2017年09月

2017年09月19日

解散総選挙をめぐる報道について

 臨時国会冒頭にも解散総選挙という報道がされています。いろいろな意見はあると思いますが、北朝鮮情勢、外交・安全保障の観点からすれば、タイミングとしては唯一のタイミングというのが専門家の常識的な見方ではないかと思います。

 10月18日、この日から一週間は、外交・安保の専門家からもともと大きな注目を集めていた極めて重要な一週間です。理由はいたってシンプルで、第19回中国共産党全国代表大会が開催されるからです。

 習近平国家主席にとって、次の5年の体制を決定するまさに命懸けの会議でもあります。すべての中国政治は、この一年間この会議を目指して動いてきたといっていいくらいの最重要イベントです。

 日米の外交安保の専門家のほぼ共通した見方として、ここで体制が固まるまでは、習近平主席は内政、政局に注力したいために、外交上のゴタゴタを抱え込みたくないという分析があります。そして最近の動向を慎重見極めれば、おそらくそれは正しい。

 東シナ海での中国船の行動が最近わりと抑制的(8月の昨年同月比)なのもこのためと言われていて、当然、北朝鮮にも相当のプレッシャーをかけて軍事的な混乱を回避する努力をしているはずです。

 もちろん北朝鮮が中国の言いなりになるわけではなく、この時期にミサイルや核実験などの挑発行動を象徴的に行う可能性はありますが、10月24日までの期間、本格的な軍事行動や衝突の可能性は極めて低い。これが専門家のほぼ一致した見方であり、与野党問わず国政に携わる国会議員にとっては常識的な情勢認識でもあります。

 こうした情勢分析を踏まえれば、来年末までに解散総選挙をせねばならないとするならば、安全保障上の懸念を最小限に抑えるためには、状況がある程度予見可能な今年10月末までが唯一のタイミングとならざるを得ません。

 政治に携わるものとして、最優先すべきは国民の暮らしや命を守ることであり、選挙のタイミングも、地域の情勢がここまで緊迫している以上は、平時と異なりこうした安全保障上の情勢に影響されざるを得ません。

 衆議院の解散権は総理の専権事項であり、どのような判断がなされるかわかりませんが、日本の将来、そして今を最善のものとできるよう、内政・外交に全力で頑張ってまいりたいと思います。

suzuki_keisuke at 10:51 

2017年09月10日

アメリカの政治・金融関係者の日本への見方

 9月6日から7日にかけて、アメリカ東海岸(ニューヨーク・ワシントン)において、機関投資家及び下院議員を含む議会関係者、外交・安保の専門家と意見交換しました。実質2日間で一時間程度のミーティングが13という非常にタイトな日程でしたが、各方面と有意義な意見交換が出来ましたので、ここにオープンにできる範囲での所感を書かせていただきたいと思います。

 まず、投資家の日本への見方ですが、日本経済について、「慎重な楽観」というのが正直な印象です。2013年の安倍総理・黒田総裁就任直後あるいは、2014年のコーポレートガバナンス改革、法人税減税を推し進めた頃の熱気から比較すると寂しいものはありますが、逆に過度な期待も失望も無いという落ち着いた状況といえます。

 特に今回は、時期的に北朝鮮情勢、政局、日銀総裁人事に関心が集中していて、政策的にはコーポレートガバナンスの深化や流動性を高める労働市場改革への注目が高い印象を受けました。

 賃金上昇圧力の欠如、設備投資の弱さ、内部留保の増加など最近の現象を分析する中で、政府、中央銀行の政策というよりも金融緩和や法人税減税を活用しきれない民間企業の動きに問題があり、そこを動かす政策、すなわちコーポレートガバナンス、事業会社の株の持ち合い解消、終身雇用の打破を含む労働市場改革等の改革が必要との声が一致して多かったのが印象的でした。

 構造問題、貨幣現象、様々な見方のあるデフレの根本原因ですが、日本においてはむしろ、横並び社会の中で根強い個人と法人の「リスクをとらない」傾向、将来への期待の異常な低さといった、意思決定における心理的な要因にあるとの認識が共有されつつあると個人的には感じたところです。

 デフレ脱却、持続的な経済の拡大のためには、公需の創出など政府主導の一時的な景気回復ではなく、真に民間のプレーヤーが適切なリスクテイクを行い成長の原動力になり続ける環境が必要です。自民党がこうした民間のマインドの変化を促す構造改革路線に戻れるかどうかがが注目されていますし、同時にこの点こそが、日本への投資の呼び込みや潜在成長率の押上げには不可欠だと思われます。

 一方のアメリカ政治の状況ですが、アメリカの格差問題から共感を得ている「アメリカファースト」はかなり根強く、トランプ政権の二期目の可能性が高いとの見方が広まってきているようです。日本としても、そのことを可能性の一つとして前提において、いろいろな対応をしていく必要があります。

 特に、TPP、パリ協定をはじめとした国際秩序へのアメリカの関与に関して、再びアメリカが将来的に国際社会に戻ってくるのか否かは日本だけではなく、中国・北朝鮮以外のアジアの国にとっては、極めて重要な問題です。正直な印象を言えば、可能性はあるものの、当面は厳しいということだと思われます。我々が日本としてどう対応すべきか、長期的な観点からも再考が必要です。

