2019年09月

2019年09月30日

消費税率の引き上げにあたって

 明日から消費税の税率が10%に引き上げられます。

 おそらく野党はそのことを攻撃するのだろうと思われます。しかし、医療の高度化、高齢化、温暖化に伴う自然災害の増加によるインフラ需要の増加をはじめ多くのファクターにより財政の持続可能性が問われている中で、実際に事実と数字に基づいた議論を突き詰めれば、責任ある政治家としては、他の選択肢はなかった、やむを得ない決断だったというのが正直なところです。

 税金を上げたい政治家などこの世にいるはずがありません。税金は低ければ低いほどいいに決まっています。しかし、最低限必要な歳出があることを考えれば、無責任に税金を下げればいいということであってはならない。パフォーマンスではなく、そこを悩み抜く、そして場合によっては負担のお願いをせねばならないこともまた責任ある政治家の役割です。

 我々が考えるべきは、国民の負担をどうやって将来にわたって最小化することが出来るか、この一点に尽きます。目先の痛みを煽って必要な負担の分配から政治家が逃げてしまえば、将来もっと大きな負担をお願いせざるを得なくなる。これは20年後、30年後に責任を持つ政治家が取るべき選択ではありません。

 様々な行革にも取り組んできた自分の目から見れば、歳出カットのみで財政の持続性を高めることが事実上困難なのは明らかです。また経済成長だけに頼る考えも、今の環境下ですら民間主導の経済成長が実現できていない実態を考えれば現実的ではありません。

 今年度予算においてはバブル期の60.2兆円を上回る史上最大の税収を計上し、実際に決算においても最大となる可能性が高い中ですが、法人税や所得税など、各税目の実質的な動きや繰越欠損金の状況などを考えれば、今後、今のままの税体系で70兆円前後の税収を得ることが出来るかと言えばそれはほぼ不可能です。また、経済成長を考えるのであれば、なおのこと、経済成長を阻害しない税体系への転換が求められる訳で、そのためには従来のように頑張る企業や個人への課税である法人税や所得税中心の税構造を転換せねばなりません。

 三党合意に基づく消費税率の引き上げはこの10%でいったんのケリがつきます。今後、我々は次の20年30年を見据えた税構造のあり方の議論を進めていかねばなりません。その際、国民のみなさまに真摯に向き合い、どうすれば20年後の国民一人ひとりの負担を最も少なくすることが出来るのか、出来ない幻想を無責任に振りかざすのではなく、様々な可能性を考慮しながら、緻密な議論をオープンにしていく必要があるのだと思われます。その際には、もちろん、所得税や法人税の中の様々な問題で実効税率と実際の税率に乖離が見られる点など、それぞれの税の中での公正性を高める議論も必要ですが、そもそもの基幹税のポートフォリオのあり方自体をどうするのかという観点も必要です。

 こうした観点で、今後もあるべき税の姿を未来に責任を持つ次世代の政治家の一人として責任を果たしてまいりたいと思います。

suzuki_keisuke at 22:36 

2019年09月18日

財務副大臣を退任し外務副大臣に就任

 先週金曜日、13日付で、財務副大臣を退任し、新たに外務副大臣に就任しました。

 財務副大臣就任中は、多くの方々にお世話になりながら、様々な課題に取り組むことができました。

 特に、三党合意に基づく消費税率の引き上げが10月に予定されている中、その環境整備とともに、消費税率引き上げ後の税体系をどうしていくべきかの議論をスタートしていく必要があります。公平・中立・簡素という従来の原則に加えて、「どう経済成長を阻害しないか」という論点も極めて重要です。今後様々なプラットフォームでこの中長期的な議論が進められていくわけですが、そうした議論も省内でさせていただきました。

 また、高齢化、高度化に伴って医療を中心とした社会保障費が増大しています。同時に老朽化したインフラのメンテナンスや地球温暖化・気候変動に伴う自然災害の増加も急で、そうしたものに対応する社会資本整備も必要です。また地方行政においてもニーズが多様化しています。その一方で財政制約もある現実があります。そうした中、どのようにして「Small Government Big Society」を実現することができるかが大きな課題です。従来当たり前のように国民の皆さまの「税金」でプロの「公務員」が行ってきた行政分野を再定義・整理していくことが求められます。

 高額医療などにおいて民間保険の果たす共助の役割をしっかり定義することも必要でしょうし、インフラなどにおいても、「所有」「オペレーション」「ファイナンス」を切り離したうえで、ちゃんと収益が上がるものについてはマネタイズし、100%税金などの公金で社会資本整備を進めるという今の状況を変える必要があります。また地方行政においても、社会課題解決の主体は行政や自治体に限られる必要はなく、企業や社会ベンチャー、NPO、行政など多様な主体が有機的に連携してコレクティブインパクトをもたらす環境づくりが必要です。

