刻も早い対策が求められてきたいところです。なるべく早く対策を講じることが人類全体がかけなばならなくなるコストの抑制につながることが明確であることから、国際的な合意作りに世界全体が取り組んできたところです。

 必要な削減量という科学の議論と、誰が負担するのかという政治の議論。従来前者については一定の合意がされるものの、後者については中国などの新興国を中心に負担を避ける動きが出て交渉が停滞するという状況が続いていて、結果的に事態がどんどんと深刻化していたという経緯がありました。

 そこをどうにか乗り越えようと、様々な妥協もしながら必要最低限の枠組みとして、世界の主要国が合意に至ったのがこのパリ合意です。

 今回のアメリカの行動は、自国の利益だけを考える一国主義を前面に押し出し、負担の政治論への不満から、科学からの必要性を無視した暴挙であって、アメリカの国際社会における信用を大きく損なうものであり、残念としか言いようがありません。

 特に、アメリカの国内にあっても、「正しい規制がイノベーションを生み、結果的にダイナミックな経済成長の原動力となる」との考えの下で、IT関係の新興企業は言うに及ばず、エクソンなどのエネルギー業界からも、パリ協定離脱への懸念の声が大統領に伝えられている中で、また政権中枢にも離脱に反対する声が大きい中での今回の決断だったようです。アメリカの良識からもかけ離れた、あまりにも近視眼的で愚かなトランプ大統領による決断としか言いようがありません。

 同時に、ここに悪乗りしている中国の動きも滑稽としか言いようがありません。

 そもそも中国の排出目標自体が中国の交渉過程での抵抗により、日本やイギリス、EUやアメリカ等と異なり、絶対量に規制がかからずGDPの単位当たりの排出量の削減にとどまっており、さらにはそこに罰則などもかからないような状況です。

 実際データで見ても、中国は2030年にGDPあたりの排出量を2005年から60%削減するとの目標をパリ協定の枠組みの中で掲げていますが、2005年の実績が2.68kgCO2/$でこれを2030年に60%削減しても1.00kgCO2/$です。これは、日本(0.24)、フランス(0.27)、ドイツ(0.41)、イギリス(0.33)、アメリカ(0.53)などの国々の2005年の数値にすら遠く及ばないもので、ほぼ何もしないと言っているに等しい。

 産業構造の違いがありますから単純比較はできませんが、基本的には現時点でのベストの技術を導入するだけで、少なくとも0.50kgCO2/$程度には抑制できるはずで、今後の技術革新の余地を考えれば、削減への強い意志を感じられるものではありません。新興国ということで総量規制を逃れるだけならまだしも、中国に関しては原単位ベースの目標もあまりにも貧弱です。

 その程度のことしかコミットできない中国が、その交渉で勝ち取った緩い目標を維持しようとして、正義の味方のような顔をして「パリ協定・地球全体の環境政策の流れをリードする」などと主張しているのは、詐欺、欺瞞でありちゃんちゃらおかしいいと言わざるを得ません。そのようなことを言うのであれば、新興国にあっても先進国並みの目標を設定し、実効性をもった義務化を行ってからにしてほしい、というのが長年気候変動の問題に真剣に取り組んできた者の目からすれば正直なところです。

 アメリカの離脱は気候変動の対策上非常に失望させられる結果ですが、中国にこのような詭弁を許してしまい下手をすれば影響力まで持たせかねないという点においても愚策と言わざるを得ません。

 いずれにしても、現在の経済の実態から、中国・アメリカという二大排出国が地球全体の今後のカギを握っている事実に変わりはありませんし、この両国を巻き込む努力を続けていかねばならないのもまた現実の要請です。

 日本は、京都議定書、洞爺湖サミットと、福島第一原発の事故の前までは世界の議論をリードする環境先進国であったわけで、今後は一層大きな役割を果たしていかねばなりません。欧州諸国やイギリス等と連携して世界の気候変動への具体的な対応を進める流れを止めずに進めていくことが必要です。

 同時に石炭発電の問題も含めて、日本の国内にも世界の潮流に反する動きがあります。将来に責任を持つ政治家として日本の政府が正しい決断を下せるよう引き続き全力で頑張ってまいります。

suzuki_keisuke at 17:00トラックバック(0) 
Profile

suzuki_keisuke

Archives
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