2014年07月10日

求められる生活保護適正化

 今、国では、巨額の財政赤字と財政破綻のリスクのもとで、社会保障制度の破綻を回避するために様々な対策を打っています。特に自然増で一兆円といわれる社会保障の予算、年金もそうですが医療関係の予算についても真剣に向き合わねばなりません。

 現在私も自民党の行政改革推進本部の無駄撲滅プロジェクトチームの主査の一人としてこの検証作業に関わっているところです。昨日のヒアリングで問題となったのは、国が導入を進めているジェネリック(後発医薬品)の使用促進。その中でもとりわけ疑問視されたのが、自己負担ゼロの生活保護の対象者におけるジェネリックの使用状況でした。

 若干割合は増えているとはいえ、実は生活保護者のジェネリックの使用割合は一般の方々に比べて依然として低い状況が続いているのです。

 ジェネリックをめぐる議論はひとまず横におくとして、少なくとも自己負担を一定程度している一般の国民の方々と比べて全額を公費で賄ってもらって言わばタダで薬をもらっているいる生活保護者の方が高額な薬を多く受け取っている、という状況は明らかに異常です。

 なぜそのような状況が起きてしまっているのか。経緯を検証すると奇妙な歴史が浮かび上がってきます。

 実は平成20年4月1日に以下のような趣旨の厚生労働省からの課長通知が発出されていました。
「生活保護の医療扶助における後発医薬品に関する取り扱いについて」
●被保護者については、患者負担が発生しないことから、必要最小限度の保障を行うという生活保護法の趣旨目的にかんがみ、医学的理由がある場合を除き後発医薬品の使用を求める。
●特段の理由なく後発医薬品の選択を忌避していると認められる場合については、指導又は指示を行い、指導指示後、改善が図られない場合には保護の停止又は廃止を検討する。

 これは極めて真っ当な当然の措置であって、これがきちんと守られていれば、ここにあるような不可思議な事態は起こらなかったはずです。

 しかし、実はこの通知が出された同じ月の月末、この通知は廃止されて同じ名目で新たな通知が発出されています。その趣旨は以下のとおりです。
●福祉事務所等において、被保護者に対して、後発医薬品の適切な選択について理解が得られるよう、周知徹底を図る。

 簡単にいえば、前の通知において、生活保護対象者については医学的理由がある場合を除き後発医薬品の使用をする、それが出来ていなければ生活保護の停止を検討する、とまで踏み込んでいたものが、物の見事に骨抜きにされてしまったのです。

 当時の経緯については、今後精査する必要がありますが、後期高齢者医療制度への批判が高じて、国民の全てに平等に権利を、という社会主義的なムードが野党を中心に高まった結果、関連団体や自民党内の一部議員の動きもあってこの様な後退がなされてしまった、という話も聞かれます。

 さらに最近の動きにも注目せねばなりません。

 実は、政権復帰の選挙となった2012年末の総選挙において提示された自民党の公約集ともいえるJファイル2012において「生活保護制度について・・・ジェネリック薬の使用義務化やレセプト電子化によるチェック機能の強化等により医療費扶助の抑制・適正化を推進します。」と明記され、その流れの中で生活保護法の改正が昨年なされています。

 しかし、その中身については、公約からかなり後退したものとなってしまっています。条文を見ると、

第34条第3項に「医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする。」とされています。

 趣旨は正しいものの、霞ヶ関文学的には、「可能な限り」「促す」「努めるものとする」、この3点セットで公約にあった「使用義務化」は完全に骨抜き、という意味合いとなります。

 このような後退があった背景にも、一説には関係団体やその関係議員の動きがあったとも言われています。

 少なくとも我々は自民党として公約でも掲げた点を実現する責務があります。本件については、生活保護法の条文改正を行った上で平成20年の4月1日の通知と同趣旨の通知を行う必要があります。

 おかしなことを正す。政治家の当然の責務の一つです。このところ、安倍政権の改革姿勢を骨抜きにしようとする抵抗が党内の一部でしばしば行われています。この件についてもそのようなことがなされないよう、実現に向けて全力で頑張ってまいります。

suzuki_keisuke at 21:05トラックバック(0) 

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