 加えて、国際金融においても、世界のカネの流れが極めて速く、さらに歪みができやすい状況を考えれば、万一にも金融危機が到来しないような枠組み作りを進めていかねばなりません。その中で、民間資金の流れ、公的資金の在り方、市場における開示、資本規制など各国の規制の在り方、金融政策や税の在り方などを総合的に主要国間での整合性を気にしつつ、歪みができにくい環境を時代の環境に適合させながら作っていく必要があります。

 ほかにも多くの分野で、時代の変化に対応した政策の方向性への適応が必要ですし、財務省自体の組織の在り方も変化の激しい時代に適応できるものとしていかねばなりません。こうした点についての議論を省内でも様々な機会にさせていただくことができました。

 まさにこうした多くの点について、一副大臣として微力ながら一石を投じることができたとしたら、非常にうれしいことですし、またこうした課題の解決には時間と力が必要ですので、今後も立場は変われど取り組みを進めていけるよう側面支援をしていきたいと思います。

 改めて多くの方々に支えていただきながら、財務副大臣として11か月の期間務めることができたことを感謝したいと思います。

 そして、これからは外務副大臣として新たな職責を全うすべく頑張ってまいります。変化の速い時代、かつ不透明性も様々な意味で増している時代、今ほど、そして東アジアに位置する日本ほど、外交の力が求められている時代、国はないと思います。担当は地域では、中東・アフリカ、北米、中南米、また国際協力や地球環境問題などの地球規模課題もカバーすることとなります。常に日本の国益を念頭に、戦略的にリアリズム的な視点で考えながら、全力で頑張ってまいりたいと思います。

suzuki_keisuke at 17:31 

2019年09月05日

香港情勢にみる中国共産党の本質

 連日のように世界中で香港の情勢が報道されています。我が国においては日韓や韓国の混乱の方が注目されているきらいもありますが、国際政治的には、そして我が国の国益のためには、より深刻なのが中国問題であることは多くの方々が認識しているところだと思います。

 1997年にイギリス領であった香港が中国共産党が支配する中国に引き渡されてから、50年間は、一国二制度の中で高度な自治が保証されるという約束がイギリスと中国の間で交わされていたわけですが、20年が経って徐々にその状況が骨抜きになっている事案が散見されています。

 まさにそのことが、この何年も継続的に頻発している香港市民による抗議活動の本質です。私が以前訪れたウイグルにおいても、中国共産党が、9.11テロなどを口実にして、中国共産党の支配からの脱却を求め自らに従わない者に対して「テロリスト」や「暴徒」とのレッテルを張り、情報を一切オープンにしないまま弾圧を繰り返し、一般市民への監視を強め共産党の一党独裁体制を強化してきたということが指摘されています。そんな中国共産党の本質でもあるいつもの手口が、今回の香港でも見られたところです。

 唯一異なっていたのは、香港が伝統的に開かれた国際都市であるがゆえに、その本質がメディアなどを通じて世界に漏れ伝わってきたという点です。代表を選ぶプロセスや、保障されているはずの言論の自由が守られないことへの不安、不信。イギリスとの間の国と国の間での約束、取り決めを守ろうとしない中国共産党の影響力が高まることへの不信感が今回の香港での運動の引き金ですし、中国共産党の強権的な対応を見ていれば、この問題が中国共産党側においても相当深刻に受け止められていることは容易に推測できます。

 2017年の中国共産党第19回全国代表大会以降、香港、台湾などに対する言動や行動のステージが明らかに変わってきているとの見方は、私もかねがね様々なところで申し上げてきたわけですが、依然として極めて高頻度で行われている尖閣諸島の領海や接続水域への中国公船による侵犯、東シナ海ガス田における二国間合意違反の一方的な開発の強行など、我が国としても直接的に国益にかかわる問題です。

 古今東西、どの国においても、外交政策が国内政治情勢の影響を受けることは歴史が証明しています。そして中国のような独裁国家においては、トップリーダーが選挙で民意に選ばれたという正統性を持ちえないために、自らの政治生命、場合によっては本当の生命のために強硬な外交に訴える可能性が高いというのもまた事実です。

 中国の状況を冷静に見極め、アメリカやオーストラリア、イギリス、台湾、ベトナム、インドなど、価値や戦略を共有する国々と連携を有機的に深めていくことが、中国の暴発を防ぎ、東アジアの地域の安定や平和を保つためには不可欠です。次の世代に責任を持つ政治家として注視していきたいと思います。
 

suzuki_keisuke at 16:10 
Profile

suzuki_keisuke

Archives
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