 アメリカ社会全体として、国際的なルールや秩序は押し付けられるもので忌むべき「官僚的」なものとの受け止めが根強いとのことで、アメリカにあっては外交が大きく国内の世論や政局に影響されるという現実を考えれば、相当悲観的にならざるを得ません。しかしながらこの米国社会における受け止めはある意味で誤解である面が強く、アメリカという国が、基本的には生活や経済への他者の介入を嫌がるという国の成り立ちから来る哲学を根強く持っているということを考えれば、「小さな政府を指向し、政府の介入を防ぐためには、国際的なルールの確立と適用を徹底すること、そしてルールづくりに関与し主導することが最重要」との思考をどう広めていくことが出来るのかが極めて重要です。

 大統領だけでなく、上院下院問わず、連邦議員でも、例えば自由貿易を例にとれば、選挙区の産業がどのような影響を受けるかだけが行動の原点となってしまっている現状の中では大きなチャレンジですが、日本やイギリス、オーストラリアなど、自由貿易を強く指向するアメリカの同盟国が粘り強く関与していくしかありません。

 さらに外交問題に関しては、時期的なこともあって、アジア専門家の関心は北朝鮮に集中しています。ある意味集中しすぎているといってもいい状況です。結果として、中国が依然として長期的な構造的な脅威との見方は正直薄いと言わざるを得ません。北朝鮮のミサイル発射のことは耳にするが、尖閣周辺での中国の動きについては認識されていないという実態があります。

 アメリカの地理的な位置の問題、さらには旧ソ連と異なり中国市場がビジネス的に大きなチャンスだという見方が根強く、かつ事実でもあるということもあって、中国が冷戦時代のソ連並みの脅威だとのアジア諸国における認識は、残念ながらそのレベルでは共和党支持者の間でも現状、共有されていません。しかし、アジアにおいては、長期的に見れば、中国の脅威こそが極めて構造的に深刻なものです。こうした認識の差を放置しておけば、10年後、20年後取り返しがつかないことにもなりかねません。連邦議会も含め、アメリカの外交政策は国内世論の影響を強く受けるので、我々として、きちんとした戦略的コミュニケーションを行っていくこと必要です。


suzuki_keisuke at 14:55 

2017年09月01日

青年局としても真価が問われる一年

 今日から九月が始まります。自民党内においても、概算要求の関係の会議や各種党務の会議の開催が増えてきました。北朝鮮や中国の状況、そして内外の経済状況を考えれば、政治の内部の政局に明け暮れるのではなく、きちんとした政策の実行が求められる状況なのは明らかです。

 今日、民進党の新代表が選ばれましたが、代表選中の前原新代表の発言を丁寧に分析すれば、民進党、共産党が事実上の連立を組んでいる今の状況が大きく変わるとは到底考えられず、現状、国政においては、今の自民・公明政権か、民進・共産政権の二つしか選択肢が無い状況です。ごまかしのない本音の政策論争が繰り広げられることを、今度の国会においては期待したいと思います。

 そんな中、「現在の外交・安保、経済をはじめ日本を取り巻く厳しい環境の中で、もう鳩山政権、菅政権の時のような失敗が許されない日本にあっては、自民党が今一度きちんと気を引き締めて原点に立ち返り、自らを律して本気で立て直しを図るしかない」、これが多くの有権者の偽らざる本音であることは、この夏、選挙区で支持者に限らず多くの方々とお話しさせていただいた結果、改めて私自身感じたところです。

 青年局においても、私の局長二期目のスタートに当たって地方の青年組織の代表である中央常任委員会の議長に田村琢実埼玉県議会議員(自民党埼玉県連青年局長)、副議長に依光晃一郎高知県議会議員(自民党高知県連青年局長)を任命し、いよいよ今期の本格的なスタートを切ろうかというタイミングです。

 一部の報道でもありましたが、今年二月に青年局として正式に「堅持」を決議し執行部に申し入れを行った衆議院選挙の比例代表候補の73歳定年制を、見直そうとする動きが再び党内で出てきているようです。日本の未来を切り拓くためには、政権与党である自民党の活性化は欠かせず、そのためには常に新たな人材を得て党内の議論を活性化させることが必要です。こうした新陳代謝のためには、当時の小泉総理大臣、安倍幹事長の下で決定されたこの原則を変えるわけにはいきません。

 一方、政策面においては、内閣支持率が下がってくると、政治に近い一部の既得権を持った団体からの圧力が増し、国民のための構造改革ではなく既得権を持った団体の既得権を守ることに注力する「内向き政治」に陥って、結果として多くの自民党支持者や無党派層を含む国民の支持を失うという悪循環にはまる、ということも我々の経験からしばしば目にしてきた光景です。診療報酬改定においてどこまで非効率な医療費の削減に踏み込めるか等々、これから政治的にも正念場の時期を迎えます。真に国民のための改革という軸をブレさせるわけにはいきません。

 自民党が過去の失敗の轍を踏まないよう、ある時には党内野党として、国民に一番近い青年局が声を出していく、そのことが、日本の未来を切り拓いていくためには不可欠です。改めて気合を入れて取り組んでいきたいと思います。



suzuki_keisuke at 17:00 
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